【旧】チート能力を持った高校生の生き残りをかけた長く短い七日間

北きつね

幕間 ヴェスタ街

ヴェスタ街はすこし特殊な形態になっている。僕達の街は、領主がホレイズ伯爵の人が代々行っている。行政区的には、ホレイズ街の一部になっている。ホレイズの街は、立地的な事や成り立ちから、領主様と守備隊しか生活していない。世話を行う人は居るが、領民といわれる人はホレイズ街には存在しない。それで、領民といわれる人たちは、ヴェスタ街に住むことが多い。当初は、ホレイズ街にも領民は居た事も有ったらしいが、魔物の襲撃やワロン街道に魔物を入らせないために守備隊を増やしていった関係で、領民の住む場所がなくなって、近くの村に領民が集まりだして、村だった所が大きく街に成長した所で、伯爵がヴェスタと命名して、ヴェスタ街となったんだという。
現在の領主は、ホレイズ伯爵の次男様が行っている。慣例に則って、ヴェスタ男爵と呼ぶ事になるが、ヴェスタ男爵は、『可もなく不可もなし』ではなく『可”が”なく不可しかない』といわれる人物で、伯爵の目が届かない所で、好き勝手にやっている。街に出ては、誰彼か構わずに暴力を振るうし、気に入った女性は婚姻していようと恋人がいようと”貴族の俺に逆らうな”の一点張りで力ずくでものにしようとする。そして、飽きたら捨てる。商店を見に行けば、店先の物を勝手に持っていったりするだけではなく、気に入らなければ、取り巻きに店を破壊させたりする。伯爵様に訴え出れば、謝罪の言葉と共に見舞いが送られてくるが、それだけで終わってしまう。
僕も、普段の服装から男の子だと思われているが、ブタ男爵に連れて行かれないように、男物の服を来て、男の子様な喋り方をするように言われている。でも、僕も16歳になった。パシリカで受けた恩恵は、限界突破リミットブレイクのエクストラスキルだ。魔法も使えないし、たしかにレアスキルだけど、使いみちがない残念スキルのような気がしている。両親も、最初エクストラスキルと聞いて喜んだが、限界突破リミットブレイクだと知ると話も尻窄みになってしまった。
それでも、僕は、毎日毎日雨が振っていても、雪が振っていても、鍛錬を続けていた。それがどんな意味があるのか解らなかったけど、剣を振って、生活魔法を使って、クタクタになるまで繰り返していた。僕は女だそれを嫌でも認識させられる出来事が毎月ある。その時でも、鍛錬だけは続けていた。守備隊に入りたいとは思わない。少なくても、ヴェスタ街やホレイズ街の守備隊には入りたいと考えた事もない。僕が鍛錬しているのは、街を出るためだ。
そんな僕の話を聞いてくれて、隣で一緒に剣を振っている幼馴染だ。子供の時から一緒に居てくれる子でお互いの事はなんでも知っている。そして、幼馴染は僕の兄さんが好きだって事も知っている。お互いに好き有っているからさっさと結婚してしまえばいいのに・・・。
そして、僕は幼馴染に相談する事にした。もしかしたら二人は僕の事が気になって結婚しないのではないかと思ったからな「ねぇ来月になったら、僕は街を出ようと思うんだ。ここに居ても、ブタに怯えながら生活しなきゃならないし、家は兄さんが居れば大丈夫だろう。」「街を出てどこに行くの?」「ホレイズ領から出れればどこでもいいかな。ううん。違うね。ほら、最近商隊が持ってくる”かわら版”に書かれている、冒険者になって独り立ちする。」「へぇ・・・でも、あの”かわら版”ってウソなんでしょう?」「それでもいい。」
そう、商隊が持ってくる”かわら版”には、僕達が知らない事がいろいろ書かれている。僕も文字は読むことが出来るので、”かわら版”は毎回楽しみにしていた。していたというのも、ブタが禁止したのだ。商隊に、街中で”かわら版”を配るのなら商売は許さないといったらしい、そのせいなのか知らないけど、商隊の数がものすごく減ってしまった。かわら版には、リン=フリークスというパシリカを受けたばかりの人間が、神殿を攻略したばかりではなく、テルメン家の子供だと認知された事が書かれている。その上で、ギルドなる組織をローザス殿下から任せられて、大きくしているのだという。それだけでなく、マガラ神殿という場所を統治していて、そこには転移門トランスポートというものがあって、瞬時に移動することが出来る。それだけではなく、学校という組織があり勉強ができるのだという。僕には、それだけでも魅力的に思えるのに、食べた事がないような食べ物の話や、貴族でも伯爵とかしか入れない”お風呂”も入れるようになっていると書かれている。その上で、腕に自信があれば、魔物を狩る迷宮ダンジョンに入って一攫千金を得る事も出来るのだと書かれている。全部ウソかも知れないけど、どれか一つでも本当なら、是非見てみたい。幼馴染にはわからないようだ。
