【旧】チート能力を持った高校生の生き残りをかけた長く短い七日間

北きつね

旧アゾレム領併呑

ヴァズレに連絡要員だけを残して、ニグラ支部に戻ってきた。
「リン。ちょうど良かった。アゾレム領内を見てきたけど、思った以上にひどい状態だよ。」「そうなの?」「うん。村々は誰も居なくなっているはずだったんだけどね。そこに、街から逃げ出した人たちが住み着いたり、よそから流れてきた人たちが住み着いて、野盗になったりしているよ。」「そうなんだね。追っ払ったり、吸収したりできそうなの?」「うん。簡単とは言わないけど、無理だとは思わないよ」「そうか、どうしたらいいと思う?」
「う~ん。女子供も多いからね。一つ一つ潰すのは面倒だから、全部にアゾレム街に集まってもらって、話をしてみたらどうかな?」「そうだね。それじゃ、呼びかけをお願いできる?」「了解。」
「イリメリ。アゾレム街はどんな感じなの?」「同じだよ。酷いものだよ。」「そうか・・・。」「何、何かあるの?」「ううん。取壊しだけど、領主の館や周辺は少し待ってね」「うん。別に・・・・あっそうだね。わかった。」
「それじゃ私は行くね。ミルがすぐに来ると思うよ」「うん。ありがとう。イリメリ。」
ニノサとサビニが死んでいるのは間違いないだろう。アゾレム街を広大な墓にするのもいいかと思ったが、そこで生活していた人たちには何の罪もない。(本当にないのか?領主の横暴を止めなかったんだぞ)うるさい。僕は、復讐はしないと決めた。(本当にいいのか?今ならなんだってできるんだぞ)うるさい。そんな事解っている。(力を使わないのがかっこいいとか思っているんじゃないのか?)そんな事はない。使うから力を求めたんだ。立花ウォルシャタ達に後悔させるために....。(本当にそれだけなのか?)うるさい。うるさい。僕は、僕だ。(そうだ、俺もお前だ。)解っている。解っているから黙っていろ。(殺したいんだろう?得た力を使いたいんだろう?いいぜ使おう。もう誰も逆らわない力を手にいれたんだからな。)違う。違う。違う。力は力だ。(あぁそうだ。力は力だ。我慢しなくていいんだぞ)我慢。僕は我慢しているのか?違う。違う。僕は、力も権力もなにもいらない。
「リン。リン。」「・・・あぁミル。」「よかった。リンがどっかに行ってしまった感じがしたんだよ」「うん。ありがとう。ミル。ミルにはいつも助けられるよ。」「ううん。それで、何か有ったの?」「あぁそうだ、ミル。マヤと一緒にアゾレム街とアゾレム男爵との面談に付き合って欲しいんだけどいいかな?」「いいけど、私でいいの?」「うん。マヤとミルの二人が居れば大丈夫だと思う。」「わかった、どっちから行く?」「そうだね。マヤが来たら、アゾレム男爵にお目にかかろうかと思っているよ。って、まだマヤに連絡していなかった。」「・・・・リン。いいよ。僕が連絡しておく。リンは準備だけしておいて、ね。」「わかった。ありがとう」
「エミール。」「・・・はい。」「やって欲しい事がある。ウィンザーと一緒に、アゾレム山脈の土をサラナとウーレンと見に行ってきて欲しいんだ。」「・・・かしこまりました」「うん。僕の勘が間違っていなければ、アゾレム山脈は一大果樹園になると思うんだよね。」「え”そうなのですか?」「う~ん。多分だけどね。それを調べて欲しいんだよ。あぁ後、イリメリはダメだな。ルナがいいかな。ルナにも一声かけて欲しい。」「はい。かしこまりました。」「もう一つ。これは、エミールに命令だね」「え、、、何でしょうか?」「僕ともう少しだけ距離を近くなってほしいな。」「言われている意味がわか「そんな事ないでしょ?ミルやタシアナ辺りから言われているでしょ?」・・・・。」「でも、リン様はリン様であって・・・。」「うん。それはいいよ。でも、”かしこまりました”なんていう夫婦はないよ。ね。徐々にでいいから、ね。」「はい。解りました。」「うん。徐々にでいいからね。」
