【旧】チート能力を持った高校生の生き残りをかけた長く短い七日間

北きつね

幕間 ウォルシャタ准男爵へ

ウォルシャタが准男爵になるようだ。儂の寄子にはなるようだが、与えられる領地が北方連合国ノーザン・コンドミニアム近くの国境の街シャルムになるようだ。あの辺りは街道沿いは、他の貴族の領地になっては居るが、一つの准男爵家を継ぐ形になるようだ。アゾレムの名は残されるようだが、今後はどうなるのかは解らない。宰相閣下が何をお考えなのか解らないが、アゾレムにはまだ未開の地が多く残されている。それらの開発をする事でも良かったと思うのだが、北方連合国ノーザン・コンドミニアムに何か動きがあったのやも知れん。
「旦那様。旦那様。大変です。」「ノック位せんか!」「あっはい。申し訳ございません。」「それでどうした?そんなに慌てて、ウォルシャタの事は聞いたぞ」「あっはい。それもなのですが.....」「どうした?はっきりせんか」「・・・はい。旦那様。お屋敷の宝物庫の中が空になっております。それだけではなく、警備兵の装備までもなくなっております。」「なっ何?!どういう事だ。」「それだけではなく、アゾレム領内の村々の領民が一人もいなくなっております。」「意味がわからん。しっかり説明しろ。」
「あっはい。宝物庫の中には、先々代から貯めておられましたミスリル製の武器や防具だけではなく、竜の素材で作られた防具なども有ったのですが、それらがなくなっております。」「確かめたのか?」「むろんです。」「鍵をかけてあったはずだな。」「はい。鍵は壊されていない状態でございました。」「どうやって確認したんだ?」「鍵は壊されていませんでしたが、扉が開けられていました。」「どうやって?」「鍵は旦那様だけがお持ちだったはず。」「あぁ確かに、持っておるぞ。常にな。」「何者かが侵入したかもしれません。」「そんな事が可能なのか?」「いや、内部の者かもしれん。」「儂とウォルシャタがニグラに言っている最中に、あいつらはどうしていた?」「あいつらとは?」「ウォルシャタが連れてきた者達だ。」「は、旦那様に言われまして、手練の者を数名着けておりました。それらの者達は何も言っていないのか?」「はい。ウォルシャタ様がご一緒でないと数名のグループに分かれて活動しているようでしたが、旦那様達がニグラにいている最中は、全員でアゾレム山脈に護衛と採掘に出かけておりました。」「そうか、それでは奴等では無いのだな。」「はい。それは大丈夫でございます。」「宰相閣下から頂いたレインは大丈夫なのか?」「はい。レインには手がつけられていません。」「そうか、何者かが侵入したかもしれんが....ウォルシャタ達である可能性も捨てきれないな」「宝物庫に何があったのか調べておけ。そして、それが街中などで売られたり、ウォルシャタ達が使っているようなら、儂に教えろ、使っていなかった物だと言っても、かなりの値打ちにはなったはずだからな。」「・・・。」「犯人を見つけ次第。儂の前につれてこい。けして殺すな。儂自ら尋問するからな。四肢を切り落としても構わんが絶対に殺すな。いいな」「はっ」
「警備兵の防具も問題だな。どのくらいだ?」「そちらは、予備の物だけです。」「そうか、それでどのくらいの数なんだ?」「武器が100本程度の剣と防具が150式です。」「は?それが予備として置かれていたのか?」「・・はい。領内の警備兵はどうなっているのだ?ティロンを呼べ。どうなっている?」「・・・それが、行政官様が数日前からアゾレム山脈にお出かけで・・・・。」「・・・そうか、採掘を見てこいと命じたばかりだった。ティロンが帰ってくるまで松にしても、領民が居なくなったとか言っていなかったか?」「あっはい。」「それがわかったのはいつだ?」「私の所に確認の報告が届いたのがつい先程です。」
「(ティロンは知っていたな?村ごと、ウォルシャタの所に行くつもりか?)」
