モテない俺にある日突然モテ期が来たら
お相手は超絶美人だけど、世界の危機だ。
真島晶
通称 晶ちゃん
俺の学校の担任であり、容姿は超絶美人。
性格はガッカリ親父。唯一俺が学校で言葉を交わす女性だ。
その晶ちゃんが、学校で良く着ているスーツに身を包んで炎天下の中ゲンナリした顔で目の前を歩いている。きっと暑さでやられているのだろう。
手に持っている扇子でパタパタと自分を仰いでいるのが見えた。
本当、ここから見るとハッとするくらい美人なのに中身はオッサンなんだもんなぁ。
ってちょっと待てよ。
横からマイムがキラキラした顔で俺を見つめていた。
「昴さん!ついに、ついにですね!?あの方がお知り合いなんですね!?あんな美人さんとお知り合いなんて、流石です!それでは早速肩をポンと掴んで呼び止めましょう!」
いやいや、晶ちゃんは教師だぞ?確かに美人だしあんな綺麗な人が俺に興味を持ってくれるのは嬉しいけども。開けてはいけないパンドラの箱だろ。
あと何が流石なんだ?マイムにとっての俺の評価はどうなっているんだ。
「マイム…あの人は俺の担任の先生なんだ。流石に教師と生徒はマズイよ。だからさ、今回は…」
残念だが仕方ない。中身はオッサンでも晶ちゃんはあんなに綺麗なんだ。独身だと言う事は知っているけれど、もし仮に彼氏でもいたら、俺はこの力で人を不幸にする可能性だってあるんだ。
「諦めよ…ってオーーーーイ!?」
気付けば、手を後ろに組んでスキップするように晶ちゃんに近づいていくマイムの姿が見えた。
「すみませーん、昴さんのお知り合いの方ですよね♪ちょっとお時間よろしいでしょうかー?」
嘘だろ?どんだけコミュ力が高いんだこの女は!?ひとまず隠れないと。
俺は晶ちゃんに見つからないように電信柱と同化する事に決めた。
気配だ。気配を消すのだ。俺は電柱。皆様のご自宅、企業に電気を分配する大事な電柱、鳴海昴。
「…昴?あぁ、鳴海の友達?悪いけど今私ゃー暑くて死にそうだからまた今度にしてくれる?もう汗が止まらないんだよ。それじゃ」
俺の心配をよそに、晶ちゃんはあっさりマイムの制止を振り切るとまた気怠そうに歩いて行ってしまった。
危ねぇ。それにしてもマイムの奴。俺の話も聞かずになんて事しやがる。
危なく教師と生徒の禁断の18禁ストーリーが出来上がってしまう所だったじゃねぇか。
電柱と同化したまま俺はひとまず胸を撫で下ろした。
だがホッとしたのは俺だけで、マイムはそんなに簡単に諦めるような奴では無かったようだ。
マイムはすぐさま晶ちゃんを追いかけると、晶ちゃんの肩から下げているバッグの紐をグイーと引っ張り
「待ってくださーい!話だけでも、後生ですから!昴さんについて相談があるんですー!人助けだと思ってぇーー!」
「こ、こら離せ!私は早く涼しい喫茶店で涼みたいんだ!鳴海の事なんざ知った事か!クリームソーダが待ってるんだ!氷とアイスの境目のシャリっとした所が食べたいんだー!」
駄々をこねて騒ぎ立てるマイムと、必死の形相でマイムを引き剥がそうとする晶ちゃんの二人がどちらも一歩も譲らぬ攻防を繰り広げていた。
さすがに周囲がその光景を見てざわつき始めていたのでもう観念するしか無いようだ。
というか、晶ちゃん。もうちょっとオブラートに包んでくれないと俺、死んじゃうよ?心が。
「あ、晶ちゃん。ゴメン迷惑かけて。《それ》俺の友達なんだ」
電信柱と同化する事を諦めた俺は、マイムを指差すと晶ちゃんにしがみついていたマイムの腕を軽く引っ張った。
「ん?なんだ、鳴海もいたのか。早よ何とかしてくれ。私ゃー今すぐ涼まないと世界を滅ぼしてしまいそうなくらいイライラしているぞ?」
ニッコリと俺に微笑む晶ちゃんの目は笑っていない。
怖ぇ。なんで美人って怒るとこんなに凄みが出るんだろ。目鼻立ちがハッキリしてるから余計に。ひとまず早くマイムを引き離さないと、世界が滅ぶのは勘弁だ。
「おい、マイム、やめろって。早く晶ちゃんのバッグを離せ!世界が滅ぶぞ!」
「世界が滅ぶのは嫌ですけど、このチャンスを逃すのはもっと嫌です!」
何だ?何をここまで必死になっているんだ?
