【旧】チート能力を持った高校生の生き残りをかけた長く短い七日間

北きつね

ヴァズレ街撤退戦

エミールとヴァズレに転移した。ミルが居る場所はすぐにわかったので、移動する事にした。
「エミール。街の中に誰も居ないか確認してくてくれない?」「はい。解りました。」「うん。僕は、ミルと一緒に元領主の館に居るからね。」「はい。」
エミールが眷属を連れて、街の中の探索に入った。僕はそのまま、ミルが居る元領主の館に向かった。
「ミル。何か有ったの?」「ううん。何もないみたい。それよりも、リン。ここの主人は本当にクズだったようだよ。」「どうして?」「説明するよりも見てもらったほうがいい。こっちに来て・・・。」
地下に繋がる階段があった。そのまま通路が伸びていて、少し進んだ所に、部屋が一つ存在していた。部屋には、おびただしい人骨と思われる物が無造作に転がされていた。そして、部屋の中央には、風呂と思われるような物が置かれていて、風呂には、確実に血だと思われる跡が残されていた。
「つまり奴は、エリザベート・バートリと同じって事か?さしずめ、『血の男爵』と言ったところか、吐き気がするな。」「うん。多分地球よりも命の値段が安いだろうけど、この数は・・・・。」「そうだね。」「どうする?」「どうもしない。どうせ、ここは、このまま貴族連合に明け渡すつもりだから、僕達がここを見つけたって証拠を消してから封印しよう。」「解った。そうだね。立花ウォルシャタ達が占領した時に、どう考えるか見ものだね。」「あぁでも奴らは見つけられない可能性もあるけどね。」「・・・そうだね。」「まぁいいよ。でも、ありがとう。ミル。」「ん。僕。怖かった!!」「あぁぁそうだね。」「リン。酷い。棒読みにも程が有るよ。」
部屋からでて、廊下を歩いた痕跡を消してから、戻った。地下に繋がる階段から戻って、ヴァズレの執務室に移動する。奴が使っていた部屋はそのままにしてある。書類などは持ち出して、今調べさせている。何か新しい情報が分かったら連絡が来る事になっている。執務室には、安っぽいタバコの臭いが染み付いていた。キライではないが不快感が募る。それに、こっちの世界での常識なのか、風呂に入らないので、体臭を誤魔化すために、香水のような物をふりかけるが、それがまた安っぽい匂いを助長している。これなら、匂いで誤魔化すのではなく、湯浴みをするほうが何倍もいいと思える。
部屋には本当に書類の様な物は何も残っていない。ミルと部屋から出て、他の部屋を見て回ったが、目新しい物はない。アゾレム領主の館を見た時にも思ったが、内情は火の車だったのかもしれない。人口は増えているとアデレードが言っていた。実際にそうなんだろう。単独種族に寄る生活圏の維持が限界に来ているのかもしれない。魔物の恐怖がなくなって、インフラを整備して、交通手段を整えて、流通に革命を起こしても、根本的な解決にはならないような気がする。単独種別に寄る生活圏の確保を抜本的に見直さないとダメな気がする。全てを受け入れるのは違うとは思う。でも、何かしらの受け入れ体制を取らないと、ジリ貧な感じがする。
「リン。エミールが戻ってきたよ。」「うん。適当な宿屋か商人の屋敷に行けば、会議室見たな部屋はあるだろう。そこで今後の話をしよう」「了解。」
エミールにその話をすると丁度いい屋敷があったという事だったので、その屋敷に場所を移動した。会議室に入ってから、エミールから街の状態を聞いた。
「街には誰も残っていませんでした。」「それなら安心だね。」「はい。ただ・・・」「どうしたの?何か気になったの?」「はい。誰も残っていないのですが、何か違和感というか....何か人の気配は感じるのです」「そうか、探索はやってみた?」「いえ。どうやっていいのかわからないので、眷属に気配を探ってもらっていました」「そうか・・・。」
