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狼の野郎

ひとりぼっちの作戦 4

あぁ、痛いこれは痛すぎる、布はあったけか?

ナイフで刺された右手から血が溢れ出ている

ナイフは引っこ抜いた、それだけで気絶しそうだったのだが、そこはどうにか耐えた

「やばいぞこれ、どうするんだよ」

ユキが気絶したところから結構離れた、これで獣人族の仲間からは狙われないだろう

ユキが何故?獣人族だと時雨は断定したかと言うと、ユキを救い出した時に鎖を持っていた奴には砂と爆竹を使い動けなくしたが周りの奴らは動ける状態であったのにもかかわらず何故俺たちを確保する事に動かなかった

しかもユキの処刑を見に来た奴らなんだぞ、それぐらい死に際が見たい連中が何故易々と見逃す

それは囮だからだ、ユキが囮だから、どうでもよかった

獲物は俺であっただけ、ユキを囮で俺を釣ると言うこと

なんでこんなに効率が悪い狩りの仕方をしているのかは知らない

それに鎖を持っていた奴の叫びは本物だ、何故あんな事を叫んでいたのかも知らない

今わかっているのはそんぐらいだ

「これは…駄目かもな」

意識が朦朧とする、獣人族からは追われて逃げて、ユキからも逃げて、流石に体力が睡魔がよってくる

というかここで寝てしまったら、血が足りなくて貧血で動けなくなる

それだけは阻止しなければと時雨は血が出ている右手をバックから出したハンカチできつく結んで血を出るのを抑えた

叫びたい、痛い、痛い、尋常じゃないくらい痛い

痛さを捨てろ、怖さを捨てろ

時雨は息を整えて近くにあった木に身体を預けて休むことにした

「ふぅ」

血止まっているといいな



パチパチと木が火で燃える音がするだけどそこまでうるさくはない心地いいぐらいだ、

暖かい、この世界は案外寒くい、昼間のうちは少し暖かかったのだが今やるとなると結構冷えている

火の暖かさだけではないな、毛布を掛けられて暖かい

………毛布?火?俺そんなもん、掛けたっけ?火なんて付けたっけ?

時雨はバッと身体を起こす、そして腰横に下げているユキが持っていたナイフホルダーからナイフを取り出す

「おいおい、待て待て」

野太い声が聞こえてきた

先に動け、恐れるな、怖がるな、上をいけ

「まぁまぁ落ち着けってそう焦んなって」

男は時雨から少し離れた所で火に手をかざしながら温まっていた

「だいたいお前さんひどい怪我だろ、少し休みなさんな」

右手を見たらハンカチは取り外されていてしっかりとしたガーゼやら包帯やらで固定されていた

「俺が回復魔術を使えたんだったら早いんだかな」

「……ありがとうございます」

一様お礼は言っておく

目の前の男は敵意はない、というか止血もしてくれた

「おう、お礼を言われるまでもないさ、だけどお前さんその傷はどうしたんだい?」

「あぁこれはな、少し獣人族に襲われて…」

男は少し驚いた様子だった、それから俺を慰めるような声で

「あぁだからか…お前さんや気の毒にお仲間の遺体を拾いに行かないとな」

「?何を言ってるんだ?、俺には仲間なんぞいないぞ」

男が何故仲間がいるなんぞ思ったのだろうか、俺は一人でこの世界に来たのに

「お前さんは何を言ったらんだ?獣人族から一人で逃げ出せるわけないだろう」

成る程、そりゃあそうだ身体能力が人間よりも優れている奴らを相手に一人だけでは勝てないだろうな

自殺行為だ

「まぁだけど現に俺は抜け出して、今お前と喋っているんだが」

ふむ、それにしてもユキは獣人族なのだろうか?あまりそうは見えなかった、少しだけ人間よりも反応速度や体力が頭一つ分抜けていたとしか感じられなかった

「おいおい、冗談よせよ、人間一人だけ獣人族に勝てるとかどこの夢物語だよ…だったらお前さんはいったい誰だ?」

声は急速に暗くどす黒く男の目は鋭くなった、ここからは油断なんてしない、お前は誰だ?と

「誰も何も、だだの人間で、今現在この世界の記憶がない状態で人探し中の時雨というものなんだが」

現状の俺を素直に簡素にまとめて男に伝えた

「それから獣人族からはほぼほぼ運だけで逃げて来た人間だぜ?お前が考えているような獣人族よりも強い相手だったらここで無防備に右手から血を流しているわけないだろう」

うむ、これでわかっただろう?俺は無害だった事を

「そうかそうか、そうだよな!すまんかったな!俺はリクウつうんだよろしくな」

「よろしく、リクウさん」

「リクウさんはよしてくれ、リクウで良いリクウで」

男、改めてリクウはこちらに目手招きをしてこっちで話そうやと誘って来た



今はまだ夜中だ、あれから数時間しか経っていないようだ

「なぁ時雨は本当に記憶を無くしているのか?」

「あぁそうだぞ、だからこの世界について教えてくれないか?」

「お前さん、まぁそこまで酷いなら仕方ないか……お前さんはこの世界の事を何処まで覚えているんだ?」

「俺が覚えているのは……」

ユキが教えてくれた情報は本当なのだろうか?信じて良い情報なのだろうか?

