【旧】チート能力を持った高校生の生き残りをかけた長く短い七日間

北きつね

幕間 茂手木の決断

今日の昼には里に付く、その後で国境の街シャルムに向かってもいいがどうするか考えないとな。一旦、落ち着いて考えよう。そうだ、ここは考える必要がある。
そう思いながら目の前で行われている事から目をそむけようとしたら無理だった。この場所は、魔物が徘徊する森林の中を流れる小川のほとり。確かに、今日は多少暑かった、寝ている時に寝苦しいとも思った。毛布も必要ないとも思った、だがしかし!小川で水浴びをしようなどとは思っていなかった。ヴィネッティが最初に小川に入った。それを見た、コリンズが注意した。ここまでは良かった。しかし今目の前では、可憐と言うべき少女たち3名が全裸で水浴びをしている。そして、少女たちは俺も全裸にして川に連れ込んでいる。そうなんだ。コリンズ/シャトルフ/ヴィネッティに、”水浴びするのなら服が濡れないようにしろよ”と不注意で言ってしまったが為の結果である。眼福である。皆成長期なのかおっぱいが大きくなりかけている。丁度いい大きさなのだ。日本に居た時から、俺は貧乳派なのだできれば、Aカップで収まって欲しいそう思っている。日本では彼女の一人もできなかった俺が今こうして可愛い女の子達と全裸で水浴びをしている。神崎に自慢したい。血の涙を流して悔しがればいい。それにしても、女の子ってこんなにいい匂いがするんだな。抱きつかれた時には、もう駄目だった。水から出られない状態になってしまった。三人が両脇と背中に抱きついてきたから、もうだめだいつまで経っても落ち着く要素がない。柔らかい物で腕や背中を刺激されて、シャトルフの長いうさぎ耳が時折首筋にあたってくすぐったい。
急に雰囲気が変わる。「ノリ様。何か来ます。」シャトルフが何かを感じ取ったようだ。
「皆。逃げる準備を!」「「「はい」」」
『お待ち下さい。力ある人よ』「なんだ?どこから、お前たち何か話したか?」「いえ、何も...」『我でございます。力ある人よ。お名前をお聞きしてよろしいですか?』「誰だ?俺は、オイゲン=フンメル・エストタール。」『ありがとうございます。我は、名を持たぬ身ですが、ワーウルフから進化しました、ウェアウルフです。』「ワーウルフ?」「ノリ様?ワーウルフが居るのですか....すぐにお逃げ下さい。私達がなんとか数秒だとは思いますが、しのぎます。だから、ノリ様だけでもお逃げ下さい」心痛な面持ちでコリンズが俺の前に出る。同じように、シャトルフとヴィネッティも俺の周りを囲む様にする。『オイゲン様。我に敵対の意思はありません。猫族の少女や兎族の少女や翼人の少女との戦闘は望んでおりません。』「コリンズ。シャトルフ。ヴィネッティ。武器を下げろ。」「「「・・・」」」「それから、お前たちは服を来てこい。その時に、俺の服も用意しておけ」「「「はい・・・」」」『ありがとうございます』「少し待て、俺が服を着る時間位いいだろう?落ち着いて話がしたいんだろうからな。」『わかりました。』
小川から出て、3人に身体を拭いてもらってから、服を来た。三人とも服を来て「いいぞ」『ありがとうございます。姿を出してよろしいのですか?』「あぁ大丈夫だ。」
茂みから出てきたのは、”中型の犬と同じ位の大きさの獣”と”大型の猫を一回り大きくした位の獣”と”大型の兎をさらに大きくした獣”と”熊そのものの獣”の4体が出てきた。あぁ死んだかなと正直に思った。三人にも緊張が走る。『オイゲン様』そう言って、犬の獣が俺の前で伏せをした。それに倣うように、全ての獣が俺の前で跪いた様に見える。
頭の中が”??”で一杯になっている。「お前たちは何がしたいのだ?」「はい。我等4名は、オイゲン様にお仕えしたく思っております。」「喋った。魔物が...魔核なしの意識あり?」「そうです。猫族の少女よ。我等は、意識に目覚めた者です。魔核もありません。」