「旦那様。旦那様。それもなのですが、どういたしましょうか?」「どうするとは?」「人頭税を国に納めなければなりませんが、誰から徴収いたしましょう?誰も居なくなったと報告いたしましょうか?」「馬鹿言うな。本当に、村の領民が居なくなっているのか?」「はい。早馬で確認させました。確認してきた者の話では、村人だけではなく建物の一部もなくなっていると言う話です。」「そんな訳無いだろう?場所を間違えたのではないのか?」「私もそう考えまして、全ての村に2回確認させましたが、同じ答えでした。」「・・・・。」「納めるのはいつだ?」「遅くても来月の末には1年分を納める必要があります。」「そうか、とりあえずは、これで払っておけ」
宰相閣下から渡された資金で支払いをさせる事にした。メンツの問題もあるが、領民が居なくなってしまっては、これからの領内の運営ができなくなってしまう。それだけではなく、儂の代でアゾレムがなくなってしまう。
「ウォルシャタ達はどこに居る。呼んでこい。確か、ティロンの息子も居ただろう?」「・・・・。」「どうした。」「ウォルシャタ様は、宰相閣下の命で、北方連合国ノーザン・コンドミニアム近くの国境の街シャルムに向かっておいでです。」「っち。そうだ。今、アゾレム山脈の採掘はどうなっておる。」「は。それも、行政官様に一任すると、旦那様がおっしゃって居まして、今、ご確認に行っているはずです。」「いつ帰ってくる予定になっておる?」「予定では、明日か遅くても明後日までには戻ってこられると思います。」「帰ってきたら儂の所にすぐに来るように伝えろ。わかったな」「かしこまりました」「あぁあと、ウォルシャタにも使いを出せ。宝物庫と警備兵の装備品に付いて何か知っていれば報告せよと伝えろ。」「かしこまりました」
どういう事だ?わけがわからん。儂が何をしたんだ。
幸いな事に、レインはある。これを元手にすれば、まだまだ挽回出来る。それに、採掘もウォルシャタの話では、うまくいっているとの話だし、宰相にも鉱石を渡している。採掘が出来る証拠でもある。あればうまく廻しさえすれば問題はないはずだ。
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「ねぇリン。ここまでがアッシュの報告書?」「ううん。もう一回分あるよ。どうして?」「なんか、アゾレムが可哀想になってきてね。」「いいんだよ。これから楽しくなるんだからね。」「僕もまだまだだと思うよ。」「ミルがそういうのならそうなんだろうね。」「うん。だって、リンとマヤは2回殺されそうになったんだから、同じだけの事をしないとおさまらないよ」「・・・」「リン。アゾレムの宝物庫と守備隊の防具を盗んだのってワク?」「どうだろうね。数日前に、ワクが大量の武器防具や珍しいミスリル製の武器を持ってきたけど、全部分解しちゃったから解らないや?!」「あぁそうだと思った。その素材はどうしたの?」「ん。眷属たちに渡したよ。マノーラ神殿で武器や防具を作るのに使いたいって言っていたからね。」「へぇそうなんだ。」
「続き見る?」「もちろん。」
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「おい。ティロンはまだ帰ってこないのか?」「はい。街内に入ったという知らせもございません。」「あれから何日経っていると思っているんだ。」「申し訳ございません。」「確認の為に、人を出したんだろうな。」「はい。その者も帰ってきていません。」「どうなっているんだ?魔物はウォルシャタ達が駆除したんだろう?多少残っていたとしても、守備隊10名も出したんだぞ。」「・・・はい。今暫くお待ち下さい。」「いつまで待たせるつもりだ?それとも、ティロンの奴採掘したミスリルを持って息子の所に行ったんじゃないんだろうな?」「それは無いかと....。」「ウォルシャタからは返事は来たのか?」「いえ....何をしているのだ、再度使いを出せ。」
