【旧】チート能力を持った高校生の生き残りをかけた長く短い七日間

北きつね

幕間 MOTEGI商会

俺は、ヴォード街まで来ている。母さんが居た関係で、旅程が伸びてしまったが、まぁ問題はないだろう。パズリッド商隊がまだ居るのかと思ったが、もうすでに次の街に出ていった後だった。
ギルド支部が出来ていると書いてあったので、街の人に聞きながら、ギルド支部を目指す。支部はすぐに見つかった。しかし、ギルドはここでは登録が出来ませんので、一時利用のカードを渡すので、マガラ神殿やミヤナック領で登録をして欲しいと話している。本来ならここでも登録は出来るが、登録に必要なギルドカードが無くなってしまったんだと言う。俺も、人数分のカードを貰った。従魔達は陰移動が出来るから大丈夫だろうと言う事だ。もし駄目ならその時に考えればいいだろう。母さんは、ウォード領のギルドで働きたいと言う事を伝えると、マガラ神殿のギルドマスターのアスタさんか、ニグラのギルドマスターのナッセさんを訪れてこの紙を渡して欲しいと言う事だ。どのみち、ギルドに登録してから出ないと話しにならないらしいので、俺と母さん。嫁4人分の計6枚を貰う事にした。カードは母さんに受け取ってもらった。
登録はニグラやマガラ神殿ではなく、ミヤナック領の方がいいだろう。
説明を聞くと、ウォード街の城壁の外に小屋がある。そこで、カードを見せれば中に入れてもらえて、カードを持ったままゲートをくぐれば、マガラ神殿に移動できると言う。マガラ神殿は、マガラ渓谷の下に存在しているという。
今度は、小屋にはアドラが用意したゲートの様な者が一つあるだけだった。カードをかざしながらゲートを潜った、一瞬光りに支配されたが、次の瞬間、人の雑踏の中に居た。
「うふぁぁ本当に転移したんですね」「あぁそうみたいだな。」全員で目を丸くして固まっていると、一人の女性が近づいてきた。
「ようこそ、マガラ神殿へ。初めての方ですか?」「・・・はい。」「登録ですか?それとも、見学ですか?」「少し見学してから、ミヤナック街に行って登録をしようと思っています。」「そうですか?なぜミヤナック街で?こちらでも登録出来ますよ?」「出身がミヤナックなので、ミヤナックで登録したいと思っているのです」「そうですか、解りました。それでしたら、これをお持ち下さい。お持ちのカードでは、来た所にしか帰れない物ですので、これと交換して下さい。これは、ミヤナック街に繋がる転移門トランスポートに入る事が出来ます。」「あっ丁寧にありがとうございます。」「いえ、他になにかありましたら何なりとお申し付け下さい。」「あっ一名は、ギルドの職員として応募を考えているのですが....他5名は冒険者登録を考えています。」「左様でございますか、職員でしたら、このまま地下三階におりられまして、ギルド支部がございます。そこで、職員に応募したいと言って頂けましたら、担当の物が対応致します。」「あ。ありがとうございます。」「いえ、それでは。」
もし、これが神崎が作った物だとしたら、どれだけチートな能力を使ったんだ?それとも、何かしらの組織を乗っ取ったのか?
