【旧】チート能力を持った高校生の生き残りをかけた長く短い七日間

北きつね

電撃作成

リンは、昨日は結局屋敷には戻らずに、ローザスが思い出した事があって相談したいと言ってきて、ローザスとハーレイと今後の事を話し合った。簡単に言うと、パーティアックと3諸国の国をどうするのかという事だ。北方連合国ノーザン・コンドミニアムは、今回の件にはノータッチという表明を出している。パーティアックが近隣に兵を進めた事で、除名が決定している。それもあり、パーティアック国が滅亡した時には、国が支援して新たな国を作る事が望まれている。また、パーティアックに攻め滅ぼされた国も程度の差こそあれ問題があった国だ。併呑されてよかったという事はないが、立花達の統治で、旧王家や貴族などの既得権益は全て破壊された。それでいい方向に進むかと思ったが、パーティアック教がしゃしゃり出てきてやはりおかしな状況になっている。
「ハーレイ。パーティアックが治めていた所、トリーア王家に併呑しない?」「だとよ。ローザス。どうする?」「いらない。国内にもまだまだ入植しなければならない所がある上に、事故物件なんて必要ない。」「だと、リン。俺もローザスと同意見だ」「そうだよな。僕の所も同じだよ。どっかの誰かが、旧アゾレム領を・・・・ん?そうか!」「あぁリン。ローザス陛下の出産祝いとか要らないからな。」「え?ダメ?」「あぁダメだ。諦めて、おまえが管理しろ!」「人材が居ないよ。ゴッドケープ島だけで手一杯だよ。一応、各神殿はなんとか運営出来ているけど・・・。ねぇナウエルン公国に頼むってのはダメ?」「どうだろうな。先方は、今の場所で満足している雰囲気があるし難しいと思うぞ。それに、ナウエルン公国とパーティアックでは水と油だぞ」「だよね。しょうがないか、無法地帯にしておくと、野盗化するだけならいいけど、テロ組織になったりしたら厄介だからな。だから、宗教が絡むと嫌なんだよな。勝てば図に乗るし、負ければ逆恨みするし、追い出されれば”聖地奪還”とかいい出すだろうからな。」「まぁそういうな。前々国王は、それをすこし和らげた、と聞いたぞ」「そうなの?」「あぁでも、結局教会が次の国王、前国王の選定の時に、口出ししてもとに戻ったみたいだけどね。」「へぇ教会のトップを潰せばなんとかなるかな?」「どうだろうな。末端とまでは言わないけど、かなりの部分でイカれているぞ」「そうか・・・まぁ調べてみるよ。」「そうしろ。それじゃ、ハーレイ。パーティアックと3諸国は、テルメン王家の版図となるという事で準備を始めておいてくれ」「大丈夫だ。もう終わっている。後は、リン=フリークスの署名があれば終わる。新しい国家として承認して、北方連合国ノーザン・コンドミニアムに加盟する・・・。で、いいのだよな」「・・・。うん。解ったよ。まずは、勝つ事が前提だけど、それでいいよ。誰かいい人がいたら紹介してよね。」
結局は、テルメン王家の属国を作る事になりそうだ。トリーア王国としても、北方連合国ノーザン・コンドミニアムとの緩衝地帯ができる事は嬉しい事だ。ハーレイとしては、これで北の守備隊を少なくしても問題ないと考えている。一度、ローザスとテルメン王家が裏切った場合の事を話し合った事がある。ウォード家や貴族たちや元老院となっている引退してしまった父親達を引っ張り出してきてだ。数時間に及ぶ会議を覚悟していたが、あっさりと終わった。「考えるだけ無駄」が答えだった。
ローザスの言葉が決め手になった「ハーレイ。もし、リン=フリークスがトリーア王家に牙を剥いて、僕達がそれを予期していて、最高といえる対策を取っていたとして、このニグラ街は何日耐えられると思う?」「7日・・・いや、2日持てばいいほうだな。」「そうだね。僕の考えでは、トリーア王国全ての街を焦土と化していいのなら、リン君なら3日あれば終わるでしょう。勿論、皆殺しという選択肢でね」「あぁその条件なら3日持てばいいほうだろうな」「でしょ。だから、考えるだけ無駄だと思うよ。敵対しない。仲良くしていこう。向こうは、長命種に進化しているみたいだから、こちらは次世代が間違った方向に進まないようにだけしっかり基礎を作っておけば大丈夫だと思うよ。その為にアゾレム領を渡したのだからね。」「わかった。ローザスがそう思うのなら、それを基本方針にしよう。」「うん。トリーア王国も人が足りないのは間違いないのだから、守備隊の数を減らす方向で考えていこうよ」
迷いのない一言で全てが決定した。貴族たちもリン=フリークに少なからず感謝している所がある。また、ローザスとリン=フリークスの関係も知っている。婚姻関係の事もあり、そして彼が建国祭で語った、自分が転生者であるという事実が大きい。トリーア王国も初代が転生者であるのは間違い事実だ。リン=フリークスも同じ転生者である事。そして、公表された事実から、裏切らないと考えるようになっている。実際には、何の保証にもなっていないが、不思議な物で国のトップが仲良くしているのを見ると、親近感が湧いてくる。自分達の国の事を理解してくれていると思えれば、仲良くしたいと思う。過去にあった事も全部ひっくるめて、仲良くしましょうと言ってくれた。ただこれだけの事で信じられる国となるのだ。