それでも、今日も、街を出て、近くの森の中で僕の鍛錬に付き合ってくれる。前に、無理しなくていいよ。と言った事があるが、僕を一人にしたら、無理しないか心配になるから、付き合ってくれているんだと笑っていた。それに、家に居ると、嫁にいけなどうるさいから外に出る口実が出来て丁度いいのだという。
僕達は、鍛錬の合間に動物や弱い魔物を狩って素材にして売っている。また、森の中で採取出来る足物や果物も以外と高値で買い取ってくれる。
最後の商隊が来てから、1ヶ月位が経過してそろそろ次の商隊が来るとは思うが、食材は多いほうがいいだろう。ヴェスタ街は、ホレイズ街に物資を輸送する役目も負っている。それにしても、商隊が来ないと毎日同じ物の食事になってしまう。食卓に彩りを添えるためにも、今回の鍛錬ではすこし森の奥まで入って採取する事にしている。具体的には、森の中で1週間程度採取を行う事にしている。
「ねぇロベール?」「なに?ジェシカ?」「ん。ラップ兄さんと結婚しないの?」「何言い出すの?ジェシカ?」「だって、二人共見ていてイライラするんだよね」「何言っているの?それに、ラップさんには、ジョアンさんが居るでしょ?」「えぇだって、ジョアンさんは、父さんが決めた人だよ。私は、ロベールの事を義姉さんと呼ぶほうが嬉しいな」「あんたね。それ、ラップさんには言ってないでしょね?」「言わないわよ。それこそ、何言ってんだって言われるよ」「・・・そうだね。ねぇジェシカ。あんたが思っているほど、エドワーズ家って軽い物じゃないんだよ?」
そう、うちの家は、ヴェスタ街では古株の家系らしい。ヴェスタ村だった頃からの家でその頃は、村長もやっていたという話だ。昔は、ヴェスタ街ではなく、エドワーズ村と呼ばれていたらしい。それが、曾祖父ちゃんの時代に伯爵が街に親族を送り込んできて、代官を任命してきて、僕の家は一般の家を代わりが無くなったらしいが、街の中では顔役になっていて、よく相談をされている。街の中に問題が発生した時に、おもに”ブタ”のしでかした事が、父さんに知らせが入って、父さんが伯爵家に文句を言いに行くようだ。
僕が食料調達を口実に街から抜け出した日に、父さんも伯爵の家に”ブタ”の事で文句を言いに行くと言っていた。今月に入って、これで3度目になる。そして、伯爵は御前会議にニグラに行ってまだ帰ってこない。伯爵家では、当主代理で伯爵の三男が務めている。ブタはそれがまた面白くないのか、毎日の様に酒場で酒を飲んでは暴れている。
そんな事もあって、暫くは街に帰りたくもなくなっている。いろんな要因で、僕達は街を離れて、狩りと採取を行っている。
◆◇◆◇◆◇◆◇
私は、不愉快な気持ちを押さえつけるように再度確認をした「ネグロ殿。それでは、謝罪はしていただけないのですか?」「エドワーズ殿。何度も言っている通り、私は父から、伯爵からの命令がない限り、何もいたしません。もし、謝罪や弁済がお望みなら、伯爵の所まで赴かれればよろしい。」
「ですから、その伯爵様はどこにおられるのですか?」
伯爵の居場所が解らないのに会いにいけるわけがない。ニグラの御前会議に出た後で、アドゥナ伯爵領に行っていると噂されているが、そんな不確かな情報で動くわけにはいかない。
「何度も同じ事を、貴方はそこまで馬鹿なのですか?伯爵の居場所は教える事は出来ない。今、国家の為に動いている伯爵に些事で迷惑をかけられないと」「私どもの不利益は、些事ですか?」「えぇそうですね。」「・・・ネグロ殿。それでは、どうあっても、謝罪も弁済もしていただけないのですね?」
些事だと。領民が男性一人殺されて、その娘が何人の馬鹿に犯されながら死んでいったのが些事か?家に火を放たれて、数名が家を失ったのが些事か?