エミールは解っているんだろう。今日は、僕とマヤにとって始まりの清算をする事が、ついて行けない事が悔しいのだろう。だから、余計に一線引いた対応をしたのだろう。今日だけはエミールやイリメリには悪いとは思うけど、僕とマヤで対応しなければならない。そこには、僕の心を助け出してくれた、ミルに立ち会ってもらう。
「リン。」「マヤ。ゴメンね。大丈夫だったの?」「うん。大丈夫だよ。それよりも、状況だけ教えて、最近、ニンフ達と神殿の調整をしていたから....知らない事も多いと思うからね」「あぁゴメン。任せっきりだったね。」「ううん。それはいいんだけど、元々私達の仕事をリンが代行していただけだからね。」
「そうか、それじゃ時間もないし本題に入るよ。」「うん。」「アゾレム男爵を捕まえているんだよ。」「それは知っている。」「アゾレム領も僕の領地になったんだよ。それで、そろそろ、いろいろアゾレム領主との事を終わらせようと思ってね」「そうかぁ、それで、僕とミルとリンで行くんだね。」「そ、ニノサの馬鹿は別にどうでもいいけど、サビニだけはしっかりしておきたいからね。」「そうだね。二人とも待っていると思うよ。」「うん。マヤ探せないの?」「う~ん。やってみた事があるけど、大体の位置は解るけど、それ以上はなんか妨害されている見たいでわからないんだよね。」「そうか・・・・。まぁいいか。アゾレム男爵にお聞きすればいいんだからね。」「話さなかったら?」「ん?ミル。僕は、”お聞きする”と言ったんだよ。そりゃぁ”話すまで待つ”だけだよ。」「そうなんだね。早めに話してくれるといいね。アゾレム男爵の為にも」「そうだね。僕は神を信じないけど、彼が信じている神に祈るとするよ。アゾレム男爵が全部さっさと話してくれる事をね。」
それから、アッシュを呼んで、アゾレム男爵がどこに居るのかを聞いた。マガラ神殿のギルド層の監獄に入れているという事なので、3人で転移した。監獄の見張りは眷属がしている。
「マヤ様。リン様。ミル様。今日はどのような?」「あぁいいよ。アゾレム男爵に用事があって来ただけだからね。って今、監獄の中は彼だけだよね?」「あっ・・・いえ。」「そうなの?」「はい。アゾレム領主は一番奥の監獄なのですが、手前には、盗みを働いたりした者が入っております。」「あぁそうかぁ忘れていた。罪状が確定するまでは、ここに入れておいて、その後で、釈放されるか、イスラ街の住民になるか、監獄の中で過ごしてもらうのか決めているんだったね」「はい。そうです。それでどういたしましょうか?」「ん?あぁそうか、面談の場所って意味だね」「はい。そうです。監獄の中でも良いのですが、少々、マヤ様やリン様やミル様をお通しする場所ではないと思いますので・・・。」「そうか、それなら、マガラ神殿の迷宮ダンジョンの32階に部屋を作るから連れてきて。連れてきてくれるかな?」「かしこまりました。あっ私は転移が出来ないのですが・・・。」「ん。いいよ。マヤが居るし、転移門トランスポートを繋いでおくよ。」「かしこまりました。」
「ねぇリン。32階に隔離した空間を作るの?」「うん。そう、面談するにはちょうどいいでしょ?」「そうだね。逃げても、あそこから逃げられないだろうからね。」「うん。僕達でもない限り難しいでしょ?」「そうだね。」
一度、管理部屋に転移してから、32階の端っこに空間を作って、そこに扉を作った。部屋の中は殺風景にしてある。多分、今後も使うことになるだろう。
