【旧】チート能力を持った高校生の生き残りをかけた長く短い七日間

北きつね

小さく大きな火種

皆が駆け寄ってくるのが見える。オイゲンも来たようだ
「リン。大丈夫だったのか?」「あぁ大丈夫だよ。」
オイゲンは、ミルが腕を回しているのをしっかり見てから「そのようだな。それで奴等は?」「あぁヴァズレの所のやつだったから、丁重にカエサルに送らせたよ。」「いいのか?」「あぁ多分、奴等はもう逆らわないだろうからね。」「本当か?」「あぁ聞きた「リン。オイゲン。辞めておいたほうがいい。」いか?何でよミル。」「オイゲン、話を聞きたければ、オイゲンだけにしておいたほうがいい。」「R15?」「ううん。R18でも生ぬるいくらい。」「そうか、解った。聞かないが、帰したのは本当なんだろう?」「うん。僕もそれは見ているから帰した。でも、多分、あれ何か狙いがあるはず、でしょ?リン。」
「狙いってほどのものは無いけどね。部位欠損が治る様なポーションをもたせたからね。全員治せるくらいにはね。」「え?優しいな?お前。」「優しい?僕には、そうは思えないよ」「ミルは、なんとなく解るんだろう?」「うん。多分、獅子身中の虫?」「うん。そこまで奴等は優秀じゃないよ。でも、近いかな。」「ん?どういう事だ?」「オイゲン。少しは歴史を思い出せよ。故事で習っただろう?」「そんな事言うなよ。もう14年以上前の話だろ忘れたよ。」「おいおい。14年はないだろう?1年前が正しいだろう?」「二人共、いい加減にしたほうがいいよ。」
『リン。メルナの方は片付いたよ。』「イリメリが、メルナの方も終わったって」『ありがとう。どうだったの?』『従業員の皆さんは、武装した集団が見えたから咄嗟に隠れたって事で、全員無事だよ。』『そうか、よかった。お疲れ様。』『ううん。それはいいんだけど、さっきカエサルが馬車を走らせていったけど、あれって....』『中見た?』『もちろん。リン。大丈夫。』『うん。大丈夫だよ。』『ちょっと待ってね。従業員は歩いて戻るってことだけど、私はすぐにそっちに行くから説明してよね。』『わかった。』
「イリメリが戻ってくるって言うから、それからだね。丁度いいタイミングだったよ」
イリメリは転移してきた。「リン。それで、あれは何だったの?」「あぁこの街を襲ってきた、ヴァズレ男爵の所の守備隊のようだよ。前に、ゴルドのエルフの里を襲った奴等だよ」「・・・そうか、それならしょうがないね。殺さなかったんだね。」「うん。殺したらそれで終わりだからね。」「まぁたしかにね。それに、なんかカエサルが楽しそうにしていたから、それだけじゃないんでしょ?」
これまで説明した事を、イリメリに話をした「はぁぁそういうことね。よくもまぁそんな事を思いつくわね。」「そんな褒めてもなんにも出ないよ。」「褒めてないよ。」「なぁイリメリもミルもリンがやった事が解るのか?俺にはさっぱりだよ。」「エルフリーデは解る?」「なんとなくですが・・・・。」「そうか、説明した方がいい?」
オイゲンとエルフリーデが”こくん”と首を縦に振った。「しょうがないな。オイゲン、今までの話から、ヴァズレはかなり強欲だって事が解るよな?」「あぁそうだな。」「そんな人間が、部位欠損が治るポーションを部下が持ってきたらどうすると思う?それがあれば部下全員が治るとしたらな」「・・・・部下に使うんじゃないか?」「オイゲン様。それはないと思います。一人か二人位には使うかもしれませんが、殆どは、深から取り上げると思います。」「あぁそうかぁそうかぁジャイアンだな。」「うん。そうだな。俺の物は俺の物。お前の物も俺の物ってな。そんな奴だから、自分様に残しておいて、後は上位者に貢物として送るんじゃないかな?」「・・・有り得そうだな。」「そこまでは、わかったのですが、それでは、ヴァズレ家に手土産を渡した事にしかならないので、何かしているとは思うのですが....。」
