ヘヴンリィ・ザン・ヘヴン ~異世界転生&成長チート&美少女ハーレムで世界最強の聖剣使いに成り上がる物語~

佐倉唄

3章3話 教師にヒミツで、バレないように筆談を――(2)



「さて、授業に戻るぞ」

 言うと、講師は再び黒板にチョークを走らせる。
 翻ってロイとアリスは、講師がこちらを向いている時は筆談せず、板書するタイミングで背中を向いた時に、筆談を再開する。

『でも、ロイってシーリーンさんと会ったことないわよね?』
『うん。アリスが言うにはシーリーンは美少女らしいけれど、そういうの関係なく、困っている人、悩んでいる人には、力を貸してあげたいなって』

『やっぱりロイって、優しい。あっ、でも――』
『?』

『さっき先生も言ったけど、シーリーンさんの本名は、シーリーン・ピュアフーリー・ラ・ヴ・ハート。フーリーの女の子で、人間の女の子ではないから、そこだけ注意ね』
『人間の女の子じゃない、って、もしかして?』

『そうよ。あまりこういうことを認めたくないけれども、シーリーンさんがイジメられている理由は、種族差別によるもの』
『詳しく訊いてもいいかな?』

『?』
『力になりたいと言って、事実、有言実行しようと思う。なのに、事情も知らないで、なにかフーリーであること特有の悩みや悲しみや傷に、土足で足を踏み入れちゃマズイと思うから』

 一瞬だけ、アリスは黙考した。

『フーリーっていうのは、もともとは天国で暮らしていた美少女だけの種族、と言われているわ』
『美少女だけって……』

『本当に神話の教科書にそう書いてあるんだからしょうがないじゃない!』
『なら男性は?』

『男性ねぇ。少し違うところから説明するけれど、フーリーは天国で暮らしていた種族って書いたじゃない?』
『うん』

『ってことは、どこからどう考えても、サキュバスやインキュバスのような悪魔とは違う』
『そうだね』

 サキュバスとは悪魔の一種で、男性とセックスをして、その精気を搾り取る性質、つまりスキルを持つ種族だ。曰く、サキュバスの女としての性の器は極上そのもの。男の性の器が焼けるぐらいアツアツで、蕩けるほどトロトロで、フワフワなのにキツキツで、常にキュンキュンしている状態という。

『性』の魔術の他にも『変身』の魔術を身に付けていて、逆夜這いする男性の理想の姿に変身するとも伝承にはある。

 また『性』の魔術の一種に、男性の残りの寿命を精液に変えるという魔術もあり、1回まぐわっただけで、サキュバスの子宮をタプタプにするぐらい精を吐き出せる代わりに、簡潔に言うなら殺されてしまう被害者も後が絶たない。

 被害者の95%以上は死んでしまうため証言は少ないが、曰く、その瞬間は、視界も思考も真っ白になり、全身が強く痺れ、腰がガクガクと痙攣し、灼熱そのものを吐き出すようで、針の穴のような出口からその100倍のモノを出すようなもので、この世のモノとは思えないほどの絶頂快楽ゆえに、今後の人生で頭が使えなくなるほどバカになるレベル、と、伝えられているとか、伝えられていないとか。

 インキュバスとは、サキュバスの男性版で、女性に夜這いをかける悪魔、という認識で問題ない。

『けれど、神話に出てくるフーリーの先祖は天国の住人。サキュバスは悪魔。当然、正反対な存在なのだけれども、ただ1つ、同じところをあげるなら、フーリーも『性』の魔術を得意とする種族なのよ』

『ああ、なるほど』
『神話におけるフーリーという種族は、英雄と呼ばれる人たちが、死後、神からの褒美として女の人をあてがわれる際に、その役目を果たしたと伝えられている』

『だから、フーリーに男性はいなくて、美少女しかいない?』
『そうね。女性なのに英雄という人も、神話にはたまに出てくるけれども、男性版のフーリーがいるという伝承は残されていないわ。それに』

『それに?』
『フーリーは神話の時代から存在していたけれど、空想の存在ではないわ。事実、シーリーンさんがこの学院に在籍しているし』

『つまり、現実、この時代のフーリーも『性』に関するスキルと魔術を使える、ってことだよね?』
『ええ、だから低劣な男子が、サキュバスとの違いも理解せずに、彼女のフーリーとしての性質をからかう、イジメるのよ』

 ここで終業の鐘が鳴る。
 次の講義は実戦演習で、またもや他学科のアリスと一緒の講義である。

 そもそも、ロイとアリスは友達になった日の数日後、カリキュラムを組む際に、他の学部、他の学科、だけれどもなるべく一緒の講義を受けられたらいいよね。と、話し合っているのだ。

 で、なるべく一緒の講義を受けられるようにカリキュラムを組んで、2人揃って教務課に提出した。

 なのでロイとアリスは、他の生徒と比べても一緒に受ける講義が多い。

「さぁ、次の教室に行きましょう?」
「うん」

 と、アリスに促されながら、ロイは教科書とノートを、カバンにしまう。

(そういえば、講義中にノートの端を使って女の子と筆談って、よくよく考えると、前世でボクがやってみたかったことの1つなんだよね)

 口元を緩めるロイ。

 さあ、次の講義は前述したように実戦演習。要するには実際の戦闘を念頭に置いて、模擬戦、戦いの訓練をする講義だ。

 となれば必然的に、エクスカリバーの使い手、ロイの見せ場である。


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コメント

  • ONロック

    サキュバスの話はそこまで長々と深掘りするとこじゃないと思います。
    作者の性癖が見え隠れしてますね笑

    1
  • 空挺隊員あきち

    さぁ、やって参りました、ロイの無双タイム

    2
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