【旧】チート能力を持った高校生の生き残りをかけた長く短い七日間

北きつね

マノーラ家の事情

ギルドのオープンが正式に告知された。と言っても、まだマガラ神殿の事やゲートの事は発表されていない。静かなスタートだろう。
ギルド本部に向う。予想通り、それほどの人は居ないが、ラーロさんの宿...というよりも銭湯施設が大人気だ。少し前に仮オープンさせてから口コミで客が増え始めているらしい。今では夕方になるとロッカーの8割が埋まる位だと言う。そして、屋上の施設も大人気だと言う。まだ軽食しか出していないが、そのうち酒精が入った物をおいても良いだろう。
イリメリが受付やナッセにどこから入手してきたのか、宰相派閥の貴族や商隊のリストを渡していた。取引自体は問題ないが、注意する様に言っていた。食堂に入ったら、イリメリが僕に羊皮紙を渡してきた。書かれていた内容は、宰相派の貴族や商隊に対しての文章だ。ローザスの肝いりで始めるギルドに登録しないようにと、守備隊の派遣を容認しないよう。にする命令書だ。商隊に関しても、同じようにギルドに関係した商隊との取引停止や売買の禁止をする命令書だ。
予想通りすぎて笑いが出てくる。この命令書が全貴族に回るまで、3ヶ月位かかるだろうから、まずは近場から回って様子を見るようにしよう。
その前に、「イリメリ。少し相談があるんだけどいいかな?ナッセやナナも一緒に聞いて」「何?」「メルナの今の守衛所の通行税をアゾレムにあげようかと思うんだけどいいかな?」「理由を聞いてもいい?」「うん。僕の予想も入るから、その辺りをナッセやナナに考えて欲しい」「「「・・・」」」「今日、陛下の前で、アゾレムに対して腰の低さを見せたよね」「うん。」「あの時から考えていたんだけどね。」「うん。」「アゾレムは、僕の事を青二才か、偶然侯爵になっただけの餓鬼で軽くひねりつぶせるっと思ったと思うんだ。」「そうだね」「うん」「それでだね。そんな僕が、アゾレムの領主に対して、ゴメン僕じゃ間違ったりしたら怖いから、アゾレムさん手伝って。できれば、全部お願い出来ないかな?って丁寧に下手に出て、尚且つお金まで付けたらどう思うかな?」「あぁ」「そうだな。アゾレムなら、宰相派に擦り寄ってきているって思うだろうな」「でしょ。尚且つ、強欲なアゾレムなら、僕がそんな事いったら、絶対に美味しいって思うだろうね。もしかしたら、通行税を値上げできるとか考えるかもしれない」「間違い無くそう考えるだろうな。」「うん。アゾレムは、マガラ渓谷の通行税がすごくいい宝物に見えるでしょ。だから、僕がそれを単純に手放そうとしても何かあると思って手を出さないかもしれない。」「かもしれんな」「そこで、媚を売って、下手にでて、ギルドを回すのだけで精一杯だって思わせたいんだよ。ローザスや陛下にすぐにメルナに行けと言われたとか、ギルドなんて物を押し付けられたみたいな感じにしたら、アゾレムはどう考えると思う?」「そうだな。その通行税と言う宝物を差し出して、宰相派に鞍替えしたがっていると思うだろうな」「だよね。でも、それでもまだ乗ってこない可能性があるから、マガラ渓谷の内部の護衛は出来る限りこちらで引き受けると言ってもいいと思う。その代わり、そこで得られる素材は、家の物にしていいよね?って感じなら、疑いよりも儲けの計算が立つんじゃない?」「・・・。」「そして、ついでに、ローザスが言っていた守衛所をアロイ側にも作らせてくれってお願いしてもいいと思う。ただ、アロイのすぐ近くだと警戒するかもしれないから、少し離れた場所に作れと命令された事にして、そこの"護衛を行え"と命令された事にしてしまいたいんだよね」「??」