「リン。行くよ。」「あぁ皆は?」「もう神殿に行っているよ」「そう、解った。」
すでに、陣の移動の準備が出来ている。国境の街シャルムを越えて陣を展開する事にしている。北方連合国ノーザン・コンドミニアムには許可を貰っている。リンと見るとローザスとハーレイは、数名の従者と書記官を連れて、先に会見場所に移動する事になっている。勿論、リンの転移魔法だ。フレットに関しては、国境の街シャルムまでは一緒に行くか、そこで待っている事にした。フレットとアルマールとカルーネの妊娠の事をミルに告げると。「え?今更?」
と言われた事がリンにはショックだった。お祝いの品をあげなきゃならないというと、こちらでは、妊娠ではなく出産の時に、お祝いと3歳の時にお祝いを上げるのだという。この辺りは、ナナが適任だと思って、後で相談する事にした。神殿で待つ事になっているイリメリには、何がいいのか考えておいて欲しいと伝えた。
小屋・・・改め、屋敷は、質素にしたつもりで居たが、あれから誰かが手を入れたのだろう。普通に豪華になっていた。
「リン君。」「ローザス。何も言わないでくれ・・・。僕は、これに関しては知らないのだ」「そうか・・・。」
3人は部屋に入って唖然とした。普通にニグラにある貴族の屋敷でも通りそうな物だ。調度品もいい物が揃えられている。それに、なぜか、メイドが数名待機していた。
「ちなみに、誰からの指示?」「奥様です。」「・・・・それでだれ?」「奥様です。」
「リン君。諦めよう。君の奥方の誰かだろう。」
「陛下。それは違います。フレット様も絡んでいます。」「な・・・。え?フレットも?」「はい。」
3人でため息を付いた。ミルはすでに屋敷にあがってあてがわれた部屋で着替えをしていると言っていた。時間まではまだあるが、それでも、一通りの準備を終えておく事にした。
2時間後、皆が集まった。
会談場所までは、馬車で移動する事にしている。転移もできるのだが、わざわざ手の内を晒す必要はないだろう。
馬車で30分位進んだ所に、小高い丘になっている場所があり、そこが会談場所になっている。すでに、双方の文官が話し合いを行っている。今日一日で終わるとは思っていないので、数日にかけて諸条件を詰める事になったらしい。
パーティアック側は基本的には、”ふざけるな”がベースにある。停戦協定と継続するのなら、対等な条件なら話し合いのテーブルに乗る。という感じだ。トリーア・テルメン連合は、前回の停戦協定は神託が降りたから結んだが、延長するのなら、条件を付ける。又は、紛争犯罪人である。4人の身柄を引き渡してもらおうという事を付け足している。
今日は、リンとローザスとハーレイがパーティアックの文官と話をする事になった。明日、顔合わせをする事になった。
「それはどういう事でしょうか?今日来られる約束だったと思いますが?」「いえ・・そうですが」「汗を拭いて下さい。見苦しいですよ」「あっはい。申し訳ないです」「それでなぜ、約束していた3名が来られないのですか?交渉する気がないのなら、私どもは引き上げます。」「お待ち下さい。明日は必ず。必ず。」「いいでしょう。それなら、明日。時間を違えないようにお願いいたします。」「はい。必ず。連絡係に一人残しておきます。」「いえ、結構です。必要ありません。私どもの中から、複数、この場に残します。」「・・・そう言われましても・・・。」「何か不都合でも?」「そうではないのですが・・・。」「それではよろしいですね。使者殿?」「はっはい。しかし、私どもも数名こちらに残らせていただきます。」「どうぞう。お好きにして下さい。」「はい。ありがとうございます。」「リン陛下。ローザス陛下。ここに居ても無意味ですから引き上げましょう。」「了解。」「わかった。」