部屋が出来て、32階に移動した。殺風景の部屋の中に、転移門トランスポートを設置してある。
部屋で待っていると、先程の眷属が、アゾレム男爵を連れてきた。連れてこられた、アゾレムは身奇麗にはしていたが、男爵の頃の様な感じは一切なくなっている。ただの罪人に成り下がっている。背を丸め、上目遣いで見る感じがこいつの本性なのだろう。なんか、いろいろ馬鹿らしく思えてきた。
「パルティード=ゼフィール・フォン・アゾレム。お前に、聞きたい事がある。」「・・・・。」「ニノサ=フリークス・テルメンとサビニ=フリークス・テルメンはどこに居る?」「・・・・。儂は悪くない。ウォルシャタが勝手にやったことだ。」「パルティード=ゼフィール・フォン・アゾレム。もう一度だけ聞く。ニノサ=フリークスとサビニ=フリークス。サビナーニ=テルメン・フォン・トリーアはどこに居る?」「・・・・。」
「わかった。いうつもりはないという事だな。それでは、お前に価値があるとは思えない。」「何を・・・。」「あぁ殺すのも面倒だからな。お前の元領民で、お前の命令で家族を殺された者に、お前を預ける事にするか?どうマヤ?」「いいんじゃない。ねぇミル。隷属の首輪まだある?」「ん。あるよ。持ってきているよ。」「その首輪。僕にくれない?」「いいよ。マヤに上げるけど、この首輪。魔法を封じて、主人に逆らうと殺しちゃう物だけどいいの?」「いいよ。別に、僕としては、何も話さない。パルティード=ゼフィール・フォン・アゾレムに価値を見いだせないからね。それなら恨みを持つ領民がこき使う方が有意義だし、その結果死んでしまっても困らないからな。」「そうだね。」「ねぇリン。それから、顔を潰して、舌を抜いて、下半身も使えなくしてから、渡したほうがいいんじゃないのか?」「あぁそうだね。僕達のストレスのはけ口にもなってもらってもいいかもな。」「あっそう言えば、ミル。剣や魔法の試し打ちが必要なら、パルティード=ゼフィール・フォン・アゾレムを使ってもいいよ」「人形よりも、実戦形式でいいと思うよ。刃こぼれの確認もできるからね。」
「あぁぁあぁぁ。リン=フリークス。お前のせいで、お前さえ、お前さえ居なければ・・・。」「ようやく、話ができそうだな。パルティード=ゼフィール・フォン・アゾレム。」「お前が、全部。お前たちが全部悪いんだ。儂は何も悪くない。そうだ、宰相に騙されたんだ。ブォーノとかいう餓鬼に騙されたんだ。儂は儂は悪くない。」「最後だ、パルティード=ゼフィール・フォン・アゾレム。ニノサとサビニはどこに居る?」
「・・・・死んだ。」「死んだ?違うだろう。パルティード=ゼフィール・フォン・アゾレム!!」「あぁぁ。あいつらさえ。アイツが裏切らなければ・・・。」「どういう事だ?」「ブラウンの奴らが、あいつらに資料を渡したりしなければ・・・。そうだ、儂は悪くない。ゴーチエが、ブラウンを殺したのが全部悪いんだ。」
「リン。ブラウンって・・・。」「あぁそうだね。タシアナの両親だよ。」
「パルティード=ゼフィール・フォン・アゾレム!ブラウン夫妻とニノサとサビニはどこに居る?」「ティロンの息子とブォーノとかいう流しの商人とゴーチエの息子が、地下牢に連れて行った。本当だ、儂は知らない。儂じゃない。儂は悪くない。」「あ”ぁぁ!ニノサがそんな簡単に捕まるわけはないだろう?どうやって、連れて行った?」「・・・・・。ブラウン夫妻の件で話があると呼び出して、地下牢に連れて行った。」「お前が指示したのか?パルティード=ゼフィール・フォン・アゾレム!!」「違う。違う。儂は知らない。本当なんだ。後で聞いたんだ。本当だ。信じてくれ。」
