ヘヴンリィ・ザン・ヘヴン ~異世界転生&成長チート&美少女ハーレムで世界最強の聖剣使いに成り上がる物語~

佐倉唄

2章1話 朝の自室で、ロリ巨乳メイドに優しく起こされて――(1)



 トパーズの月、12日、火曜日。

「ご主人様~、朝でございます。おはようのお時間でございます」
「んんん……」

 いつものごとく、胸はたわわに膨らんでいるのに、140cmもない小柄な体型で、メイド服を身にまといつつ、ロイを起こしにきたクリスティーナ。
 彼女はベッドに顔を半分潜らせているロイの身体を、小さい身体で優しく、そして懸命に揺らす。

 しかしロイに起きる気配はない。

「クス、起きないと――イタズラ、しちゃいますよ?」
「うぅ……」

「キス、してもよろしいのでございますか?」
「キス!?」

「きゃあっ!」

 唐突、ロイはガバッ、と、ベッドから上半身を起こす。
 そしてぶつかりはしなかったものの、驚いて可愛らしい悲鳴をあげてしまうクリスティーナ。

「…………っ」

 控えめに言って、昨日の幼女は化け物だった。
 昨日の殺し合い、ロイは幼女がダブルキャストしていると推測できるシーンを何回か目の当たりにした。

 しかし、よくよく考えればダブルキャストなんてありえない。
 まず、路地裏から他人を遠ざけるための、あるいは他人が路地裏に意識を向けないようにするための、簡単に言うと人払いの魔術を使っていたはず。

 で、殺し合いのあと、ロイが路地裏を確認すると、聖剣の波動と、5%の分身のさらに30%の出力とはいえ、【絶滅エクスキューション・ディス・福音エヴァンゲリオン】がぶつかり合ったのに、ほとんど周囲の建物は半壊すらしないなかった。せいぜい抉れたり、傷痕が残ったり、少しだけ焦げたりしただけ。
 つまり、結界に似た保全の魔術も幼女は使っていたことになる。

 で、言わずもがな、幼女は最初から、魔術による分身を何体か用意していたらしい。
 その状態で、一番初めの攻防で、【神様の真似事アドヴェント・ツァイト】による『速さ』の降臨と、ロイの首を刎ねるための【そこに我はいない、ヴァールハイト・故に咲き誇る純黒の花ドゥンケルハイト・ブルーメンブラット】を使った。

「ねぇ、クリス」
「はい、なんでございますか?」

「人払いの魔術って、なにランク?」
「Cランクでございます」

 魔術のランクは、各々の魔術の有能さ、利便性、応用力で決まるのではない。魔術の術式の複雑さで決まるのだ。要するに、取得が難しいほど、ランクが高い。人払いの魔術はすごく使い勝手がいいが、そこまで術式が複雑というわけでもないので、ロイはCランクということで納得する。

「なら、戦闘中、周りの建造物に被害が及ばないようにする保全の魔術は?」
「同じくCランクでございます」

「なら分身の魔術は?」
「Aランクでございますね」

「最後、【神様の真似事】って魔術、知っている?」
「申し訳ございません。聞いたことがございません……」

 そしてクリスティーナには訊かないが、【そこに我はいない、故に咲き誇る純黒の花】はAランク魔術だ。幼女本人がそう言っていた。

 やはり、控えめに言って幼女は化け物だった。
 フィフスキャストなど――神話クラスの魔術の他に、ランクはどうあれ4つの魔術を平行キャストなど、神話の登場人物でもなかなかいない。神話クラスの魔術と並行キャストできるなら、99%の魔術師が生涯で初めて習得するEランクの魔術、【魔弾ヘクセレイ・クーゲル】や【優しい光サンフテスリヒツ】でも、王国ではなく惑星の歴史上で、上位数パーセントの天才に当てはまるはずだ。

 幼女の本体が出向いたら、上位の竜はもちろん、その上に存在する古竜や神竜ですら殺せるだろう。
 いや、自分の魔術回路をオーバーヒートさせることを前提として承知、織り込み済みなら、【絶滅の福音】100%で、ファンタジア教や竜の聖書教における神でも、理論上、殺せるはずである。

 無論、この世界ではロイしか確信を持って言えないはずだが、ファンタジア教や竜の聖書教の神と、ロイを転生させた神様の女の子は別物なのだが。

「さて! 雑談も終わりでございます! ご主人様、そろそろ起きてくださいませ」
「うぅ、仕方がない……」

 ロイは昨日の殺し合いで体力を消耗したので、早寝したのに、少々寝すぎてしまった。
 そこでクリスティーナが、立ち上がったロイの寝間着に手をかける。
 メイドとして、ご主人様が着替えるのを手伝ってあげる気だ。

「って、ちょっと待って」
「はい?」

「クリス、なにをする気?」
「ご主人様のお着替えをお手伝いする気でございます♪」


「ヘヴンリィ・ザン・ヘヴン ~異世界転生&成長チート&美少女ハーレムで世界最強の聖剣使いに成り上がる物語~」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

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コメント

  • 空挺隊員あきち

    お着替えを手伝いする気でございます( ˊᵕˋ* )♩
    辞めるんDA☆

    0
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