マイムは頑なに晶ちゃんを離そうとはしないし、晶ちゃんの沸点も限界に達してきてるようだ。
「チャンス?なんの話だ?というか今更だが、お前こんな可愛い彼女がいたのか。いつも学校では私しか話す人がいないとか言って孤立してる風だが、 プライベートではキッチリやる事やってるじゃないか。良いね青春は。こちとらこんな糞暑い日に朝から出勤して、悩める学生の進路表をようやくまとめ終わって一息つこうという時にこの仕打ちだよ。もう世界なんて壊しても良いだろう?とにかく暑いんだ!離してくれ!」
晶ちゃんはマイムに引っ張られながらも、もう片方の手で扇子を仰ぐと、俺とマイムを交互にギロリと睨みつけた。
とんでもなくストレスが溜まっているらしい。教師というのはここまで追い詰められる職業なのか、それとも単に気温の問題なのか…或いはそのどちら共か。
「暑いのが悪い訳ですね、解りました。私にお任せください!暑いのが解消されたらお話聞いてくださいね。では!」
そう言うと、マイムはようやく晶ちゃんから手を離し、今度は自分の手を胸の辺りで組むとブツブツと何かを囁き始めた。
 
その瞬間、マイムの手が薄く、青白く、光り始めた。
ま、まさか、コイツこんな街中で魔法を使うつもりなのか?只でさえ注目されているのに大騒ぎになっちまう。
晶ちゃんはマイムから手を離された瞬間に歩き始めているのでこの光景は目に入ってはいないが、マイムが晶ちゃんに何か魔法を使おうとしているのは明白だった。
「マイム、駄目だ!何するつもりだやめろ!」
「大丈夫ですよ昴さん♪暑いみたいなので涼しくして差し上げようと思っているだけです♪」
いや、そういう問題じゃないんだが。
「フリーズレイン!」
あ、それ知ってるな。確か冷たい氷の槍が雨のように降り注ぐ魔法だ。
原作ではこれで雑魚キャラを一掃できるやつだ。マイムって見た目は回復キャラでもおかしくないのに割と攻撃型の魔法使いなんだよな。
って…アイツ!晶ちゃんに何するつもりだよ!?
俺はマイムと晶ちゃんの間にとっさに割って入って、マイムを制止しようとしたがマイムの手からは《水のような何か》が発射されて晶ちゃんに向かって行ってしまっていた。
「晶ちゃん!!」
俺は叫ぶと、無意識に晶ちゃんの肩を引っ張っていた。
マイムの手から発射された《水のような何か》が当たらないように身体をずらしたつもりだったが、残念ながら《それ》は晶ちゃんに直撃し、晶ちゃんは俺の目の前で膝をついて崩れ落ちた。
通称 晶ちゃん
俺の学校の担任であり、容姿は超絶美人。
性格はガッカリ親父。唯一俺が学校で言葉を交わす女性だ。
その晶ちゃんが、学校で良く着ているスーツに身を包んで炎天下の中ゲンナリした顔で目の前を歩いている。きっと暑さでやられているのだろう。
手に持っている扇子でパタパタと自分を仰いでいるのが見えた。
本当、ここから見るとハッとするくらい美人なのに中身はオッサンなんだもんなぁ。
ってちょっと待てよ。
横からマイムがキラキラした顔で俺を見つめていた。
「昴さん!ついに、ついにですね!?あの方がお知り合いなんですね!?あんな美人さんとお知り合いなんて、流石です!それでは早速肩をポンと掴んで呼び止めましょう!」
いやいや、晶ちゃんは教師だぞ?確かに美人だしあんな綺麗な人が俺に興味を持ってくれるのは嬉しいけども。開けてはいけないパンドラの箱だろ。
あと何が流石なんだ?マイムにとっての俺の評価はどうなっているんだ。
「マイム…あの人は俺の担任の先生なんだ。流石に教師と生徒はマズイよ。だからさ、今回は…」
残念だが仕方ない。中身はオッサンでも晶ちゃんはあんなに綺麗なんだ。独身だと言う事は知っているけれど、もし仮に彼氏でもいたら、俺はこの力で人を不幸にする可能性だってあるんだ。
「諦めよ…ってオーーーーイ!?」
気付けば、手を後ろに組んでスキップするように晶ちゃんに近づいていくマイムの姿が見えた。
「すみませーん、昴さんのお知り合いの方ですよね♪ちょっとお時間よろしいでしょうかー?」
嘘だろ?どんだけコミュ力が高いんだこの女は!?ひとまず隠れないと。
俺は晶ちゃんに見つからないように電信柱と同化する事に決めた。
気配だ。気配を消すのだ。俺は電柱。皆様のご自宅、企業に電気を分配する大事な電柱、鳴海昴。
「…昴?あぁ、鳴海の友達?悪いけど今私ゃー暑くて死にそうだからまた今度にしてくれる?もう汗が止まらないんだよ。それじゃ」
俺の心配をよそに、晶ちゃんはあっさりマイムの制止を振り切るとまた気怠そうに歩いて行ってしまった。
