【旧】チート能力を持った高校生の生き残りをかけた長く短い七日間

北きつね

もう一つの物語.03

ニグラに村長からの証明がある事もあり、リンとサラナとウーレンはすんなりと通る事が出来た。
「リン君。どうするの?」「ん?さっさとパシリカ受けて、ユウへの土産でも何か見つけて、さっさと帰るよ。バカ息子に会いたくないからな。」「あっやっぱり、リン君もそれが嫌だったんだね」「そりゃぁな。あいつの事を好きなやつなんで奴以外にだれかいるのか?」「そうだよね。それに、ウォルシャタもそうだけど、エスタールの方が気持ち悪いかな。」「あぁ女の子ならだれでもいいってやつだろう?」「そうそう、私やウーレンにも声かけてきて、断ったら嫌がらせみたいな事を言っていたからね」「大丈夫だったの?」「うん。村長が話を付けてくれた。その代わり、私とウーレンは暫くは、アゾレムに行かないようにって言われているんだよ。」「そりゃ災難だね。ウノテさんの用事が終わったら一緒に帰るの?」「うん。そのつもり。そうか、タイミングが会えば、俺もそうしようかな。」「そうだよ。その方がいいよ。」
ウノテさんの用事は、明日には終わると言うことで、明日の昼過ぎに商人達が店をだしている場所を見ながら待つ事になった。
「それじゃ俺は行くな。明日またな」「うん」「それじゃぁね」
リンは、サラナとウーレンと別れて、ニグラの街をパシリカが行われる教会に急いだ。教会の場所はすぐに解って、第一壁ファーストウォールを通って、宗教都市ドムフライホーフに入った、ここは教会関係者とトリーア王家の人間と侯爵以上の者しか居住は許されていない。今、トリーア王国には侯爵が存在しないために、事実的には教会関係者と王家しか存在しない。
会場はすぐに解って、村から発効されている身分証明を提示すると、すぐに中に通された。そこには、同い年の男女が30名ほど順番を待っている。
一人で来たのは、リンと入り口近くで立っている女の子だけのようだ。後は、村や街単位でまとまって居るようで小声で何か話している。
『ミトナル=セラミレラ・アカマース。3番の部屋へ』それから何人かの名前が呼ばれて順次部屋に入っていくようだ
リンは、そんな子供を観察していた。
”へぇ入り口近くに居た子は、ミトナルって言うんだ。青い髪が印象的な可愛い子だな。”
何人かの子をそんな感想を付け加えながら眺めていた。後からも続々と人が入ってくる
『リン=フリークス・テルメン。5番の部屋へ』
部屋の中に入ると神官が二人立っている
「リン=フリークス・テルメン。この珠に触れなさい。それで神々の祝福が受けられます」
言われる通りに、珠に触れると、身体の中に何かが流れ込んでくるような感覚になる。
「はい。もう大丈夫ですよ」
その通りに手を話す。
「暫くは身体がだるいかもしれませんが、祝福を得た証拠ですから気にしなくて大丈夫です。続くようなら、教会を訪ねてきなさい。」「解りました。ありがとうございます。」
リンは一礼して部屋から出た。部屋から出た瞬間に、頭痛が強烈に襲ってきた。割れるような痛さとはこの事だろう。
名前:リン=フリークス・テルメン真命:神崎凛ジョブ:動物使い体力:80魔力:80腕力:70敏捷性:50魅力:190(+250)魔法:外(2)スキル:(隠蔽)隠蔽(2)、言語理解(1)、(隠蔽)念話(1)ユニークスキル:(隠蔽)動物との会話(1)エクストラスキル:(隠蔽)万物鑑定《見透す力》(1)
頭痛に耐えながら思い出した。”僕は、地球の日本でバス事故に巻き込まれた高校生だ。神崎凛だ"”まずい。この状況は身体が耐えられない事から来るに違いない。逃げないと、誰が同級生なのか解らない。そうだ、真命を変えられないか?隠蔽出来るのだから、出来るんじゃないのか?”
