少女は二度目の舞台で復讐を誓う
少女は駒を作り出す
無事に心臓を持ち帰った私は、全てのぬいぐるみにそれを埋め込んでいた。
殺したばかりの心臓は、まだ生々しくて温かい。 昔の私だったら気持ち悪くて嫌々やっていたけど、今となってはそれほど嫌とは思わない。
「単にどうでもよくなっているだけか……」
自重気味に笑う。
目的を達成できさえすれば、どんな非人道的なことをしようがどうでもいい。 正気を失っている、と言われるかもしれない。けれど、それも問題ない。
――だってそれは正しいのだから。
「さて、始めますか」
手首を切る。 真っ赤な血液がぬいぐるみに降り注ぐ。
「――っと、と」
さすがに十二体のぬいぐるみを紅く染めるのはキツい。一瞬、目眩がして床に座り込む。
「ふぅ……」
充分に休憩してから、変色したぬいぐるみに糸を伸ばしてありったけの魔力を流し込む。
「――命よ、私の呼びかけに応えて」
横たわっていたぬいぐるみがピクリと動いた。それにつられて次々とぬいぐるみが己の意思で立ち始める。
【固有技能『絡繰演舞』を取得しました】
「……あぁ、こんな技能もあったな」
大層な名前だけど、効果がいまいちわからない固有技能。それが『絡繰演舞』。 絡繰ってことだから、ドールに関する何かがあるとは思うのだけど、結局、一度目ではわからず仕舞いだった。
……まぁ、それは後で調べよう。
「それぞれ、人を殺すのに特化して」
私の言葉に反応して、ぬいぐるみ……が変異した『ドール』達は、身体を歪ませて姿を変える。
何もおかしなことはない。だって、ドール達は糸なのだから。自由に形を変えることなんて苦じゃない。
時間にして約数十秒。
可愛らしかったドールは、怖ろしげな魔狼の姿となっていた。その身体は紅く染まっているので、異様さが増している。
子供が見たならば、泣き喚くレベルだろう。これを作り出した私ですら、少し引いてしまう。
「あ、っと……」
ドールが心情を察したのか、とても悲しそうに見つめてくる。
「クゥン……」って鳴くのやめて。 結構、心に刺さるから。 ほんとごめんなさい。
「――コホンッ、早速だけど、皆はソトル村に行って」
ソトル村は私の故郷だ。 前世では家族を殺されたけど、二度目のこの世界なら、まだ生きているはずだ。
だからって安心していられない。
ゴンドルのことだから、私を脅すために家族を攫おうと考えているに違いない。今もこうしている内に、兵士を出していることだろう。
「なるべく急いで――行ってらっしゃい」
統率された動きでドールは小屋を出て行った。
村の場所や家族の顔とかを教える必要はない。私とドールは見えない糸で繋がっているからだ。 思考も記憶も、何もかもが私から、そしてドールからも流れてくる。
「これで皆は大丈夫」
ドールの強さは私の強さに比例している。私の戦い方も記憶しているので、そこらの兵士程度には負けない。 もし、今の段階で負けるのであれば、私がもっと強くなればいいだけ。
「それじゃあ私は、レベル上げしようかな」
次にやりたいことは街の中。 言ってしまえば敵地なので、いつ何があるかわからない。まず、間違いなくシャドウの誰かとは接触するだろう。
私も負けてないけど、奴らは暗殺のプロだ。必ず標的が油断したところを上手く突いてくるに決まっている。 それに反応するためには、少しでも力を付けなければならない。
魔物を十二体倒した今、私のレベルは4になっていた。コレではまだまだ足りない。
ありがたいことに私には『暗視』があるから、夜通しでレベル上げに勤しめる。
「とりあえずの目標は20かなぁ……」
雑魚を積極的に殺るのもいいけど、なるべく強い魔物を狙っていったほうが、スキルの熟練度も上がりやすいから効率がいい。
「よし、やりますか」
準備運動をしっかりしてから、再び私は小屋を飛び出した。
殺したばかりの心臓は、まだ生々しくて温かい。 昔の私だったら気持ち悪くて嫌々やっていたけど、今となってはそれほど嫌とは思わない。