「ローザスは、小さな小屋と言う表現と使っていたよね?」「あぁ」「ならば、小さな小屋の場所は、アロイから一日程度行ったところの商隊がよく休憩する場所に作っても嘘じゃないよね。その上で、この小さな小屋では、寝られる場所が有ったり、食事出来る場所が有ってもしょうがないよね。小屋には守備兵が居るんだから必要な施設だよね。それでそれだけの物が入る施設で守備兵も青二才な若造は怖がりだから、100人単位が駐屯出来る小屋になっても不思議じゃないよね。だって、イスラ大森林は魔物の巣窟だからね。僕は、アゾレムに対して嘘は言っていないよね?」「・・・・・リン。アゾレムが可愛そうになってくるな」「リン様。アゾレムの人となりから考えると、もう少し荒くても大丈夫かと思いますが、食いつくでしょうな。」「ナナとナッセに言われると自信が出てくるな。そして、この書簡の肝は、マガラ渓谷内部の権利を僕達がもらうと言う事。マガラ神殿が公になったら、間違いなく、アゾレムは言ってくるだろうから、それを防ぐ手立てをするって事だね。通行税はアゾレムに渡すけど、それ以外は僕達の物って感じの契約書にしたいんだよね。あと、さっき話したアロイ近郊に小さな小屋を作る許可と、テイマーの僕がテイムした魔物を置くことの許可を取り付ける。」「解りました。これは、早急に、イリメリ様と私とナナで書簡にしたためます。」「まだ待って、これが第一段階ね。」「・・・・」「多分、アゾレム位の強欲だと、調べようとするだろうから、僕は早急にメルナに行かなければならない事や、ミヤナック家が絡んでいる事も匂わせたいんだよね。ここまでは、多分うまく行くと思う。できれば、今日中にアゾレムから承諾が欲しい。言葉のあやとして聞いて欲しい。『小屋の建設は急がされています。許可が降りたら早急に取り掛かりたいと思います。場所等に問題がある時には、建築開始までの言っていただきたい』としたらどう考えるかな?」「そうですな。どんなに急いでも、4日後。それより早くても、マガラ渓谷で足止めすれば問題ない。と考えるでしょうな」「だよね。で、僕は転移で夜に移動して、要塞を作ってしまう。それこそ、遠慮しないで最高の物を作る。」「ハハハ、びっくりするでしょうな」「うん。でも、僕は約束を一個も破っていないよね?」「えぇそうだね。詭弁だけどね。」「この際それはどうでも良いことだよ。それで内部にゲートを作成して、ギルドメンバーだけここから転移出来るようにするし、中の施設も使えるようにする。いいと思わない!!」「えぇそうね。」「それでだね。どうせ、アゾレムの事だから、使いに出した物を待たせておいて検討するだろう?その間、使いの物は無警戒になっていると思うんだよ。」「そうだね。傲慢な貴族にはありがちな対応だね。」「それでだね。トパーズを使いに出させて、分体でアゾレム内部の適当な場所に陰の到達点を作成しておきたいんだよね。透明化インビシブルのスキルにも目覚めているから丁度いいだろ?」「あぁ盗聴器を仕掛けるつもりね。」「あたり!!これからは、情報戦になるのは間違いないからね。相手の情報をより多く集めておきたいんだよ」「うん。リン。いいと思う。盗聴の方法は後で考えるしても、トパーズが侵入経路ができていれば何かと使えそうだからね」「そ。ここまでが、アゾレムに対する嫌がらせね」「!?」「次が、ウォルシャタに対する嫌がらせね」「まだ考えていたの?」「勿論だよ。多分、アゾレムは僕が早々にメルナに移動させられる事から、ミヤナック家辺りが利権に食いつこうとしていると思うだろう。だから、僕からの提案は早めに返答する必要が出てくると考えると思う。