【旧】チート能力を持った高校生の生き残りをかけた長く短い七日間

北きつね

幕間 オイゲンの覚悟

ビッグスロープ神殿の開発?調整?をし始めて気がついた事があるリンの奴すげぇな。俺なんて、エル達に付き合って貰ってやっと一つの神殿がなんとかなりそうな感じだ。
それから、エスト街から住居をこっちに移動した。母さんは、エスト街で宿屋を経営しつつ代官としてやってもらっている。神殿の管理もあるし、自分好みの家にするために、エル達と中心からすこし離れた所に、土地を用意して屋敷を建てる事にした。エスト街の屋敷は、そのままにしておかないとダメなようで、維持の為に新しく使用人を雇う事になった。最初、なりたての男爵家に応募なんてこないだろうと思っていたが、いざ募集を開始してみたら、すごい数の応募がさっとしてしまった。俺には判断ができなかったので、エルに全部を任せる事にした。エスト街の屋敷は維持する事になったが、遊ばせておくのもなんとなく嫌だったので、リンに相談したら、別に気にしなくていいと思うぞという返事が来た。最悪、母さんに住んでもらおうかと思ったが、やんわりと拒否されてしまった。
それで、屋敷は新しく雇った使用人に維持をお願いするだけにとどまっている。内装も、恥ずかしくない程度には揃えた状態にしてるが、MOTEGI商会の館だと思われるくらいの物にはしておく事にした。ビッグスロープの屋敷は、リンが作ったものよりはすこし小さくした。こちらは誰かを招くような場所ではなく、本当に俺たちだけの屋敷にする事にしているからだ。ビッグスロープ街は商人の街になりそうな雰囲気もあるが、街の代官というか領主というかは、今は仮で俺がする事になっているが、そのうちアスメデさん辺りにやってもらうつもりで居る。エルもその方がいいだろうと賛成してくれた。
今日、アスメデさんとその話をする事になっている。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「おぉ久しぶりだな。男爵様だったか?いや今度、子爵様になるんだったよな?」「辞めて下さい。オイゲンで良いですよ。アスメデさん。」「そうか、オイゲン。それで今日は何の話だ?おまえの所といい。侯爵といい儲け話が出来て嬉しいぞ」「あぁ今日は設け話では無くて、お願い話です」「願い?何かしてほしいのか?」「えぇそうです。どこから話したら良いのか....」「いいよ。初めから全部話せよ」
アスメデさんに、神殿の管理をしている事と、それに付随して、「神殿街の管理をしている」事を説明した。
「何か?それじゃ、お前たちは、侯爵がやっているマガラ神殿の様な施設を持っているって事なのか?」「簡単に言えばそうなります。」「それはすごいな。それで、俺に何をしてほしいんだ?」
「あぁ・・・それはですね」「きにしないでいえよ。」「はい。その、神殿。ビッグスロープ神殿って言うんですけど、そこに初代領主に、アスメデさんを推薦したいのですが受けてもらえますか?」「・・・はぁぁぁ???俺が領主?」
「はい。リン。マノーラ侯爵からは、ビッグスロープ街は商人の街にしてほしいって言われていまして、俺の中でアスメデさんしか適任がいらっしゃらないのです」「だからっておまえ。他にも居るだろう?フレーゲルとかシュターデンとか・・・さぁ」「彼らはダメです。」「何でだよ。」「海岸街を含めての運営が大変でこちらまで手を回せないのが一番の理由ですね。」「・・・あっそうだった。ほら、それなら・・・えぇと、そうだ。マノーラ侯爵の所にも居るだろう?」「えぇ人材は、全ての神殿に振り分けてしまってこちらに手を貸す余裕はないと言われています。アスメデさん諦めて下さい。」
「あのなぁそんな簡単に引き受けられない事じゃないんだぞ」「難しく考えないでください。僕達も、ビッグスロープに移り住みますし、エル達も協力します。」「その辺りは、気にしていないんだが、俺でいいのか?」「はい。アスメデさんが良いんです。それに、領主となれば、一番いい場所に商館を構えて....」