「単にどうでもよくなっているだけか……」
自重気味に笑う。
目的を達成できさえすれば、どんな非人道的なことをしようがどうでもいい。 正気を失っている、と言われるかもしれない。けれど、それも問題ない。
――だってそれは正しいのだから。
「さて、始めますか」
手首を切る。 真っ赤な血液がぬいぐるみに降り注ぐ。
「――っと、と」
さすがに十二体のぬいぐるみを紅く染めるのはキツい。一瞬、目眩がして床に座り込む。
「ふぅ……」
充分に休憩してから、変色したぬいぐるみに糸を伸ばしてありったけの魔力を流し込む。
「――命よ、私の呼びかけに応えて」
横たわっていたぬいぐるみがピクリと動いた。それにつられて次々とぬいぐるみが己の意思で立ち始める。
【固有技能『絡繰演舞』を取得しました】
「……あぁ、こんな技能もあったな」
大層な名前だけど、効果がいまいちわからない固有技能。それが『絡繰演舞』。 絡繰ってことだから、ドールに関する何かがあるとは思うのだけど、結局、一度目ではわからず仕舞いだった。
……まぁ、それは後で調べよう。
「それぞれ、人を殺すのに特化して」
私の言葉に反応して、ぬいぐるみ……が変異した『ドール』達は、身体を歪ませて姿を変える。
何もおかしなことはない。だって、ドール達は糸なのだから。自由に形を変えることなんて苦じゃない。
時間にして約数十秒。
可愛らしかったドールは、怖ろしげな魔狼の姿となっていた。その身体は紅く染まっているので、異様さが増している。
子供が見たならば、泣き喚くレベルだろう。これを作り出した私ですら、少し引いてしまう。
「あ、っと……」
ドールが心情を察したのか、とても悲しそうに見つめてくる。
「クゥン……」って鳴くのやめて。 結構、心に刺さるから。 ほんとごめんなさい。
「――コホンッ、早速だけど、皆はソトル村に行って」
ソトル村は私の故郷だ。 前世では家族を殺されたけど、二度目のこの世界なら、まだ生きているはずだ。
だからって安心していられない。
ゴンドルのことだから、私を脅すために家族を攫おうと考えているに違いない。今もこうしている内に、兵士を出していることだろう。
「なるべく急いで――行ってらっしゃい」
統率された動きでドールは小屋を出て行った。
村の場所や家族の顔とかを教える必要はない。私とドールは見えない糸で繋がっているからだ。 思考も記憶も、何もかもが私から、そしてドールからも流れてくる。
「これで皆は大丈夫」
ドールの強さは私の強さに比例している。私の戦い方も記憶しているので、そこらの兵士程度には負けない。 もし、今の段階で負けるのであれば、私がもっと強くなればいいだけ。
「それじゃあ私は、レベル上げしようかな」
次にやりたいことは街の中。 言ってしまえば敵地なので、いつ何があるかわからない。まず、間違いなくシャドウの誰かとは接触するだろう。
私も負けてないけど、奴らは暗殺のプロだ。必ず標的が油断したところを上手く突いてくるに決まっている。 それに反応するためには、少しでも力を付けなければならない。
魔物を十二体倒した今、私のレベルは4になっていた。コレではまだまだ足りない。
ありがたいことに私には『暗視』があるから、夜通しでレベル上げに勤しめる。
「とりあえずの目標は20かなぁ……」
雑魚を積極的に殺るのもいいけど、なるべく強い魔物を狙っていったほうが、スキルの熟練度も上がりやすいから効率がいい。
「よし、やりますか」
準備運動をしっかりしてから、再び私は小屋を飛び出した。
「ファンタジー」の人気作品
-
-
3万
-
4.9万
-
-
2.1万
-
7万
-
-
1.3万
-
2.2万
-
-
1.2万
-
4.8万
-
-
1万
-
2.3万
-
-
9,711
-
1.6万
-
-
9,545
-
1.1万
-
-
9,448
-
2.4万
-
-
9,173
-
2.3万
コメント