もしかしたら、その場で契約するかもしれない。どちらになっても、使いの物には何らかの返事が渡されると思う。その返事を貰えた事へのお礼を伝言して、『アゾレム様には些少で恥ずかしいのですが、当家が出来る精一杯でございます。ご笑納下さい。これらの宝石は、父と母が残してくれた物を生家で見つけました物になります。私がパシリカに行っている最中に賊に荒らされてしまって地下に残された物で、アルフレッド殿下にもお納めいたした残りになってしまって、大変申し訳無いですが、お納め頂いて、これからのご指導よろしくお願いいたします。』の様なメモと一緒にレインや宝石を渡そうと思う。これには毒が含まれているんだよ」
「あぁ”賊に荒らされてしまって地下に残された物”の部分ね。リンの生家を荒らしたのは、アゾレムの所の食客なのは間違いないわけで、宝石を持ち逃げしたと思わせるわけね」「そ、元々、宝石なんて無いんだけど、なくなっている物を、僕が見つけて賄賂として送ってきたと思ったら、なかった物でも有った事になると思わない。それがなくなっているでも、自分は貰っていないとなったら、食客や息子を疑い始めるでしょ。」「あぁリン様。」「リン。あんた、本当にサビニの息子なの?」「・・・・。埋伏の毒?」「ううん。どちらかと言えば、獅子身中の虫だよ。まぁこの場合獅子じゃなくていいところ野良犬って所だろうけどね」「何かわからんが、酷い事を言っているのは解るわよ。」「うん。最低でも、それに気がついたら、アゾレムはウォルシャタや食客を監視するだろうね。そして、監視が付いた位から、僕は遠回しに、ウォルシャタ達に小遣いを与える。ドンドン猜疑心が大きくなるだろうね。クッククク。」
「「「・・・」」」
ナッセとナナは文章の作成に入った。一応、ローザスに名前を使うけど問題ないか?と簡単に内容を伝えた。返事はすぐに返ってきて『僕の名前は自由につかっていいよ。でも、結果は教えて、アゾレムがどこまでハマったのかは知りたい。』との事だった。作成した文面やメモも一通り、見てもらってOKを貰った。契約に関しても問題ないと言われた。
トパーズを呼び出して、伝言と陰移動のポイントを作成してくる事をお願いした。
2時間位経ってから
アゾレムは全部の罠に食いついたと言う。ローザスにもそれを伝えた。その場に居た、ナッセとナナは呆れ顔になって、イリメリは嬉しそうだった。
さて....アゾレムへの嫌がらせは良いとして、ギルドお仕事をやっておこう。まずは、ニグラの城壁の外にある小屋に結界魔法を施して、転移門トランスポートを作ろう。その後で、国境の街シャルムに飛んで、同じように作ってあった、小屋に結界魔法を施して転移門トランスポートを作った。次に、まずはメルナから少し外れた湖の畔に、小屋を作成した。小屋は他の物よりも少しだけ立派な物にした。転移門トランスポートを作成して、ギルド本部に戻った。
戻ったら丁度ハーレイが来ていた。会議室を使っていると言う事だ。逃げようと思ったが遅かった。「米搗き飛蝗リン=フリークスどこに行く気だ?」「ハーコムレイ様。いや、私はやる事がありまして、神殿の方に行こうかと思っていた所です。」「まぁまて、ゆっくり話をしようじゃないか?」「いえいえお構いなく、ハーコムレイ様もお忙しいようですし、今度時間を取りましてゆっくりとお伺いいたします。」「マノーラ侯。そう言わないで、皆も貴方と話で出来るのを楽しみにしていますよ」「いえいえ若輩者です。今まで通りリンとお呼び下さい。」「そうか、蛆虫リン。お前。俺のルナと婚約するんだってな。ローザスが楽しそうに教えてくれたぞ。それも陛下のお墨付きだと!!あぁぁん。どういうつもりだ!」