危ねぇ。それにしてもマイムの奴。俺の話も聞かずになんて事しやがる。
危なく教師と生徒の禁断の18禁ストーリーが出来上がってしまう所だったじゃねぇか。
電柱と同化したまま俺はひとまず胸を撫で下ろした。
だがホッとしたのは俺だけで、マイムはそんなに簡単に諦めるような奴では無かったようだ。
マイムはすぐさま晶ちゃんを追いかけると、晶ちゃんの肩から下げているバッグの紐をグイーと引っ張り
「待ってくださーい!話だけでも、後生ですから!昴さんについて相談があるんですー!人助けだと思ってぇーー!」
「こ、こら離せ!私は早く涼しい喫茶店で涼みたいんだ!鳴海の事なんざ知った事か!クリームソーダが待ってるんだ!氷とアイスの境目のシャリっとした所が食べたいんだー!」
駄々をこねて騒ぎ立てるマイムと、必死の形相でマイムを引き剥がそうとする晶ちゃんの二人がどちらも一歩も譲らぬ攻防を繰り広げていた。
さすがに周囲がその光景を見てざわつき始めていたのでもう観念するしか無いようだ。
というか、晶ちゃん。もうちょっとオブラートに包んでくれないと俺、死んじゃうよ?心が。
「あ、晶ちゃん。ゴメン迷惑かけて。《それ》俺の友達なんだ」
電信柱と同化する事を諦めた俺は、マイムを指差すと晶ちゃんにしがみついていたマイムの腕を軽く引っ張った。
「ん?なんだ、鳴海もいたのか。早よ何とかしてくれ。私ゃー今すぐ涼まないと世界を滅ぼしてしまいそうなくらいイライラしているぞ?」
ニッコリと俺に微笑む晶ちゃんの目は笑っていない。
怖ぇ。なんで美人って怒るとこんなに凄みが出るんだろ。目鼻立ちがハッキリしてるから余計に。ひとまず早くマイムを引き離さないと、世界が滅ぶのは勘弁だ。
「おい、マイム、やめろって。早く晶ちゃんのバッグを離せ!世界が滅ぶぞ!」
「世界が滅ぶのは嫌ですけど、このチャンスを逃すのはもっと嫌です!」
何だ?何をここまで必死になっているんだ?
マイムは頑なに晶ちゃんを離そうとはしないし、晶ちゃんの沸点も限界に達してきてるようだ。
「チャンス?なんの話だ?というか今更だが、お前こんな可愛い彼女がいたのか。いつも学校では私しか話す人がいないとか言って孤立してる風だが、 プライベートではキッチリやる事やってるじゃないか。良いね青春は。こちとらこんな糞暑い日に朝から出勤して、悩める学生の進路表をようやくまとめ終わって一息つこうという時にこの仕打ちだよ。もう世界なんて壊しても良いだろう?とにかく暑いんだ!離してくれ!」
晶ちゃんはマイムに引っ張られながらも、もう片方の手で扇子を仰ぐと、俺とマイムを交互にギロリと睨みつけた。
とんでもなくストレスが溜まっているらしい。教師というのはここまで追い詰められる職業なのか、それとも単に気温の問題なのか…或いはそのどちら共か。
「暑いのが悪い訳ですね、解りました。私にお任せください!暑いのが解消されたらお話聞いてくださいね。では!」
そう言うと、マイムはようやく晶ちゃんから手を離し、今度は自分の手を胸の辺りで組むとブツブツと何かを囁き始めた。
 
その瞬間、マイムの手が薄く、青白く、光り始めた。
ま、まさか、コイツこんな街中で魔法を使うつもりなのか?只でさえ注目されているのに大騒ぎになっちまう。
晶ちゃんはマイムから手を離された瞬間に歩き始めているのでこの光景は目に入ってはいないが、マイムが晶ちゃんに何か魔法を使おうとしているのは明白だった。
「マイム、駄目だ!何するつもりだやめろ!」
「大丈夫ですよ昴さん♪暑いみたいなので涼しくして差し上げようと思っているだけです♪」
いや、そういう問題じゃないんだが。
「フリーズレイン!」
あ、それ知ってるな。確か冷たい氷の槍が雨のように降り注ぐ魔法だ。
原作ではこれで雑魚キャラを一掃できるやつだ。マイムって見た目は回復キャラでもおかしくないのに割と攻撃型の魔法使いなんだよな。
って…アイツ!晶ちゃんに何するつもりだよ!?
俺はマイムと晶ちゃんの間にとっさに割って入って、マイムを制止しようとしたがマイムの手からは《水のような何か》が発射されて晶ちゃんに向かって行ってしまっていた。
「晶ちゃん!!」
俺は叫ぶと、無意識に晶ちゃんの肩を引っ張っていた。
マイムの手から発射された《水のような何か》が当たらないように身体をずらしたつもりだったが、残念ながら《それ》は晶ちゃんに直撃し、晶ちゃんは俺の目の前で膝をついて崩れ落ちた。
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