探索系の魔法は、結界魔法を応用すればいい。自分を中心に円状に広がる結界を構築していって、結界に引っかかった場合に鑑定を行っていく事で成り立つ。正直、疲れる魔法だ。確かに、眷属に気配を探ってもらっていたほうがいいか、それだと魔道具で気配を消されていると見つける事が難しい。
「エミール。違和感が強かった場所は解る?」「はい。」「それじゃそこに案内して」「わかりました」
エミールを先頭に歩く、会議室があった屋敷から少し離れた場所で、元々は教会が合った場所のようだ。壊されているが、教会らしき様式が見られる。
「この辺りです」「あぁそうだね。あっちの方角でしょ?ミルは解る?」「うん。僕も探索が解るわけじゃないけど、エミールが言いたい事は解るよ。違和感というか、なんというか・・・。」「うん。そうだね。それじゃ探索を使ってみるね。」
うん。やっぱりだね。4人いや5人かな?多分、子供ばかりだね。少し急いだほうがいいかも知れないな。
「ミル。エミール。ウォンざーこっちだよ。多分、ウィンザーに協力してもらった方が良いかもしれない。後、眷属にも来て貰って・・・。」「了解。」
皆で教会跡地の裏庭があったと思われる場所に移動した。そこで、「大丈夫だよ。出てきて、僕達は君達に危害を加えようとは思っていない。水や食料もある、それに、弱っている子を治す薬も作れる。出てきてくれると嬉しい。」「え”?リン。それって....。」「あぁ多分子供だと思うけど、4~5人が隠れている。多分、魔道具で気配を消しているのか、もしかしたら認識阻害なのかもしれない。」「・・・・。」
「お願いだよ。僕達は、獣人も魔獣も魔物も居るよ。だから安心して、心配ならほら武器も置くからね。」
刀を少し離れた所に置いた、ミルもエミールもウィンザーもそれに倣う。
「兄ちゃん達は、僕達に酷いことしない。」「!!」「!!」「あぁ大丈夫だよ。それよりも、怪我しているか、弱っている子も居るよね。早く連れてきて、治療をしよう。」「・・・・。本当に、治してくれるの?」「見てみないとわからないけど、治せるように努力するよ。」「痛い事しない?」「あぁ約束する。」「本当に?」「あぁ本当だよ。ほら、僕の周りには、いろんな種族が居るでしょ。」「・・・・。うん。」「信じてくれなくていいから、姿だけでも見せてくれないかな?」
「わかった。でも、何かしたら、許さないからね」「あぁ大丈夫だよ。」
姿を現したのは、ウィンザーと同じ猫族の子供だ。魔道具で姿をけして、気配を消していたようだ。
「あぁありがとう。君達は、5人なのかな?」「うん。案内してくれる?それとも、ここで待っていたほうがいい?」「こっちに来て....。」「ありがとう。武器は君が持っていていいからね。」「わかった。」
そう言って、猫族の子供は僕達の武器を持って、先を歩いた。裏庭にある木の裏側に地下への入り口があるようだ。そこには、魔道具が仕込まれていた。
「この魔道具は?」「知らない。教会の人がここは安全だからと言われて逃げ込んだだけ」「そうかぁ・・・。いつからこの中に居るの?」「もう2週間位。」「食事とかはどうしていたの?」「最初の頃は、置いてあった物を食べていたけど、最近はなくなってきて、外に探しに出ていたけど・・・・。」「そうか、誰も居なくなって困っていたんだね。」「うん。」
少し歩くと、いくつかの部屋に分かれているような広間に出た。やはり、獣人や魔物の子供だけのようだ。全部で5名。横たわっているのは、翼人のようだ。片翼を斬られて、衰弱してしまっている。食べ物も受け付けないのか、吐き戻した様な後が見られる。