リンは、自分の真命に意識を集中した”できそうだ!!!!何がいい?名前をそのまま書いておくのがいいのか?よし・・・出来た。これで万が一見られた時でもバレル事はなさそうだ。””さてどうする?死にたくはないが・・・。別に生き返りたいとも思えない。クソみたいな世界だったからな。ひとまず、ポルタに帰るか・・・。サラナとウーレンが同級生だった時事だけ考えておけばいいか・・・な”
頭痛の痛みを答えながら平然と立ち上がって、外で出た。そこには、先に出たはずの女性が何人か固まって居た。さっき居た青い髪の女の子も一緒に居るようだった。何やら話し合っているが、なるべく関わり合いにならないように横を平然とすり抜ける。リンは、ミトナルと呼ばれていた少女と一瞬目が合った気がしたが、そのままニグラの街に入っていった。
そして、落ち着いて自分のステータスが見られる場所に移動した。
”さて、アドラが言うには苦労するらしいけど、どうするか?””まずは、今晩寝る所だけど・・・・な。”ニグラは王城があるだけ有って、宿屋はたくさんある。適当な場所に宿を取る事にした。手短な宿屋に入って、1泊3,000レインだと言われて、銅貨を30枚払って、お湯と食事で追加で10枚支払った。ニノサが持たせていたレインにはまだ余裕がある。
部屋に入って、手荷物を置いて考え始めるがいいアイディアなど思いつかない同じ宿屋に先程パシリカで見かけた青い髪の女の子が部屋を取っているのに気がつかないで寝てしまっている。
「凛君・・・。」
◆◇◆◇◆◇◆◇
リンは、鳥たちのさえずりで目を覚ました。最初自分がどこに居るのか解らないのか、周りを見回して、やっと判断出来た。
”そうだ、異世界の宿屋だ。サラナとウーレンと合流して、ポルタ村に帰ってから、今後の事を考えよう"
宿屋で食事をしてから、待ち合わせ場所に向かった。
”そうだ、アロイのナナさんの所で・・・"
リンが考え事をしながら歩いていたために、同じ宿屋に止まっていた、青い髪の毛のミトナルと呼ばれた女の子の事を知る事はなかった。そして、その女の子がリンが宿屋を出た後もすこし離れて尾行をしている事に気がつくことはなかった。
待ち合わせ場所に行くと、すでにサラナとウーレンが待っていた。帰りもウノテさんの行商についていく事になった。
ウノテさんに礼を言って、サラナとウーレンとパシリカの事を話をした。リンは合わなかったが、サラナとウーレンは、パシリカを受けて教会から出てきたところで、女性に話しかけられたんだという。それで二言・三言話をして別れたが、あれは何だったんだろうっと疑問に感じていた。それから、すこし乱暴そうな男の子に肩を掴まれて怖かったと言っていた。
”それって、多分、転生者を探していたんだろうな。僕は偶然会わなかったから良かったし、有っても改竄が見られる事はなかっただろう”
「そう言えば、ウノテさんって鑑定のスキルを持っているんですよね?」「おぉ持っているぞ。なんだ、リン。おまえも顕現したのか?」「いえ、どんなものなのか知りたいって思っただけです。」「ほぉお前さんなんか雰囲気変わったな。」「え?そうですか?」「あぁすこし大人っぽくなったというか・・・まぁいい。パシリカ後で雰囲気が変わるのはよくある事だからな。あぁ鑑定だったな」「はい」「そうだな・・・・」
ウノテが、鑑定について説明してくれている。同じスキルの鑑定でも、出来る事ややり方がいろいろあるのだという。リンが知りたかった事の説明もされた
「物の鑑定でもいろいろあるが、人の鑑定も出来る。俺のスキルもそうだが、”隠蔽"で隠された物を見破る事が出来るのも鑑定のスキルの特徴になっている。」「見破れるのは、隠蔽で隠された事柄だけなんですか?」「そうだな。」「ウノテさん。俺を鑑定してみて下さい。」「どうした?何か気になるのか?」「・・・そういうわけじゃないのですが・・・」「まぁいい。それじゃ鑑定するぞ」「へぇおまえ魅力がずば抜けているな。」「それ以外には変わった所は?真命とかも見えるんですよね?」「あぁ見えるぞ。なんだ、おまえ、名前と真命が同じなんだな。それはそれで珍しいけどな」「そうなんですか?」「あぁ大抵は、父親か母親よりになるんだよ。時々、先祖返りする奴とかも居るけどな。」「そうなんですね。ありがとうございます。」「いいよ。でも、おまえの魅力は異常だぞ。通常の4倍以上あるからな。」「へぇそうなんだぁもしかしたら昔から動物が寄ってきたり助けてくれるのはそのせいかもしれませんね。」「あぁそうだな!!」
