俺だけ初期ジョブが魔王だったんだが。
第2章 23話 「思惑」
暫くの沈黙に緊張が走る。
緊迫した空気の口火を切ったのはレンジだ。
「お探しの品はこちらかな?」
レンジは白銀に輝くペンダントを【大司教】に見せ付けるように見せびらかせた。
ペンダントを見た瞬間、【大司教】とお付きの男は驚いた表情で目を見開いた。
「......何で貴方が持っているのかしら?それは本来アタシの物なの。返してもらえる?」
顎を引き、警戒を怠らず半身を逸らして右手を差しのべてきた。少し焦っているようにも見える。
「......二つ。二つの条件を飲めるなら渡してやらんことも無い」
「貴様...!あまり調子に乗るなよ!」
灰色の司祭服を着た眼鏡の男が我慢の限界かと言うように物凄い剣幕で怒号を飛ばしてくる。
「待ちなさいキール。いいわ、聞きましょう」
キールと呼ばれる男は【大司教】に牽制され少し不服そうに振る舞うも体を引いた。
「で、その条件とは?」
「一つ、俺達をこの場から見逃すと約束してもらう」
何せ相手は【大司教】だ。
ロクに能力も知らない敵との戦闘はどうしても避けたい。この場で戦闘になると最悪負けてしまう可能性だって十分にある。
「へぇ......案外逃げ腰ね。【魔王】なんて言うから怖気付いて損したわ」
「なに、冷静な判断を執っただけさ」
「......いいわ。この場は見逃してあげる」
「......どーも。それと二つ目......」
「......?何よ」
「ふ...フレンド登録してくれ......」
「...はぁぁっ!!!???」
「えええええ???!!!」
案の定、教会内は驚きの声で満たされた。
リリスは口を大きく開けて閉じる事を忘れている。
「れれれれレンジくん???どういう事ですか?!」
「い、いや俺にも考えがあるんだよ!」
勿論探していた【大司教】が美人だからお近付きになりたいだとか勿論そんな理由じゃない。
ただこの質問の解答によって【大司教】が人間か、それともAIが操作しているかある程度判断を付ける事が出来ると思ったからだ。
それにもしかするとこの先、戦わずに済む解決方法も見つかるかもしれない。
「あらどんな下衆な考えがあるのかしら?」
「...チャット機能を使った情報交換だ。俺達はお互い現状を知らな過ぎるんじゃないか?双方にとって有益な情報交換になると思うが」
「情報交換......」
「それに、こうして直接話すには立場上少々難しい所があるだろ」
「...分かったわ。その代わりペンダントは先に渡しなさい。条件を飲めるのはその後ね」
「......ほらよ」
アンダースローで放ったペンダントをキャッチすると【大司教】は渋々と近付いてきた。
「勿論、警戒は解く訳には行かないわ。お互いこのままフレンド登録を行いましょう」
【大司教】はパネルを操作しレンジにフレンド申請を飛ばした。レンジは承諾を押し登録は完了した。
「...これでいいわね。ほら、早く行きなさい。但し次に会う時は敵同士。分かってるわね?」
「血の気の多いやつだな。俺と職業逆なんじゃないか?連絡をいれるだろうからその時は確認しろよ」
そういって俺達は教会をあとにした。
ーーーーーーー
ーーーーー
ーーー
「はぁ...さすがに焦ったな」
【トランストリックリング】は既に回していて、今は【道化師】に姿を戻した。リリスは【吟遊詩人】に、ミアはいつでも通常職に戻せるらしく、【暗黒騎士】から【騎士】の姿に戻っていた。これで傍から見れば普通のパーティーだろう。
「まさか鉢合わせするとは......それにしても憎たらしい【大司教】でしたね」
「ハハ...憎たらしいだけで済めばいいけどな」
「ミア何だか大変な事に巻き込まれたみたいです!」
そう言う割には目を輝かせてウキウキとしている。
「ああこれでミアは完全に魔王軍側だって認識されたな。何だか悪い事したな」
「そんなことないです、楽しそうなのでOK!むしろウェルカムです!」
「それなら良かった。頼もしいよ」
「ですがミア。レンジ君の足を引っ張らないように貴女には強くなってもらいます」
「任せて下さい!」
と、いうわけで今日はミアを含めての戦闘での連携や技の確認を行うことになった。
その為に人目に付きにくい森の中に移動した。
「ここら辺なら多少音を出しても問題ないかな」
「音ですか?」
リリスが首を傾げる。
「ああ。ミアの戦闘センスを見ておこうと思ってさ。まだミアがどんな戦い方をするか知らないだろ?」
「まさかレンジ君と戦うんですか?!」
ミアが驚いた表情を見せる。
「大丈夫さ、軽く手合わせする程度だから。百聞は一見に如かず!何処からでもかかってきていいよ」
レンジは【トランストリックリング】を回し、再び【魔王】の姿に戻った。
「すまない。【道化師】はあまりにも戦闘に不向きで今の所戦えるレベルには達していないんだ。この姿でやらせてもらう」
「...分かりました!ではいきます!」
そういうとミアも【トランストリックリング】を回して【暗黒騎士】へと姿を変貌させた。
「では私が審判ということで」
リリスが二人の間に立ち、二人が距離を取ったことを確認して、手を下ろした。
「では......スタート!」
緊迫した空気の口火を切ったのはレンジだ。