「オイゲン。俺がこの話し断った時にはどうするんだ?」「困ります。」「そりゃぁ困るだろう。他には何か考えていないのか?」「はい。特にこれと言って、それに、アスメデさんなら受けてくれると思っています。」「おまえな・・・まぁいい。解った、その話し引き受けよう。その代わり幾つかの条件を飲んでもらうぞ」「はい。解りました。」「おまえな・・・一つ目は、俺の商館はおまえが作る館の近くにしてくれ、中央は空けておきたい。」「勿論良いのですが、中央じゃなくて良いのですか?」「あぁ領主が中央に商館を持っていたら、他の奴らがやりにくいだろう。」「あぁそうですね。それで他には?」
「そうだな。税やそういった諸々の計算は、手伝ってもらうぞ」「はい。それは大丈夫です。」「それと、領主って事は、何らかの義務が出てくると思うが、中央への集まりなんかがある時には、おまえかエルフリーデに付き合ってもらうからな」「わかりました。あくまで、アスメデさんが行かれる時って限定で約束します。」「あぁそれでいい。」「それだけですか?」
「いや、あと大事な事が二つある。」「はい。」「一つ目は、ここに誘致する商人は俺の方で選ばせてもらうぞ。」「いいですが、具体的には?」「細かい事は、後でエルフリーデなんかと協議するが、小さな商隊を優遇する。でっかい豪商は排除とは言わないが、ここでの商業規模は抑えてもらう事にする。」「問題は無いのですが・・・?」「あぁちょっと説明不足だったな。俺たちも、おまえの話しじゃないけど、どっかで商人だけの街を作りたいって思って居た時期があったんだよ。」「へぇそうなんですか?」「その時にな、仲間内で話していたのが、貴族とかにレインを渡して融通してもらっているような御用商人にはならないって決めていたんだよ。」「それはなんとなくわかります。」「それで、折角だから、当時の仲間を呼んで街を作れないかと思ってな。」「いいですよ。好きにして下さい。俺たちは、神殿の方で手一杯になると思いますので・・・。」「おぉ。そうか、ありがとうな。それでもう一つが本当に本当に大事な事なんだけどな。」
「はい。」「俺や俺の商隊の奴らに、嫁さんを探してくれ!」「・・・・・はぁ?」「だからな。俺も、嫁さんが欲しいんだよ。」「アスメデさん?独身でした?」「あぁそうだぞ!!なんだ、おまえそんな事も知らなかったのか?」「はい。てっきり、既婚者だと思っていました。」「おまえな・・・。まぁいい。それでどうなんだ?」
「オイゲン様。先日、リン様から話があった事をおすすめしてみては?」
それまで黙って推移を見ていた、エルが話しかけてきた。この前のリンからの話・・・。
「あぁお見合いパーティか?」「はい。それです。」
リンの奴がまた問題になりそうな事を行うと言ってきた。なんでも、マノーラ家やギルド支部に毎日の様に、リンへの婚姻話が舞い込んできて、業務に支障をきたすほどになってしまっているのだという。リンには、ミル達が居るし、これ以上嫁さんを増やせない。それは俺も同じだが、一国の王になる人間だから、それのおこぼれに預かろうと必死になっているらしい。らしいというしか無いのも、俺の所にも婚姻話が舞い込んできているが、エル達に寄って全てゴミになってしまっている。
そんなリンが何を考えたのか解らないが、自分自身はもうこれ以上嫁を増やすつもりはないし、妾も要らない。と宣言して、リンの所の部下や配下の者での良かったら、紹介できるがどうする?と進めてみた所、応募してきた半数がそえでいいと返事してきたらしい。そこで、今度は、リンの関係者から独身者や新たに嫁を迎えたいと思っている人物を集めて、数日に分けてお見合いパーティを行う事になった。最初。俺もこっそりと出席しようと思っていたが、寸前でエルにバレて、嫁達全員に責められてしまった挙句に暫くは寝所を別々にするとまで言われてしまった。
神殿街の領主とその部下なら資格的には十分だろう。