「あちゃぁ....」「あちゃぁじゃないわ。もうルナに手を出したのか?嫌がるルナをお前は!!!」「ハー兄様。やっぱり、嫌な予感がして来てみたら、リンになんて事を言うの?そんな事言うハー兄様なんて大ッ嫌い。私はリンと結婚したいの?邪魔して楽しいの?お父様は喜んでくれたわよ。」「!!!何?父上に報告したのか?」「勿論。陛下のご許可を頂いてから、すぐにお父様にも報告に行きましたよ。アデレードと一緒にお父様に面談してきた所ですわよ。」「・・・父上はなんと?」「侯爵家と縁続きになるのを喜ばないとでも思った?それにギルドの事や、アデレードと一緒に居る事を、喜ばないとでも思った?」「遅かったか....。」「ねぇハー兄様。私はいずれ嫁に行くのよ。分かっているんでしょ。リンの事を私はすごく好き。好きな人の所にけるのよ。祝福してくれないの?」「・・・・・・・・はぁぁ・・・・解った。もう何も言わない。リン=フリークス・テルメン・フォン・マノーラ。お前は最初から気に食わなかった。でも、ルナがお前に惚れ込んでいるのも解っていた。ルナを悲しませるような事をしたら許さん。わかったな」「勿論です。ルナを悲しませるような事はいたしません」「よし、今度、ルナと三人でゆっくり話をしよう。」「解りました。ありがとうございます。」
会議室の中では、外の喧騒が嘘のように、イリメリがギルドの事を説明していた。そして、賛同してくれた人からギルドカードを発効していった。
「ハーコムレイ様。皆様に説明とギルドカードの発効は終了いたしました。今、転移門トランスポートがあるのは、ニグラとシャルムとメルナになります。順番にめぐりますか?」「あぁそうだな。ここからは、僕が案内しよう。」「解りました。よろしくお願いいたします。本日は、ギルドオープン記念で、神殿のスパは無料開放しております。帰りにお立ち寄り頂ければと思います」「あぁ解った。ありがとう。」
ハーレイが、ミヤナック家に連なる貴族や懇意にしている貴族を連れてきてくれた。彼らが優位性に気がついてくれれば、いろんな場所に転移門トランスポートを作る事が出来る。そうなったら、嬉しいな。
ハーレイがニグラの外に向かった事を確認してから、神殿の地下三階に向かった。アルマールに相談したい事があった。店舗兼住宅になっている所に居た。丁度良いことに、アルマールとカルーネとタシアナがいた。なぜか、タシアナが顔真っ赤にして俯いていたが、聞かないでスルーした。三人に、アゾレムを罠に嵌めた事を説明した。
「アルマール。分かっているだろうけど、お願いがある。」「はいはい。小屋を作れば良いんでしょ!」「そ、大きく頑丈な感じでお願いね。」「了解。アゾレムには私もお礼をしたいから遠慮なく作るわよ。」「うん。頼むね。それから、カルーネとタシアナには、武器を作って欲しい。」「武器?」「そ、もしかしたら、これで僕達の事がバレるかもしれないけど、話を聞いたら、似たよな物が昔有ったから、大丈夫かなぁっと思ってね。マガラ神殿からの発掘品とでも言えばいいかなってね」「あっ大砲?」「当り!でも、火薬で飛ばす感じじゃ無くて、魔法で飛ばす感じにしてくれると嬉しいな。最初は、投石機でもいいかな。」「あぁそうだね。オーバーテクノロジーにならない程度のものにするよ。」「うん。お願い。使う事はないと思うけど、脅しで使うにしてもタイミングを見て、眷属に魔法使わせたら、知っているものはビビるだろうし、知らない物は恐れるだろうからね。」「あぁそうかぁ」「うん」「ねぇリン。何人位駐屯出来るようにするの?」「そうだね、500って所かな。普段は空城にするけどね。