ヘヴンリィ・ザン・ヘヴン ~異世界転生&成長チート&美少女ハーレムで世界最強の聖剣使いに成り上がる物語~
4章3話 アリスの前で、2人は剣をかまえて――
互いに風に髪と制服の裾を遊ばせながら、真剣な顔で相対する。
懸けるのは互いの想い。斬り合うのは互いの全力。
いかなる不正もなく、いかなる言い訳もない、これから行われるのはそういう戦いだった。
「前回の続きですね」
「ハッ、そして終わりでもある」
2人が向かい合って立つステージ、その近くの観客席の最前列には、関係者が座っていた。そしてアリスも邪魔にならないように少し後ろの席に座っていて、アリシアはというと、決闘場はステージを一周するように観客席がすり鉢状に並べられていて、観客席の下が建物になっているのだが、その建物の本来、人やエルフが座るべきではない屋上――とさえ呼べない危険な場所に、風を一身に受けながら座っていた。
「さて、改めて明言すっか」
「? なにをですか?」
「ここで、ロイに勝ったら俺はアリスと付き合える、なんて設定を持ち出したら、俺はあのクソ親父と一緒だ。なんせ、アリス本人の気持ちを無視することになんだからなァ」
「そうですね」
「だが、それとは別に、俺はテメェのことが気に食わねぇから、アリスを絶対に譲りたくねぇ」
「――、奇遇、ですね」
「アァ?」
「前にも散々言いましたが、ボクも先輩が気に食わない。だから、アリス本人が先輩と付き合いたいなら邪魔をしませんが、それとは別に、友達として、先輩にアリスを譲る気はないです」
「なら、決まりだな」
「はい」
互いにもうわかっていた。
ここで、どうするのが正解なのか、を。
「ここでカッコイイところを見せつけて――ッッ」
「――アリスの心を、より! 傾けてみせるッッ!」
笑ってしまうぐらい単純な話だった。アリスの意思、もっと突き詰めて言うならば心を、2人に強制することはできない。しかし、強制できないだけであって、自分たちのカッコイイ姿を見せて、変えさせてやることはできる。
要は、特にレナードは、アリスを惚れさせる。
ただそれだけの話。
「 顕現せよ、エクスカリバーッッ!! 」
可視化された波動のごとく、雪よりも純白の光が夜空に浮かぶ星々のように瞬き、宝石よりも黄金の風が神聖な圧力のようなモノを放出し続ける。
そして、ロイの右手には1本の聖剣、エクスカリバーが顕現する。
芸術作品としても一級品で、もちろん剣としても至高の一言。気高く光る切っ先に、圧倒的に豪奢な柄。神々しく、美しく、涙が出そうなぐらい感動的な剣、それがエクスカリバーだった。
「 来やがれ、アスカロン――ッッ!! 」
目に見える破壊の象徴と言わんばかりに、弾けるような紫電の燐光が周囲に当たり散らされ、夜明け前より蒼い炎が円を描くようにレナードの周囲で燃え盛る。
そして、レナードの右手には1本の聖剣、アスカロンがやってくる。
まるで古竜の牙のように無骨、だというのに剣として最高峰の切れ味を誇る。鋭く閃く刃に、絶対に壊れない強固な持ち手。荒々しく、破壊的で、暴力的な剣、それがアスカロンだった。
「2人とも、準備はいいか?」 と、エルヴィス。
「当然です」
「無論だ」
そして――決闘場は静まり返る。
張り詰めたような、肌の表面が痺れるような空気。
目の前には、絶対に負けられない男が、ただ1人。
観客席にいる関係者や、もはやあのエルヴィスでさえ、2人にとってはどうでもよかった。
ただ、アリスさえ見てくれていれば。
ロイは友達として、レナードにアリスを奪われたくない。
レナードは異性として、ロイからアリスの心を奪い取る。
理由も、目的も、互いに違ったとしても、2人は同時に聖剣を持つ手に力を込めた。
そして――、
「今ここに、ボクの往く道が最強に至ることを証明する!」
「今ここに、俺の目指す未来が本物であることを証明する!」
『『『『『 READY STEADY GO!!!!! 』』』』』
音響式アーティファクトのアナウンスが流れた瞬間、2人は互いに走り始めた。
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コメント
ノベルバユーザー129959
ここで打ち切りだったら超笑うw
ノベルバユーザー359879
ちょーおもろい