「ミル。白湯を作って、塩を少し入れて、後、果実で少しだけ味付けして、多分、酷い脱水症状だと思う。」「わかった。ウィンザー手伝って」「はい。」「エミール。コメは持っているよね。少し、塩を多くしておかゆを作って、野菜は避けて、小さくした肉で味付けして」「解りました」「他の子は大丈夫?辛かったら言ってね。あそこのお姉ちゃん達が今から食べ物作るから、すぐにできると思うから待っててね。」「うん。」「・・・・。」「わかった」「はい。」「さて、翼人の子の治療をするね。後で、何が有ったのか教えてね。」「・・・。」「まずは、体力を回復させないとね。抜本的な治療は食事とかで行うけど、辛さを取るためにも、魔法をかけるからね。」「・・・・」「兄ちゃん。白魔法を使えるの?」「うん。そこのお姉ちゃんたちもだよ。だから、安心して」「・・・。すげぇ」「よかった。治るんだよね」「・・・。」
子供の期待に答えないとね。白魔法で体力回復を行ってから、片翼の治療だな。傷口から見ると、最近の様な気がするから、多分ポーションで治るだろう。順番に魔法をかけていく、最後に精神魔法で心の傷が少しでも休まるようにした。
丁度、ミルが白湯を持ってきたので、それをゆっくりゆっくり飲むように指示した。白湯を飲み終わる頃には、少し落ち着いたのか、表情も少し良くなってきている。今はまだ内臓が弱っているだろうし、魔法で急激に治した部分もあるので、横になって寝てもらう事にした。ござのような物の上に寝ていたので、魔物の素材などで急ごしらえだが布団を作成して、その上に寝かせた。寝かせた状態で、精神魔法で睡眠状態にした。
一連の流れを心配そうに見ていた子どもたちも、少しは安心したようだ。エミールが作っていたおかゆもできたので、皆に食べてもらう事にした。落ち着くまで、ゆっくり待つ事にした。
その間に、眷属には街の外を見に行ってもらっている。誰も居ない事を確認する事もだけど、魔物や動物が居ないか確認してもらっている。話ができる魔物は島に移動してもらって、動物は強制的に島に転送してもらっている。
食事を取って、飲み物を飲んで少しは落ち着いたようだ。「兄ちゃん達はどうしてここに?」「その前に、簡単に自己紹介をするね。僕は、リン=フリークス。そして、そっちの女性が、ミトナル。ミルって呼んであげてね。そして、その猫族の子がウィンザー。エルフの子がエミール。だよ。眷属は、今、外に危険がないか見に行っているから、帰ってきたら紹介するね。それで、君達の名前を教えてもらっていいかな?」
「・・・。」4人はお互いを見てから頷いて「俺は、アーサ。猫族。」「私は、リンツ。兎族と猫族のハーフです。」「私は、マロン。見ての通り、エルフです」「僕は、ハーベイ。翼人です。妹を助けてくれてありがとうございます。妹は、ヒルマといいます。」
「そうか、アーサとリンツとマロンとハーベイだね。僕の事は、リンとでも呼んでくれればいいよ。」「リン兄?」「うん。それでいいよ。それで、君達はどうしてここに残っているの?」
「・・・。違うんだよ。僕達は、領主の所から逃げてきたんだ。教会の人が助けてくれたんだけど・・・・その人は、領主に連れて行かれちゃって・・・・。ここに隠れていなさいって言われたから・・・。」「そうか・・・・あの領主。」「うん。ヒルマが領主に連れて行かれたから、殺されると思って、それならって話し合って逃げ出したんだ」「そうか、怖かっただろうね。頑張ったね。他にも沢山子供は居たの?」「だと思う。僕達は最初から5人だったから解らない。」「・・・・そうか、なんでここに連れてこられたのか解る?」「・・・・。」「私の里が襲われて・・・。それで・・・。」「あぁゴメン。いいよ。大体わかったから。」「うん。」
「これから、君達はどうするの?」「・・・・・。」「・・・・。」「俺は、こいつらを守る。」「妹を助ける為なら何だってする。」
「そうか、それじゃ今の状況を説明するね。その上で自分たちがどうしたいのか決めて。ただ、あまり時間がないのも事実だから、結論は急いでくれる嬉しい」「うん」
エミールが、ヴァズレ街の状況を伝えた。これまでの事は、自分たちが知っているだろうから、今後の事が中心に説明をしている。こういう時は、イリメリと同じ位にエミールが居てくれると助かる。多分、僕とミルだけだと説明にならなかったと思う。