「何簡単な事だよ。そのポーションは、その守備隊にしか効かないようにしただけだよ。」「え?そんな事が?」「うん。そんなに難しい事じゃないんだよ。」「そうなんですね。」「それに、最初に試すなら、隊長や副隊長みたいにある程度の地位の人間だと思うんだよね。」「そうですね」「そんな人が、本来なら部下に使われるべきポーションを領主が搾取したらどう思うだろうね。」「・・・・。」「唯々諾々として従うか、反感な心をもつかでしょ。」「そうなりますね。」「ポーションは自分たちの為の物で、散々心を折られた後で更に、領主から心無い言葉や無慈悲な行いを受けたらどうなるかな。楽しいと思わない?」「悪魔の所業だな。」「オイゲン様。もう少し言葉を選んだほうがよろしいかと・・・。」「エルもそう思うだろう?」「・・・多少は・・・・。」「おい。リン。そこまでしているのなら、ポーションの細工もそれだけじゃないんだろう?」「ううん。基本的には、”今の彼ら”にしか意味が無いものになっているだけだよ。」「あ?意味がわからないぞ」「リン。もしかして、過剰ヒールになるの?」「おぉ当り!さすがは、ミルだね。」「えっへん!!」「なんか、ミルがどんどん幼くなっていく。そっちが貴女の素なの?」「僕は僕だよ。でも、皆との差別化は必要だからね。」「あぁもういいわよ。それで、リン。過剰ヒールって何?」「回復魔法ってどういう原理か解る?」「え?考えたこともなかった。」「俺もだ」「私も。」
「なんだぁみんな考えもしなかったの?」「そんな事考えるのは、リン位だよ。」「全く。」「そうか....回復魔法は、白魔法の回復と古代魔法の回復では作用が違うんだけどね。白魔法の方は、体力を増やす事に主眼を置いている。だから、部位欠損が発生した場合には治す事が出来ない。単純に数値の問題だからね。古代魔法は、身体の傷ついた組織を治す魔法なんだよ。だから、高いレベルの物を使えば、一瞬で手足がもとに戻ったかのように錯覚するけど、本来の治癒能力に働きかけて、治していく。」「ん?まてよ、リン。それじゃ、部位欠損は細胞を一瞬で蘇らせているってことか?」「近いね。例えば、指を切断してしまった時に、切断面は切断面に接していた細胞を復元する。それを一瞬で行っているだけだからね。だから、細胞の記憶が鮮明な間なら問題なく復元されるが、そうじゃなくなった時には、元の状態に戻る保証はない。」「へぇそうなんだ。どのくらい記憶されているもんなんだ?」「さぁ人体実験してみないとわからないな。」「・・・止めておこう。」「あぁでも、1ヶ月や二ヶ月位じゃ大丈夫だぞ。なんとなくの感じで言うと、数年位は大丈夫だと思う。」「そうなんだな。あぁ話を戻してくれ」「そうだな。そんな感じで回復魔法は部位欠損を治すんだけど、もしそんな危険な物を、普通のポーションと同じように、飲んでしまったらどうなるんだろうね?」「あっ・・・・すまん。リン。考えたくない。」「そうでしょ。少なくても、まぁそうなるってわけなんだよ。」
「リン。本当に・・・。」「あぁでも、ヴァズレが全部を守備隊に使ってくれれば問題無いんだよ。その為に渡したんだからね。」
なんとなく、皆の顔が残念な人間を見るような感じになっている。イリメリとミルとオイゲンとエルフリーデがグリフォンに乗って、周りを探索する事になった。この場は4人に任せて、ニグラ支部に戻る事にした。
ニグラ支部の執務室に戻ると、エミールが戻ってきていた。アッシュにエスト街の事を伝えるために、呼んできてもらう事にした。
エミールがアッシュを連れて戻ってきた「リン様。ちょうど良かった。ご報告があります。」「ん?どうした?緊急?」「そうですね。緊急って言えば緊急ですが、もう大丈夫です。」「要領を得ないけど、まぁいい。先に、こっちの事を話すね」「はい。」「エミールも聞いておいて」「はい。」
エスト街のでの事を一通り話た、守備隊への事もこっちでは隠さずに話をした。多少横道にはそれたが把握してくれたようだ。
「リン様。ヴァズレへの監視を強化しますか?」「いいよ。今の状態でね。3名張り付いているんでしょ?」「はい。」「それなら大丈夫だと思うよ。」「かしこまりました。」「それでアッシュは何があったの?」「はい。それではこれを御覧ください。」
アッシュは、一つの映像珠を取り出した。エミールに渡して、執務室に備え付けてある映写機にセットする。最初は誰かが持って再生していたけど、効率が悪いので、映写機を作成してみた。プロジェクターみたいな感じで壁に投影する事ができるので、意外と評判がいい。
★☆★☆★☆★☆「誰か居ないのか?」
アゾレムの領主は誰も居ない屋敷の中で喚きながら歩き回っている。足下がおぼつかないのは、酒精が廻っているのだろう。
「おい。アルド。ティロン。誰でもいいいないのか?」