「本当にしつこい人ですね。アイランズは、ヴェスタ街の領主で貴方は街の代表ではないのですよね。」「・・・。」「こうして、領主代理の私が対応しているだけでも私の精一杯の誠意で、前回と前々回は父からの命令が有りましたし、対応もいたしましたが、これ以上は、そちらの街の中の事です。」「わかりました。それなら、私達の街で対応を行います。」
もう解った。あのブタの始末は街で行う。謀反だと言われてもいい。これ以上、あのブタを刈ってやる意味も何もない。
「あぁそうだ。エドワード殿。」「なんでしょう?」「おたくの娘さん。いやいや失礼しました。男装していらっしゃるのでしたね。今度、お会いしたいですね。連れてきてくださいね」
なっ娘を。ジェシカを・・・・。
「失礼する。」
「アイランズは、鼻も効きますからね注意してくださいね」
早く街に帰らなければ、娘がジェシカが・・・。
◆◇◆◇◆◇◆◇
父さん大丈夫かな?
「ねぇジェシカ。今日は、この辺りで休むの?」「うん。いつもの様に木の上に寝床作るよ。」「了解。お願いしていい?」「はいよ」
私の特技の一つがこれだ。二人だけで森に入っていると、交代で寝るしか方法がないが、木の上にカモフラージュする形で寝床を作ると安全に寝られる。木もこの地方にしか生えていないと言われる。虫寄らずの木の上なら、虫も寄ってこない。鳥だけだが、この辺りには、鳥の魔物は出てこない。その為に、木の上が一番安全なのだ。
暫くは、ここを拠点にして狩りをしたりして鍛錬をしながら食材の採取をしていく事にした。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「ラップ。ジェシカは?」「あぁ父さん。おかえり。」「それよりも、ジェシカは?」「あぁロベール嬢と一緒に森に出かけたよ。1週間位で戻ってくるって言っていたよ。」
あぁ良かった。それならブタも取り巻きも捕まることはない。あいつらは、弱い者には強く出る癖に魔物の一匹も倒した事がない。
「父さん。伯爵様は?」「ダメだ。ネグロ殿は、ヴェスタ街の事は、ヴェスタ街で解決しろと言っておられて、伯爵から指示がなければもう動かないと言ってきた」「なっ父さんどうするんだい?」「・・・アイランズ殿にお会いしてくる。」
「父さん。」「なに、心配するな。話をしてくるだけだ。」「いや、違うんだ。父さん。これを見てくれ。」
ラップから渡された物を見ると、そこには、領主からの指示が書かれていた。そこには、2日以内に、3,000人が2ヶ月過ごせる分の食料とそれを輸送する荷馬車とそれをアドゥナ街まで輸送する人員。途中で立ち寄る街での食事や最高級宿屋に止まる為に必要な金貨10枚。馬車と馬の手配。そして、ヴェスタ街からアドゥナ街までに、自分とお付の者達を癒やす為の侍女を生娘で30名。用意しろと書かれていた。
「なんだこれは?」「今日、領主から届けられた命令書だよ。父さん。」「こんな事が出来るか!3,000人が二ヶ月だと、街の全部の食料を全部差し出しても足りない。金貨10枚だと。そんなレインがどこにあると思っているんだ。それと侍女だと?巫山戯るなブタが!」「どうするんだよ。父さん。」「ラップ。おまえはこんな命令に従えると思っているのか?」「従えないよ。でも、従わないと・・・。」
此奴はダメかも知れない。まだ、ジェシカの方が機転が利くし判断も早い、先見の明もあるかもしれない。でも、ジェシカは女だ。男の格好をして、”僕”と言っているが、女である事には違いない。
「はぁ解った。領主の所に行ってくる。おまえは、商人や有力者を集めておいてくれ」「・・・解りました。」「いいか、くれぐれも、俺が帰ってくるまで勝手な事をしないように言っておいてくれな」「はい。解っています。」