「・・・本当に、領主が戻ってくるの?」「領主だけじゃなくて、守備隊を連れてだね。」「リン兄ちゃん達はどうしてここに居るの?逃げないの?」「ん。逃げるよ。でも、戦いながら逃げるって感じだね。」「それなら、俺たちも兄ちゃん達と戦う。」
「それはダメだ。アーサ達には、ヒルマを守り抜かなければならないだろう?」「・・・・あっ。」「できれば、僕の領地に来てもらえると嬉しいんだけどね」「兄ちゃんの領地?」「え?リン兄って貴族なの?」「いえ、リン様が貴族でもあるのですが、今度王様にもなられるのですよ」「エミール。そういうのはいいからね」「いえ、でも本当の事ですから・・・。」「まぁそうだけど・・・。アーサ達さえその気があるのなら、僕の領内に住む所を与えるよ。仕事はしてもらうけどね。」
「・・・・。アーサ。どうする?僕としては、ヒルマを治して貰ったし、信頼してもいいと思う。」「私も、ハーベイと同じ。それに、エミール姉が伝説のハイ・エルフだって・・・そんな、エミール姉の旦那様なら安心できる。」「エミール。そんな事を話したの?」「あっはい。一番信頼できる事がそれですので・・・。それに、ウィンザーの旦那様だって事も、ミル姉の大切な人だって事も話してあります。」「うん。それならいい。」
「リン兄。僕達を守ってくれるの?」「あぁでも、僕の領地は安全ではあるけど、仕事をしてもらうからね。」「仕事?」「あぁ一番年上はアーサなのか?」「うん。今年で10歳になる。」「マロンは?」「はい。私はアーサの一つ下の9歳です。」
「そうか、それなら、君達には、僕の領地に移り住んでもらったら、”学校”で勉強してもらう。」「勉強?」「そうだ、それはウィンザーが詳しいから話を聞いてくれると助かる。ウィンザー簡単に説明してあげて。」「あっはい。」
ウィンザーが学校の説明をしていると、ミルの眷属が戻ってきて、ミルに何やら話をしている「リン。ヴァズレ領主の軍勢が来たみたいだよ」「時間的な距離でどのくらい?」「あぁ1日位の距離みたいだね。」「了解。ギリギリ間に合いそうだね。」「そうだね。」
ウィンザーの学校の説明も終わったようだ。「リン兄。本当に、俺たちは学校に行って、勉強していいの?」「あぁそれが、僕が望む君達の仕事だからね。空いた時間で、ギルドのクエストを手伝ってくれたら嬉しい。」「本当に、本当に、本当に、それだけで、住む所と食べ物をくれるの?」「アーサ。間違っているよ。僕は、君達に仕事だって言ったよね。だから、君達に上げるんじゃなくて、君達に仕事を任せる報酬として、住む所と食べ物を得るんだよ。」「・・・・。」「だから、しっかり勉強しないとダメだからね。」「わかった。それなら、僕は、リン兄の所に行く。」「私もアーサと一緒に行く。」「私ははじめからそのつもりだけど、アーサと一緒の方が安心できる。」「僕も妹と一緒にリン兄の為に沢山勉強する。」「みんなありがとう。エミール。ウィンザー。皆を、ロックハンド神殿に連れて行って、ナッセに言って、適当な屋敷を手配して、寮でもいいとは思うけど、5人一緒の方が良いだろうから、少し離れた所に屋敷を用意して。」「わかりました。」「はい。ギルド登録もしてもらいますね。」「あぁそうだね。日用品の準備とか必要だろうから....そうだね。アーサ。この魔道具とか貰っていい?」「良いけどなんで?」「最初の頃、日用品を買ったりする為のレインが必要だろう?その魔道具を売ってレインにしておいたほうがいいからね」「うん。わかった。元々、教会の物らしいけどいいよね?」「あぁ教会の人が戻ってきたら、僕が謝るからいいよ。」「うん。わかった」「エミール。そういうわけだから、魔道具をタシアナかサリーカに鑑定してもらって、僕の見立てが間違っていなければ、金貨1枚程度だとおもうけどね」「わかりました。」
エミールとウィンザーに連れられて、アーサ達が転移していった。