アッシュの話では屋敷にはもう人は残っていないと言う。街にも殆ど人が居ない。廃墟の様に静かな様子だ。
誰かが、屋敷のドアを叩く音がする。領主は、おぼつかない足取りで、屋敷の入り口まで行く。何度も何度も叩かれるドアの音に悪態をつきながら移動している。
「だれだ?うるさい」
そう言って、開けたドアの外には、正装した王家からの使いの者が立っていた。「パルティード=ゼフィール・フォン・アゾレム殿。御前会議への参加要請書です。必ず出席されるようお願いいたします。」「あ”ぁ」「ローザス殿下から、パルティード=ゼフィール・フォン・アゾレム殿には聞きたい事が山ほどあるので、絶対に出席するようにとおっしゃっております」「ローザス?小僧の味方か?そんな事を俺が聞かなきゃならんいわれはない。」「パルティード=ゼフィール・フォン・アゾレム殿それは、反逆と捉えてよろしいのか?」「反逆?そんな訳無いだろう?俺には宰相がついているんだ。宰相に言えば、お前ごときすぐに牢獄おくりだ」「その宰相からも書状が届いております。」「宰相から?アルドはうまく出来たのか?よこせ!!」「これになります。パルティード=ゼフィール・フォン・アゾレム殿確かにお渡しいたしました。それでは、御前会議へのご出席お願いいたします。」「あぁ解った解った。さっさと帰って、ローザスに言っておけ、お前なんて宰相がなんとかしてくれるってな」「一言付け加えておきます。その宰相は、次の御前会議から半年間の休養に入られて、その間の職責は停止する事になります。」「なっ!そんなバカな.....。」「それでは、私はこれで、ごぜん失礼いたします。」
使者が踵を返して行く。それを呆然と見送る形になった、アゾレム領主は、渡された書簡を無作法に封を破いて、中を取り出した。
なんて書いてあるのかは、映像珠からは見えないが、僕が宰相にお願いした文章の通りなんだと思う。エミールに簡単に説明する為に、要約した『おまえふざけんなよ。採掘なんてしていないだろう?レインも、マノーラ侯爵が全部建て替えてくれたぞ。お前がやった事は、儂を騙し、領民を騙し、王国を騙したのだ。男爵を剥奪するのは勿論だが、過去に遡ってアゾレムの功績に泥を塗る行為だ。だが、安心しろ。ウォルシャタには違う場所でアゾレムを別家として男爵にする事にした。お前は安心して裁きを受けろ。陛下とローザス殿下にお願いして、貴族として苦しまない最後にしてやる。』となっているはずである。読んだアゾレムの顔色が一気に変わって、酒精も吹っ飛んだみたいな状態だから、宰相の文章は僕の注文通りに書いてくれたようだ。
それから、領主の動きは早かった。書斎にしている部屋の机から、隠していた宝石の類を袋に詰め込んでいる。他にも、持てるだけのレインを入れているように見える。後は、書類も何かを袋に詰め込んでいるのが見える。
あらかた屋敷の中にある価値のありそうな物で持ち運べそうな物を袋に詰めて、逃げ出すようだ。貴族の嗜みは持っているようで、馬にも一応は乗れるようだ。裏に繋がれていた馬に跨って、領内をニグラとは反対方向に逃げ始めた。
やはり、マカ王国の方に逃げるようだ。
街から出た所で映像は終わっていた
★☆★☆★☆★☆
「アッシュ。それで奴は今どのあたりなんだ?」「そろそろ、国境の街シャルムに着く頃です。」「そうか、丁重に捕えて、気を失ってもらって、もう一度、アゾレム街の屋敷で目覚めてもらって」「・・・・かしこまりました。」「宰相からの手紙は、しっかり手に握らせておいてあげてね。次は、屋敷から出ようとした時に、捕えて同じことをしてあげて。4~5回やればいいからね。」「・・・・。気が付かれたらどうしましょうか?」「ん?気がついて、どうにかなる物じゃないと思うよ。」「・・・たしかに?」「そうだね。僕の名前をしっかり言えたら、終わらせて、マガラ神殿のギルド層にある。監獄に入れておいて、死なないようにしておいてくれればいいからね。」「かしこまりました。」「あぁそうだ、そうだ、アッシュ。アゾレムの領主が逃げ出した事を、宰相に伝えて、捕えたかどうかは言葉を濁すようにしておいてね。」「はい。」
アゾレムの件はこれでいい。ヴァズレは、守備隊の体調次第だが、僕の予想が間違っていなければ、内乱に発展するか、少なくても、謀反は発生するだろう。
動くのはそれからでいい。時間的なアドバンテージはこちら側にある。