「オイゲン。どうする?」「あぁそうだな。今日は、遅いから、地下三階の宿屋で一泊してから、明日登録をする事にするよ」「あぁ解ったよ。わたしゃギルド職員に応募してくるよ。」「一緒に行くよ。」「はいよ。」
それから、地下三階におりた。広い空間が広がっている。天井だと思われる所には太陽さえも出ている。地下だとはとても思えない。ギルド支部はすぐにわかった。そこで、職員への応募をする。パシリカの時の様な球体に触れる事で登録する事が出来るようだ。それから、希望を聞かれている。母さんは、ウォード街での職員を希望した。ギルド職員として、受付や買取業務などいろいろの職種があり、人手不足だと受付の係の人が笑っていた。なんなら、ニグラやマガラ神殿の賄い婦の仕事もあると言う事だ。母さんは、受付や買取業務ではなく、ギルド内の清掃や賄い婦として応募する事にした。最初、1週間は、地下二階にある学校施設で研修を受けてもらう事になると言う。しかし、研修期間中も賃金が出ると言う。そして、地下二階の研修施設にはウォードから通ってもいいし、通うのが遠ければ、地下二階の寮に住む事も出来ると言う。俺の希望で、母さんは寮に入ってもらう事にした。あと、年齢的な事もあるので、ギルド側としては、出来たら、学校の食堂での料理担当をしてくれないかと言う事だ。人手不足なのに、マノーラ侯爵が、孤児になった子供や奴隷の子供を大量につれてきてしまうので、食堂の人手が足りないんだと言う。母さんは別に問題ないと言う事で、その提案を受ける事にした。早速、地下二階に母さんは案内されていく。
残った俺たちは、そのまま宿屋に泊まる事にした。ギルド職員に聞いたら、黄色ラインに宿屋が多いと言う。5人で言われるがままに、黄色ラインを目指した。あぁそういう事か、道に色を付けて居るんだな。手前は高そうな宿屋だったので、少し奥に入った宿屋に入った。素泊まりで、一人一泊7,500レインだと言う。素泊まりになっている。食事は、神殿にフードコートがあるから、そこで食べられると言う。それから、スパが有って、宿屋に泊まっていると、500レインで使える。今なら、宿屋から渡された札を持っていけば、スパにただで入れると言う。素泊まりでそれなら安い。部屋は大部屋が丁度一つ会いていて、4人で泊まる部屋だけどいいか?と言われたので、問題ないと伝えると、一人7,000レインに負けてくれた。銀貨四枚を払ってお釣りを貰った。それで人数分の札を受け取った。
「オイゲン様。スパとは?」「エルは、お風呂を知らない?」「お風呂は知っています。」「入り方も?」「はい。それとスパとは?」「あぁ基本的には、同じものだと考えていいよ。ただ、スパはいろんな種類のお風呂があるから、楽しめると思うよ。」「そうなのですか....」「あのぉノリ様。私達もそのお風呂に言って問題ないのでしょうか?」「大丈夫なんじゃないかな。奴隷は駄目だとは言われてないし、そもそも、奴隷紋が消えているからわからないと思うよ」「そうですか....お風呂があるのは知っているのですが、どうやって入るのかとか知らないので・・・。」「あぁそうか、エル。皆に入り方とか教えてあげて。」「あっ解りました。」「え。。。ノリ様と一緒ではないのですか?」「うん。スパやお風呂は、男女別々に入る物だからね。俺が屋敷を建てた時には、一緒に入れるお風呂を作るから、それまでにお風呂に慣れておいてね」「・・・。かしこまりました。エル様。お願いします。」「うん。まずは、フードコートでご飯を食べよう。」「はい!」
