【旧】チート能力を持った高校生の生き残りをかけた長く短い七日間

北きつね

もう一つの物語.10

「リン様。神殿に向かいましょう。」
カエサルは、リンが起きるのを待っていたようだ。
「朝から・・・。」「リン様!」「はい。はい。そうだね。準備は出来ている?」「もちろんです。」「そうか、それなら、まずはアロイの街に行くから、カエサル。ヒト型になってみて!」「かしこまりました」
カエサルは、ヒト型になった。完全なヒト型になれる事を、リンが確認したかったのだ。
「うん。問題なさそうだね。」「はい。」「武器や防具は、ヒト型でも問題ないんだよね?」「勿論です。防具は、ヒト型に合わせて作ってもらいました。」「武器は?」「普段のものですと、力が足りませんので、剣を二本使う事にします。」「二本?」「はい。剣を両手に持って使います。」「へぇそうかぁ大丈夫そうなの?」「はい。昨晩、レウスとレイアに付き合って貰って、森林内部で狩りをしてきました。レイアとレウスもヒト型になれる為に、3名で行ってきました。」「そうか、問題ないのなら、それでいいよ。」「はい。」
リンは、起き上がって、着替えをし始める。大きな問題はなさそうなので、ドラウに挨拶してから、アロイの街に移動する。街中にいきなり移動すると問題になるだろうから、街から半日程度離れた場所に移動してから、歩いて街に入る事にする。イスラ大森林に出れば、いいだろうと考えていた。そもそも、リンは魔物の村がイスラ大森林の”どの辺り”にあるのか検討さえも着いていない。正確な位置が解らないでも、移動ができる事はここ数日の狩りから帰る時に、確認しているので、心配はしていない。
「カエサル。僕は、ドラウさんの所に挨拶してくる。」「かしこまりました。こちらで待機しております」「うん。」
リンは、ドラウの所に向かった。
「ドラウさん。リンです。すこしよろしいですか?」「はい。大丈夫です。」
中から声がしたので、そのままドアを開けた。そこには、ヒューマが居て、ドラウと何やら話をしていたようだ。
「それでは、ドラウ殿。私は、向かいます。」「わかりました。何か有りましたら連絡を下さい。」「わかりました。」
そういって、ヒューマは立ち上がって、リンに一礼して部屋から出ていった。
「ドラウさん。良かったのですか?」「はい。ヒューマ殿は、ヒューマ殿ができる事をしてくるそうです。」「そうなのですね。あぁそうだ。ドラウさん。今から、神殿の攻略に取り掛かります。」「そうですか・・・。何か、私達にできる事があれば言って下さい。」
リンはすこし考えるが、今やってほしい事は見つからない。
「大丈夫です。一日で攻略できるとは思っていませんので、途中で帰ってくる事になると思います。」「そうですね。無理はしないで下さい。」「解っています。それでは、最初、カエサルと僕でマガラ渓谷を降りようと思っています。途中で、一旦帰って来て、ロルフ達を連れて、再度入り口を探す事になると思います。」「解りました。こちらに残っている面子には私の方で連絡ができるようにしておきます。」「ありがとうございます。」
リンは、一礼してから立ち上がって、再度、深い礼をしてから部屋でて、扉を閉めた。
「(ニノサ。無事で居てくれよ。)」
ドラウのつぶやきは、リンには聞こえていなかった。
★☆★☆★☆★☆
「急いで!」
ミトナルは、馬を必死に走らせている。アロイの街を出てから、2日目になっている。そろそろ、アゾレム街が見えてきてもいい頃だろう。馬が悲鳴をあげているのがわかる。ミトナルは、一旦ここで馬を休ませるほうがいいのか考えている。一刻も早く、ポルタ村に着きたい。いくら、優秀な馬でも長時間走り続ける事は出来ない。ミトナルは、体力回復の魔法を馬にかけ続けている。自分も馬も限界なのが解る。
ミトナルは、馬を乗りつぶしてとも考えたが、リンが無事だった時に、連れて逃げる事を考えると、馬は有ったほうがいい。それに、ナナにも申し訳ない気持ちにもなってしまう。
「急がば回れか・・・。」
ミトナルは、馬を止めて、街道の脇に腰を降ろした。近くに休憩出来そうな所を探したがなさそうだ。街道沿いを、馬を牽いて休ませながらゆっくりと進んだ。30分ほど歩くと、水飲み場らしき場所があったので、そこで休む事にした。
先客は居なかったので、一番奥まで行って休む事にした。森の中に入って、いくつかある木の中で太そうな物の中腹に横になれそうな場所を作った。仮眠を取る事にしたのだ。
ミトナルは、横になって目を閉じた。馬の周りには、鳴子を配置しているので、誰かが近づいたらそれがなって知らせてくれる。
疲れも溜まっていたので、目を閉じただけで、眠ってしまった。
(リン君。無事で居て、貴方が居ないと・・・僕は・・・。)
★☆★☆★☆★☆
「立花!!!」「なんだよ。」「おま..ステータスみたか?」「ん?そんなに頻繁に見ないだろう?」「馬鹿。見てみろよ。びっくりするぞ!」「あぁ!?」
名前:ウォルシャタ・フォン・アゾレム(11)真命:立花薫ジョブ:ウォリア体力:940魔力:230腕力:510敏捷性:440魅力:10スキル:(隠蔽)隠蔽スキル:肉体強化(1)スキル:長剣武技(1)エクストラスキル:限界突破リミットブレイク(1)