ギルドメンバーに開放して、休めたり食事出来たり出来る場所にするつもり。」「そうかぁそうなると、半径100m位で高さ20mn城壁で周りを囲んで、その中に小さな小屋を一個作って、広大な地下空間って感じでいいかな?」「それいいね。地上部分は、商人とかが勝手に使っていいとしておけばいいね。」「うん。その方が面白いと思うよ。」「そうだ、城壁だけど、二重にしたいな。間を1m位開けてギルドカードを持っていない物はそこを通って反対側の入り口から入らないとならないようにしておきたい。」「あぁ誰かが攻め込んできた時に、上から攻撃したり、油をまいたり水責したりだね。」「そ!」「了解。早急に書くよ。急いだほうが良いんだよね。」「そうだね。なる早で。武器はゆっくりでいいよ。どうせ気がついたときには手遅れになる代物だからね。」「・・・ちょとだけかわいそうに思えるな。」
「あぁそうそう、聞いていると思うけど、今日の夕ごはんの時に、ささやかなパーティをやろうかと思っているんだ。参加してね。場所は地下二階の学校の食堂だよ」「「「はい(よ)」」」
てくてく歩いていると、ウノテさんがやってきた「おい、リン。あぁリン様。」「止めてくださいよ。リンで良いですよ」「本当か?」「えぇ。それで何かありましたか?」「いや、今日がオープンなんだろう?」「はい。正式に認められる日と言う事になります。」「そうかぁそうかぁリン。ありがとうな。」「ん?」「妹だけじゃなくて、親父達も助けてくれて」「いや、仕事をしてもらっていますから別に一方的に助けたつもりは無いですよ」「それでもだ。それに、さっきまでアロイに行ってきたんだけどな。いろいろ不味そうな噂が入っているからな。」「へぇそうなんですか?」「あぁ宰相閣下の命令で、ギルドへの登録やギルドとの売買を禁止する命令書が回っているらしいんだよ」「あぁその話なら知っていますよ。狙い通りですから大丈夫ですよ。もし、誰かに聞かれたらそう答えておいて下さい。」「ぉそうなのか?もうちょっと教えてくれないか?」「良いですよ。ウノテさんは、転移門トランスポートの事をどう思いますか?」「どう思うってあれはすごいな。俺もさっきアロイの街に出て、マガラ渓谷を渡ってメルナに行って、そこからニグラに飛んで、買った物をシャルムで売ってきたんだよ。それで、シャルムで買った物をニグラの知り合いの商店に卸してきたんだよ。ちょっと動いただけで、銀貨2枚の儲けだ。」「でしょ。ウノテさん一人でもそれだけの事が出来るんですよ。禁止してくれていた方がいいと思いませんか?」「??」「宰相派の商人は、ウノテさんがやった様な事が出来ないんですよ。出来る人間だけで独占出来ている間に、大きくしてしまえば良いんですよ。それに、僕達は、ローザス皇子派だと思われています。だったら、この機会に宰相派はこちらからお断りして、できるだけ遠くの物をニグラに運べるようにしたらいいと思いません?」「あぁそうか、たしかにな。両手で持てる物だけで、1往復するのに、2時間位だし、台車とか使えばもっと儲けられるだろうな。」「でしょ。それに早めにここに店を出してくれた人たちは、イリメリからも説明が有ったように、税を免除しますからね。後から入ってきた人たちには、正規の税をつけるつもりですからね。」「ぉぉそうか、そうだよな。皆に話していいよな?」「えぇ勿論、緑線にあるギルドでも説明する様にしていますし、広報紙にも書かれていますからね。問題ないですよ」「ありがとうな。リン。一杯儲けて、お前たちに早く税金を払うようにするからな。」「えぇ期待していますよ。早く僕達を楽にさせてくださいね。」「任せておけ!!!」
いい人なんだろうけど疲れるのはなんでだろう?
