【旧】チート能力を持った高校生の生き残りをかけた長く短い七日間

北きつね

ギルド拡張依頼

朝起きて、食堂に入ると、ミルとエミールとウィンザーが小部屋で食事を取っていた。食事が終わっていた、エミールにモルトに執務室に来てもらう様に伝言をお願いした。その間に簡単に食事を済ます事にした。
こっちでの食事事情も安定させないとな。別に、日本食が好きとかいうつもりは無いが、パン食だけでは飽きてしまう。
エミールが戻ってきた。いつでもお呼び下さいとの事だった。ミルとウィンザーに、ニグラに先に行ってもらって、ナッセとナナに連絡をして置いてもらう。
「トリスタンはどうする?」「主様と一緒に行く。」「そうか、ニグラはヒト族が多いからな。エミール。どう思う?」「大丈夫なのでは?」「そう?」「はい。リン様ですし、ヒト型になってもらって連れて歩くほうが問題になろうかと思います」「そうか、それならいいか....」
「いいわけなかろう。エミール。おぬしもリンにあてられておかしくなった?」「アデレード。急になに?」「おぬし、トリスタンを連れて歩くのか?」「うん。ダメ?」「いいわけなかろう。ギルド支部の中だけならいいかもしれないけど、外はダメだからな。」「えぇ認識阻害の魔法をかけて、小さくなってもらってもダメ?」「・・・・」「あっそれに、僕は対外的には、テイマーになっているから、小竜をテイムしたって思われて丁度良くない?」「リン。今日は、ニグラに行くだけなのか?」「うん。そのつもりだよ。ついでに、トリスタンの服とかも変えたらいいかなって思ってね。」「そうか、マルティン。作業はどうだ?」「はい。アデレード姉様。もう終わっています。」「そうか。リン。妾達も一緒に行く。」「え”いいけど・・・。」「マルティン。今日、ニグラに行ってから、ウォード家とミヤナック家に行ってから、ローザス兄様に会いに行く。」「わかりました。」「リンも、付き合ってもらうぞ」「うん。いいけど、先にギルドの話をさせてもらうよ?」「もちろん。その間に、予定を聞いてまわるからな。」
「それじゃ先に行っていて、僕はモルトと少し話をしてからニグラに行くよ。」「わかった。先に行って居るからな。」「うん」
エミールを連れて食堂を出て、執務室に向かった。執務室の前では、ドリュアス神殿に居たエルフが二人待機していた。「リン様。モルト様が中で待っております。」「うん。ありがとう」
僕がドアの前に来ると、二人はドアを開けた。中では、モルトが僕の机の横に立って待っていた。
「モルト。朝から悪いな」「いえ、大丈夫でございます。これでございましょうか?」
モルトが数枚の紙を出してきた。そこには、侵入不可能な島ヴァル・デ・ハラ攻略の報告、そのときに、神からの啓示を受けて、各地の神殿を巡って管理者になった事が説明されている。時間的な順番は変わっているが、説明がしやすくて、納得させやすい感じで書かれている。神殿には、迷宮ダンジョンが作成されている場合もあり、魔物が出ているが貴重な素材が採取できる場所でもある。大事な事として、神殿には、転移門トランスポートを作る機能がある。転移門トランスポートは、作成場所に一瞬で移動できると言う物で、それらの制御をギルドに委託し、神殿に関わる業務をギルドが請け負う事になっている事が明記されている。ギルドは民間団体であり、トリーア王家は関係ない事。そして、紛争や戦争ではどちらの勢力にも加わらない事が理念として掲げられている事が書かれている。神殿の支配地域は、神殿を中心にして20kmである事が説明され、神殿に認められたときに影響範囲に石壁が出現して中央に塔が建ち施設が立ち並んでいる事が説明されている。これらの施設や場所に関しては、リン=フリークスが侵入不可能な島ヴァル・デ・ハラ攻略した事で得た物で所有に関して主張する旨が書かれていた。
