俺だけ初期ジョブが魔王だったんだが。
第2章 13話 「リリス」
笑うリリスにチョップを食らわせた後、もう二、三戦だけ戦って俺達はすぐに引き返した。
「レンジさ...くん。すいません!」
「回復魔法と間違えてHP減らすとかどこのドジっ子だよ...」
「ぐうの音も出ません...」
宿屋に戻ってきた俺達は今日は解散することにした。
「じゃあな、また明日来るよ」
「はい、お休みなさい!」
ーーーーーーーーー
ヘッドギアを外し瞬きをして、現実世界に目を慣らす。
「ふぅ...なかなかハードな1日だったな。」
ゲームを始めたすぐに魔王になり、鬼と戦って、ベテランゲーマー達を倒し、二つ目の職業まで手に入れた。
「こりゃハマる人続出な訳だ」
確かにすごく面白い。その後風呂に入ったが玲嗣の興奮は覚めないまま、ずっとAESの事を考えていた。
リリスの事も....。
「あいつって本当にAIだよな?表情や発言が人間そのものだ...」
うとうととそんなことを考えつつ、玲嗣はベッドの中で眠りについた。
ーーーーーーーーー
ーーーーー
ーー
時は2年程前に遡る。
「え...??」
私にとってそれは突如射し込んだ一筋の光。活路を見出せる唯一の希望かのように思えた。
大袈裟に表現している訳では無い。
「本当です。最新ゲームであるフルダイブ型VRMMORPG<Another Earth Story>に御協力頂ければ無償でダイブマシンを提供することが可能です」
そう話すのは<Another Earth Story>取締役で、代表だと名乗る人物だった。
「是非やらせてください。宜しくお願いします!」
私は生まれつきの持病で両足が動かせなく、また、目も異常に悪い。視力は限りなくゼロに近く光を感知するぐらいの役割しか果たさない、役立たずな足と目を持っていた。
人生の大半を病院か自宅のベッドで過ごし、今までもこれからも、ずっとそうだと思っていた。そんな自分が、凄く嫌いだった。
医療用のダイブマシンが登場したと言ってもその価値は非常に高く、裕福な人や一部の本当に命が懸かっている人しか利用する事が出来ない。
偶然といえど条件がたまたまぴったり揃った私に舞い込んだ好機。千載一遇のチャンス。絶対に逃す訳にはいかない。
ーーーー
そこから私は毎日の様に電脳世界に潜った。そのお陰で酔うことは無くなりむしろダイブマシンの中に居た方が足の痛みや精神的苦痛が感じられなく心地よい場所となった。
「理莉さん。ゲームのグラフィックはどうですか?」
「はい、とても綺麗です!ほんとにこの景色がここにあるみたい....」
「まだプロトタイプの段階ですが調子は悪くない様ですね」
元々ゲームの基盤自体は殆ど出来ていたらしい。だが肝心の電脳世界の内部の部分が疎かになっていて開発が行き詰まっていた。
そこで私達が選ばれたという訳だ。と、いうのも私以外にも何人か同じ境遇の子達が開発に協力しているらしい。実際に会ったことはないが電脳世界ではコミュニケーションをとることが出来る。
私達はAESの開発に少なからず貢献した。フルダイブ型のゲームは未だかつて体験したことは無い、未知の部分もあった。でもそれは危険を承知で私達が望んだことだ。お互いウィンウィンの関係を保ち、開発はいよいよ最終段階に突入した。
「理莉さん。他の人も聞いてほしいことがあるんだ。」
「何ですか?上地さん」
上地 佳祐。AESの取締役であり、私達に救いの手を差し伸べてくれた恩人でもある。
「このゲームも君たちのお陰でとても捗り、より良い物が完成しそうだ。1ヶ月後の発売日がとても楽しみだよ」
「こちらこそですよ。この2年間、私達は普段絶対に出来ない体験をすることができました。本当に感謝しています....」
「こちらも協力して貰っているからね。お互い様だよ。本当にありがとう。そんな皆に提案があるんだ」
「提案?」
「君達は2年間このゲームに親しんだ。今や君達がこのゲームの事を一番熟知しているのは君達だ。そんな君達にはゲームの仕掛け人になって欲しい。ストーリーに大切な<キャラクター>になって欲しいんだよ」
その言葉は、私達、ハンデを持って生活していた者達に第二の扉を開いた。
「レンジさ...くん。すいません!」
「回復魔法と間違えてHP減らすとかどこのドジっ子だよ...」