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「立花。親父さんなんだって?」「なんか、宝物庫が荒らされたらしくてな。俺たちの中にやったやつが居るんじゃないかって疑っているみたいなんだよな」「へぇそれで返事は?」「してない。」「いいのかよ?」「あぁ山崎に返事を持っていかせようかと思ったけど、こっちはこっちでやる事があるからな」「そうだな。宰相も無茶言ってくれるよな。」「まぁ男爵にしてくれるらしいし、そうなったら、国から金が貰えるらしいからな。」「へぇいいな。でも、領民はどうするんだ?」「あぁ北方連合国ノーザン・コンドミニアムって北朝鮮みたいな国名だろ。そこの国を襲って、村人を攫ってくればいいんじゃないか?」「それいいな。」「だろ?」「宰相が言うには、俺のジョブを好評して、入植を募れば人が集まってくるだろうって事だったからな。まぁもうウスノロも茂手木も女たちも居ない見たいだからな。俺たちの勝ちは決まった様な物だろう。」「立花。そうなったら、どうするんだよ?」「あ?ウスノロと茂手木を殺して、女達の一人を殺す事にすればいいだろう?」「あぁそうだな。全員裸にして犯して一番気持ちよくならなかった奴を殺せばいいか?」「それいいな。全員犯して見るのが一番わかり易いだろうからな。」「何人処女が居るのか楽しみだな。」「ばか、全員の可能性もあるからな。」「そうだな。命令してもいいだろうな。死にたくなかったら自分から咥えろとか、一人でしてみせろとかな。」「そりゃぁいいな俺同級生を奴隷にしてみたかったんだよな。」「立花。山崎。中里は俺が貰うからな。お前たちにはやらないからな。」「はいはい。解っているよ。」「それなら、俺は、千葉だからな。お前たちにも犯させないからな。」「あぁいいぜ。その代わり、俺は、松田を貰うからな。」「おいおい。残りが少なくなってくるぞ。まぁいいか。全員で委員長を犯してから殺すのもいいだろうな。」「そりゃぁいい。ウスノロの目の前で犯してやればいいよな。」「あぁあの時と同じで何もできないで勝手に苦しめばいいんだ。俺を見下したあいつを俺は絶対に許さない。選ばれた人間である俺をアイツは見下したんだからな。」「はいはい。立花落ち着けよ。もう。俺たちの勝ちは動かないんだし、お前はこのまま行けば、この世界でも男爵や子爵が見えているんだからな。伯爵にももしかしたら、国王にもなれるかも知れないんだからな。」「あぁわりい。やっぱり、アイツを八つ裂きにして殺さないと落ち着かないな。」
「そういやぁ立花。親父さんからの使者はどうした?」「あ?殺した。」「そうか、お前まだレベルが上がるんだったな?」「今いくつだ?」「さっき見たら150になっていたぞ。ステータスも4,000を超え初めているぞ。」「そりゃぁすごいな。もう俺たちでも敵わないな。英雄の中の英雄って感じだな。」
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ウォルシャタからの返事はない上に、宝物庫を荒らした犯人が見つからない。どうなっているんだ。ティロンの奴も帰ってこない。アゾレム山脈に送った連中で一人だけ帰ってきたが、話が聞ける状態ではなかったと言う事だ。何か恐ろしい事があったのか、精神が壊れてしまっているようだ。話を聞けない事には、確認しに行かなければならない。
次の御前会議がいつなのか解らないが、それまでには、採掘を成功させて置かなければならないだろう。宰相閣下から渡された資金にも手をつけてしまっている。そろそろ半年が過ぎようとしている。一度目の支払いに関しては、なんとかなるだろうが、それ以降が採掘されたミスリルを売らなければならない。
「おい。採掘されたミスリルがどこにあるのかも解っていないのか?」「はい。ウォルシャタ様がご用意した物は、守備隊の屯所に置かれていました」「そうか、今はあるのか?」「はい。多少は残っております。」「そうか、それなら、それは換金してしまえ...そうだ、マノーラの小僧がミスリルを欲しがっていたな。宰相閣下からマノーラに納めるように言えば、ローザスやミヤナックも煩く言わないだろう?」「・・・そうでございましょう。」「あぁそうだ、他は、宰相閣下や儂が今まで面倒を見てきた奴等ばかりだからな。そう強くも言ってこないだろう。マノーラの奴はミスリル鉱石を欲しがっていたからな。丁度いい。」「・・・」「何をしている。早く、ミスリル鉱石をもってこい。」「はっ」