「モルト。これで問題ないのか?」「はい。大丈夫だと思われます。後は、建国に関しての事柄になってくるかとは思いますが、それは以前の物で大丈夫かと思われます」「そうか、領有権を主張して大丈夫なのか?」「大丈夫だと思われます。お聞きした限りでは、近くに村や街がない場所だと言う事ですので、通常どこの国でも、切り開いた物が領有権を主張できます。」「そうなのか?」「はい。トリーア王国の様に領主が決められて居るような場合でも、村を作る場合には、自分で切り開けば、そこの村の物になります。それと同じだとお考え下さい。」「言われればそうだな。解った。」「はい。」「これは何枚用意してある?」「全部で20部あります。」「そうか、これに僕が署名して、陛下の文章をつければいいんだな?」「いえ、陛下の文章は別に国家樹立の文章と共に送った方がよろしいかと思います。」「そうなのか?」「はい。そちらの文章もすでに用意してあります。」「あぁローザスが言っていた感じで用意してくれたんだよな?」「はい。」「よし、マカ/フランクール/南方連合国サウスワード・コンドミニアム/ヴェスタ/ラグプール/ラグラン/北方連合国ノーザン・コンドミニアムには、預託金を出す旨を明記してくれ」「はい。すでに、それらの国向けにはそのように記載しております。不可侵条約と修好通商条約の締結を上げてあります。こちらが、一方的に破った場合には、白金貨を賠償金として支払うとしてあります。」「ありがとう。後は、預託金の額だが、それも明記してあるのか?」「はい。」「よし、あとは、各国に向かわせる者だけど、ギルドに依頼して、護衛を出してもらいながら、眷属で周りを固めるでいいか?あと、僕の総代が必要なら、モルト人選を頼む。」「それでしたら、預託金を出す国には、私とアスタ殿で南方連合国サウスワード・コンドミニアム北方連合国ノーザン・コンドミニアムを、ゴルドとナッセ殿でマカとフランクールとラグランを、ドラウとシュトライト殿で残りと言う感じ大丈夫だと思われます。眷属はですが、竜種のバイエルン殿とファントム殿とレオパルト殿にお願いできればと思います。後、従者として屋敷の者を数名連れていきたいと思いますがよろしいでしょうか?」「あぁ問題ない。ナッセやナナやシュトライトには話をしてあるのか?」「はい。ご了承を頂いております」「わかった。バイエルンとファントムとレオパルトに関しても大丈夫だ。」「ありがとうございます。エミール。私達が居ない時でも、リン様達をお願いしますよ」「任せて下さい。何不自由なく過ごしていただけるように致します。」「そうですね。リン様の妻になるのですからね、そのつもりでしっかりするのですよ」「はい。ありがとうございます。」
細かい事は決まっているようなので、確認して承認していく作業になる。全部が手書きで清書されているので、全部に目を通す必要があり、目を通して署名をして封蝋をしていく。
「そう言えば、モルト。各国への土産物はいいのか?」「何か必要だとは思いますが、どういたしましょうか?」「そうだな......。あぁいいのがある。」
使いみちが無くて困っていた、魔法の袋マジックポーチ(中)が20個位有ったのを思い出した。時空の袋タイムシフトポーチを作る過程で、素材に問題が有ったり、魔法制御をミスってしまった物で正直捨てるにも捨てられなくて困っていた物だ。ロック解除されてしまって、誰でも使えるようになってしまっている微妙なスペックになっている。100アイテム99個しか入らないので僕達には使いみちは無いが、こんなでも売れば高値になると言う。お土産には丁度いいだろう。中に、今ギルドで人気商品になっている物を詰め合わせていけば宣伝にもなるだろう。
それらをモルトに渡す。
「どうだ?」「よろしいのですか?」「ん。いいよ。失敗作だけど、土産物としては問題ないだろう?ダメなら違う物を考えるぞ?」「いえ、十分だと思います。」「そうか、なら頼む。20もあればいいのか?」「あ...はい。大丈夫です」「うん。後は、うまく配分してくれ。」「かしこまりました。」
モルトに書簡の束を渡す。モルトとは、ニグラの今のギルド本部で合流する事になった。
エミールとトリスタンを連れて、ギルドに転移した。執務室には、シュトライトとナッセとナナが揃っていた。ミルが皆を集めてくれていたらしい。
「リン様。モルト殿から連絡を頂いております。ギルドに関する事でも有りますので、私達を使者にお使い下さい。」シュトライトが代表してそう切り出した。
「シュトライト。僕も、お前たち以上に信頼出来る者がいない。是非お願いしたい。」「「「はっ」」」
3人は承諾してくれて、後の手筈はモルトが整える事になっている。
