ヘヴンリィ・ザン・ヘヴン ~異世界転生&成長チート&美少女ハーレムで世界最強の聖剣使いに成り上がる物語~

佐倉唄

5章13話 その後の日常で、賑やかで大切な平穏を――(2)



 呆れて嘆息して肩をすくめるアリス。
 シーリーンはロイにいつもかまってほしくて、彼が他の女の子と接していると、いじらしいことにモヤモヤしてしまう。

 イヴはお兄ちゃん離れできてないし、マリアは弟であるロイに対して過保護である。つまり、イヴはお兄ちゃんが他の女の子に奪われるのがイヤで、マリアの方は、イヴと微妙に違うのだが、奪われるのがイヤなのではなくて、自分の保護下から離れてほしくないのだ。

 ゆえにアリスは思う――(こんな女の子3人に囲まれるロイも大変ねぇ) と。

 まるで他人事のようだが、事実、他人事である。
 だというのに、なぜかアリスはこの光景が、どこかつまらなかった。

「ほら! 3人とも! ロイは病み上がりなんだから、強く身体を引っ張ったり、揺すったりしちゃダメ!」

「「「は~い……」」」

「まったく、マリアさんまで……」

 どこかつまらない。どこか面白くない。
 そんなモヤモヤを振り切るように、アリスは4人の仲裁に入った。

「ロイ、身体はどう? もう痛まない?」
「うん、痛くもないし、どこか違和感を覚えるところもないよ。この調子なら、来週には実戦演習の講義にも出られるって」

 実戦演習とはロイとアリスがペアになってゴーレムを倒した講義だ。
 2回休んだことになったが、講師が融通を利かせてくれて、決闘という経験を積んだことを2回分の出席としてくれた。

「そういえば、まだ言っていなかったわね」
「? なにを?」

「ロイ、おめでとう。あなたの勇姿、カッコよかったわよ?」
「あっ、うん、どういたしまして」

「アリスさんが抜け駆けしたよ!? お兄ちゃん、わたしからもおめでとう! お兄ちゃん、カッコよかったよ!」
「弟くんが戦っている姿、お姉ちゃんとして誇り高かったですからね? 本当に、自慢の弟ですね」

「ふふん! シィの恋人さんだもんっ、カッコよくて当然!」
「あはは……、そう何回も言われると照れるなぁ」

 困ったようにロイは笑う。

「でも――、よかったわね、シーリーンさん」
「ぅん?」

「念願のパフェは美味しい?」
「もちろん! あっ、そうだ、アリスちゃん」

「? なにかしら?」
「シィのこと、さん付けじゃなくて、愛称で呼んでいいよ?」

「うぇ!?」
「だって、ロイくんと同じぐらい、アリスさんもシィのことを考えてくれて、助けようとしてくれたんだよね? なら、もしもアリスさんが許可してくれるなら、シィはアリスさんの友達になりたいから」

「ふふ、なら私もアリスでいいわ」
「~~っ、うんっ、これからよろしくね、アリス」

「で、ところでシィは、これからきちんと登校するのかしら?」
「ほえ!?」

 目を逸らして泳がせるシーリーンは、人差し指をツンツンさせる。
 そして自信なさげに――、

「いや……あの、その……、前向きに検討すると言いますか、できる限り善処すると言いますか、えっ、と……、もう不登校の生活に慣れたから、突然登校するようになるのは難しいんじゃないかなぁ、って……」

「「「…………」」」 と、アリスとイヴとマリアがジト目で睨む。

「ううぅ……、ロイくん、助けてぇ~」
「いや、これに関しては、ボクはアリスの味方かな」

「ロイくんに裏切られた!?」
「シィ、なるべく早く普通に毎日登校できるようになろうね?」

「そんなぁ~~……っ!?」

 シーリーンの情けない悲鳴に、ロイとアリス、イヴと、そしてマリアの笑い声。

 こうして、ロイの学院生活は幕を上げた――、

 ――最初のヒロイン〈永遠の処女〉を攻略して。


「ヘヴンリィ・ザン・ヘヴン ~異世界転生&成長チート&美少女ハーレムで世界最強の聖剣使いに成り上がる物語~」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

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コメント

  • 空挺隊員あきち

    ko☆u☆Rya☆ku☆!まぁ、たしかにタイトルにもハーレムって書いてあったし、間違いではないよね?1番最初はアリスかと思たわ

    1
  • ノベルバユーザー318963

    攻略てw

    5
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