「って感じなんですけど、アスメデさん参加しませんか?」「いいのか?俺なんかが出席して?」「それは問題ないですよね。ね。エル?」「えぇ問題はないでしょうね。神殿街の領主ですし、”独身”なら問題はないですよ」「エルフリーデ嬢の言葉に何か毒がありそうだけど・・・問題が無いのなら、是非参加で頼むは。部下も良いのなら、10名ほどの参加枠を頼む。」「全員男性ですか?」「ん?あぁそうか、男だけじゃなくても良いんだな。」「はい。」「それなら、あと5名ほど参加者が増えるけど大丈夫なのか?」「エルどうなの?」「あっはい。大丈夫です。侯爵様から言われている参加枠はまだまだあります。」「って事で、アスメデさんお見合いの参加は大丈夫です。」「そうか、わかった。ありがとうな。」
「アスメデさん。領主の件お願いしますね。」「あぁ大丈夫だ。俺は、一旦皆の所に戻って話をしてくるからな。」「あっはい。リンに話を通しておきます。」
これで、一番の懸案事項だった。領主の問題が解決した。残りは些細な問題だと思う。
神殿街もアスメデさんに任せておけばいいだろう。
次に個人的な事だけど、大事な用事がある。その為に、エルやシャトフルやコリンズやヴィネッティにはバレないで移動しなければならない。移動先は、マガラ神殿の地下三階のアルマールの所だ。
そこで頼むのは、同じデザインになっている指輪を五本だ。給料の三ヶ月分とか言われていたけど、俺の給料がわからないなら、アルマールと相談している。この件に関しては、眷属たちを先に味方に付けた。完全に単独で隠しきれるとは思っていない。その為にも味方は必要だ。眷属たちを言いくるめて、内緒にしてもらっているのと、エル達の足止めを依頼してある。報酬も渡す事になっている。
アルマールには指輪を頼んでいるが、異世界補正なのか、高くなるがミスリルを素材に使って、魔道具かしておくと、装着時に指の形に合うようになる。素材の事や魔道具かの為に、値段はどうしても高くなってしまうらしいが、その位の稼ぎは十分にある。
フェムとサリーカから協力を依頼されている、地球の料理開発プロジェクトも起動に乗っている。MOTEGI商会では、料理器具や調理レシピを販売している。フェムの親父さんの所で、レシピを使った料理を安価な食材で作れないかを試行錯誤してもらっている。俺は、フェムと一緒に料理を作っているが、基礎知識には違いは無いが、上手に作るという意味では俺の方が勝っているようだ。レシピの数は順当に増えていったが、問題が発生した。調理器具の種類が少なくて、料理に時間がかかるという問題が出てきた。この問題を解決する為に、タシアナが参戦した。これによって、魔道具の作成が捗る事になる。サリーカがいろいろな地方の野菜や果物を商隊を使って仕入れてくる。それを吟味して、俺がレシピを構築して、フェムが実際に作ってみたり、アレンジを加える。その仮定で必要になってくる道具をタシアナが開発する。
それだけでもかなりのレインを稼いでる。それとは別口で、神殿を調整している最中に狩った魔物の素材を卸しているだけで十分なレインを稼げる。自分で調整しているので、丁度いい鍛錬にもなる。
アルマールに手付で渡している金貨もそうやって稼いだ物だ今日は、デザインの最終案を出してくれるという事だ。
「アルマール。出来たデザインはどんな感じだ?」「オイゲン。ちょっと待ってな。今来賓だから、タシアナの店で待っていてくれ。そっちに行くから・・・な」「あぁ解った。」
タシアナの店に入ると、リンが来ていた。「なんだ侯爵様は暇を持て余しているのか?」「そういう、子爵様はどうなんだ?」「え?俺、男爵だけど?」「あぁそうだった、そうだった、”まだ”子爵には叙せられていなかったな」「おまえ。それに、そんな事聞いてない所。」「そうか?」「そうだ」「でも、今言ったからいいだろう?」
リンが席から立とうとしている。「なっ待てよ。リン」「あぁタシアナ。それじゃお願いね。」「うん。任せて」「それじゃな。オイゲン。また今度じっくり話を聞いてやるからな」