笑いながら、ウノテはリンの背中をバシバシ叩いている。リンとしても、悪い気はしない上に真命が改竄出来ている上に、隠蔽効果が発揮されていて一安心していた。
それじゃ”行くか"との掛け声から、商隊はニグラの街から出てポルタ村に向かっていった。
来た街道とは違って、海岸側に一度向かってから、マガラ渓谷に向かう街道を通る事にした。サラナとウーレンが、アゾレム領から来ているパシリカ隊との接触を避けるためだ。その御蔭で、接触もなく、渓谷を越えてアロイの街に着くことが出来た。行きと同じように、アロイで一泊してからポルタに帰る事になっている。リンは、ナナの宿屋に泊まる事にした。そこで、魔法の袋マジックポーチを受け取った。
「リン君。約束通り無事帰ってきたね。それじゃこれを渡しておくね。」「ありがとうございます。支払いは、今後ニノサを連れてくるので、その時にお願いします。」「あら、覚えていたのね。楽しみにしているわよ」
短いやり取りの中にも暖かさを感じていた。リンは、ナナにも隠蔽や鑑定の事を、そして”魅力”が高い事でのメリットやデメリットを聞いていた。
「そうね。”魅力”は、偉い人達の中でも意見が分かれているのよね」「そうなのですか?」「そうよ。だって、指標がわからないからね。」「あっ」「でも、私の経験から、魅力が高い馬鹿は、一人知っているけど、その馬鹿は、人だけじゃなくて、動物や時には魔物にさえも味方にしてしまっていたわよ。そして、一番驚くのが、魔法や道具にさえ力が及ぶって事かしらね」「え?どういう事ですか?人や動物や魔物はなんとなく理解出来るのですが・・・。そして、その馬鹿って、もしかして、俺も知っている馬鹿ですか?」「えぇそうよさっき確認させて貰ったけど、リン君の魅力は異常だけど、あの最大値と言われていた100を軽く越えて200以上の数値だったからね」「・・・そうなのですか・・・それで、魔法や道具っというのは?」「そうだったわね・・・。あの馬鹿はね」
ニノサの武勇伝というべき事だが、通常武技は何か一つでも顕現すればいいのだが、ニノサは特定の武器を使って、ある程度以上の武器を持って戦っていると、武技が顕現してくるのだという。武器に愛されているよう・・・。同じように、魔法も本来なら後天的に顕現するのは、なんらかのスキルがあれば別だが、通常ではあり得ない。それが、ニノサは紫魔法以外の全属性の魔法が仕えるのだという。どうやら、近くで魔法を使っていたり、攻撃魔法を受けた時に、魔法に愛されるように吸収してスキルとして顕現するようだという事だ。
「あの馬鹿が・・・」「え?どうしたんですか?」「ううん。なんでもない。帰って、あの馬鹿から聞いたほうがいいよ。私から魔法の袋マジックポーチを貰った事はしっかりいうんだろう?」「もちろんです。」
それから、リンはナナからニノサがどれだけ酷い男とで馬鹿なのかを眠くなるまで聞かされる羽目になった。
「サビナーニ・・・・・。」
リンは、最後にナナが呟いた名前が何だったのか解らないまま意識を手放した。
翌日、起きるとベッドに寝かされていた。「リン君。おはよう。昨日はゴメンね。あの馬鹿の話を聞かせられる人なんて居なくて、ついつい嬉しくなっちゃったよ」「いいですよ。また今後聞かせてください。」「そうね。まだまだ、まだまだ、まだまだ、あの馬鹿の馬鹿たる所以を教えないとね。被害者は少ない方がいいからね。」
それだけいうと、一通りの旅支度が出来ているリンに更に武器と防具一式を渡してきた
「これは?」「お祝いよ。お古を直したものだけど、十分現役で使えるわよ」「あっありがとうございます。」「うん。早く一人前になって、今度は客として泊まりに来なさいね。」「はい。必ず!」
表に出ると、サラナとウーレンがウノテと一緒に待っていて、揃ってアロイの街を後にした。行程は問題なく進むことが出来た。
明日には、ポルタ村にたどり着くことが出来る。

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