地下から出たら、カエサルが来ていた。「リン様。眷属13,000揃いまして、御前に」「あぁありがとう。それでは、5,000は守備隊の様な格好をして、防御を固めた感じにして、残りの8,000は領民の様な感じで各屋敷に散らばって欲しい。予定では、明日の昼くらいには、軍勢が押し寄せてくると思う。一戦してから、イスラ街道をミヤナック領に逃げるようにするからね。」「はい。かしこまりました。」
今日は、相手も攻めてこないようだから、その前に準備をしておこうと思う。ハーレイから預かった旗印と僕の家の旗印を掲げておかないて、僕達が戦っていると思わせないとならないし、僕達に勝ったと思ってくれないと今後の計画を修正しないとならなくなってしまう。
「リン。奴らの総数が解ったよ。およそ3万で三方向から取り囲むように来ている見たいだよ。」「へぇ3万にもなったんだね。」「中央がルキウス子爵が直接指揮している隊で、右翼が立花ウォルシャタ達で、左翼がヴァズレ男爵の隊みたいだよ。」「立花ウォルシャタだけ?」「ううん。立花ウォルシャタ西沢ゴーチエ細田イアン三塚マニュエルが確認出来ているよ。」「そうなんだね。人数は?」「中央が、14,000。右翼と左翼がそれぞれ、8,000。兵站部隊も入っているから、戦えるのはもうすこし少ないと思う。」「了解。連携は取れているの?」「どうだろう?」「時間的な距離はどうなっている?」「ヴァズレが一番近いみたいだよ。」
「了解。それじゃ、指示を出す。カエサル。」「はっ」「500を率いて、中央のルキウス隊の背後に廻って、退路を断つ動きをしてくれ!」「かしこまりました」「ヒューマ。」「はっ」「お前も、500を率いて、左翼のヴァズレ隊の後方に出て足止めをしてくれ。」「かしこまりました」「両名とも、誰一人として死ぬことは許さない。必ず全員で生きて戻ってこい。1日足止めすればいい。僕かミルから連絡が行くまででいい。わかったな。」「「はっかしこまりました」」「足止めに成功したら、カエサルは東に向かって、ヒューマは北に向かっえ。合流したら、中央突破して、ヴァズレ領まで戻ってこい」「「はっ」」
「バイエルン。」「はっ御前に、」「1,000を率いて、北門を守れ、僕かミルからの連絡が入ったら、北門を破壊して南門から逃げろ」「はっ」「ファントム。」「はっ御前に、」「1,000を率いて、東門を守れ、僕かミルからの連絡が入ったら、東門を破壊して南門から逃げろ」「はっ」「レオパルト。」「はっ御前に、」「1,000を率いて、南門を死守せよ。そこから、住民が逃げるようになる。全員が逃げたら、南門を破壊しろ」「エミール。ウィンザー。トリスタン。街の中に居て、西門に敵右翼が攻撃を開始したら、街の物資を持って、南門から逃げるようにしろ」「「「りょうかい」」」「ミル。僕と、1,000を率いて、西門で立花ウォルシャタ達を迎え撃つ。」「了解。」「シャラト。カウラ。リアン。お前たちにも一緒に西門に居てもらうぞ」「「「はっ」」」「トパーズ。」「はっ御前に。」「オプシダン。サファイア。スピネル。ノゼアン。の5名で、立花ウォルシャタ達の隊に忍び込め。できそうなら、三塚マニュエルを捕えてこい。」「「「「「はっ」」」」」「絶対に無理するなよ。怪我の一つでもしたら僕は許さないからな。三塚マニュエルは殺さない状態ならどんな状態でも良いけど、お前たちは無傷で帰ってこい。これは命令だ。」「「「「「はっ」」」」」
「それじゃみんな死ぬなよ。死んだら許さないからな。」「「おおぉぉお」」
「ミル。ゴメンね。一番大変な所を担当してもらうよ。」「それは良いけど、捕らえるのは、三塚マニュエルだけでいいの?」「あぁそうだね。捕えられれば程度だからね。」