「誰が指示したんだ!」「本当に知らないんだ。儂はただ書類を取り戻せと言っただけだ。」「僕とマヤを殺せと言ったのもお前か?」「違う。リン=フリークスよマヤ=フリークスを殺せなんて言っていない。書類を持っていたら奪えと言っただけだ・・・・。儂は悪くない。書類を持ち出したあいつらが悪いんだ。」「マガラ渓谷に落とすように言ったのはお前なのか?」「・・・・違う。儂じゃない。儂は、儂は、なんにも悪くない。」
「地下牢はどこにある?」「??屋敷にある。」「屋敷のどこだ?」「屋敷の地下貯蔵庫から行けるようになっている。」「マヤ。ミル。どうなの?」「う~ん。中に入っていないからわからないけど、認識阻害でもしているのか解らないよ」「なっお前たち。儂の屋敷に入ったのか?」「あぁそうだな。だが安心しろ、もうお前の屋敷じゃない。お前は、貴族ではなく、ただの罪人なんだからな。安心して・・・・死ね。僕が、お前の領地をしっかり繁栄させてやるからな。」「・・・・儂は・・・・。」「あぁそうだ、お前は道を踏み外した、ただの罪人だ。」「儂は、アゾレム男爵。そうだ、儂は、男爵だ。」「違う。お前は、罪人だ。もう男爵でもなければ、領主でもない。誰も、お前のことなんて頼りにしていないし、お前を敬う事もない。お前は、ただの一人の罪人でしかない」「違う。違う。儂は、アゾレム領の領主で、男爵だ。」「そうか、それなら、それでいい。そんな幻想をいだきながら死ね。殺すのも面倒だ、魔物巣窟にもで放り込んでおけばいいだろう。」
「・・・・。いやだ、死にたくない。死にたくない。死にたくない」「そうだろう、ニノサもサビにも、ブラウン夫妻もそう思っていただろうな。お前に殺された者もそう思っていただろうな。」「儂じゃない。儂は殺せなんて言っていない。」「そうか、それじゃ誰が殺したんだ?」「儂じゃない。儂じゃない。ウォルシャタの所に居る奴らが殺したんだ。そうだ、奴らだ、奴らがいい出したんだ。」「どういう事だ?」「あぁぁぁ儂じゃない。ゴーチエが言ったんだ。ブラウン夫妻を殺せばいいっと・・・。」「あぁ?ゴーチエ・・・・。父親か?」「ゴーチエの奴が言ったんだ。ブラウン夫妻を殺せばいいと・・・。」「何年前の話だ?」「・・・。10年位前になる。ゴーチエは宰相から・・・・そうだ、宰相閣下に頼めばいいんだ。そうしたら、リン=フリークス、お前ごとき成り上がり者が許されるわけがない。そうだ、宰相閣下はどこに、助けてください。」「あぁウルコス殿か?」「そうだ、宰相閣下だ」「残念だったな。ウルコス殿は、宰相を辞任されたぞ。お前が始めた投資詐欺の責任を取ってな。お前がウルコス殿を追い詰めたんだ。お前の責任で、宰相を辞めたんだ。」「儂は悪くない。そうだ、ウォルシャタが全部悪いんだ。アイツがしっかり採掘をしていれば、こんな事にならなかったんだ。全部、アイツが、イアン・ブォーノが悪いんだ。儂は悪くない。」「パルティード=ゼフィール・フォン・アゾレム。10年前に、ブラウン夫妻をお前が殺したのか?」「違う儂じゃない。ゴーチエが、二人を捕えてきて、抵抗できなくして、殺したんだ。儂じゃない。ゴーチエが勝手にやったことだ。悪いのは、ゴーチエだ。殺したのは、ゴーチエの息子だ。3歳になったばかりの息子が殺していた。だから、悪いのは儂じゃない。ゴーチエが全部悪いんだ。」「なっ・・・3歳の時に殺させていたのか?」「・・・・あぁぁそうだ、だから、儂じゃない。殺したのは、ロラ・ゴーチエだ。儂じゃない。」
「ブラウン夫妻の事は、ティロンは知っていたのか?」「・・・わからない。だが、ゴーチエが儂とゴーチエだけにしておくと言っていた。だから、儂は悪くない。」
