【旧】チート能力を持った高校生の生き残りをかけた長く短い七日間

北きつね

幕間 和平交渉

リンがそろそろ、フレットやカルーネやアルマールの事を知る事だろう。マヤが相談を受けていたのは知っていた、そのマヤから話があって、リンには知らせないで私だけで動いていた。実際、ミルがリンに付きっきりになって居るので、随時連絡が入って状況が把握しやすかった。
それにしても、私達の方が婚約は先だったのに、婚姻でフレットに先を越された。羨ましくないと言えばウソになるが、祝福する気持ちは本物だ。それに、相手がローザスとなると、お世継ぎの問題は絶対にすぐに出てくる。
さて、そんなよその家の事を気にしてもしょうがない。
アデレードからは、これから、トリーア王家との関わり方を決めていかなければならないと言われている。リンがテルメン王家を立ち上げて、初代になるのは決定事項だ。諸外国との関係もそうだが、一番がトリーア王家との関係をきっちりしておかないとならない。属国ではない事を示しておかないと、諸外国にも余計なおせっかいを入れられる可能性が大きくなる。その為にもトリーア王家と結ぶ条約に関しては、諸外国とそのまま結んでも問題ないレベルの物が要求されるだろう。
国家間の関係は、リンとローザスの繋がりで考えればいいので、対等な関係である事を条文に書いておけばよい。
通商条約に関しても、それほど難しいものではない。ゴッドケープ島は、現段階で島だけで独立してやっていけるだけの資源が確保出来ている。各国の神殿に関しても閉鎖しても問題にはならない。もったいないからやらない程度の話だ。
人の行き来に関しては、"自由”とするのが基本だが、完全な自由にしてしまうと、ゴットケープ島に人が集まり過ぎてしまう可能性を懸念している。移動は、ギルドカードの制限と同じにする。ただし、ランク制度を作って、ランクがC以上になった場合には、移動が出来るようになるとした。トリーア王家としても、ギルドカードの機能をフルで使う事が決定した。減っているとはいえ、イスラ森林や辺境の街では月に1~2回程度の頻度で魔物被害が出ている。その為に、冒険者は必要な存在になっている。
税に関しては、”トリーア王国からテルメン王国”に入る時には、トリーア王家に税収する権利が発生する。両者とも出て行く国で税を徴収する事になる。その辺りは、ギルドと同じ考えだ。ギルドの支部もギルドから出る時に税収が発生する。その税収が、ギルド支部が設置されている街や村の税収になる。
このあたりは、サリーカを中心にトリーアの役人と話していく事になる。リンの意見としては、別にいいよ。"来るもの拒まず去る者追わず”でいいよと言っている。税収に関しても、自国内を廻せるだけあれば良いと思っている。リンに話を聞いた時に・・・。「だって、困ったら、神殿で鉱石を採掘して売ればいいからね。考える必要ないよ。」リンのいうとおりだ。ゴッドケープ島の各神殿でしか採取出来ない貴重な素材や鉱石が沢山ある。それらは、市場に出回らないように調整しているので、レインで問題が出そうな時に売りに出せばいい。そして、ギルドの売上だけでも十分やっていける。裏ギルドの売上だけでも結構が収入になっている。
犯罪者の引き渡しに関する事も決めて置かなければならない。基本的には、犯罪者は引き渡す事になる。亡命は出来ない。事になる。難民になってしまった場合での受け入れは行って、その場合は正統な理由なく引き渡す事はないと明記しておく必要がある。
「イリメリ。ミルから連絡が入ったよ。」「了解。って事は、話がまとまったんだね。」「そうみたい。」「それじゃ、こっちも始めましょう。」
私は、オカムを伴って、マノーラ神殿に転移した。ナッセとシュトライトが待っていた。
「イリメリ様。」「シュトライトさん。様は辞めて下さい。」「そう言われましても・・・。」「辞めて下さい。」「わかりました。イリメリ奥様。」「・・・まぁいいけど・・・。リンの話が終わったみたいで、テルメン王家が正式に立ち上がります。」「わかりました。ギルドの方はいつでも大丈夫です。」「ありがとう。学校の方は?」「問題無いです。人数の見積もりが出来ていませんので、もしかしら、施設や寮の追加が必要になるかもしれません。」「解りました。それは、裏ギルドに依頼を出して下さい。」「わかりました。」
ギルド側も学校側も問題は無い。和平交渉にも影響がない事は解っている。
「学校の受け入れだけど、今までは無条件で受け入れていたけど、これからは、無条件ではなく試験で適正を見る事になります。」「はい。以前から、お聞きして準備はしております。」
パシリカ前までの学校は無条件に受け入れるのは変わらない。それ以降は適性試験を受けてもらって、それで合否を判定する事になる。唯一誰でも通えるのが、職業訓練校だ。それ以外は、適性試験にパスしないと入る事が出来ない。狭き門にはしないが、足切りは必要になってくる。
一番問題になってくるのが、立花ウォルシャタ達への対応になってくるが、うまく行けば、奴らは、北方連合国ノーザン・コンドミニアムから出てこられなくなる。もし統一出来るような事があったら、その時に改めて対処すればいい。トリーア王家には、彼ら10名はA級犯罪人として手配してもらう事になった。奴隷の殺害や領民の陵辱とうとう証拠は腐るほど出てきている。それらを持って、ローザスが男爵の取り上げを行い。領地の没収。そして、全員の犯罪人として勧告する。北方連合国ノーザン・コンドミニアムにも外交筋を通して連絡を行い。トリーア王国への引き渡しを要求している。今のところは、パーティアック国からの正式な返答はない。
トリーア王家の問題として取り扱うしか無いために、私達には手出しができなくなる。その為の条約も早急に作らなければならない。
