【旧】チート能力を持った高校生の生き残りをかけた長く短い七日間

北きつね

幕間 ナパイア神殿

私達は、今リンの眷属のグリフォンの背中の上に乗っている。皆。それぞれ従魔達を影から出して、一緒にまたがっている。怖いのは勿論だが心細いというのが正しいのかも知れない。少なくても、私はそう思えてくる。リンから離れるのがこんなに寂しいと思えて、心細いと感じるとは思っていなかった。
「ねぇマヤ。最初はどこからなの?」「う~ん。ナパイヤ神殿って所だよ。」「どのくらいの距離?」「このままだと、後1日くらいだよ。」「そうなんだ。どうするの?どこかで宿取るの?」「それでもいいけど、リン特製の一軒家があるから、そこで休んでもいいと思うよ。」「「「「「「「・・・・」」」」」」」「はぁ?」「フェムは、嫌なら野宿してもいいよ。」「嫌だとは言ってないけど、一軒家?」「そうだよ。結界が張れるので、最小限の見張りでいい。そして、お風呂も有るし、キッチンもある。冷蔵庫も完備している。高さがない場所の為に、平屋仕立て!」「・・・・・タシアナは知っていたね。」「うん。リンに協力してって言われたからね。」「うんうん。僕は、その先を知っている!!」「なに、ミルは何か知っているの?」「うん。リンに言われたんだけど、大きさがこのままだと持ち運びにワクが必要になるけど、いつもワクがついていけるわけじゃないってね。」「まぁそうだね。」「それで、リンが、ド●ゴンボ●ルのカプセルコーポレーションが開発した。カプセルハウスを実現しようとしていたんだよ。」「あぁ・・・リンらしいね。」「ミル。それで出来たの?」「うん。マヤが持っているよ。」「うん。リンから預かっているよ。使い方は簡単。地面に置くと、広がるサイズが解るから、その間に何も無いことを確認して、ボタンを押せば30秒ほどで家が出来る。」「しまうのは?」「中に人や動物が居ない事を確認したら、部屋の中のボタンを押せば、1分後に最初のサイズに戻る。」「・・・・。原理は聞かないほうがいいよね?」「うん。僕も聞いたけど、解らなかった。気になるのなら、帰ってからリンに聞いて。」「・・・寝床の確保が出来たから、行ける所まで逝ってから、家作れる場所を確保して休むって感じでいいんだよね?」「うん。そうしよう。」
今日は、一日移動に使った。途中で、丁度良さそうな森林が見つかったので、そこに降りて、リン特製のカプセルハウスを起動させた。最初に魔法陣が現れて、作られる家の大きさが示される。2LDK程度の広さだろうか、そこそこの広さがある。どうで、お風呂にこだわったんだろうな。嬉しいからいいんだけど・・・。
木々が少し邪魔だったので、伐採した。それから、ボタンを押したら、本当に家が出現した。サリーカが、タシアナに”これ”量産出来ないかなと聞いていたが、出来るかも知れないけど、注文販売になるんじゃないかなと言う事だ。もっともっと簡易な物で、テント的な物でもいいと思うんだけどな。パシリカのときに、ニグラまで移動しているときの苦労を考えれば、テントが結界で守られているだけでも大分違うからな。
「ねぇタシアナ。これって家だから大変なんだよね?」「そうだね。」「だったら、テントで簡易セットみたいに出来ないかな?」「簡易セット?」「そ。ミルならわかると思うけど、パシリカの時とかに野宿するのも大変だったから、テントや野宿セットみたいな形であるといいなぁってね。」「僕・・・。確かに、そうだね。テントとかまどがあるだけで大分違うね。それが結界で守られていたら、多少高くても売れるんじゃないかな?」「そうか、この中だと、マヤとイリメリとミルだけしか、パシリカの移動を経験していないんだね。」
とりあえず中に入って食事の支度をする事になった。私が食事をするといい出したら、ルナとサリーカが、私はタンク役でこれから大変だろうからと言って、ルナとサリーカが食事を担当する事になった。
今日のご飯は、家を作るときに襲ってきた魔物の肉と昨日作ったおにぎりにした。まだキッチンの使い勝手も解っていないので、単純に焼いて食べる事にした。その後、お風呂に順番に入って、寝る事にした。部屋は何部屋なくて、皆でまとまって寝ることになる。なんか、寝るときに全裸になるのが決まりのようになってしまっていて今日もお風呂から上がってから全裸で過ごすようになってしまっている。
それから寝るまで何のことはない。リンの悪口大会だ。私を含めて悪口大会だと思っているが、惚気なんだろうなきっと....