心配だが、しょうがない。領主の館に向かう事にした。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「領主様にお目通りを願いたい。」「アイランズ様からは、食事の時間まで起こすなと言われています。お引き取りをお願いします。」「なっ領主様はいらっしゃるのですね。」
腹に据えかねた一言で声が大きくなってしまった。玄関で押し問答をしていると、奥から不快な匂いと共にブヨブヨした醜悪な体型の男が現れた。
「うるさい。誰だおまえは?新しい女でも連れてきたのか?」「領主様。エドワーズでございます。」「エドワーズ?どこの奴隷商だ?そんな者とあう予定はないぞ。」「なっ」
執事が耳打ちしている。「はぁ代官だと、そんな奴は知らん。帰らせろ。それとも、女でも連れてきたのか?」「アイランズ様。こいつの所には、娘が居たはずですぜ」
横から粗暴な男が半笑いでジェシカの事をつげた。「そうか、おまえの娘を俺に差し出すのか?生娘か?」「そりゃぁそうですぜ、顔立ちはいいが、普段から男装しているから、男を知らないはずですぜ。ほら、街中でこのまえアイランズ様を睨んだ男が居たでしょ。あれですぜ。後を付けて調べたから間違いないですぜ」「ほぉあれは男じゃなくて、女だったのか?ああいう生意気そうな女を脅しながらやるのが最高だな。早速行くか!」
このブタ。何を言い出すんだ?
「おい。どけ?」
このブタは、俺の家族に手を出そうとしている。娘をジェシカをこんなブタに触らせるか!!
「ぎゃっぁぁぁこいつ・・・貴族の俺様を・・・。」
っち外した。刺したと思ったが、脂肪が厚かったか?ナイフじゃこのブタの身体の中を傷つける事が出来なかった。
「おい。ブタ。俺の家族に触れるな。殺すぞ」「ひっ誰か、此奴を殺せ。殺してしまえ・・・いや殺すな。こいつの目の前で娘を犯してやる。いいか、絶対に殺すなよ。」
「はい。はい。面倒な事だな。おい。あんた、エドワーズとか言ったな。面倒だから、そこに跪いてくれないかな。そうすりゃぁ娘だけで済むからよぉ」「なっそんな事が・・・」「そういうのいいから。お仕事だからしょうがないよな。ほれ!」
剣筋が見えない。左腕に激痛が走った。肘から先が目の前を回転しながら飛んでいる。足元に血が広がっていくのが解る。あぁ・・・それなら、ブタだけでも・・・・。
渾身の力を込めて、ナイフを投げた。ブタの額を狙ったが、逸れて目をかすめるだけになってしまった。
すまん。ジェシカ。ラップ。目の前に剣が迫ってくるのが見える。剣は確実に俺の身体を切り裂くだろう。「ジェシカ。逃げろ!!!!!!!」
「あぁナイフなんて投げるから、間違って殺しちゃったよ。アイランズ様。大丈夫ですか?」「おいおい。なんだよ。これ?何が有ったんだ?」
「あぁおまえこそ、何していたんだよ。」「その言い方は酷いな。アイランズ様が。この女が気に入ったから連れてこいって言ったから、説得して連れてきたんじゃないか?」「説得って、おまえ、ボロボロじゃないか?」「だから、説得してきたんだよ。うるさかった、此奴の両親を間違って殺しちゃうくらいの説得だったんだぜ。」「そりゃ大変だったな」
「・・・・エドワーズ様?エドワーズ様?おまえ、エドワーズ様に何を?」「なに、おまえ、このゴミの事知ってるの?」「・・・・ラップになんて言えば・・・・。領主が悪い。私がこんな目に合っているのも、お父さんやお母さんが殺されたのも、エドワーズ様。ラップ。許して・・・。」
(ザッシュ)「おまえ。何をする。その女を今から・・・。」「あぁアイランズ様申し訳ありません。でもほら、この女・・・。」「なっナイフ?」「えぇさっきみたいに切られたりしたいのなら止めなかったのですけどね。」「殺す事はないだろう?女だったら、すぐに殺さないで、犯してからじっくり殺すのがいいのだ。」「はいはい。でも、アイランズ様。この前みたいに、寝ていた所をなんて事になったら次は俺たちでも助けられませんからね。」
「まぁいい。それよりも、この二人の首を街の中心にさらしてこい。領主を殺そうとした逆臣だと知らせを出しておけ」