皆が準備に移動したのを見て、僕とミルも西門に向かった。正直これで良いかは解らない。相手に策士が居れば、こんな見え透いた手には乗ってこないだろう。三方向から同時に門を攻める。そうなったら、開いている門から逃げ出すは決まっている。僕なら、そこに伏兵を配置して逃げてきた敵を捕まえるか、倒すかする。気になって、西門を調べさせたが、そんな気配はない。かなり遠くまで見てみたが、挟撃できる様な位置に伏兵は見つけられなかった。巧妙に隠されている可能性もあるが、8,000近い数の眷属だし、大丈夫だろうと思っている。
西門の指揮は、ミルに任せて、僕は入ってくる情報を聞いている。カエサルとヒューマは戦闘に入ったようだ。後方の兵站部隊を襲って、物資を奪ったようだ。これで足止めができる。先に進んでいた部隊も転身を開始した。伸び切った部隊の収拾を行ってから反転攻勢を行うようだ。両者とも2時間分程度後退したようだ。これで、ほぼ半日近くは時間を稼いだ事になる。
「リン。お客さんが来たよ。」「了解。あとどのくらい?」「30分もすれば弓が届くと思う。」「そうか、トパーズ達は無事潜り込んだ?」「解らないけど、誰からも何もないとしたら、うまく潜り込んだと思うよ。」「了解。ミル。両脇に伏せている兵に一斉に弓矢と弱い魔法に寄る攻撃を指示して、一点に集中するようにして、前後に分断。分断後に、後方は伏兵で圧迫させて」「了解。」「相手が分断したら、ミル300預けるから、突撃をして、敵の数は減らさなくていいから、敵の武器や馬を荷物を破壊してきて、できれば、赤魔法で燃やしてきて」「了解。アースグリム。ガルガ。クロッセン。ケーニヒス。行くよ。」「ミル。立花ウォルシャタ以外なら腕の一本位なら切り飛ばしてきていいからね。」「了解!!」
「行くよ。マノーラ侯爵の恩為に!!」「「「「おぉぉぉ!!!」」」」
ミルが突っ込んでいった。指揮をするよりも、ソッチのほうが性に合うのだろう。
『リン様。申し訳ありません。』『どうした。ヒューマ。なにかあったのか!誰かやられたのか?』『いえ、間違って、ルキウス子爵の腕を切り飛ばしてしまいました。』『腕だけか?』『はい。あまりにも偉そうで、リン様の事を成り上がりと言われて、気がついたら、腕を・・・申し訳ありません。』『いいよ。腕だけなんだね。治療はした?』『はい。できるのが止血だけだったので、止血だけしてあります。』『あぁそれでいいよ。腕は、かわいそうだから返してあげて。』『はっ。申し訳ありません。』
伏兵部隊からも連絡が入った。分断に成功したようだ。今から後方部隊を引っ掛け回すようだ。
カエサルとヒューマの部隊に連絡して、戻ってこさせる。時間敵に、4時間ほどで戻ってくるという。それまで、西門を死守すればいい。簡単な事だ。
「リン。前方部隊には、。立花ウォルシャタは居ないみたい。どうする全滅させる?」「いないか....」「どうせ。偉そうに後ろでふんぞり返っているんでしょ。」「ん?トパーズから、。立花ウォルシャタ達は後方の兵站部隊の近くに居るって」「そう、どうする、リン。行ってくる?」「ミル。今後方は伏兵部隊が翻弄しているから、彼らと合流して一旦戻ってきて、その時に敵を出来る限り生け捕りにしてきて」「了解。アースグリム。ガルガ。クロッセン。ケーニヒス。もう一度行くよ。今度は、殺さない程度に痛めつけてから拿捕するよ。ノルマは、300名。行くよ。」「「「「おぉぉぉ」」」」
「あっ・・・・もう居ちゃったよ。300名って一人で一人捕まえてくるつもりなのか?」
刻一刻と報告が上がってくる。念話での報告だったり、伝令が走ってきたりする。