誰か解らないが、寝落ち始めると自然と眠くなってきて、気がついたら朝だった。
今日は、ナパイヤ神殿の入り口まで移動する事になる。グリフォンに大きくなってもらって飛び立つ準備をはじめた。説明された通りに、ボタンを押したらカウントダウンが始まり、家が小さくなった。
周りに痕跡が残っていない事を確認して、飛び立った。一度の休憩を挟んで、山の中腹にある洞窟にたどり着いた。
「ねぇマヤ。ここがそうなの?」「うん。入り口はわからないようになっているけど、この山自体がナパイヤ神殿なんだよ。」「え!」「ほら、アルセイドの私に反応しているでしょ?」
確かに、一つの岩が淡く光を放っている。
「ねぇマヤ。ここってどのくらいの広さなの?」「知らない。」「・・・・。」「だって、マガラ神殿も、リンの馬鹿が拡張したから、100階層位になっているんだよ。」「そうだったね。」「うん。だから、もしかしたら、それ以上かもしれないけど、100階層だと思っていればいいと思うよ。」
「すぐ入る?」「うん。そのつもりだよ。」「ねぇマヤ。ここは誰が攻略するの?」「決めてないけど・・・。」「ナパイア神殿って、何のニンフなの?」「えぇとね。」「あぁ谷精で、紫魔法の守護者だぞ」「あぁそうそう。思い出した!紫魔法。」「マヤ。いい加減だな。」「いいでしょ。わかったんだから!」「そうだね。アデレードが知っていただけだけどね」「それで誰が攻略するの?」「どうする?」「決まっていないのなら、僕が攻略でいい?」「ミルが?」「うん。僕が攻略して、ニンフと契約して、種族がどうなるのかを見てみればいいでしょ。それに、これから他の神殿を攻略する時にも、僕が強くなっていれば、探索も楽に出来るだろうからね」「それで本音は?」「僕が一番にリンと一緒に種族なりたい!って何言わせるの。」「ハハハ」「妾もミルでいいと思うぞ。」「どうして?」「連携を考えて、ミルは遊撃だから、攻略して力のバランスが取れなくなってもいきなり困る事はないが、イリメリやタシアナやフェムだと埋め合わせの為に連携訓練をまた考えなければならないからな。」「あぁそうだね。」「うん。私もミルでいいと思う。」「了解。でも、最後の管理室で登録者をミルが行うだけだから、それまでは全員で行くんだよ。」
連携の確認をして、私がタンク役で先に進む。横に、ミルとタシアナが並んで進むことになる。最後尾は、アデレードとマヤが並んで進む事になった。低階層は問題なく進む事が出来た。広さもリンが作ったものよりも狭くて道も単純で罠も少ない。こう考えると、リンのダンジョンが底意地悪いように聞こえるが事実だからしょうがない。
コボルト・ゴブリン・スライムなど一人で倒せる魔物が多い。全部が魔核持ちで大きめの魔核が多い。低層でも人がかなりはいっていないためか、魔核が大きくなっているようだ。
何度目かの戦闘の後で、ルナが思い出したかのように「ねぇマヤ。従魔って呼んでいいの?」「ん?なんで?」「だって、従魔を使って、魔物が少ない所とか進んでいった方が楽じゃない?」「「「あっ!」」」
犬系の従魔を連れていて、匂いで判断出来る状態なら、匂いで魔物を避ける事が出来るのだろう。「ねぇルナ。それもいいけど、地力アップの為と、魔核獲得の為に、魔物なるべく倒していかない?」「意見が割れた時には....」「多数決。」「はい。多数決を取る前に、『低層は魔物を無視していって、中層位から戦い出す』ってのはどう?」「あ。僕それに賛成。」「そうだね。現実的には、それがいいだろうね。」
私の意見が採用された、犬系の従魔に魔物が居ない方に誘導してもらった。階段は上に伸びていた。一つ上がる事に魔物が強くなるかと思えばそうでもなかった。タンク役の私の盾に魔物が到達する前に全滅する。その階はスキップする事になる。
気がついたら、25階まであがってきている。ダンジョンの中だと時間的な感覚が狂うのは、経験済みだったので、無理しない所で、今日の探索はここまでにした。昨日広げたおかげで必要な広さは大体把握している。そために、大きな部屋が有ったらそこで休む事にした。
親切に25階の奥に大部屋が用意されている。ボス前の部屋なんだろう。そこで休む事にした。昨日と同じように、食事をして、お風呂に入って休む事にした。
今日は疲れていたのか、皆お風呂から出てくるともう寝てしまっていた。
起きてから、ボスに挑む事になった。流石にここは気合を入れた所で、ボス部屋に入った。
正直....余裕だった。オーク10匹とオークリーダ2匹とオークキングが1匹だ。私一人でも倒せるが、連携を確認するために、全員で当たる事にした。弓矢と魔法は禁止。私がタンク役で引きつけて、タシアナとフェムが武技を発動して倒す。