「アゾレム山脈の採掘を指示したのもお前か?」「違う。イアン・ブォーノがいい出した。儂は、あの山にそんな鉱石があるとは知らなかった。本当だ。儂は騙されただけなんだ。儂も被害者なんだ」「あぁそうだな。でも、お前は加害者だ。お前が責任を取らないから、宰相が、ウルコス殿が責任を取ったんだ。お前が宰相を追い詰めたのだ。」「・・・・あぁぁぁぁあぁぁぁ」
「リン。これ以上は、有意義な話は難しそうだね。」「どうするの?殺す?」
「ひぃ・・・殺さないでくれ。儂は悪くないんだ。そうだ、そうだ、リン=フリークス侯爵閣下。儂は、貴方に忠誠を誓います。儂の領地を貴方に差し上げます。だから、だから、儂を儂を助けてくれ。なんで、儂が殺されなきゃならないんだ。儂は悪くない。儂は被害者なんだ。侯爵閣下。頼む。頼む。命だけは・・・・。」
「あんた馬鹿なの?リンがあんたを許しても、私達が許すとでも思ったの?それに、リンの言った事を忘れているよ。あんたはすでに男爵でも領主でもない。それこそ、貴族でもないんだよ。そんな人間が、”儂の領地”なんておこがましい。この場で自分で自分の首を跳ね飛ばして死になさい。最後くらい、リンの手と心を煩わせないでよ。」「ミル。貴女・・・。でも、僕も同じ考えだよ。パルティード=ゼフィール・フォン・アゾレム。貴方は、リンが殺す価値もない男。」
「儂が、何をした、儂は何もしていない。儂は悪くない。儂は、誰も・・・。儂は儂は儂は、悪くない。」「そうだ、お前は、何もしていない。それがお前の罪だ。ブラウン夫妻をゴーチエが捕えてきた時に、話をして殺させなければよかったのだ、投資詐欺も詐欺にならないようにする事はできたのだ、そして、ニノサとサビニの時にも同じだ、お前は何もしなかったんだ。パルティード=ゼフィール・フォン・アゾレム。だから、お前はここに居るんだ罪人として・・・・。」「パルティード=ゼフィール・フォン・アゾレム。。ニノサとサビニを殺したのだ誰だ?お前なのか?」「儂じゃない。儂は殺していない。」「それじゃだれだ?」「マニュエルとか言う奴とドワイトの所の次男だ。奴らが、殺した。」「本当だな?誰が命じた?お前か?パルティード=ゼフィール・フォン・アゾレム。」「ちっ違う。儂は命じていない。吐かせろとは言ったが、殺すなんて思っていなかった。書類さえ戻ってくればよかったんだ。」「やはり、お前が殺しんだな。」「ちっ違う。ウォルシャタとイアン・ブォーノが殺してから奪えばいいといい出したんだ。」「なぜ止めなかった?それがお前の罪だ。」「・・・・なっ儂が悪いのか?儂は何もしていない。」
「ねぇリン。この男どうするの?」「そうだね。殺す価値はないけど、僕達の手元におておいても使いみちは魔物の餌だけど、こんな奴食べると体調悪くなりそうだからな。」「そうだね。ねぇリン。此奴、寄親の所に届けない?この前みたいにしてさぁ」「あぁそれがいいかな?」
「喜べ、パルティード=ゼフィール・フォン・アゾレム。お前を開放してやる。お前の寄親のルキウスの所に送り届けてやる。」「え?本当ですか?」「あぁ本当だ。ただ、お前には、ルキウスの恐怖心を煽る道具になってもらう。」
そう言って、僕は刀を抜いて、奴の左腕の肘より先と左足の膝より先を切り落とした。同時に、マヤも短剣で右腕と右足を切り落とした。「なっぎゃぁあぁぁぁあぁ」「うるさいな。腕と足を切られたくらいで...ミル頼む。」「了解。」
ミルが止血を行った。「あぁこれでいいかな。演出的には、そうだな。」