残りは、眷属の取扱だが、ローザスやハーレイへの貸出は、リンとの個人的なやり取りになっているので問題はない。今後、内戦になった時でも、ギルドの関連施設が襲われたりした時を除いて、眷属が集団で対処する事はない。これもローザスとリンで決めた事だ。対国家間の話しになるので、眷属はリンの部隊という事になる。それが、他の国で武力を行使するのは問題だと考えているからだ。
さて、私は私の仕事しよう。和平交渉は、これからは、文官としてモルトやナッセやシュトライトが主体になって決めた人間たちでやらないとならない。私は、皆に伝えに行く事にする。
まずは、サラナとウーレン。次に、ジェシカとロベール。それが終われば、やっと自分たちの事が考えられる。
◆◇◆◇◆◇◆◇
リンがローザスやハーレイとこれからの事を話し合っている。僕は、護衛の立場でついているが、これで護衛の立場は僕じゃなくさなくてはならない。これは、皆で決めた事だ。
エミールやマルティン達も、従者の立場からマノーラ家の人間の立場にシフトチェンジする。対外的にも僕達は、リンの后になるのだ。マヤを入れて話し合った結果、僕が筆頭になる事に決まった。別に武力で押し切ったわけではない。誰かが、筆頭にならないと秩序が保てないという事だ。序列ではない。対外的な話だ。最初は、アデレードが、第一夫人になる方が良いだろうと話にはなっていたが、アデレードから、リンが国王になるとしたら、アデレードとルナとマルティンは第一夫人にも后にも加わらないほうがいいだろうと言い出した。理由は簡単だ。アデレード達が加わってしまうと、他の国からトリーア王家だけを優遇するのではないかと言われてしまうためだ。その為に、婚姻はするが対外的には発表しない事に決まった。そして、次々世代の時に、アデレードとルナとマルティンが后に加わる事になった。政治的な理由もあって、僕とタシアナが候補に上がった。両親が居ない事が一番の理由だ。でも、タシアナはナッセの養女である事が周知されているので、僕が后の筆頭になる事になった。マヤからの指名が入ったのも大きい。
マヤは、ニンフ達と大陸の各地を廻っている。伝承を調べていると言っていた。
女たちの戦いもこれで一段落した事になる。テルメン家の世継ぎの問題はあるが、最悪誰にも生まれなくても、リンと僕達で統治していけばいいので問題は無いだろうという事になっている。それから、初代の情報から、僕達は22~23歳程度で成長が止まるらしい。これもマヤが調べてきた事だ。マヤ達ニンフは姿形を自由に変えられるので、それにあわせられるのだと言っていた。
マヤが何を調べて、何を実験しているのかは、まだ教えてもらっていないが、ニンフからの情報だと時空魔法や転移の仕組みを調べているようだ。調べ尽くしているとは思っているが、時間魔法が使える眷属を連れ出している事から、何やらやっているのは間違いなさそうだ。
僕は、来るべき立花ウォルシャタ達との対決の為に、腕を磨く事にしている。レベル150程度の魔物なら一人で撃破出来るようになってきている。魔法を使えば、レベル200でも勝てる。目標は、スキルを使わないで、レベル200の魔物の単独撃破だ。相性がいい魔物なら撃破出来るが、相性が悪いと魔法を使って強化したりしなければならない。イリメリと二人で行ければ、イリメリが盾役をしてくれていれば楽に撃破出来るだ。どこまでも高みを目指していくことにしている。立花ウォルシャタ達も時間があれば強化されてしまうだろう。だから、僕もそれ以上になっていこうとおもう。リンには指一本触れさせない。イリメリも同じ考えのようだ。
◆◇◆◇◆◇◆◇
ローザスに、明日リン君に報告するといわれた。正直ドキドキしている。別に反対されるとは思っていないし、反対されたからってだからどうしたって思いもある。でも、なぜか恥ずかしい思いが先に出てしまう。リン君の事が好きってわけではない。それは断じて違う。気にならないと言えばウソになる。でも、私はローザスの事が好き。いつからそう思っていたのかは解らないけど、ローザスから告白されてプロポーズされた時には、涙が出てきてしまった。トリーア王家に嫁ぐという事がどんな事なのか、解っている。
お父様にも何度も念押しされた。でも、私はローザスを伴侶として考える。ローザス以外には考えられない。ローザスが国王という立場になる事も解っている。リン君が、貴族連合。逆賊を討伐する事が条件になっているが、リン君達が取りこぼすとは思えなかった。事実、約束通りに6ヶ月で鎮圧させてみせた。
それを自分の手柄のように喜ぶローザスが可愛いとさえ思えた。ローザスは変な所が律儀で婚前交渉は一切なしだと言ってきた。それに、リン君が自分の代わりに戦っているのに、自分がのんきに大好きな娘を抱くことは出来ないと言って、内戦が集結して、リン君達の婚姻が終わってから、自分達の婚姻にしたいと言ってきた。私も、その方がいいと思っていたので、了承した。ただ、イリメリやミルには焦らせる意味からもすぐに婚姻する様に匂わせてある。これは、カルーネやアルマールにも口裏合わせをお願いしてある。すこし位焦ればいいんだ。16歳までとか言っていないで・・・さっさと結婚すればいいのにとさえ思う。
カルーネとファンさんもいい感じになっているが、ローザスの婚姻がとか言ってそれ以上は進んでいないようだ。アルマールは・・・正直、アルマールが一番はやいかも知れない。
オイゲンの奴は知らない。勝手にしろって感じになっている。
明日、リン君にどんな顔されるのか楽しみでも有るけど、なんか怖い。ミルやイリメリからは大丈夫だとはいわれているんだけど・・・・。
そう思いながら、隣のベッドで眠る。ローザスを見て安心してしまう。

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