ギルドに立ち寄ってみた。まだ受付も何も無いようだが、依頼は出ているようだ。素材の採取依頼だな。あぁタシアナとカルーネか。そうか、時間かけてでも問題ない物は、依頼にしておけばいいのか....てダメだな。眷属でなければ行けないような素材はここに出した事がバレたら、絶対に怒られる。アルマールの依頼もあった、糸や魔物の皮を集めているみたいだな。
あっそろそろ迷宮ダンジョンもいい塩梅に仕上がってきているんだろうな。でも、まだ1階と25階の従業員が居ないんだよな。その手配が出来てからだな。またアッシュの所に行くかな。
あっドラウは明日でも大丈夫だって言っていたけど、時間があるし、話だけでも聞きに行くか?地下二階に移動した。学校の横を通り抜けて、魔物の里に向かった。途中、畑を作り始めているようだ。早く作物が出来るといいな。うん。人外だな。普通に走ってるだけで、この速度感。オリンピックにでたら、確実にドーピングを疑われる。2分も走ったら、魔物の里に付いた。
眷属にドラウに会いたいと伝えてもらった。すぐに、ヒューマが来て、ドラウの所まで案内してくれた。「ドラウ。僕に何か相談事があるんだよね?」「リン様。明日でも大丈夫でしたのに・・・。」「いや、今日時間が出来たからね。心配事は早く片付けるのが良いだろうからな」「ありがとうございます。」「それで何があった?」
ドラウが言うには、最初はエルフが帰属を求めてやってきただけだとおもっていたと言う。最近、多いんで気にしもしていなかったが、エルフの数が徐々に増えていき。10名近い状態になった時に、ドラウの下に眷属がやってきて、エルフの長を名乗る物からの伝言を持ってきた。アルセイド様か伴人のリン=フリークス様にお会いしたいと言う事だった。ドラウがまず会いたいと伝えた所、先方もそうしたいと言う事で、旧魔物の里で会う事になった。エルフの長は、ヒト族の言葉でヘルズ森林の里の者だ。ヘルズ森林は、アゾレム領とヴァズレ領の間にあって、魔物は中級程度で中心部に強者が少し居る程度の森林になっている。そして、その中心部にやはり結界を張ってエルフの里が存在していた。里には100名程度のエルフと魔核が無い魔物が40名ほど暮らしていた。最初は些細な違和感だったらしい、狩りに出たエルフが戻らないことが多くなってきたと言う事だ。捜索隊を出すと、ヒト族の軍隊がエルフを捕え、魔物を殺しているのを発見した。そして、軍隊はより奥に入ってきたそうだ。エルフの里は急襲された。結界で守っているので、まだ大丈夫だが、外に居た者達は掴まるか殺されるかされてしまった。エルフ達は一縷の望みを持て、イスラ大森林の魔物の里を頼った。ヒポグリフ使い移動してきたと言う。それが昨日の事だと言う。里に逃げてきたエルフが言うには結界は2~3日で壊れる物ではないと言う事だ。少し余裕があると見ていたらしい。
アゾレムの奴等が動いているとしたら、立花達が動いている可能性が高い。そうなると、結界もそんなに長くは持たないかもしれない。助けに行くか?でも、相手の戦力が解らない内に攻め込むのはこちらの被害も大きくなる。どうする見捨てるか....聞いてしまったからにはそれは出来ない。
「ワク。」「はい。」「緊急で、ミル。フェム。イリメリ。タシアナ。サリーカ。を呼んできてくれ。僕が『緊急だと言っていた』と言ってくれ。」「解りました。」「トパーズ。」「はい」「皆を集めてくれ。」「承知しました」「ロルフ。」「はい。」「カエサルに、初期眷属を全員集めてすぐに来てくれと伝言してくれ、そして、地下二階に居る眷属で進化が終わっている物を集めてくれ。」「ドラウ。」「はい。」「そのエルフの長を呼んできてくれ。あと、ヒポグリフが眷属化出来るかも確認しておいてくれ」「解りました」
おぉ。ミルもフェムもイリメリもタシアナもサリーカも人外だな。走る速度が尋常じゃない。