地上階に戻って、案内に出ているフードコートに向う。(あぁ間違いない。神崎が絡んでいる。もしかしたら、他の奴等もいるかも知れない。)そこには、日本のショッピングセンターでよく見かけるフードコートが出来上がっていた。それに、単価が安い。普通に屋台で食べるのと変わらない値段で出している。パンに肉を挟んだハンバーガーなる物が売りに出されている。同時に、芋を細く切って揚げ焼きにした物をセットにしたメニューで1,000レインだ。他にもちらほらある。皆に、2,000レインづつ渡して好きな物を買ってくるように言った、流石にまだラーメンはないようだ。麺類やご飯物はなく、串焼きとかが多い様だ。さっきみたハンバーグとポテトのセットを買って席に戻る。女性陣は物珍しいのか、いろんな店舗を覗いているようだ。そして、相談し始めた、あれは多分、よく見るやつだな。食事のシェアをするのだろう。4人が別々の店に注文をしに行った。それにしても、よくこれだけの物を作ったな。まだ中身が追いついていないようだけど....。
ん?何か、端の方で人だかりが出来ている。何か騒いでいる。女性陣が戻ってきて、食事をはじめた。飲み物も売っているようだったので、”こーひー”と書かれた飲み物を頼んだ。あの珈琲だ。懐かしさもある味だ。エルも珈琲にしたが、苦かったようだ。砂糖とミルクももらえるようなので、エルに俺の分も渡して入れさせたら、今度は美味しそうに飲んでいる。うん。ハンバーガだった。何の肉なのか解らないがしっかり下処理してあって臭みもない。つなぎも多分卵を入れているんだろう、しっかりした味になっている。パンも多分酵母を使っているんだろう。こっちでよく食べる硬いパンではない。よくもまぁって感じだけど、食は大事だからな。もうちょっと改良できそうだし、味付けももっと変えられるだろうし、果実があるからジャム類も作れるだろう。粉ものがないのは、まだ小麦が見つかっていないのか?それとも、数がまだ準備できないのか?パンがあるから、小麦があるだろうから、数がないのだろう。出汁をとる文化がまだないのだろう。スープが単一過ぎて美味しくない。
そんな事を考えていたら、皆食事を平らげていた。美味しかったようだ。また、来てもいいのかもしれない。
さっきの人だかりが気になったので、見に行った。
”オセロ”だ。あいつら、ゲームまで再現するつもりなのか?向こうにあるのは、ダーツだな。魔法のある世界でダーツは面白いだろうな。訓練にもなるだろう。それにしても、簡単だといえ、オセロとは....この調子じゃ将棋やチェスも作っているだろう、ルールが難しいから出していないだけなんだろう。あぁ全部MOTEGI商会の商品って書いてある。珈琲や砂糖・ミルクもMOTEGI商会開発でミヤナック家販売となっていた。間違いない、神崎の仕業だ。MOTEGIと言う名前を使って、日本製品を開発して売る。俺が、立花達に一度見つかって居る事も知っているのかも知れない。その上で、ギルドからの販売ではなく、MOTEGI商会なる所が開発/販売とすれば、立花達は間違いなく、ギルドではなくMOTEGI商会に俺が関わっていると考えるだろう。これなら物が売れれば売れるほど、MOTEGIの名前が認知される事になって、アドラの出した条件にも合致する。うまいこと考えるな。それで、俺が出ていって、仲間になればよし、ならなくても、別に困らないと言う事か。
”オセロ”の勝負を眺めていたら、おっちゃんに声かけられた。「にいちゃん。一回やらないか?」「俺?」「そうそう、にいちゃんだよ。」「いいよ。」「そうこなくちゃ!俺は、このオセロで10連勝中だぜ!まけてくやしがるなよ。」「へぇそうなんですね。そりゃぁ頑張らないとな。」「おぉぃ対戦が決まったぞ。誰か、賭けるやつはいないか?」「お。俺は、チャンピオンに銅貨1枚だ。」「おれもチャンピオンに銅貨5枚」「なんだ、なんだ、兄ちゃんに賭ける奴はいないのか?」「おっちゃん。自分に賭けるのはOK?」「あぁいいぜ!」「それじゃ、自分に銀貨1枚」「あぉぉそうこなくちゃ。それじゃ足りない分は俺が出す。」「さぁ他に居ないか?」「私達も、ノリ様に、持ちレイン全部。」「おぉお兄ちゃん。可愛い子に応援されて、まけられないな」「えぇ負けないですよ。」
「よし始めよう。ルールはわかるか?」「はい。順番に石をおいて挟んだらひっくり返して、数多く自分の色が残った方が勝ちでいいんですよね」「あぁそうだ。打てる場所がなくなったら、パスになって、相手の順番になる。」「了解です。最初はどうしますか?」「いいぜ、兄ちゃんが決めな」「解りました、それでは先に打ちます。白でいいですか?」「おぉ」