「おい。」「無駄だよ。オイゲン。」「あぁそうだな。」「それで今日はどうしたの?」「あぁ指輪のデザインが出来たって聞いて来たんだけど、なんか、アルマールの所に来客だったみたいでな。こっちで待っていて欲しいって言われたんだよ」「へぇ・・・。あぁそうなんだね。」「なんだよ。」「なんでもないよ。」「気持ち悪いな。」「それに、こっちで話す必要もあるでしょ。指輪を魔道具にして付与するんでしょ?」「あぁそうだな。どんな効果が付与できるのかわからないけど、ステータス不可視の魔珠見たいな事はしたくないんだよな」「そう?入れ替えはしたくないって事?」「あぁ折角の指輪だからな。」「それなら、いっその事念話の機能を付けたら?」「念話の機能?」「うん。。オイゲンは念話使えるんだよね?」「あぁ使えるぞ。」「嫁たちは?」「たしか、ダメだったと思う。」「そう、それなら、指輪の全部を使うけど、それでもいいのなら、指輪に”念話”機能を入れる事が出来るよ。」「だから、それで何が出来る?」「遠くって言っても限度はあるけど、遠距離に居る同じ指輪を持っている人間と通話が出来る。」「え?」「あんたが念話持ちだから、あんたから嫁達への念話はブーストするだけでつながるだろうし、嫁からの通話の時に指輪を媒体にして通話出来るようになるよ」「本当か?」「嘘言ってどうするの?」「あぁそれが出来るのなら、そうして欲しい。連絡がつかなくなる事は無いだろうけど、通話が出来れば、今まで以上に出来る事が増えるからな。」「了解。あっ丁度、アルマールも来たみたいだよ」
「お。先に付与する魔法が決まったんだね。」「うん。”念話”だって・・・」「あぁ・・・。」
なんか、二人は予想していたような雰囲気がある。でも、ここで話が出てきたのだし気の所為なんだろう。
「それよりも、デザインがどうなんだ?」「ん?こんな感じだけどどうかな?」
4枚の紙を渡される。一つは、リーフがモチーフになっている。うさぎ耳・猫耳。翼がそれぞれモチーフになっている。予想していたよりもすごくいい。
「アルマール。ありがとう。これでお願いする。」「それで、おまえがする指輪だけどな。シンプルにする事にした。」
そういって渡された物は、本当にシンプルだ、4つの石が埋まっているだけの物だ。「アルマール。この4つの石の意味は?」「緑。赤。黄。青。おまえの嫁達の目の色だ。なんだ気が付かなかったのか?」「あっ。エルの緑。シャトフルの赤。コリンズの黄。ヴィネッティの青。」「・・・。」「アルマール。ありがとう。これでお願いする。タシアナ。魔法も”念話”で頼むな」「「はいはい。」」「出来上がりは?」「1週間見てくれれば大丈夫だ。」「了解。レインは足りるか?」「十分だとは言わないが、大丈夫だ。」「そうか、足りなくなったら言ってくれよな。」「あぁその時には、たんまりと請求するから安心しろ」「・・・リンと同じにしないでくれると嬉しいんだけど・・・。」「あぁ大丈夫。常識の範囲でぼったくるつもりだからな。」
デザイン画を、アルマールに返して、自分の館に帰る事にした。指輪も出来るし、後は嫁達に渡すタイミングだけだな。喜んでくれると嬉しいだけどな。
★☆★☆★☆★☆「ありがとうございます。アルマール様」「いいって、オイゲンには世話になっているのも確かだしね。」「タシアナ様も本当に有難うございます。」「ん。いいよ。エルフリーデからのお願いだし、たしかに、オイゲンの”念話”を使わない手は無いからね。」「えぇそうですね。オイゲン様ももう少し、ご自分の立場を考えて頂けると助かるのですが・・・。」「それは、無理でしょ。リンを見ていれば解るでしょ。」「・・・あっはい。同じですね。」「そ、二人共、女心が解らないって意味では全く同じだからね。」
「でも、でも、オイゲン様は、私達を抱いてくれていますよ!!」「そうなんだよなぁねぇエルフリーデ。アルマール。何かいい方法ない?」

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