4人で屋敷に戻ってきた。「リン。どう思う。」「馬鹿の1手かな。」「やはり夜襲か?」「だと思うよ。」「どうする?」「何もしないよ。攻めてきたら逃げるだけだからね。」「そうか、解った。」「転移門トランスポートはもう作ってあるから、攻められたらローザスとハーレイはそれで、オルプネ神殿に逃げて、遠回りだけど、安全に、その後ゴッドケープ島に移動してから、マガラ神殿に移動して、陣に戻ってくれると助かる。もしかしたら、オルプネ神殿で誰か手配されているかもしれないけど・・・ね。」「解った。ありがとう。リン。死ぬなよ。」「うん。大丈夫。フレットの子供も見たいし、何と言っても、まだローザスに沢山貸しているから返してもらわないとね。」「あぁ任せろ。」
「リン。」「うん。解っている。」「どうした?」「僕達の後を付けてきた奴が3名居たのだけどね。そのうち一人がさっき戻っていって、今500名位連れて移動してきたみたいだよ。」「500か」「うん。随分甘く見られたみたいだね。」「そうか、それじゃ僕達は一旦帰るよ。」「あぁ悪いな。なんか有ったら連絡する。」「解った。本当に無理するなよ」
ローザスとハーレイが転移門トランスポートからオルプネ神殿に移動した。「ミル。周りの様子はどう?」「増えているけど、まだ襲ってこないね。」「そうか・・・。」「ねぇリン。久しぶりの二人っきりだよ。」「そうだな。敵の真っ只中で二人だけって言うのも、オツだな。」「でしょ?やる?」「な。でも、ミルを抱きしめる位はいいだろう。」「うん。灯りを消せば襲ってくるかもしれないからね。」「あぁもう少し増えそうだから、もう少し待ってみよう。」「うん。リン。抱きしめてキスして。すごく怖い!」「はい。はい。お姫様。皆はもう準備できたのか?」
メイドが一人近づいてきた「先程、イリメリ奥様からいつでもOKの連絡をいただきました。」「そう、ありがとう。君達もオルプネ神殿に移動して、入れ替わりに、従魔達をこっちに来るように言っておいて。」「かしこまりました。リン様。ミル奥様。私達はこれで失礼いたします。」「うん。ありがとう」
30分後に、ミルの従魔とカエサル達リンの従魔と竜族と竜種が集まった。襲撃に備えている者も500人からは増えていない。ワクが見に行ったが、立花達は居ないようだ。それなら、相手が襲ってきてからでも問題ないと思うが、その前に各所に連絡を行っておく。
アッシュには、パーティアックの教会の事を調べられるだけ調べるように言っておいた。できれば、司祭とかの上位職の不正が解る証拠を押さえるようにいった。サラナとウーレンには、裏居城に残っている眷属に、立花達4人がどこに居るのかを調べさせている。最後にアッシュが確認したのが、それぞれの居城に居るらしい事だ。今から移動開始しても明日の会議には間に合わない。初めから会合に参加するつもりはなかった事が解るが、移動していないとも限らないので、調べさせる事にした。
周りを囲んでいる襲撃者達は、パーティアックの中でも精鋭と呼ばれる者達の様だ。ワクが持ち帰ったステータスの情報から、かなりのモノだという事が解る。しかし、それでも数が500では少なすぎる。最低でも20倍は欲しい所だ。
リン達は、食事をしてベッドに入って、しばらくしてから、灯りを消した。
「リン様。奴ら動き出しました!」「そうか、みんな殺さないように善意捕らえろ。それから、イリメリに連絡。作戦を実行せよ!」「「「「了解」」」」

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