入るくらいの箱を作成して、その中に、パルティード=ゼフィール・フォン・アゾレムを入れて、溺れない程度に生理食塩水で満たした。そこに、切断した腕と足を入れておく。何か喚いているのがうるさいから喉も潰しておく。生理食塩水の中にポーションも浮かべて置いた、後は、死なないように空気穴を開けた箱を輸送すればいい。一応、ポーションの利用方法もわかりやすく書いておいてあげよう。
準備が出来た所で、カエサルを召喚した。「カエサル。この荷物を、ルキウスの所に届けてほしい。」「かしこまりました。どのような方法で届けましょうか?」「そうだな。ルキウスは今アドゥナ伯爵の所に居るだろうから、やつが寝泊まりしている場所に直接届けてやってほしい。アゾレムも安心するだろうからな」「はっ。行ってまいります。何人か眷属を連れて行きますがよろしいですか?」「うん。いいよ。絶対に帰ってくるんだよ。」「勿論です。それでは行ってきます。」
カエサルが、荷物を持って出ていった。グリフォンで荷物を抱えていくようだ。
「良かったの?」「ん?何が?」「生かして相手に渡して・・・。」「いいと思うよ。多分、ルキウスの所にも、ヴァズレから僕のポーションの話が言っているだろうし、今、アゾレムに生きていて貰うのは、僕ら以上に彼らのほうが問題を抱えるからね。」「そうなの?」「うん。それに、ウォルシャタ達も居るようだからね。盛大な親子喧嘩になるかも知れないからね。」「あぁそうか....ウォルシャタ達が予想以上にクズだって事を、アゾレムがいうのかもしれないって事だね。」「うんうん。多分、そうはならないと思うけどね。」「ん?仲直りするって事じゃないよね?」「マヤ。違うよ。リンは、立花ウォルシャタに親殺しをさせるつもりなんだよ。」「・・・そうか、ウォルシャタ達が自分たちを高く売り込むには、邪魔なんだね。アゾレムが・・・。」「そう。それに、今、アゾレムが言った話をかわら版にまとめて公表するよ。」
「それに、今の話から、誰を最初に捕らえるべきなのかが解ってきたからね。」「あぁ」「細田イアンをターゲットにする。知恵袋とまでは行かないまでもある程度の情報を握っているのは奴っぽいからな。もしかしたら、地球での事も知っているかもしれない。」「そうだね。それに、西沢ゴーチエだね。」「あぁまずは、その二人をターゲットにしよう。後は、事情を知っていそうな。三塚マニュエル辺りだな。」
「さて、マヤ。ミル。ありがとう。」「ううん。いいよ。」「僕も話が聞きたかったしいいよ」「うん。それじゃ、アゾレム領を併呑して、開拓を始めよう。」
「「おおぉ」」「ブラウン夫妻を探すついでに、ニノサとサビニも探すことにしよう。」「「了解!!」」
その後、3人でアゾレム街に転移してから、アゾレムの屋敷を探す事にした。隠し通路は簡単に見つかった、隠し通路は屋敷の奥に伸びるような形になっている。途中で分かれている道を右側から風が流れているので、地上につながっているのだろう。3人で通路を左に行くと、そこには牢屋というには、お粗末な部屋がある。ドアには鍵がかかっていて、魔道具で封印されているのがわかる。認識阻害もされているようだが、僕やマヤだけではなく、ミルにも目視さえしてしまえば感じ取れるようになる程度のものだった。結界で守られている状態で、結界に認識阻害がつけられていたので、結界を破った時点で認識阻害も効かなくなっていた。
ドアを開けて、中に入ると、なんとも言えない空気感がある。それはすぐに解った。部屋の隅にもののように固まっているのが、人間の骨だということが・・・。そして、薄汚れて破れた服がニノサがよくつけていた革鎧である事も解る。そして、ニノサの鎧の下に。サビニがつけていたローブがあった。ニノサの背中からサビニの左胸に向けて、服が破れているのが解る。”背中から”ニノサをサビニごと刺したのか?
