虚空を歩む者

島地 雷夢

変遷


 時は移ろい、虚ろの者との戦いが神話の中でしか語られる事のない時代。 虚ろの者より受けた世界の傷は癒え、かつて以上の栄華を誇っている。 古の勇者と神に愛されし者の活躍、虚ろの者を退けた神の力の結晶たる剣の存在は伝承として語られるのみ。 剣より解き放たれた五つの力を守護する巫女や巫女守の存在も、多くの者にとってはあくまで風習に則り、継承をしているという認識でしかない。 全てが過去に起こった事実であるとも知らず、過去のヒトが語り継いだ話はすべて物語として扱われる。 今があるのは、過去に活躍した者達の御蔭である事を、多くのヒトはきちんと理解していない。 そして……過去の悲劇が繰り返されようとしている事を、多くのヒトはまだ気付いていない。

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