「シュトライト。マノーラ神殿に、ギルド本部を移動する事が出来るか?」「はい。本部だけでしたらすぐにでも実行可能です。」「そうか、忙しいだろうが、頼めるか?」「かしこまりました。」「ナッセ。ナナ。悪いな。頼む。」「リン様。お気になさらないで下さい。後、各神殿への人員配置もリン様のご許可を頂けましたら開始致します」「そうか、それは任せる。初めてくれ。」「かしこまりました」
「リン様」「エミールどうしたの?」「入植する人も居ないのに、ギルドに人を派遣する意味があるのですか?」「そうだね。全部の神殿に、中央塔と教会と宿屋は作ってあるよね?」「あっはい。」「へぇリン。準備はもできているんだね。」「勿論。ナナ。ラーロさんの所と同じ規模の宿屋と銭湯は作ってあって、すぐにでも営業が初められるよ」「また、あんたは、何度言われればわかるの?銭湯はオーバースペックなんだよ。」「だって、泊まったらお風呂に入りたいでしょ?」「ナナ様。リン様はこういうお方です。諦めて下さい。」「あんたも随分と毒されたね。」「まぁいいわ。それで、エミール。何も無い所だからギルドが人を出す意味が有るんだよ。」「??」「例えば、マカ王国には、今でも商隊が国境の街シャルムを通って行くわよね?」「あっはい。」「それじゃギルドで、マガラ神殿の優位性を感じている、商隊が、新しく、マカ王国内に神殿ができて、そこから移動できるって解ったらどうすると思う?」「あっすぐにでも使いたいっていい出すと思います。」「そういうだろ。」「はい。」「でも、一つだけ問題が有るんだよ。」「そうなのですか?」「エミールは、国境の街シャルムで何が行われているのか知っているよね?」「あっそういう事ですか。」「気がついたんだね。」「はい。税の徴収ができなくなるのですね。」「そうだね。厳密には、トリーア王家→マカ王家の時の税の徴収だね。」「あっはい。それで、交渉に赴くのですね。」「そうなるね。その前に、マカ王国からトリーア王国は神殿の機能を使いたいだろうからね。デモンストレーションも必要だろうし、そうなると向こうの貴族や役人が来ないとも限らないだろう?」「・・・そうですね」「そのときに、ギルド職員が居ないと、向こうに実効支配されちゃったりしたら困るだろうからね」「あっそういう所まで......」「そりゃぁ伊達に海千山千の奴等を相手にしていないからね。エミールもこれから経験を積めばいいだろう」「ナナ。あんまり、僕の可愛い奥さんをいじめないでよ」「・・・・。」「・・・・。」「・・・・。」「リン様・・・・。」「お前が一番質が悪いな。」「そんな事ないよね。エミール?」「え・・・あっはい・・・。」
「そうだ、それでナナ。神殿に派遣する人選はできているんだよね?」「あぁ困った事に希望者が「少なかったの?」・・・・はぁ?逆だよ。多すぎて困った位だ、特に、最近入植してきた村の人間が多くてな。苦慮しているんだよ。」「そううなんだ。誰も居なかったら嫌だけど、それは少し対応にこまるね。」「そうなのですか?多ければいいのでは?」「エミール。そうだね。少ないよりはいいけどね。多いのも問題なんだよ。それも、新しい人が多いのがね。」「・・・??」「リン。僕も解らない。なんで?」「ミルもなのか?」「ウィンザーはわかる?」
「学校でも似たような事が有りましたから.....」「ウィンザーが感じたのは、どんな事だったの?」「はい。私とミーシャが寮長をしていたときに、薬草採取のクエストが来たときに、参加者を募ったのです」「うんうん」「その依頼は、採取した薬草の数に応じて報酬が渡される物でしたが、最低株数が決められていて・・・・。」「あぁ満たなかった時にはクエスト失敗になってしまうんだね」「はい。それで、参加者を絞る必要があるとミーシャと話て決めました。」「うんうん」「不公平が無いように、参加者全員で報酬は等分する事を決めたのですが....」「うん」「参加者を募集して、幾つかのグループを作るときに、新しく来た子達の方が沢山になってしまったんです」「そうか、それで、ウィンザーとミーシャはどうしたの?」「はい。リーダを、前から居る子にして、新しく来た子たちと一緒に行ってもらおうとしたんです」「うん。そう判断するよね」「・・・。でもそれが新しい子達には不満だった見たいで、自分たちもリーダになりたいっていい出したり、薬草の場所を教えてくれたら、自分たちだけで行ってくるとかになってしまって....」「・・・そうか、それでどうしたの?」「最初は、別々にしようかとも話したのですが、それだといつまでも仲良くなれないと思って、新しい子にもリーダをやってもらって、その補佐に前から居る子で年長さんに入ってもらいました。」「うん。いい判断だね。クエストはうまくできたの?」「はい!それは大丈夫でした。それから、あまり不満は出なくなりましたが、他の寮でも同じような感じになってしまって、新しい子は新しい子だけでまとまってしまったりして、困ってしまった事がありました。」