「おい。ニノサ。迎えに来たぞ。帰ろう。マヤも一緒だ。ミル。ニノサとサビニだ。僕の大切な父さんと母さんだ。」「はじめまして、お父様。お母様。リンから二人の事は聞いています。」「ニノサ。サビニ。ここじゃ寒いし、まだまだあって欲しい大切な人たちが居るんだ。遅くなった事は謝るから、いい加減に返事してくれよ」「・・・・。」「・・・・。リン。二人もだけど、タシアナのご両親も一緒に居るはずだよ。」「あぁそうだった、ニノサ。ブラウン夫妻の事は知っているよな。今、ブラウン夫妻の娘さんもミルと一緒で僕の婚約者なんだよ。僕も偉くなっただろう。ブラウン夫妻も連れて帰りたいんだけど、どこに居るか解るか?」
返事はない。有る訳が無い事位解っている。でも、ニノサならなんか教えてくれるんじゃないかと思ってしまう。
一歩前に踏み出して、ニノサの服に手が触れそうになった時に、一筋の風が吹き込んだ。そこには、風は通るはずがない。奥の部屋。だけど、それは確かに、頬を撫でる風が通り過ぎた。
そして、その先の箱の蓋が微かに揺れた。
「ニノサ。ありがとう。あそこに、ブラウン夫妻が居るんだね。」「・・・」「・・・・リン。何か有ったの?」「うん。ニノサが教えてくれたんだよ。」「そうだね」「リン。あの箱?」「そうみたいだよ。違ったら、ニノサに文句をいうだけだからね。」
箱に近づいて、蓋を開けた。そこには、無造作に押し込められた骨と衣類だけが入っていた。
「ニノサ。タシアナのご両親なんだね。」「・・・・」
誰も答えるわけがない。解っている。解っているが・・・。「はじめまして、リン=フリークス・アルセイド・ド・テルメンといいます。タシアナ=エルンスト・ブラウンの婚約者です。ご挨拶が遅れまして、そして、お迎えが遅くなった事を心からお詫び申し上げます。何卒お許しをいただければと思います。そして、タシアナ=エルンスト・ブラウンとの婚約に関してお許しをいただければと思います。」
箱に向かって深々と頭を下げる。
「マヤ。ミル。お二人とニノサとサビニを連れ帰るぞ。どこがいいのか考えたけど、ポルタの村がいいかなと思うけどどうだろう?」「うん。僕は、それでいいと思う。ブラウン夫妻には初めてかも知れないけど、パパとママが居れば大丈夫だろうからね。」「うん。僕は、リンが安心できる場所ならいいと思う」「解った二人共ありがとう。案内してくれるかな?僕は、少し、やることをやってから、ポルタの村跡地に向かうね。マヤ。僕達の家で落ち合うでいいよね?」「うん。わかった。」「ねぇリン。タシアナは勿論だけど、サリーカやルナやフェムやイリメリやアデレードを呼ばないとダメだよ。他にもエミールとかもね。みんな、ニノサさんとサビニさんに挨拶をしたいはずだからね。」「あぁそうだね。落ち着いてからと思ったけど、そこから始めるのもいいだろうな。悪いけど、お願いできるかな?」「うん。みんなを集めておくね。」「ねぇリン。」「マヤどうした?」「大丈夫だよね?」「うん。大丈夫だよ。少しだけ確認したい事とやっておきたい事があるだけだからね。」「それならいい。待っているね。」
二人は、ブラウン夫婦とニノサとサビニを連れて、転移していった。僕は、残って、アゾレムの屋敷の中を散策してから向かう事にした。後、僕にとって価値があるものがないか探してから、ドアや門を破壊しておいた。さぁポルタの村に戻ろう。
僕とマヤが育った村に、そして全てが始まった村に戻ろう。

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