「お探しの品はこちらかな?」
レンジは白銀に輝くペンダントを【大司教】に見せ付けるように見せびらかせた。
ペンダントを見た瞬間、【大司教】とお付きの男は驚いた表情で目を見開いた。
「......何で貴方が持っているのかしら?それは本来アタシの物なの。返してもらえる?」
顎を引き、警戒を怠らず半身を逸らして右手を差しのべてきた。少し焦っているようにも見える。
「......二つ。二つの条件を飲めるなら渡してやらんことも無い」
「貴様...!あまり調子に乗るなよ!」
灰色の司祭服を着た眼鏡の男が我慢の限界かと言うように物凄い剣幕で怒号を飛ばしてくる。
「待ちなさいキール。いいわ、聞きましょう」
キールと呼ばれる男は【大司教】に牽制され少し不服そうに振る舞うも体を引いた。
「で、その条件とは?」
「一つ、俺達をこの場から見逃すと約束してもらう」
何せ相手は【大司教】だ。
ロクに能力も知らない敵との戦闘はどうしても避けたい。この場で戦闘になると最悪負けてしまう可能性だって十分にある。
「へぇ......案外逃げ腰ね。【魔王】なんて言うから怖気付いて損したわ」
「なに、冷静な判断を執っただけさ」
「......いいわ。この場は見逃してあげる」
「......どーも。それと二つ目......」
「......?何よ」
「ふ...フレンド登録してくれ......」
「...はぁぁっ!!!???」
「えええええ???!!!」
案の定、教会内は驚きの声で満たされた。
リリスは口を大きく開けて閉じる事を忘れている。
「れれれれレンジくん???どういう事ですか?!」
「い、いや俺にも考えがあるんだよ!」
勿論探していた【大司教】が美人だからお近付きになりたいだとか勿論そんな理由じゃない。
ただこの質問の解答によって【大司教】が人間か、それともAIが操作しているかある程度判断を付ける事が出来ると思ったからだ。
それにもしかするとこの先、戦わずに済む解決方法も見つかるかもしれない。
「あらどんな下衆な考えがあるのかしら?」
「...チャット機能を使った情報交換だ。俺達はお互い現状を知らな過ぎるんじゃないか?双方にとって有益な情報交換になると思うが」
「情報交換......」
「それに、こうして直接話すには立場上少々難しい所があるだろ」
「...分かったわ。その代わりペンダントは先に渡しなさい。条件を飲めるのはその後ね」
「......ほらよ」
アンダースローで放ったペンダントをキャッチすると【大司教】は渋々と近付いてきた。
「勿論、警戒は解く訳には行かないわ。お互いこのままフレンド登録を行いましょう」
【大司教】はパネルを操作しレンジにフレンド申請を飛ばした。レンジは承諾を押し登録は完了した。
「...これでいいわね。ほら、早く行きなさい。但し次に会う時は敵同士。分かってるわね?」
「血の気の多いやつだな。俺と職業逆なんじゃないか?連絡をいれるだろうからその時は確認しろよ」
そういって俺達は教会をあとにした。
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「はぁ...さすがに焦ったな」
【トランストリックリング】は既に回していて、今は【道化師】に姿を戻した。リリスは【吟遊詩人】に、ミアはいつでも通常職に戻せるらしく、【暗黒騎士】から【騎士】の姿に戻っていた。これで傍から見れば普通のパーティーだろう。
「まさか鉢合わせするとは......それにしても憎たらしい【大司教】でしたね」
「ハハ...憎たらしいだけで済めばいいけどな」
「ミア何だか大変な事に巻き込まれたみたいです!」
そう言う割には目を輝かせてウキウキとしている。
「ああこれでミアは完全に魔王軍側だって認識されたな。何だか悪い事したな」
「そんなことないです、楽しそうなのでOK!むしろウェルカムです!」
「それなら良かった。頼もしいよ」
「ですがミア。レンジ君の足を引っ張らないように貴女には強くなってもらいます」
「任せて下さい!」
と、いうわけで今日はミアを含めての戦闘での連携や技の確認を行うことになった。
その為に人目に付きにくい森の中に移動した。
「ここら辺なら多少音を出しても問題ないかな」
「音ですか?」
リリスが首を傾げる。
「ああ。ミアの戦闘センスを見ておこうと思ってさ。まだミアがどんな戦い方をするか知らないだろ?」
「まさかレンジ君と戦うんですか?!」
ミアが驚いた表情を見せる。
「大丈夫さ、軽く手合わせする程度だから。百聞は一見に如かず!何処からでもかかってきていいよ」
レンジは【トランストリックリング】を回し、再び【魔王】の姿に戻った。
「すまない。【道化師】はあまりにも戦闘に不向きで今の所戦えるレベルには達していないんだ。この姿でやらせてもらう」
「...分かりました!ではいきます!」
そういうとミアも【トランストリックリング】を回して【暗黒騎士】へと姿を変貌させた。
「では私が審判ということで」
リリスが二人の間に立ち、二人が距離を取ったことを確認して、手を下ろした。
「では......スタート!」
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