「旦那様。これで全部でございます」「そうか、全部ミスリル鉱石なのか?」「はい。そう聞いております。」「ふむ。4箱か。思った以上に残っておったな」「はい。」「そうか、それでは2箱の中身を検めて、宰相閣下にお送りしろ。」「かしこまりました。残りはどういたしましょうか?」「そうだな。一箱の半分を検めてから、別の箱に移して封印をしてから、マノーラの小僧に送ってやれ。そうだな。お前自ら使いに出ろ、そして、宰相閣下を通さないで融通するのにレインが必要で、投資を直接して欲しいと伝えろ。」「かしこまりました。私の言葉では、マノーラ侯も疑うでしょうから、できましたら、旦那様のお言葉として書面にしたほうがよろしいかと思います。」「そうか?」「はい。前回もマノーラ侯は、旦那様に対して媚を売っておられました。今回も同じでは、侯爵の立場を悪くしてしまいます。旦那様が一歩下がる事で、投資を引き出しやすくしてみてはどうでしょうか?侯爵だけ特別だと強調すればよろしいかと思います。」「それもそうだな。お前の言葉ではマノーラの小僧も信じないかもしれないが、儂の言う事なら素直に従うだろうな」「はい。今までの態度から間違いなく。前回の御前会議で、ウォルシャタ様に負けたと言う事もありますので、従うと思います」「そうだった。奴は家に負けたんだったな。」「はい」「ですので、少しだけ旦那様が下手に出ればいい気になって投資をしてくると思います」「そうだな。そうするか。」「はい。それがよろしいかと思います」「解った、お前は、鉱石の選別でもしておれ。」「はっ」
そうだな。儂が目をかけてやると言えば、小僧も喜んで投資をするだろう。
「おい。これを持っていけ」「はい。旦那様。護衛もお願いしてよろしいでしょうか?」「あぁ勿論だ。小僧に舐められないようにしっかり体制を整えてから出発しろ」「かしこまりました。」
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「そういやぁ立花。」「なんだ?」「開拓はいいけど、俺たちで館とか作るのか?面倒だぞ」「それは宰相が近くの貴族に命令して、人を出してくれると言っていたから、俺たちは俺の街の場所を決めて、周辺にお前達の村の場所を決めればいいらしいぞ」「そうか、それなら楽できそうだな」「あぁ村は全部で4つ作るらしいから、宰相の命令で、俺と山崎が准男爵家の街を作って、後は二人づつでって事にしろって言われているぞ」「従うのか?」「そうだな。人を出してくれるって言っているからな。お前たち、今度は殺したり犯したりするなよ。」「キャハハハ。それは立花と山崎が気をつけなきゃならない事だろう?」「そう言われたらそうだな。そうだ、奴隷も混じっていると言う話だけどな。手をだすなよ。」「はいはい。お前もな。」「村には30~40人位の集落から始めると言っていたぞ。」「了解。了解。数年で大きくして、俺も男爵になるんだよな。」「そうだな。そうなったら、俺も子爵になれるってわけだな」「それで、お前は準男爵にはいつなるんだ?」「街の場所を定めたら、そこから魔物を追い出したら、その功績で叙勲されて、準男爵になるって手筈だ」「そう言えば、立花。お前婚約者が出来るんだって?」「あぁその予定だな。」「どんな女だ?」「さぁな。宰相からの紹介になるから断れないらしい。」「へぇでもこの世界は一夫多妻なんだろう?」「そうみたいだな。」「それなら、いいんじゃないのか?どうせ、お前一人じゃ足りないだろう?」「ハハハ違いない。」