三人の緊張感が少し和らいだ。「コリンズ。どういう事?」「ノリ様はご存知ないのですか?」「あぁ一体全体なんのことやらさっぱり」「ヒト族にはすでに伝わっていないのかもしれませんね。魔物は、魔核を持たずに生まれるのですが、森林や山脈など魔素が多い所で生活していると、身体の中に取り込んだ魔素が魔核となってしまうのです。」「そうか、魔核は知っているぞ、魔道具に使われたりするよな。」「はい。そうです。しかし稀に、成長の過程で魔核を排泄したり破壊して、魔核を持たなくなった魔物が現れます。そのもの達は、意識を持ち知恵を持つのです。そして、進化をする場合が多いのです」「へぇそうなんだ。」
「お前たちは、全員そうなのか?」「はい。オイゲン様。我は、ワーウルフから進化しました、ウェアウルフです。勿論ヒト型にもなれます」「我は、ウェアキャット」「我は、ヒト型があまり得意ではありませんが、ウェアラビットです」「我は、ウェアベアです」「ん?もしかして、お前たち全員メスなのか?」「はい。そうですが....。」「いや、いい。それで何で俺なんだ?」「はい。我等は、ヒト族の言う。ヘルズ森林の中にあるエルフの村で生活をしておりました。数日前に、森林をヒト族の軍隊が攻めてきたのです。エルフの村の長が、我達を逃して、力ある者を頼れとおっしゃったのです」「・・・・。」「ゴルド=シュミットは、イスラ大森林の魔物の村にも使いを出し、我等もこの森林に潜み力ある者達を探しておりました」「それでは、お前たちは、俺に手助けをしてほしいのか?」「いえ、違います。すでに、エルフの村は崩壊してしまいました。里の者も散り散りになったと思われます。」「そうか....」「力なき者ですので...。」「あぁそれでどうしたいのだ?」「我達は、”力ある者”に従いたく思います。オイゲン様を見かけた時に、猫族や兎族や翼人と分け隔たり無く接し、且つ愛しむ様にさえ思えました。」「あぁそうだな。俺は、この三人を愛している。大切な存在だ」「はい。オイゲン様は、そのうえ、英雄の記号を持っていらっしゃいます。」「真命の事か?」「はい。そうでございます。」「そうか、俺は別に英雄でも無ければ、初代の血を引いているわけではないぞ。」「はい。それでも、です」
「お前たちは、ヒト型になれるんだよな?」「はい。」「一度ヒト型になってみてくれ。これから、里や人の多い所に行く時に、大丈夫なのか確認したい」「かしこまりました」
4名がそれぞれヒト型になっていく。困った事に、全裸だ。当たり前と言えばそうだけど、予想以上だ。ウェアウルフは、騎士と言う感じの女性だウェアキャットは、小悪魔的な女性になっている。ウェアラビットは、ヒト型が苦手と言っていたが、兎族だと言えば通る位にはヒトになれている。そして、弓矢を持ったら似合いそうな雰囲気の女性だウェアベアは、少し太めだが筋肉質で安心出来る感じの女性になっている。そう、4人ともやはり女性で間違いなく、タイプは違うが美人だと言える。なんで、この世界はこんなにも美形が多いんだ?
「わかった、戻ってくれ。」「「「「はっ」」」」
「コリンズ。シャトルフ。ヴィネッティ。はどう思う?」「私は、ノリ様のご判断に従います」「僕は、いいと思う。ノリ様を守る仲間が出来るのは嬉しい。」「ヴィネッティも、くまさんの上に乗りたい。」「うん。お前たち、これからよろしくな。そうだな。名前が無いと呼ぶ時に不便だな。今まではどうしていたんだ?」「ありがたき。我等は、名を必要としません。念話で会話をいたしますれば....。」「そうか、でも、それじゃ俺が不便なんだよな。よし、俺がお前たちに名前を付けたいがいいか?」「よろしいのですか?」「あぁ構わない。俺のセンスだから文句があっても受け付けないけどな」「はい。勿論構いません。オイゲン様。これをお使い下さい。」「これは?エルフの長から渡された魔道具で、ヒト族が隷属の時に使う魔道具と同じような事が出来る物です。」
