ヘヴンリィ・ザン・ヘヴン ~異世界転生&成長チート&美少女ハーレムで世界最強の聖剣使いに成り上がる物語~
1章13話 決闘のあとで、さらに決闘を――(3)
「ハァ……ハァ……」
「なるほど、そういうことか」
息を乱れさせるレナードに反して、涼しげな表情のアリエル。
で、レナードが躱したことによって遠くに飛んでいったアリエルの攻撃、【魔術大砲】が、数秒後、遠くで爆音を轟かせた。
「私は最初、【零の境地】を君にキャストして、肉体強化の魔術を無効化した」
「――――」
「なのに君は、意に介した様子もなく、無効化する前と同じ足の速さで、【魔術大砲】を躱してみせた。私の【零の境地】は、100%発動したのに、だ」
「――それで?」
「わかってしまえば単純そのもの。ただ単に、君は肉体強化の魔術をダブルキャストしていただけだね?」
肩をすくめるアリエル。そしてその場で左足を2回足踏みさせる。
刹那、【零の境地】が発動した。
その証明のようにレナードは身体が重くなったのか、つらそうに「かは……っ」と咳込んで、アスカロンを杖のように地面に立てる。
だが、それでも、と、レナードは獣のように笑う。
「エルフ・ル・ドーラ侯爵、アンタ今、索敵魔術を使っただろ?」
「――――」
「だから目眩ましの中でも俺を捕捉することができた」
「――それで?」
「それを待っていたんだ! 索敵魔術を使うということは目が見えていない証明! 索敵魔術で把握できるのは、敵影だけで、目に見える質量がないモノまではわからないはずだよなァ!」
轟ッッ! と、レナードはアスカロンを振るった。
なにも斬っていないように見えるが、違う。実はきちんと斬っている。
レナードがアスカロンで斬ったのは大気。瞬間、アスカロンのスキルが発動して、『風という現象』が発生する優先順位を最上位に設定する。
結果、生まれいずるのは風の大砲。
これをレナードはアスカロンを数回振って、何発も量産した。
「喰らいやがれェェ……ッッ!」
「チッ」
再度、アリエルが舌打ちする。そして瞬間的に魔術防壁が展開される。
「オラ、オラ、オラ、オラァァッ!」
ドッ、ドッ、ゴッッ、ドッ、ゴオオオオオオ! と、竜の咆哮を連想させる轟音を響かせて、風の大砲が何発もアリエルが展開した魔術防壁に激しい音を立てて激突する。その衝撃で地面は盛大に抉れ、大気は魔獣のように唸り、大気中の魔力が乱れ狂った。
まるで地震のような地鳴りが響いて、しかしなお、レナードは攻撃の手を休めない。
が――、
「なんだァ……あれは!?」
レナードとアリエルの間にある魔術防壁で詠唱は聞こえなかったが、アリエルの頭上に超々巨大な【魔術大砲】が出現した。そしてレナードは(――【魔術大砲】を複数キャストして、それを1つのまとめたのか!?)と、察する。
その直径、おおよそ3m以上。
これに直撃したら、下手したら死ぬかもしれない。
「ハッ、【聖なる光の障壁】に俺の位置を捕捉する索敵魔術、そして明らかに複数の【魔術大砲】を1つにまとめ上げた【魔術大砲・改】ッッ! クソが……ッッ、どんなに少なく見積もってもフィフスキャストじゃねぇか!?」
「確かに、今の私は目が使えない。だが、風の大砲は常にその聖剣から一直線に撃たれるのだろう。そして、その聖剣を手に持っているのは君だ」
と、ここでアリエルは一呼吸、置く。
「なら、特大の【魔術大砲】を君に向かって放つ。そうすれば、君にダメージを与えるのにプラスして、索敵魔術で風の大砲を感知できなくとも、風の大砲を蹴散らすことができる」
言い終えると同時、レナードに向かって【魔術大砲】が放たれた。まるで巨星が地上に落ちるかのような迫力に、思わず、レナードは次の一手について逡巡してしまう。
幸いにも【魔術大砲】は威力を重視したために1発しか放たれていない。アスカロンで充分に対処可能である。スキルの許容限界を超えるということもないだろう。
だが――、
――アリエルの次の一手が読めない。
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コメント
ノベルバユーザー359879
おもろすぎるやん