「・・・。」「エミール達はそういう事なかったの?」「私達ですか?」「うん。神殿の中での暮らしとかでね」「少しは有りましたが、そもそも、新しく入ってくる事がありませんし、行きていくのに必死でそれどころじゃなかったと思います。」「そうか、そうだよね。」「はい。」「でも、なんとなく想像できるだろう?」「・・・・はい。」
「うん。それで、ナナ。人選はどうしたの?」「あぁ公平にくじ引きで決めたぞ。」「あぁくじに細工したんだね。」「・・・・お前には解ってしまうんだな」「そりゃぁねぇ僕でも同じ事をするからね」「・・・・。」「んじゃ大丈夫なんだね。」「あぁ各支部のギルドマスターはニグラ支部とマガラ支部できっちり教育した者にしてあるからな。」「了解。支部の各部署のりーだは?」「あぁそれは適正を見て新参者を入れつつ組閣したぞ。」「ありがとう。それじゃ大丈夫そうだね」「あぁ不満は少し出たが、1年後をめどに再度検討すると、シュトライトに宣言して貰ったら収まったぞ」「了解。問題がなさそうならOKだよ。それで進めて」
手順などを聞きながら問題がありそうな所を修正して、最終的にGOを出した。各神殿には、眷属を50体ごとに分けて、3小隊を一つの神殿に派遣する事にした。残るのは、ゴッドケープ島に作るギルド本部だけだ。
ギルド本部は、以前からそうしているように、ギルドの総本山の役割で会議や商談の役割と意思決定機関の役割を持つ。本部では、登録業務や依頼関連業務は行われない。依頼に関しては、例外的にリン=フリークスからの依頼はギルド本部で取り扱って、適切な支部にグランドクエストとして通達される。また、各国からの依頼に関しても、ギルド本部で取り扱う事が決まった。これらの事を行う為に、シュトライトにはテルメン王家からギルドに出向の形を取ってもらう事になっている。
「リン様。」「どうした?」「はい。アデレード様とマルティン様がおいでですがどういたしましょうか?」「あぁそっちに行くから待ってもらって」「はい。かしこまりました。一階の会議室でお待ちです。」「解った。」
「ミルとエミールとウィンザーは、先にアデレードと合流しておいてね。」「了解」「「かしこまりました」」
「他に何かある?」「そうだ、リン。アッシュが話があるって言っていたよ。」「解った、後で話をしに行くよ」「それと、ステータス不可視の魔珠だけど、本当に売っていいの?」「ん?問題ないよ。もう売れなくなった?」「違うよ。あの値段で売っていいのかって事」「いいよ。儲けは出ているし、別にあれで大きく儲けようとは思っていないからね。」「・・・・。」「まだ何かあるの?」「・・・・。」「それに、あれは、ステータス不可視を行う為に作った物じゃないからね。元々、冒険者の生存率を上げる為だったからな」「あぁそう言っていたね。」「うん。そっちで儲けるつもりで居たんだよ。ステータス不可視はおまけみたいな物なんだよ」「・・・。リン。あのね。教会からも問い合わせが来ているんだよ?」「へぇなんて?」「好意的な教会筋は、情報開示を求めてくる位だから、『リン=フリークスが攻略した神殿で見つけた物で詳細は不明。解析を行いたいのなら、いくつかの魔珠を渡すので、自分たちでやって下さい』って返事しているよ。」「ありがとう。好意的じゃない方は?」「・・・情報開示もだけど、”ステータス不可視は、神の御業でしかない。人が扱うものではなく、神に使える我々が扱う物。全ての魔珠と情報と今までの売上を全部よこせ。”って感じだよ。要約するとね。」「・・・いいけど、見返りが無いとね。それで、なんて返事したの?」「『リン=フリークスが神の啓示を受けた物で、それを渡すのは神のご意思に反する。また、価格も信じられない位に安く誰でも手に入る様にしている。それでは不満なのですか?』って返してある。」「へぇそれで黙るとは思えないけど....。」