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「リン。すぐに殺しに行こう」「イリメリ抑えて、ね。大丈夫だよ。僕がイリメリを守るから」「ありがとう。でも、そういう事じゃない。」「それにしても、こいつら私達が死んだって本当に思っているみたいだね。」「いろいろ怪しいとか考えないのかな?」「ほら、あいつらって自分たちが常に勝者の立場だと思っているから、自分たちにできない事は他の誰にもできないと思うだろうし、調べようともしないだろうからね」「あぁリンが言っていた通りになってきたね。」「この後どうなると思うの?」「って聞くのはおかしいね。リン。この後どうするの?」
「そうだね。幾つかの事を同時に進めようとは思っている。」「うん。僕達に手伝える事は?」「今は眷属を使ってやることにするよ。もしかしたら、ミル達の眷属の力を借りるかも知れないけどね。」「勿論それはいいけど、本当にいいの?」「うん。絶望をプレゼントしてあげようかと思ってね。」「そのプレゼントは返品は不可なんだよね。」「当然だね。受取拒否もできないと思うよ。」「リンは、何をプレゼントする予定なの?」
奴等が国境の街シャルム近くに拠点を決める前に、アッシュに命じて辺りの魔物や亜人達には移動してもらっている。移動先はマノーラ神殿でも他の神殿でもいいから、その場からは力づくででも移動してもらっている。次に、アゾレム山脈に視察に来ていた、山崎エスタールの父親はすでに捕えてある。マガラ神殿の独居房に放り込んでいる。オーガに対応させている。威圧感もあるし丁度いいだろう。真っ暗な部屋の中で過ごさせている。寝られないように、交代でオーガに見張らせて、寝たら頭から水を掛けるように指示を出してある。すでに精神の異常が見られるが、暫くこのまま拷問しておく。
「え?そうなの?」「うん。ニノサとサビニの行方を知らないかって聞いてもらったら、サビニを売女呼ばわりして、ニノサを裏切り者と謳ったらしいから、それにふさわしい待遇を与える事にしたんだよ」「・・・・。」「それでどうするの?」「ん。殺さないよ。殺したらそれでおしまいだからね。今、アゾレムの領主が頼りにしている番頭と同じように、僕の操り人形になってもらうよ。」「えぇぇぇぇぇ・・・・!!!」「何それ?いつの間に?」「聞いてないよ!!」「うん。言ってなかったからね。みんなには悪いけど、これは僕個人の気持ちの問題なんだよ。」「リン。怒るよ。」「イリメリ。殴ってから言わないでよ。」「もう一度殴られたい?」「ゴメン。」「ん。何に対して怒っているのか解っているの?」「・・・・。みんなに黙っていたこと?」「違うよ。リン。」「・・・・。自意識過剰だって笑わない?」「うん。」「僕の気持ちがこれで壊れるのが嫌なの?」「そうだよ。リン。私も、ミルもアデレードもみんな。リンの事が好きなんだよ。リンは、私達全員居ないと嫌って言うかも知れないけど、私達は、自分とリンだけ居ればいいんだよ。国なんてなくてもいい。リンと二人で暮らせるのなら、それでもいいと思っているんだよ。全部相談してなんて言わない。リンがお父さんやお母さんの事をどう思っているのかも解らない。でも、私達はリンが大事なんだよ。それだけは解って。荷物を一人で背負わないで、、、みんなで少しづつ分担しよう。もう家族なんだから...。」「全部。イリメリに言われちゃった。リン。僕もちょっと怒ったよ。僕達はいいよ。リンさえ居ればどんなリンでもいいんだから・・・。でも、リン。この世界には、リンの事を認めて、リンを頼りにして、リンを守ってくれる人も居るんだよ。それは忘れないで、リンは心を壊しちゃダメなんだよ。そんな役目なら僕が変わる。リンの変わり僕が背負うからね」「・・・ありがとう。イリメリ。ミル。でも、もう少しだけ僕のわがままを許して・・・。報告はするし事前に相談もするって約束するからね」「「・・・」」「リン。約束だよ。」「うん。解った。」「破ったら、一生側に居てもらうからね。」「そうなんだね。約束を守ったら」「守ったら。当然、一生側に居てあげるよ」「・・・・。」