「アッシュ。ティロンの話が書かれたかわら版はそろそろなのか?」「あっはい。来週には配布できると思います」「そうか、紙面に余裕があるのなら、ミヤナック家襲撃の話とエスト街襲撃の話も乗せて置いてくれると助かる。」「かしこまりました。」「リン様。その二つは、通常のかわら版ではなくて、特別版として出したらどうでしょうか?」「ん?エミール。どういう事?」「あっはい。通常のかわら版の方はじっくり読むのにいいのですが、言葉が難しかったりするので、読めない人も多いです。確かに、投資詐欺の件や御前会議での一幕は大事ですが、今回の二つに比べたら過去の話です。」「うん。そうだね。」「その二つだけで紙面を作って、それも簡単な言葉だけで、イリメリ姉やフェム姉から聞いたのですが、”新聞”と言う物には”写真”呼ばれる精密な絵が書かれていたと聞きます。特別版でその”写真”を大量に使って、幼い子でも解るようにしてみてはどうでしょうか?」
エミールの言う事は筋が通っているが、”写真”はまだ作っていないからな。活版印刷の今の限界に挑戦してみるのもいいかもしれないな。
「だって、アッシュどうする?」「私もそれがよろしいかと思います。」「ん。それじゃあっしゅ。イリメリとミルが戻ってきたら二人に相談して”かわら版特別号【ミヤナック家襲撃事件】【エスト街襲撃事件】”を作ってくれ。こっちの方を大量に作って、多くばらまくようにしてね。あぁデカデカと奴等に届くように【王家に弓引く逆賊だ】って書いてあげて」「かしこまりました。」
逆賊か・・・。プライドだけは高い奴等が聞いたら怒るだろうな。さて、立花ウォルシャタ達が逆賊に合流するように仕向けないとな。
今日は、もう何も発生しないかな。あるとしたら、アゾレム領主が思った以上に心が弱かった時くらいだろう。
『リン。少し手伝って?!』『どうしたの?魔道具の整備?』『うん。それもだけど、作っておきたいって言っていた物があるでしょ。あれに関してだよ』『解った。どこに居る?』『ん。今は、マガラ神殿のギルド層の4階だよ。』『了解!』
「エミール。タシアナが手伝って欲しい事があるって言うから、ギルド層の4階に行くから、何かあったらそこに連絡してね」「はい。かしこまりました。」
▲▽▲▽▲▽▲▽
「タシアナ。どうしたの?」「あのね。この前から条件付きの奴隷紋の発動の魔道具なんだけどね。条件によってだけど出来たよ」「ほぉ?条件って何が仕えるの?」「う~ん。誰かのステータスを見るとか特定の魔法に反応させる事はできるんだよね」「ふぅ~ん。そうなんだね。それって例えば、防御結界を破ったらとかでもできるの?」「それはできると思うよ。」「そうか、それなら使えそうだな。」「何に使うの?」「ん?たいした事じゃ無いんだけどね。立花ウォルシャタを捕えた時に、全ての魔法を封じたりスキルを封じたり出来ないかなって思ったんだよね。」「あぁそれなら今の物でも十分できると。多重にすればいいだけだからね。」「そうかぁそうか、古代魔法が使えないだろうから、何かしらの魔法が発現したら奴隷紋を付与しちゃえばいいんだね。」「そ。後は、奴隷紋の制限をどうするかだけだろうけど・・・。」「最大でいいんじゃない?」「そうだよね。」「うん。出来そう?」「うん。問題ないよ。」「とりあえず、試験的に作った物でいいから、一つ貰えると嬉しいな」「へ?いいけど、誰か捕まえたの?」「ううん。アゾレム領主が領民を捨てて逃げ出しているからね。御前会議の前だから、そろそろ心が折れる頃だから、奴隷紋をプレゼントしようかなって思ってね。」「あぁそうなんだね。」「うん」
タシアナから一つの魔道具を受け取って、ニグラ支部の執務室に戻った。
今日は何もなさそうなので、ギルドの職員に言って、宿屋に戻る事にした。
エスト街襲撃の翌日だが、今日も何も発生しないので、ミルとエミールと眷属たちで、マガラ神殿の迷宮ダンジョンに入る事にした。25階からスタートしてみた。その日は、宿屋にも戻らないで迷宮ダンジョンの中で過ごす事にした。カプセルハウスの中で休む事にした。翌日は、28階を踏破して、29階に到達した所で休む事にした。この位の難易度ならなんとか・・・・なりたての冒険者は無理だろうけど、ある程度の熟練なら到達して欲しいな。