ウェアウルフが言うには、元々隷属の魔道具は、真命を付け替えたり、真命を持たない者に真命を授ける物だという。それが簡略化されて、隷属部分だけが残された形になっていると言う事だ。眷属化出来るような物ではなく、眷属化に近い隷属化を行う事が出来るのだと言う。魔物に取って隷属化は屈辱ではなく、自ら望む主に仕えられる名誉な事なんだと言う。そして、この魔道具を使うには祝詞があり、それを唱えることで隷属化を行う事が出来るのだと言う。そして、この隷属化の利点は、ヒト族が使っているような物ではなく、奴隷紋を刻む事はなく、ステータスへの表記も変えられるのだと言う。
「それなら、コリンズ。シャトルフ。ヴィネッティ。の奴隷紋も消せるんだな?」「はい。そのような無粋な紋ではなく、魂の結びつきを強く致します。主が念話をお使いになれる事から、コリンズ様。シャトルフ様。ヴィネッティ様。も、主様との念話が出来るようになります」「そうか、コリンズ。シャトルフ。ヴィネッティ。隷属契約を上書きしていいか?お前たちのキレイな肌に奴隷紋がでているのが許せなくてな....。」「ノリ様のご意思のままに」
まずは、祝詞を教えてもらった。まずは、魔物たちを従魔にする契約を行う。
『我は、ウェアウルフ。賢き名を』「オイゲン=フンメル・エストタールが命名する。汝の名は、シルヴァ。」『我は、シルバ。オイゲン様に忠誠を誓います。』
『我は、ウェアキャット。疾き名を』「オイゲン=フンメル・エストタールが命名する。汝の名は、ジェシュア。」『我は、ジェシュア。オイゲン様に忠誠を誓います。』
『我は、ウェアラビット。素早き名を』「オイゲン=フンメル・エストタールが命名する。汝の名は、リューリック。」『我は、リューリック。オイゲン様に忠誠を誓います。』
『我は、ウェアベア。力強き名を』「オイゲン=フンメル・エストタールが命名する。汝の名は、クラリット。」『我は、クラリット。オイゲン様に忠誠を誓います。』
次に、コリンズ。シャトルフ。ヴィネッティ。の隷属を書き直す「私は、コリンズ・ホウフェン。共に歩ける名を」「オイゲン=フンメル・エストタールが命名する。汝の名は、コリンズ=ホウフェン・エストタール。」「私は、コリンズ=ホウフェン・エストタール。オイゲン様に忠誠を誓います。」
「僕は、シャトルフ・パトリシオ。共に歩ける名を」「オイゲン=フンメル・エストタールが命名する。汝の名は、シャトルフ=パトリシオ・エストタール。」「僕は、シャトルフ=パトリシオ・エストタール。オイゲン様に忠誠を誓います。」
「ヴィネッティは、ヴィネッティ・クレボラン。共に歩ける名を」「オイゲン=フンメル・エストタールが命名する。汝の名は、ヴィネッティ=クレボラン・エストタール。」「ヴィネッティは、シャトルフ=パトリシオ・エストタール。オイゲン様のお嫁さんになる事を誓います。」
全員のステータスを確認して、真命が書き換わっている事を確認して、自分の従属に全員の名前がでている事を確認した。各々のステータスには、俺の真命ではなく、”オイゲン=フンメル・エストタール”の文字が書かれていた。
新たに、4名の奴隷が出来た。昼にはつくと思っていた里だが、思った以上に時間がかかってしまった。それと、従魔4名はヒト型にもなれるが、全裸の状態で連れ回していたら、俺の人格を疑われてしまう。かと言って、獣の姿では里の中に入れない。簡単に解決した。クラリットが、4名全員が陰移動を使えると言う事だ。俺のスキルの”影移動”ではなく、"陰移動”は通常の影ではなく、物体の中や陰に入って移動する事が出来るスキルで、影移動の様な制限がない上に、でたい場所ででられると言う。それで、4名はそれぞれの陰に入って潜んでもらう事にした。これで、里の中にも入っていける。1ヶ月以上経っているが、里の中は変わりがない。変わっているのは、村の人が俺を見る目線だ。それもそうだろう、美少女を3人も従えている。パシリカを終えたばかりではあるがすでにレベルも10に上がっている。
家の前に付いた。俺の家は里の外れにある。母さんと二人で住んでいる小さな家だ。引き戸を開けて中に入る。「母さん。ただいま。」「オイゲン。いいところに来た。こっちに来なさい。」