「あぁ何度も来ているけど、門前払いをしている。それに、そいつ等はそれができないのなら、ギルド支部がある所に自分たちの教会を作らせろって言ったり、獣人やエルフは魔王の使いだから、排除せよといい出したりだからね。気持ち悪いから、全てのギルドで出禁にしたよ。」「あぁそれでいいよ。それに、回復魔法やポーションの販売権益も脅かされているから焦っているんだろう?」「そうね。コンラート家やグラーフ家やリチーカ家が勢いを取り戻しているからね。」「そうだろうね。安価な薬草が大量に手に入っているだろうからね。」「あぁそれに、”なぜか”白魔法の使い手がそれらの家の教会には多いらしいからな。」「へぇそうなんだね。」「聞いた話では、白魔法や聞いたことがない回復魔法を使う司祭は、必ず獣魔を連れていると言う話だぞ。」「そうなんだね。不思議な事も有るんだね。それで何か噂になっているの?」「なっているぞ。司祭が連れている獣魔は神の使いで幸福と安寧を与えるとかな。その司祭が居る教会ではお布施も集まりやすくなっているし、同じポーションでも効き目が違うようだからな。」
もう我慢できなくなって笑いだしてしまった「ナナ。それで、好意的じゃ無い方は?」「お偉いさんに泣きついたみたいだけど、『文句があるなら商売を含めて考えます』って言ったらすごすご帰っていったよ。」「うんうん。いい傾向だね。ギルドは、自主独立を基本概念に置いておいて欲しいからね。」
商売に関係しそうな話は、MOTEGI商会を絡める事にしているので、また後日話す事になった。
モルトがギルドに到着して、これからの手順を話し合うようだ。方針としては、すでにモルトに伝えてあるので、後は任せる事にした。
アデレード達が待つ会議室に移動する事にした。途中で、職員が居たので、アッシュが居たら、会議室に来るように伝えておいた。
「アデレード。それで、ローザス達はどうするの?」「あぁそれなんだけどな。トリーア家ってよりも、ローザス兄様とウォード家とミヤナック家は、一度、ゴッドケープ島の神殿に言って、そこで話をしたいと言う事だ。」「解った、いつにするの?」「今日でも大丈夫だと言う事だったぞ」「それなら、今日の夕方にお願いしようかな。」「解った、連絡しておく。」「ん?どうしたの?」「あぁどうやって案内すればいいのじゃ?」「ん?マガラ神殿なら出島に転移してもらって、そこから、神殿に行けるようになっているよ。」「わかった。わからなくなったら連絡すればいいよな?」「うん。大丈夫だよ。」「そうか、最近は転移で移動しているんだったね」「そうじゃな。なれてしまうと楽だからな」「うん。初めての所以外は転移を使った方が楽だけど、僕は時々転移門トランスポートを使うようにしているよ」「そうなのか?」「うん。使っていないと忘れそうになるからね。」「そうだな。妾もそうするか、いいよなマルティンも?」「はい。アデレード姉様。」「それじゃアデレード。皆のエスコートをお願いしていいよね?」「あぁ解った。」
話が終わった頃に、アッシュが会議室にやってきた。「リン様。」「どうした?報告書は読んだぞ。」「はい。今日来られると言うので、あれからの動きをざっとご説明しようと思いまして....」「あぁ頼む。後で書面にして送っておいてくれ」「はい。心得ております。」
アッシュからの報告は予想の範囲内ではあった。僕達が、オイゲンのときにやった手法を使うようだ。ウォルシャタに、転移門トランスポート近くを開拓させて、そこを領地にするように指示が出た。その後、その領地の周りに、4つの開拓村を作るようにするようだ。そして、領内の整備を行った後で、納税を刈り取った魔物の素材で行う様だ。その功績を持って、準男爵に封じる。ここまでは、御前会議の前までに行い。御前会議の席上で宰相の推薦を受けて、武勇に優れているウォルシャタを男爵に与えてはどうかと言う事にするようだ。
「そうか、アッシュ。ウォルシャタが開拓する領地の大体の位置は把握できているか?」「はい。大丈夫です。」「そうか、後でヒューマとカエサル達とサファイア達をお前の所に行かせる」「え”?」「それで、その領内になりそうな所の魔物全部を駆逐させろ。」「はっ駆逐でよろしいのですか?」「そうだな。話ができたり、眷属化を望むものは、島に送るように言っておく」「かしこまりました」
アッシュへの指示を出した。