「な!なんだよ。レベルが一気に9上がっているぞ。」「な。びっくりするだろう?俺も、みたら、レベルが10になっていた。」
名前:エスタール・ティロン(10)真命:山崎徹ジョブ:長剣使い体力:710魔力:190腕力:370敏捷性:530魅力:30スキル:(隠蔽)隠蔽、鑑定スキル:肉体強化(1)スキル:長剣武技(1)
「なんでだ?」「もしかしたらだけどな。今、西沢が確認しているけどな。ほら、なんとかって村の奴らを殺しただろう?」「あぁ・・・そうか、魔物じゃなくても、人を殺してもレベルが上がるんだな。」「多分な。細田とかが言っていたけど、魔物を殺しても、こんなに簡単にはレベルが上がらないらしいぞ」「ほぉ・・・弱っちぃやつでも、人の方が経験値は稼げるって事だな。」「あぁ。細田が、奴隷を買い付けて試してみるって言っていたから、そうしたら、楽にレベルアップできるぞ」「そりゃぁいいな。塵蟲みたいな奴らが多いからな。」「そうだな。子供や女や大人や老人とか、後はいろんな種類の奴らを集めて殺せば解るだろう。」「そりゃいい。いろんな殺し方を試してみるのもいいだろうな」「さすがは立花だな。」「あぁこっちの世界は最高だな。どれだけ人を殺しても大丈夫だという事だからな。」「そうだな。それも、おまえが男爵家の嫡男だからだろう?」「おぉそうだな。お前たちも、俺に感謝しろよ!!」
二人の馬鹿笑いの声が聞こえてくる。二人は、馬に乗れないのか馬車に乗っているが、武器は血に汚れて、防具も同じように返り血を浴びている。
「女二人を逃したのはもったいなかったな。」「しょうがない。」「まぁいい。どうせ、やったら殺すんだろう?それが狩りをしてから犯して殺すに変わっただけだからな。」「そうだな。」「このまま帰るんだろう?」「そうだな。西沢が帰ったほうがいいってことだったからな。」「急にそんな事をいいだしたからな。」「まぁいい。やつの事だから、何か考えが有ったんだろう」「そうだな。女も子供も全員殺して良かったのか?」「なんでも、証拠を残すのはまずいだろうって事だからな。」
「案外簡単だったな。人を殺すのも・・・。」
二人の会話に一人が加わった。
「橋本か?」「そうか、おまえ・・・。」「ん?」「何でもない。それで、おまえもやっぱりレベルが上がったのか?」「あぁあっという間に8まで上がったぞ」「西沢の仮説はあたりっぽいな」
橋本を咥えた3人はお互いのステータスを見比べて
「でも...」「なんだよ。橋本?」「あぁこんな簡単な方法があるのに、なんで、領主は、魔物討伐でしかレベルが上がらないなんて事を言ったんだ?」「あっそうだな。オヤジにそんな事言われて、魔物を狩りに言ったんだったよな。散々やっても、レベルが上がらなくてイライラしていたんだったよな」「そうだな。」
3人はお互いの顔を見てから
おもむろに山崎が話し出す「もしかしら、俺たちだからレベルが上がったのかもしれないな。」「どういうことだよ。」「あぁ”転生者”だからレベルが上がりやすいって事はないのか?」「そうか....まっそれを含めて、西沢が確認するだろう。」
ポルタ村から奪ってきたレインを見ながら、立花は「ま。いい。俺たちに逆らった罰を与えただけだ。」
それだけいうと、立花は馬車の中で横になり寝始めてしまった。
それを、橋本と山崎は見ながら肩をすくめた
「山崎。逃げた二人の女も、転生者ではなかったんだよな?」「あぁそれは確認した。」「それから、あのやたら強かった男と女も違うんだよな?」「違った。ついでに、あいつらの息子だと思われるやつも居たが、年齢的にも違うし、転生者じゃなかった。」「そうか、それじゃ一人も転生者は居なかったのか?」「あぁでも、逃した二人の女が言っていた、もう一人、今年パシリカを受けたやつが居るって話だった」「そいつはどこに?」「わからないようだ。」「逃げた二人は?」「あぁなんか、魔物に連れて行かれたって話だ。」「ほぉそうなんだ」「あぁ西沢が追っていたけど、リザードマンっぽいやつが出てきて連れて行ったって話だ。」「へぇテイマーのアイツがいうのなら間違いないだろうな」「そうだな。でも、西沢が魔物を調べようとした時に、unknown って出たらしいから、違うかもしれないって言っていった」「ふ~ん。でも、西沢もそこで引き返してきたのか?」「あぁ魔物の大軍が居ても対処にこまるし、生きて誰かの所に行かれたわけじゃないからってな」「なんだ、言い訳っぽいな」「そうだけど、まぁ魔物に連れて行かれたって事は、食い殺されているんじゃないのか?」「ま、そうだな。もう一人のやつも逃げて、魔物に食い殺されて、それで味をしめたリザードマンが森から出てきたんじゃないのか?」「そうだな。そう考えるのが自然だろうな」
馬車は、ポルタ村からアゾレム街に向かっている。乗っているのは、5人だけだ。二人は、別々に馬に乗って、先に帰っているようだ。

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