なぜか母さんが普段と違う雰囲気のある声を出している。家は狭いが日本風に言えば、2LDKだ。俺の部屋もある。昔死んでしまった父さんが使っていた部屋だ。そこに、コリンズ達を待機させた。母さんは、食堂に居るようだ。
「なに、母さん。それよりも.....ん?誰?」「オイゲン様でしょうか?」「あっはい。そうですが?どなたですか?」「挨拶が遅れまして申し訳ございません。わたくしは、ココス森林の村から来ました。エルフリーデ=フンメル・ココスともうします。種族的には、ハーフエルフになります」「!!!。ハーフエルフ?それに、フンメルって....」「あぁバカ息子がやっと帰ってきたね。他の子が帰って来て、お前が行方不明になったって聞いてどうしようかと思っていたんだよ。」「母さん。それに関しては、謝るけど、この子はなんなの?それに、フンメルって・・・どういう事なの?」「馬鹿。この方は、ココスを治めるエルフのお姫様だよ。それに、お前の許嫁なんだよ。」「エストタール様。私なぞ、姫ではありません。すでに里は....。」「あぁそうだったね。」「・・・・。」「え”?なんだ、父さんから聞いていなかったのかい?」「何を?」「父さんだよ。」「え?俺が10歳の時に死んでしまった父さん?」「そうだよ。他に父さんが居たらびっくりだよ。」「エストタール様。私から説明させて頂けませんか?」「そうだね。そのほうが早そうだね」
「オイゲン様。懐かしゅうございます。この日をどれほどお待ちしていたか....。本来なら、エルフの里にお向かいしてからお話差し上げるのが正しいのでしょうが、私の里は先日、ヒト族のホレイズ家の襲撃で滅んでしまいました。わたくしは、なんとか逃げ出す事が出来たのですが、里の者がどうなっているのか解らない状況です。」「はぁまたホレイズ家か....あぁごめん。それで...」「はい。エストタール様は、私のトト様と異母兄弟の間柄でして、親しくさせていただいておりました。オイゲン様にも何度かお会いいたしております。」「・・・。」「トト様とエストタール様の間で、わたくしとオイゲン様のご婚約を約束されていました。」「!!」「わたくしも16で、オイゲン様に嫁ぐと思っていたのですが、その矢先に里が襲撃されてしまいまして、藁にもすがる思いでエストタール様を頼らさせて頂きました。」
「あぁその後は、私が話してあげるよ。」「あの人がした約束とは言え、約束を守ろうとしてくれた、エルちゃんを返すわけにも行かないし、匿っていたってわけだよ。それで、どうせ、バカ息子は嫁の来てもないだろうから、エルちゃんさえ良ければ嫁に来てくれと話していたんだよ。」「なっ嫁なら...」「なんだい。はっきりいいな。」「嫁なら居る。コリンズ。シャトルフ。ヴィネッティ。」「はい。ノリ様。」「母さん。俺の嫁達だ。」「・・・」「・・・」「・・・。エルフリーデ様!」「え!?」思わぬ所でつながりがあった。そう、嫁三人はエルフリーデを知っていた。知っているというよりも探していたというのが正しいようだ。順番で言うと、まず、エルフリーデの里が襲撃にあった。そこで、エルフや魔物や獣人達が殺されたり、奴隷にされたりした。しかし、殆どの者が国境の街シャルム近くに逃げる事が出来た。エルフリーデだけは、母さんを頼ってこの里に逃げてきたと言う事だ。そして、宰相派は次に、コリンズ達の里を襲撃した。なんだか、嫁達とエルフリーデが話をしている。母さんはもう解っているのかニヤニヤしているだけだ。「オイゲン。良かったな。こんなに可愛い子ばっかりの嫁が出来て?」「はぁ何言ってんだよ。」「駄目だよ。そんな顔したって、お見通しだよ。すごく嬉しいんだろう?」「・・・・・」
あぁそうだよ。ハーレムとは言わないが、うまく行けば、美少女4人が嫁に来てくれる事になる。話し合いが終わった様だ。小声だったからあまり聞こえていないが、険悪な雰囲気一切なかった。