「ミル。トリスタンのヒト化した時に身につける物を買いに行ってきて欲しいんだけどいいかな?」「うん。いいよ。リンはどうするの?」「ちょっと、フレットに話をしてこようと思ってね。」「了解。トリスタン。行きましょう。」「はい。主様行ってきます。」
ミル達が出ていった事を確認して、アッシュに一つ指示を出す。「アッシュ。もしできそうならで構わないから、アゾレムの食客の一人を捕えてみてくれないか?」「・・・・。」「無理そうなら勿論逃げても構わない。安全マージンを使って、捕らえられるようならって感じでいい。」「解りました・・・・。」「どうした。何か有るのなら言って欲しいんだけど....。」「いえ、その命令を私も奥様方も眷属たちも待ち望んでおりました。私ごときが一番槍でよろしいのですか?」「戦闘になる事は絶対に避けろ。これは命令だ。眷属が見つかるのはしょうがないが、お前が見つかったり捕えられたりする事は全体に許さない。いいな。それができそうな場合にだけ、実行するようにしろ。いいな。それが約束できないようなら、この指示は撤回する。」「かしこまりました。リン様。誰一人傷つかない様に、誰一人視認されないように、捕えてまいります。」「うん。アッシュ。頼むな。」
地下三階のフレットが居る店に向かった。「フレット居る?」「ん?あぁリン君。どうしたの?」「ちょっと頼みたい事と確認しておきたい事が合ってね。」「ん?いいよ。そう言えば、ミル達がさっき来てアルマールとカルーネの所に行っていたわよ。可愛い女の子だったけど、また新しい嫁?」「そのつもりはなかったんだけどね。竜種の長なんだって、それで、名付けしたら婚約させられた。」「はぁ?なにそれ?まぁリン君だからしょうがないよね」「軽く言ってくれるね。」「だって他人事だからね。」「・・・。あぁそうそう、フレット。教会関係者にアポ取りしたいんだけど頼んでいい?」「いいけど、今度は何?多分、家とグラーフ家やリチーカ家ならいつでもOKだと思うよ。もう侯爵には足を向けて寝られないって感じになっているからね」「え”そんななの?」「うん。特に、眷属で白魔法や回復魔法が使える獣魔を貸してくれているでしょ?」「うん。でも、あれはしっかり対価を貰っている商売だよ?」「それでもなんだよ。それにポーションのレスピも公開してくれているでしょ。」「うん。マガラ神殿の書庫にあった物だから、公開ってほどの事は無いよ。」「・・・。それで、うちには鳥形態の獣魔が多いでしょ。グラーフ家には狼とか犬とかで、リチーカ家には猫形態でしょ。あれはわざとなの?」「わざとってよりも、揃えたほうが、加護を得ているみたいな形になるでしょ?」「・・・・やっぱりね。」「何かまずかった?」「まずくはないけど、今、私の所だけど、新たに建てる教会には、それぞれの動物を模したプレートを施すようになっちゃっているんだよ。」「へぇそうなんだぁそれはわかりやすくていいね。ついでに得手不得手まで出しちゃえばわかりやすいんだけどな。」「・・・」「あぁゴメン。それでお願いは、面会って事も有るんだけど、宗教っていろいろあると面倒でしょ。それで、気心が知れた所で仕切ってくれないかなって思ってね」「・・・」「ダメかな?」「ダメじゃないけど、いいの?」「うん。他の国の宗教とかも入ってくるだろうし、宗教の自由は保証するつもりだけど、マノーラ神殿内に作る教会は3つだけにしたいんだよね」「どういう事?」「うん。いろんな神が居るだろうけど、僕の国では、神は三柱にして、主神をマノーラ神。エリフォス神。アドラステーア神。にしようと思っている。その場合に、どう教会を作った方がいいのかとか、司祭をどうしたらいいのかとか聞こうと思ってね。」「あぁそういう事ならわかった。予定を聞いておく。」「うん。お願い。暫くは、モルトもドラウもゴルドも居ないから、エミールやイリメリに予定を告げてくれればいいからね。勿論、僕を捕まえてもらってもいいよ」「わかった。明日には一度連絡をいれるよ。」
それから、フレットと近況を話していると、ミルがトリスタンを連れて戻ってきた。一通りの服を買って使えそうな武器を揃えたと言う事だ。
その後、暫く地下三階をプラプラしながら、転移門トランスポートを使って屋敷に帰った。

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