……ふむ聞けばいっか

「ほぼほぼ無いな、獣人族に襲われた記憶しかないな」

「そうか、だったら話してやるよ一から」


ユキから聞いた事とあまり変わらなかった

ユキは俺が寝た時に暗殺するだけだから事前に世界の常識を教えたってユキにとっては別に不味いことはないしな、逆に余所余所しくした方が不自然なんだろう

「多種族がいるのはわかったか?」

「あぁ、わかったぞ」

「じゃあ次だなんでお前が獣人族なんかに襲われたかっていう事を説明しようじゃねぇか」

なんだろうかリクウからは何故かお母さん感がすごいんだが…こうなんだろう?お世話してあげる感がすごい

「おい?いいか時雨」

「あーすまん、続けてくれ」

「おう!じゃあ行くぞ、この世界には多種多様な種族たちが住んでいる、それでだ、結構昔だったかないきなり現れたんだよ」

「どんな奴が現れたんだよ」

「なんだろうなぁ、俺にもわからん」

「………」

こいつは何を言っているんだろう?今現れたっていたじゃないか、それなのに何が現れたかわからないって…

「まぁ続けるぞ、そいつがこう言ったんだ私は神でありますとそれから今からこの世界の神を決めます、なので知識あるものよ、殺しあえってな、唯一生き残った種族が神様の座につくことができるってな」

ふむ、なんだそりゃあ、馬鹿げているだろ

「神様の座っていうのは具体的には?それからそれを言った奴はどんな奴だったんだよ本当に」

「神様の座っていうのがなんだかは分からないし、しかもこの事を喋った奴も姿は表していないぜ、只々声が脳内に響いただけだからな、だから現れているんだろうが全くその正体がわからない」

はぁー本当に馬鹿げている…ていうか姿も表さない奴のことを

「だれかこんな奴の事を信じるんだ?って思うだろうな」

「あぁ本当にそう思うよ、リクウも思っただろう?」

「俺も最初は半信半疑だったんだが、そのゲームを持ち出した声だけのやつが次々と願望を叶えていったんだよ」

「例えばどんな事だよ」

「そうだな、数十年間雨が降ってない地に雨を降らせてっていう願いを叶えたり、自分の身体能力を最高に上げてくれとか」

「で?結果は?」

「全部叶ったが最後に多種多様な色んな種族達には不可能って言われた事を声の奴は叶えた」

「不可能なことって?」

「死者の蘇生をしたんだ」

リクウは淡々と次を語り出した

「魔術、魔法の域を超えた事をしたんだぜ、もう信じるしかないだろう、そいつが神様だっていう事を」

成る程、この世界に生きるもの達では不可能な事をしたのか、だから信じるのか、まぁそりゃあそうだろうな

「で?それで多種多様な知性あるものは今は殺し合うので忙しいと」

「そうだな、だから時雨は獣人族なんかに襲われたんだよ、本当に逃げられたなんてラッキーだな」

「成る程…だから襲われたのか」

「そそ」

ふむ、白い部屋で世界を救えって言われたのはこの事なのか?

「リクウ達人類は神の座を狙っているのか?」

「あぁ、そりゃあ勿論、この多種多様な種族達を殺すだけで人類が神様になれるんだぜ…そんな簡単な方法でなれるんだったら乗るしかないだろう!」

狂っているな、殺すだけでってそれ結構大層なもんだと思うんだが?

「時雨は、今の話を聞いて神様の座を狙おうと思ったか」

「いいや、全く思わなかったな」

興味がないわけではないが俺には妹を探す目的があるしな、この世界の神になったてしょうがない、第1すごく胡散臭い

「だったらさっさとこの森から抜け出した方がいいぜ、この森は近々獣人族と、人類の戦いになるからな」

「?獣人族と?」

「あぁ、この付近に獣人族の村があるらしいからそこに攻め入るからだな、だからその村から近いこの森を人類の拠点にしようっていう考えだからな」

「だからここからさっさと離れろと」

「そうそう、まぁそんな早く始まらないし、そうだな軽く見ても多分後一週間ぐらいは戦いは始まらないんじゃないか?まぁだからそう焦る必要はないぞ」

「なぁリクウは神様を信じてるのか?」

「そりゃあもちろん」

さも同然という態度で時雨の問いは返された

「そうか、すまんがリクウ、少しだけ休むは」

リクウは俺を襲わないのはわかっている、第一に襲うんだったら、俺が気を失っている時に襲われている

だから休める時に休んでおこう、その方が身のためだ

はぁーなんでどいつもこいつもその神様とやらを信じているのかな

神様だったら神様の座なんてこの世界の生き物なんかに譲らんだろ、

だから白い部屋でこの世界を助けてなんて言われるんだよ

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