それでもかなり余裕があった。問題なのは、後方のメンバーが遊び始めそうだった事だ。
15分位戦って終了した。誰もダメージを受けないで終わった。そして、現れた宝箱をフェムが不用意にあけてしまった。
開けた瞬間、部屋全体に魔法陣が発動した。身構えるが....何も起こらなかった....と思っていた。それが間違いだった。入ってきた扉が塞がれて、前方に扉が現れた。これで戻る事ができなくなった。
それだけではなく、前方の扉の奥には、リンが好きそうな。滑り台が設置されているだけだ。それも、どこまで続くか解らない位深い深い滑り台だ。リンに、連絡取って転移させてもらう事も考えたが
「僕は、この先に行く。折角、お膳立てしてくれたんだから、何があるのかを確認してくる。僕一人では、帰れなくなってしまうかもしれない。だから、皆にも付いてきて欲しい。強要はしない。でも、僕は行くと決めた。ここで逃げたらリンの隣に立っていられない気がする。」「そうじゃな。この旅に、リンを連れてこなかったのは、妾達の我儘で、それをリンは許してくれた。だったら、妾達はここでリンを裏切るわけには行かない。それに、ミルを置いて帰ったら、ワラワ達はリンに殺されてしまう。」「そうだね。うん。皆で行こう。滑り台は4人で滑られるみたいだから、二組に別れて滑ろう。皆でリンの所に帰るために。」
私とミルとマヤとアデレードが先に滑る。サリーカとルナとフェムとタシアナが次に滑る。
「先に行っているね。ボス。倒しちゃっていたらごめんね。その時には許してね。」「うん。いいよ。ここは、先の4人に譲るよ。」
「よし行こう。」「「「おぉ」」」
気合を入れて滑り出した。長い長い滑り台。本当に長い。お尻が擦れてなくなってしまうのではないかと思うくらい長かった。1時間位滑ったんじゃないかと思える位長かった。
そして、目の前に一つの扉がある部屋にたどり着いた。
「はぁ?」
マヤどうしたの?
「ここ、管理室!」「え”?」「」どういう事?」「これで終わりって事?」
「うん。この奥に、ナパイアが居るよ。」「「「????。えぇぇぇぇ」」」
『そこにいるのは誰?』『我は、アルセイド。この神殿の主に会いに来た。』『えぇぇぇ・・・アルセイド?!』『そうだが・・・』『待って待って、今開けるよ!』
扉が開いた。そこには、一匹の翼が生えた黒猫が居た。
急いで、ミルを確保した。「イリメリ。離して、ねぇお願い。僕を離して・・・。」「ミル。落ち着いて、相手は、ニンフ何だよ。ダメだよ」「ねぇアルセイド。そこの愉快なお嬢さん達は?」「うん。私の仲間で同じ人の嫁。それから、私の事は、マヤって呼んで?」「へぇ人族と融合しているんだね。」「あぁそうだね。」「それで、マヤは何のようが有ってここまで来たの?」「あぁそこの抑えられている娘に、ナパイアの加護を貰いに来た。」「・・・え”管理者になってくれるの?」「あぁそうだよ。」「やった!!!!!」「へ?!」「いいの?本当にいいの?管理者になると大変だよ?今までの人は長く生きるのに耐えられなくなって自分で死んじゃったんだよ。本当にいいの?」「うん。そのために来た。」「最初はみんなそういうんだよ。でも、100年経って、知り合いが死んでいくと、我慢できなくなるみたいなんだよ。それでもいいの?」「あぁ僕達はリンを一人にしないために、ニンフの加護を求めに来た。」
そこに、後から滑り出した4人も合流してきた。
「マヤ。もしかして、全部の神殿を攻略するつもりなの?」「あぁそのつもりだよ。だから、ナパイア。協力して欲しい、ミルに力を加護を与えて欲しい。」「うん。いいよ。なんか面白そうだし、ミル。こっちに来て・・・。」
ミルを離した。ミルがナパイアの所に行って跪いた。
『我。谷を司るニンフ。ナパイアなり。汝、ミトナル=セラミレラ・アカマースの守護者とならん』『僕は、ミトナル=セラミレラ・アカマース。ナパイヤの加護をお受けいたします。』
それで契約がなったようだ。ミルとナパイアが光に包まれた。
「ミトナル。これで、君は僕の加護を受けた事になる。」「ありがとうございます。」「うん。同時に、この神殿の管理者になったんだよ。何かする?」「いや。こういうのが好きなのが私の旦那さまだから、彼に任せる事にする。」「うん。解った。このままでもいいけど、また誰かが攻略しないようにしておかないとね?」「うん.....そうだ。」
ミルは、自分の従魔達を呼び出して、ここを守るように伝えた。確かに、これでほとんどの人族は攻略できなくなる。
そして、私達は、ここで一泊して次の神殿に向うことにした。

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