◆◇◆◇◆◇◆◇
なっ・・・父さん。それに、ジョアン。集まった者から話を聞いて、中央広場に行ってみれば、父さんとジョアンの首がさらされていた。周りを、領主の所の取り巻きが囲っている。
領主に危害を加えようとしたら、即決裁判で死罪を申し付けたという事だ。エドワーズの家族は、明日までに名乗り出るようにとお達しが出ている。ジョアンの家族は、すでに処刑されていると書かれていた。
ジョアンは、たしかに父さんが決めた許嫁だ。一時期は、ロベールを好きになっているのではとも思ったが、妹の親友で妹以上には思えていなかった。ジョアンはそんな事を含めて、私に嫁いでくれると言った。こんな私を支えて、家族になろうと言ってくれた。父さんが領主を害する?そんな事は考えられない。今まで何度も何度もやろうと思えば出来たがやってきていなかった。
父さん・・・。
「ラップ。ちょっといいか?」
なんだ。私に何のようだ。
「おまえ、このままでいいのか?」「なに?」「いいわけないよな?」「あぁ」「俺たちは、今晩、領主の館を襲撃する。」「なっ」「しっ声がでかい」「そんな、お前たち・・・。」「いいんだよ。俺たちも、あのブタに家族を恋人を殺された者達だ。今まで、エドワーズ様がいらっしゃったから我慢してきたが、もう限界だ。領主を殺す。」「・・・。」「おまえが来てくれると俺たちも嬉しい。」「私は・・・。」「いい。解った、でも、邪魔だけはしないでくれ。」「・・・私も行く。領主を殺す。」「ありがとう。」
それから、夜になるまで、畑小屋に篭った。そこには、2~30人集まっていた。父さん。俺間違っていないよね?
夜になって、館を襲撃した。襲われるとは思っていなかった館はあっという間に制圧出来た。ブタの首も誰が取ったのか解らなかったが、殺す事が出来た。領主の取り巻き達は、館が襲われたとわかった瞬間に逃げ出した。守るべき主人を置いて逃げ出したのだ。
ブタの首と身体は、街の外に捨てた。そのうち、魔物や獣が食べるだろう。脂肪ばかりで食べてもうまくないかも知れないが・・・。
一晩開けた。街中に、領主を殺された事をが告知された。複雑な感情を皆がしている。
「これからどうする?」「これから?」「領主を殺すまでは良かった。でも、このままだと・・・。」「あぁ伯爵の守備隊がせめて来るかも知れないって事か?」「そうだな。幸いな事に、ヴェスタ街に残っている守備隊は、領主や伯爵ではなく、儂らの事を守ってくれると言ってくれている。」「あぁそうだ。ねぇ。侯爵を。マノーラ侯爵を頼ってみたらどう?」
最近、かわら版で噂になっている最年少の侯爵で平民として育てられた侯爵だという。「マノーラ侯爵か?いいかも知れんな」
いろんな所で肯定の意見が上がっている。「ラップどうする?」「俺が決めるのか?」「儂らの代表は、エドワーズ家だと思っておるよ。おまえの決定に従うぞ」「・・・・。」
こんな時に、ジェシカが居てくれれば・・・・。でも、俺が決定しなければ・・・。「そうだな。マノーラ侯爵を頼ろう。誰か。マノーラ侯爵の所に使者として言ってくれないか?」「それなら私が!」「おまえは、シャノン?」
妹と同い年の女の子だが、剣に関するスキルと魔法のスキルが顕現しているのだという話だ。
「はい。私は、以前一度だけ、ニグラでマノーラ侯爵にお目にかかっています。侯爵は覚えていないかもしれませんが、顔を知らない者が行くよりも、私が行った方が良いと思うのですが?」「そうだな。任せる。急がせて悪いが、すぐに出て、マノーラ侯爵に救済を求めてきてくれないか?」「はい。」
シャノンがすぐに立ち上がって、馬に乗ってその場を後にした。幸いな事に、ヴェスタ街は食料も自給できる。守備隊も居る。領主の守備隊がせめて来ても、持ちこたえられるのではないか・・・。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品