結論を言おう。黒が3つしか残らない圧勝だ。少し手を抜いてもいいかも知れないと思ったが、嫁達が喜んでいるので、つい本気を出してしまった。掛け金を貰って帰ろうとしたが、帰らせてくれそうになかったので、そのまま5回戦ほどやって全勝した所で、ギャラリーが集まりだしたので、再戦の機会を与えると言う事で、終わりにさせてもらった。フードコートに入った時よりも懐が暖かくなってしまった。嫁達が喜んでくれたから良かったと思うことにする。
スパも最高だ。神埼に文句の一つもいいたくなってきた。このまま会いに行くのも癪だなと思っていたら、先日オープンされた迷宮ダンジョンは何回層あるのか解らないが、まだ25階エリアまでの踏破者が出てないと言う。25階層にたどり着いたら、マガラ神殿のオーナである侯爵家に入れると言う事だ。別に家臣や部下になるつもりはないが、向こうから訪ねてくるのなら、合うチャンスが広がると思う。今日は、地下三階で休んで、明日、ミヤナック街でギルド登録を行って、準備を整えてから迷宮ダンジョン踏破を目指してもいいかも知れない。
風呂はやっぱり気持ちがいいな。癒される。13歳って身体だけど、感覚的には、17歳、実質的には30歳かぁ・・・・。風呂が気持ちいいなんて日本に居る時にはあまり思わなかったんだけどな、久しぶりに入ると気持ちがいいなぁあまりゆっくりしていると、エルやコリンズ達が待っていると悪いな。
『ノリ様。』『あぁコリンズか?』『はい。良かったです。エルが繋がるはずだからやってみろって言われて....。』『私達はそろそろ出ようかと思うのですが、先に出てた、宿に戻っていましょうか?』『うん。俺も今出る所だから、地下に降りる階段の所で待ち合わせしよう。』『はい。あっエルがノリ様を迎えに行くから、スパの前で待っていて欲しいと言う事ですがどうですか?』『あぁいいよ。それじゃ男子スパの前で待ち合わせしよう。』『はい。かしこまりました』
ふぅ念話があると便利だな。距離的な制限はあるだろうけど、待ち合わせなんて嬉しいな。あまり待たせるのも湯冷めしてしまうだろうから、少し急ぐか....。
急いで服を来て、外に出た。エルもコリンズ達もすでに待っていた。少し火照っているのか顔が赤く余計に可愛い。抱きしめたくなる。衝動を抑えるのに必死だった。
「おまたせ。宿屋に行こうか」「はい!」「あのね。ノリ様。ヴィネッティね。おばちゃんに羽洗ってもらっちゃった。すごくきれいだねって褒められちゃった!」「そうか、良かったね。」「うん。それにね。コリンズ姉さんも、シャトルフ姉さんも、同族の人とおしゃべりしていたの。」「へぇそうなんだ。良かったね。」「はい。その人達は、ギルドの職員で奴隷だと言う事でしたが、スパも使えるし、本当に侯爵は素敵な人だって言っていたので、僕のノリ様も素敵だって教えておきました!!」「・・・コリンズはそんな事してないよね。」「・・・・はい。」「うそぉ!」「あっダメ。」「コリンズ姉さんは、猫族の人とどっちのご主人様が素敵なのかを言い争っていたよ。」「コリンズ.....」「ごめんなさい。だって....」「オイゲン様。許してあげて下さい。みんな貴方の事が好きなんですから...」「あぁそうだな」「えぇエル姉さんが一番沢山言っていたよ!!」「あ、ヴィネッティ。内緒だって言ったでしょ。」「エル。何を言ったの?」「・・・・内緒です。恥ずかしいから....ヴィネッティこれ以上言ったら許しませんよ。」「はぁーーい。ヴィネッティも一緒だから内緒だね。」「うん。そう。内緒。」
「まぁいいか....宿に戻って、休む事にしよう。明日から少し忙しくなるかもしれないからな。」「「「「はい」」」」

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