「オイゲン様。コリンズ。シャトルフ。ヴィネッティ。と、話をしました。私も、婚姻の末席に加えていただける事になりました。不束者ですがよろしくお願いいたします。」「エルフリーデ様。話が違います。ノリ様。違うのです」「違う?」「はい。まず、ノリ様のお心をお聞かせ下さい。その上で、出来ましたら、エルフリーデ様を第一夫人にして、私達をそれ以下において頂けないでしょうか?そして、従魔たる4名も加わりたいと言う事を申しております。」「??」「エルフリーデ様は、ココスの森を治めていたエルフの直系です。ノリ様の力にもなりますし、いざと言う時の後ろ盾を作る事にもなります。」「・・・」「獣人や従魔では、一人の力を持つ雄が多数の雌を従えるのは当然の事でございますが、序列を作ります。その序列のトップに、エルフリーデ様。その次を僭越ですが、私、コリンズが、続いて、シャトルフ。ヴィネッティと続きます。従魔は正妻ではなく妾が良いと言う話です。」「話しについて行けないんだけど....母さん。どういう事?」「やっぱり、お前はバカ息子だね。この子達を全員と婚姻しろって事だよ。そのくらいは解るだろう?」「あぁそこまで鈍くもないし馬鹿でもないわ」「それなら、お前がいいのならいいんじゃないのか?私も可愛い娘が一気に8人も出来て嬉しいよ。」「・・・。」「わたくしでは、駄目でしょうか?」「ノリ様。」「僕じゃ駄目?」「ヴィネッティも皆とノリ様と一緒に居たい。」「駄目なわけないよ。ちょっといきなり過ぎて、理解がおいつていないだけだよ。エルフリーデさんも僕でいいの?」「はい。勿論でございます。この日を待ち望んでおりました。それから、わたくしの事は、エルとお呼び下さい。昔のように....」「エルフリーデ?エル?エルぅぅ!!あぁお転婆のエルか?」「はい。その....お転婆はやめていただきたい...のですが」
あぁ恥じらう姿がすごく可愛い。「うん。思い出した。エル。おねしょのエルだよね」「キャァぁそれは忘れて下さい。お願いします。子供の時の話で、今はそんな事....(滅多に)ないですから」「ん?何か言った?」「いいえ。オイゲン様の意地悪。名前で思い出して頂けて嬉しいです。そうじゃなかったら....」そう言って、長く綺麗に緑の髪の毛を掻き上げた。右の額に大きく傷が残されていた。それは、エルが大きな木の上から落ちた時に出来た傷だ。二人で森の中を散策している時に、エルが木の上に昇って足を滑らして落ちた。俺が、エルを抱えて里に戻った記憶がある。そうだ、その時に、父さんに言われたんだった。女の子に傷を着けたのだから、お前が責任取れと...。
「あぁ全部思い出したよ。エル。」「はい。オイゲン様。これからよろしくお願いします。」「うん。こちらこそ。」
「ほら、話がきまったんだろ。ご飯にするから、コリンズ。シャトルフ。手伝っておくれ。ヴィネッティは、獣魔達を連れて、オイゲンの部屋にあるクローゼットから好きな服を着せな。男物だけど大丈夫だろう?」「はい。お母様。」「わたくしは....」「エルフリーデ様は、オイゲンと一緒にお水を組んできて頂戴。ご飯の前に、みんな身体を拭くためにね。」「はい。解りました。お母様。オイゲン様。水汲み場まで案内して下さい。」
それから、"てんやわんや”の状況だった。まず、母さんが、俺を追い出して、女性陣と話をすると言う事で、俺を追い出された。何を話しているのかは秘密だと言う。
部屋が狭かったが、4人は俺の部屋で寝る事になった。今日はエルが一緒に寝るんだと言う。
「エル。今日は、おねしょするなよ。」「しません。さっき、おトイレに行ってきました。大丈夫です。オイゲン様の意地悪。」
そんな他愛もないやり取りが幸せに思う。
まずは、レインを稼ぐ。9人で食べていけるだけ稼がなくてはならない。それに、家も欲しい。ラノベで鉄板のギルドがあれば稼げるだろうけど、それがないとなると行商人や探求者で稼ぐしかない。なんにせよ。明日、母さんに言って、ウォードの街に行く許可をもらわないとな。本当は、母さんにも付いてきてほしいけど、そういうわけには行かないようだからな。
まずは....横を見る。抱きつきながら寝息を立てているエルを感じてため息がでる。この状況で俺寝られるのかな?