「それでリンよ。番頭はどうやったのじゃ?」「簡単な事だよ。エベンスは覚えている?」「あぁ監獄街の領主じゃろ?」「うん。そこに居る。オルト・ライネンは知っているよね?」「あぁアゾレムの守備隊だったやつだよな。」「うん。彼を捕まえたときに、一緒に居たんだよ。それで逃がす条件でスパイになってもらったんだよ。勿論、眷属が常に見張っているって脅してからね。」「あぁそれで、書面なんていい出すからおかしいなって思ったんだよね」「ちなみに、彼が持っていった、ミスリル鉱石も全部偽物だからね。」「だろうと思った。それでどうするんだ?」「うん。奴からは、アロイに着いたら連絡が来る事になっている。」「へぇそれでどうするの?」「その日に大々的に宣伝して、ミスリル鉱石が手に入るからって職人を呼んで、鑑定の為に宰相にお願いして信頼出来る商人を何人か紹介してもらって居るんだよ。」「番頭も可哀想に、偽物だって解ったらどうするの?」「ん。番頭を捕えて、牢屋にぶち込んで侯爵を騙そうとしたんだから、その場で殺してもいいらしいから、死んだ事にして、監獄街に行ってもらう。」「・・・。守備隊は?」「そのままお引き取りお願いする。帰り道で、一人ずつ拿捕して、監獄街送りかな。何人、アゾレム街にたどり着けるか楽しみだね。ククク」「リン。その笑い方下品だから止めてね。それにしても、一人一人って面倒じゃないの?」「うん。面倒だとは思うけど、全員一度だと怖くないでしょ?それに、残った奴も誰かに攫われたとしても、一人一人だから逃げ出したって考えるかも知れないからね。食料や武器やレインまで徐々に消えていけば、そう考えるでしょ?」「うん。それで、アゾレムの領主はどうするの?」
「何もしないよ。」「え?そうなの?」「語弊があるね。何もしないんじゃなくて、する必要がなくなるって事かな。多分、遠からずアゾレムの領内から逃げ出すと思うからね。」「・・・そうなの?」「うん。間違いなくね。ただ、ウォルシャタの所に逃げ出すのは、面倒だから、マカ王家に逃げ出すように細工はするけどね」「どうするの?」「あの手の追い詰められた人が身内を頼るのは当然だけど、その身内が信じられない。僕は怒り心頭。宰相派の所にも逃げられないってなったら、方向は一箇所だけだよね。」「あぁそうじゃな。マカ王家を頼るしかないだろうな。」「そうなるように、まずはウォルシャタが領主を裏切ったって感じにしないとならないでしょ?」「・・・・」「何をするの?」「簡単な事だよ。守備隊の数名の心をへし折ってからお願いするだけだよ。ウォルシャタの使いが殺されたと報告すればいい。それだけでも十分だろうけど、ウォルシャタが准男爵になって、アゾレム領に戻ってくると言う噂を流して、ウォルシャタが居る北方連合国ノーザン・コンドミニアムの”方から”やってきた行商人が大量のミスリルや鉄製の武器や防具を領主に売り込むだけだよ。」
「リン。勿論、マカ王家に逃したりしないだろう?」「もちろん。国境の街シャルムで領主の似顔絵を張り出して、捕えた者に侯爵が金貨一枚の報奨を与えるってやるつもり。」「ねぇねぇリン。それって僕達でもいいの?」「ミル達や眷属達には遠慮してもらうよ。それじゃ簡単すぎてゲームにならないからね。」「捕まえた後はどうするのじゃ?」「そうだね。一通り尋問して素直に答えたら、去勢して、声帯潰して、回復魔法をかけながら全身の肉を削ぎ落としてから、奴隷商に賤貨1枚で売ろうかな。娼館の下働きでもいいかなとは思っているんだけどね。」「素直に答えなかったら?」「答えるまで尋問するだけだよ。」「・・・・。」
この他にも、各地に散っている、眷属からの報告が届いている。映像珠もなかなか量産できないが、眷属が使う事前提でなら数が揃い始めている。そのおかげで、こうして報告を映像として見る事が出来るようになってきている。
あぁあと、ウォルシャタの准男爵になる時の祝いの品を用意しないとならないな。何がいいんだろう。同郷のよしみで特別な物を送ってやらないとな。喜んでくれるといいな。

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