「ぐうの音も出ません...」
宿屋に戻ってきた俺達は今日は解散することにした。
「じゃあな、また明日来るよ」
「はい、お休みなさい!」
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ヘッドギアを外し瞬きをして、現実世界に目を慣らす。
「ふぅ...なかなかハードな1日だったな。」
ゲームを始めたすぐに魔王になり、鬼と戦って、ベテランゲーマー達を倒し、二つ目の職業まで手に入れた。
「こりゃハマる人続出な訳だ」
確かにすごく面白い。その後風呂に入ったが玲嗣の興奮は覚めないまま、ずっとAESの事を考えていた。
リリスの事も....。
「あいつって本当にAIだよな?表情や発言が人間そのものだ...」
うとうととそんなことを考えつつ、玲嗣はベッドの中で眠りについた。
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時は2年程前に遡る。
「え...??」
私にとってそれは突如射し込んだ一筋の光。活路を見出せる唯一の希望かのように思えた。
大袈裟に表現している訳では無い。
「本当です。最新ゲームであるフルダイブ型VRMMORPG<Another Earth Story>に御協力頂ければ無償でダイブマシンを提供することが可能です」
そう話すのは<Another Earth Story>取締役で、代表だと名乗る人物だった。
「是非やらせてください。宜しくお願いします!」
私は生まれつきの持病で両足が動かせなく、また、目も異常に悪い。視力は限りなくゼロに近く光を感知するぐらいの役割しか果たさない、役立たずな足と目を持っていた。
人生の大半を病院か自宅のベッドで過ごし、今までもこれからも、ずっとそうだと思っていた。そんな自分が、凄く嫌いだった。
医療用のダイブマシンが登場したと言ってもその価値は非常に高く、裕福な人や一部の本当に命が懸かっている人しか利用する事が出来ない。
偶然といえど条件がたまたまぴったり揃った私に舞い込んだ好機。千載一遇のチャンス。絶対に逃す訳にはいかない。
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そこから私は毎日の様に電脳世界に潜った。そのお陰で酔うことは無くなりむしろダイブマシンの中に居た方が足の痛みや精神的苦痛が感じられなく心地よい場所となった。
「理莉さん。ゲームのグラフィックはどうですか?」
「はい、とても綺麗です!ほんとにこの景色がここにあるみたい....」
「まだプロトタイプの段階ですが調子は悪くない様ですね」
元々ゲームの基盤自体は殆ど出来ていたらしい。だが肝心の電脳世界の内部の部分が疎かになっていて開発が行き詰まっていた。
そこで私達が選ばれたという訳だ。と、いうのも私以外にも何人か同じ境遇の子達が開発に協力しているらしい。実際に会ったことはないが電脳世界ではコミュニケーションをとることが出来る。
私達はAESの開発に少なからず貢献した。フルダイブ型のゲームは未だかつて体験したことは無い、未知の部分もあった。でもそれは危険を承知で私達が望んだことだ。お互いウィンウィンの関係を保ち、開発はいよいよ最終段階に突入した。
「理莉さん。他の人も聞いてほしいことがあるんだ。」
「何ですか?上地さん」
上地 佳祐。AESの取締役であり、私達に救いの手を差し伸べてくれた恩人でもある。
「このゲームも君たちのお陰でとても捗り、より良い物が完成しそうだ。1ヶ月後の発売日がとても楽しみだよ」
「こちらこそですよ。この2年間、私達は普段絶対に出来ない体験をすることができました。本当に感謝しています....」
「こちらも協力して貰っているからね。お互い様だよ。本当にありがとう。そんな皆に提案があるんだ」
「提案?」
「君達は2年間このゲームに親しんだ。今や君達がこのゲームの事を一番熟知しているのは君達だ。そんな君達にはゲームの仕掛け人になって欲しい。ストーリーに大切な<キャラクター>になって欲しいんだよ」
その言葉は、私達、ハンデを持って生活していた者達に第二の扉を開いた。
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