◆◇◆◇◆◇◆◇
目が醒めた。なんか長い長い夢を見ていた様だ自分の部屋の天井を眺めてみる。今まで育った天井だ。安心できる天井だが、いつもと匂いが違う。すごくいいにおいがする。可愛い女の子が隣で寝ている。
「エル。」「あっオイゲン様。おはようございます。」「起こしちゃったか?眠かったらまだ寝ていていいよ」「いえ、大丈夫です。少し前に起きました。」「あぁノリ様。おはようございます。エルもおはよう。」ヴィネッティが俺たちを起こしに来てくれたようだ。「お母様が、朝ごはんの支度が出来たから、顔洗ってから食堂に来なさいって」「わかった。エル。行くよ。」「はい。」
顔を洗ってから、軽く首筋の汗を拭いてから食堂に行く。食堂には、コリンズ。シャトルフ。ヴィネッティが揃っていた。従魔達の姿がなかった。「母さん。シルヴァ達は?」「あぁ今日、ヴォード街から商隊が来るって言うからお使いと、彼女たちの服やこの子達の下着をまとめて買いに行かせた。それと、この子達が狩った魔物や動物の肉や素材を売りに行かせたよ。どうせ、おいておいても腐らせるだけだし、少しでも売れたほうがいいだろう?」「・・・あぁありがとう。」「よし、それじゃ先にご飯を食べよう。オイゲン。その後で今後の事を話そう。」
ご飯を食べながら、最近あった事を聞いている。食べ終わる位に、従魔が帰ってきた。「オイゲン様。おはようございます。お母様。これで良いでしょうか?」大量の買い物を見せる。女物の下着なんかを人数分3日分位かな。「レインは足りたかい?」「はい。素材などが思った以上に高かったようです。お母様から預かったレインは使わないで済みました。」「そうかい。これから何かと必要だろうから持って行きない。」「はい。」「それでいくら位になったんだい?」「はい。これだけ残っております。」
シルヴァが袋を出してきた。金貨1枚と銀貨が200枚位で銅貨が100枚程度で、賤貨が数枚。と言う所だ。一財産がここにある。魔核がいい値段で売れたんだと言う。今、ニグラを中心に魔核需要が高まっていて、高値で買い取ってくれるんだと言う。それから、シルヴァは一枚のチラシの様な者を持って帰ってきていた。商隊が、配っていたのを一枚貰ってきたんだと言う事だった
何気なくチラシを受け取って眺めた”MOTEGI商会””発効:リン=フリークス・テルメン・フォン・マノーラ”そして決定的なマノーラ家の印章が書かれていた。
神崎!!!!
受け取ったチラシには、ひらがなと漢字で「かわら版」と書かれていた。エルやコリンズ達も、「かわら版」の所は読めないと言う。あぁやっぱり、神崎の仕業に違いない。でも、立花達は、リンと言う人間は、神崎じゃないと言っていた。
「どうしたのですか?オイゲン様?」「あぁエル。ごめん。少し、考え事をしていた。」
立花達の罠だって可能性もある。すでに、神崎が捕まっていて、俺を呼び出す為に「かわら版」を作った可能性だってある。でも、発行元がマノーラ家となっている上に、記事の内容では、第一皇子やミヤナック家・ウォード家の事が書かれている。神崎一人かも知れないし、女子が集まっているのかも知れない。調べる為に、一度ウォード街に戻って情報収集をしてから、ニグラのマノーラ家....いや、ギルドを作ったのか?それじゃギルドに訪れればいい。
「母さん。皆。俺は、このギルドって組織に登録して冒険者になる。それが俺の目的に、強いては、皆の故郷の無念を晴らす事への近道になると思う。力を貸して欲しい。」「あんたが決めた事なんだろ、すきにおし。母さんはどこまでのあんたの味方だよ」「ありがとう。母さん」「オイゲン様。私は、貴方と共に参ります。わたくしの里の事など考えないで、オイゲン様の為さりたい事をなさって下さい。」「あぁエルありがとう。」「私も同じ。ノリ様と一緒にいられるのならどこにだってお供します」「ありがとう。コリンズ」「僕も同じです。いつまでも一緒に居させて下さい」「うん。そうだね。ありがとう。シャトルフ」「ヴィネッティも、ノリ様と一緒に居る。皆と一緒に居るの」「うん。ありがとう。ヴィネッティ」「「「「我等は、オイゲン様と共に」」」」
元でもあるし、多少の魔物なら撃退できるだけの陣容になっている。母さんはどうするのかと聞いたら、あんたがそのギルドとか言うのに登録するのなら、私も何か出来るだろうから、ウォード街に一緒に行くと言う。ギルドに入れなくても、昔の知り合いが居るから、そこに転がり込めばいいと言っている。
待っているよ。神崎。びっくりさせてやるからな。俺の嫁見て悔しがれ!!

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