『エミール。領民役を3つ分けて、最初の領民をウィンザーに率いらせて南門から撤退させて、途中で伏兵がいるかもしれないから、全力で排除していいからね。ウィンザー頼むね』『はい。』『エミール。トリスタンと手分けして、領内に火の手が上がるようにして、旧領主の関連施設は全部残しておいてね。』『はい。』『あるじさま。旧領主の館はいいの?』『うん。旧領主の館には、”ヴァズレに書簡”を残してきたからね。』『ん?どういう事?』『ヴァズレ男爵が貴族連合を裏切って、僕達に内通している証拠を置いておいただけだよ。』『あるじさま。それじゃ、ヴァズレ男爵を助けなくちゃならないの?僕嫌だよ。』『トリスタン。大丈夫だよ。リン様は、内通していたとルキウス子爵やウォルシャタ達に思わせようとしているだけだからね』そ。『そ。後は、ヴァズレは、裏切り者として仲間に殺されればいい。』『おぉぉ・・・そうなんだ・・・。』『うまく行ったらだけどね。だから、二人共、うまくやってね。』『『了解』』
『リン様。ルキウス隊とヴァズレ隊をお連れしました!』『カエサルお疲れ様。』『いえ、疲れては居ません。いえ・・・手加減に疲れました。』『そうだろうな。そのまま北門から入って、中でエミールの指揮下に入ってくれ』『承知しました。』
『北門。東門。カエサル達が街内に入ったら、門を破壊せよ。』『『はっ』』『タイミングは、カエサルがエミールと合流したら、エミールから、両方の門に伝達。』『了解』『『『はっ』』』
「リン。只今、ゴメン。250名しか生け捕りにできなかった。罰は今晩にでもベッドの上で受けるよ。」「罰は、ともかく、お疲れ様。すこし休んでね。あぁあと、これ」
腕を一本渡された、左腕の様だ。「誰の?」「ん?川島マルビンの腕」「奴も居たんだね。」「うん。アルマールへのお土産になると思ってね。」「そうだね。ほかは?」「う~ん。確認できなかった。」
『リン様。マニュエルを捕えました。抵抗したので、今は眠らせてあります。』『あぁお疲れ様。それじゃ三塚マニュエルはマガラ神殿の監獄に送っておいて』『呪具はしておいたほうがいいですか?』『そうだね。タシアナに連絡して、魔道具を貰ってつけておいて』『かしこまりました』
「ミル。捕えてきた、250名は?」「門の所で縛ってあるよ。」「それじゃいきますか。」
おぉいるいる。こんなに要らなかったんだけどな。まぁしょうがないかぁ「お前は、リン=フリークス。成り上がりの小僧。」
あぁ遅かった。ミルが言った奴の腕を飛ばしちゃった。白魔法で止血だけしておいてあげよう。
「さて、話が出来ないから、僕の事をどういってもいいけど、同じような事になるだけだよ。彼女は剣の腕は確かだけど、手元が狂って、次は首を飛ばしちゃうかもしれないし、他の物も間違えて魔法を唱えちゃうかもしれないからね。」「・・・。」「僕達は、あれだけの数に攻め込まれて、一つの部隊だけでも辛かったのに、それが他に二方向から攻められてしまったから、逃げ出す事にする。本当は、君達を人質にして、ウォルシャタ殿に撤退を呼びかけようと思ったんだけど、やめておく。」「俺たちをどうするつもりだ?」「殺す・・・・。」「事もできるけど、それでは、約束が違ってしまうから、このまま僕達は逃げるよ。」「約束ってなんだ?」「おっと、聞かなかった事にしてくれると助かる。君達には関係ない事だからね。なんにせよ。僕達は勝てそうなら勝つつもりだったけど、ミヤナック家も襲われているようだし、ここを死守する必要性もないからね。最終的にここは僕の物になるんだからね。」「・・・・。」「話しすぎたね。あぁ君の腕は、このポーションでなるからね。後で騙されたと思ってやってみるといいよ。飲むんじゃなくてかけるんだよ。飲んだら死ぬからね。」
「ミル。逃げるよ。」「了解。全軍撤退。南門から撤退するぞ、急げ!」
その瞬間に街の中で爆音が響き渡って、街のあちらこちらから火の手が上がっている。タイミングバッチリ!
僕とミルが殿をつとめて、南門を抜けて、魔法で南門を破壊した。
『全員無事か?』『リン様。全員無事を確認しました。一人もかけておりません。』『よくやった。』『後すこししたら、血気盛んな奴らが、追いかけてくると思うから適度に相手しながら逃げるよ。』『はっ』

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