「ねぇミル。何が問題だとおもう?」「急に言われてもね。エミールはどうおもう?」「やはりネックは、食料と休む場所だと思います。1体1体ならなんとか倒せるかもしれませんが、連続になると辛い物があると思います。」「そうか・・・僕達いは、カプセルハウスがあるからな・・・。」「そうですね。この結界を破られるのは、この辺りではほとんど居なくて、眷属でも上位種だけだと言う話ですので・・・。」「うん。やはり、カプセルハウスの廉価版を売り出すかな?」「はい。それがよろしいかと・・・。」「値段が問題だけどね。」「はい。いっその事、何かの景品にしてみてはどうでしょうか?」「ん?」「いえ、例えば、マガラ神殿ではない、他の神殿で例えば、ランパス神殿の難易度を下げたフロアの踏破者に渡すとか・・・・。」「う~ん。僕はいいんだけどね。アデレードとか、イリメリ辺りから反対されそうだよね。」「ねぇリン。それなら、マノーラ家主催の武闘大会でも開いて優勝者の賞品とかにすればいいんじゃないの?毎月いろんな部門で主催して、その賞品なら文句は出ないと思うよ。」「確かに、それならいいかも知れないな」「ね。帰ったら、アデレードとイリメリとサリーカ辺りに離して見ようよ。」「そうだね。」
夜は、そんな話をしてから休んでいた。翌日も30階を踏破して31階の始めくらいで休む事にした。全部を見て回らなければ、そこまで時間はかからないが、出会う魔物を全部を倒していたら時間がかかってしまった。29階からトリスタンも参戦している。ミル曰く、トリスタンはレベルも低いので、これから沢山上る見込みがあるのだという。
翌日には、31階を踏破して、32階の宿屋フロアに到達した。定期的にギルド関係者が清掃をしてくれているので、汚れている感じは無いが少しさびしい感じがするのは否めない。
32階まで来てこの先は、ボスフロアしかないので、僕達が行っても意味がないので、ニグラ支部に引き返す事にした。
ニグラ支部に戻ってきて、執務室に顔を出してから、一旦神殿に戻って、モルトに何か連絡が入っていないか確認した。大きな問題はなく、学校関係者や商人も徐々に増え始めているという事だ。特に、南方連合国サウスワード・コンドミニアムからの商人が多く買い付けて行くパターンが多いのだという。各神殿にも人が集まり始めている。詳細は今各神殿にあるギルドがまとめてくれているので、それが出てきてから一度話あいをする事になった。大使館や出島の機能も問題はないらしい。国同士のいざこざはあるが、そこはモルトやシュトライトが間に入ってうまく廻しているという。
島の方は暫くは大丈夫だという事だが、謁見依頼をいつまでも放置できないので、半年以内にはトリーア王国を必ず終わらせて欲しいと言われてしまった。それまでは、島の案内や特産物で間をもたせるの事になった。
島からニグラ支部に戻ると、アッシュが執務室に入ってきた。
「リン様。ヴァズレで反乱が起きました。また、貴族連合の街が領主が入ったと思われる街から門戸を閉じて、公然とミヤナック家とマノーラ家を討つと兵を募集しています。」「そうか、始まったか!」「はい。この情報は、ローザス殿下にもお伝えしますがよろしいですか?」「あぁローザスとハーレイにも教えてあげて欲しい。」「かしこまりました」
「あと、些事ですが、アゾレムの領主がやっと”リン=フリークス”の仕業だと気がついたので捕えて、監獄に入れてあります。」「あぁ解った。ありがとう。アッシュ」「いえ。それでは、ローザス殿下とハーレイ様にお伝えいたします。」「うん。任せる」
同時にとはならないようだね。到達した貴族から守備隊を増やして、自領内の守備隊の数を減らさないで、なんとかしたいって事だろうけど、そんな寄せ集めの兵力でなんとかなると思っているのかな?まぁいいかぁ僕達が有利な事には違いないからな。唯一心配な事があるとしたら、距離的な問題だけなんだよな。
「ミル。少し騒がしくなるけど、それが終わったら、今度は僕達の戦いになるんだけどね。立花ウォルシャタを追いつけていく作業も平行していくからね。協力してね」「もちろんだよ。リン。どこまでも一緒だよ。」「うん。ありがとう。」
エミールもウィンザーも眷属たちも、トリスタンも頷いている。
「うん。勝つ為の算段はしてある。後は、情報を集めて、勝ちに行こう。」

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