「どうしたの?リン。緊急なんて何かあったの?」「あぁ」
ドラウから聞いた話を簡単に説明した。
「僕は助けに行きたい。でも、皆を危険に晒すかもしれない。だから、信頼する君達の意見が聞きたい。」「助けましょう。」「見捨てるなんて出来ない」「相手は立花達でしょ助けましょう」「作戦を考えましょう。立花達を相手する必要は無くて、助ければいいんでしょ「リンのやりたい様に」「ありがとう。今、眷属たちを集めている。もうすぐ集まると思う。」
「リン様。御前に」「うん。トパーズありがとう。」「リン様。御前に」「カエサルもみんなありがとう。」
「リン様。エルフの長を連れてきました。」「うん。ありがとう。」「ヒポグリフは、眷属になる事を望んでいます。」「そうか、助け出してからだな」「エルフの長よ。僕達は、君達の仲間を助け出す事にした。そこで一つ聞きたい事がある」「はい。何でしょう」「ヘルズの中にあるエルフの里は放棄してもいいのか?」「反対意見も出るかもしれませんが、放棄して新しい住処があれば問題ありませんぬ」「よし、それなら話は簡単だ。今から作成を説明する。意見は随時出してくれ。まず。基本方針は、エルフの里に居るエルフの救出。並びに、魔物の救出。次に、捕えられているだろう。エルフの奪還。ただし、これは難しければ作戦続行はしない。最後に、一時避難場所の確保」
「最初に、避難場所だが、エルフの長よ。このマガラ神殿の地下二階に暫く身を隠すでいいか?」「ドラウどのさえ問題なければ、我らには不満はありませんぬ」「ドラウどうなんだ?」「リン様さえ良ければ、我らは問題ありません」「よし、それなら避難場所は地下二階に設定する」「救出方法だが、エルフの長よ。エルフの里の結界は、迷宮結界だけなのか?それとも、防御結界も張られているのか?」「防御結界でところどころに迷宮結界が張られています。」「上空部分はどうなっている?」「上空は、迷宮結界だけです」「よし、それなら、転移門トランスポートが使える。エルフの長よ。転移魔法は使えるか?」「我ともう一人だけなら使えます。」「よし、それなら大丈夫だ。作成を説明するまず、エルフの長に僕と一緒にエルフの里に戻ってもらう。そこで最初、子供を中心に9名を僕の転移魔法で地下二階に転移する。その後、転移門トランスポートをエルフの里に設置する。あとは、順次移動する。全員移動したら転移門トランスポートを取り消す。同時進行で、トパーズ達の背に紫魔法が9になっている物を乗せ、軍隊の食料を運んでいるであろう部隊を急襲する。食料を奪えればいいが奪えそうになかったら、全部燃やしてしまえ。その後、適当に魔法を魔力が続く限り打ち続けろ。敵にも宛てないようにしろ。一人でいい敵の軍隊で偉そうにしている奴を捕まえてきてくれ。多分魔物は殺されているだろう。エルフは捕えられている可能性がたかいから、出来る限り救い出して転送魔法が出来る奴が片っ端からイスラ大森林の旧魔物の里か、地下二階に転送させろ。」「何か質問は!」
「よしないな。それでは、スキルと属性を確認し、準備にかかってくれ、5分後に作成を開始する。」「イリメリとフェムはこの場で状況把握を頼む。」「「解った」」「タシアナとサリーカは少し危険になるかもしれないが、旧魔物の里で逃げてきたエルフに説明とゲートへの誘導を頼む」「「了解」」「ミルは、この場に居て、ゲートが開き次第、僕とエルフの里に行く。」「了解」
「みんな準備はいいな」
「「「おお!!」」」
「長。頼む」「はい。」
長と一緒にエルフの里に飛んだ。まだ破られていない。でもかなり緊迫した状況になっているのが解る。
「長。早く。小さい子供からこっちに」「解りました」
女。子供ばかり、40名って所か、魔物も幼体や子供が多いな。大人や成体は戦いに行ったか.....。
「リン様お願いいたします。」「うん。すぐ来る。長も絶対に無理するなよ」
【転移-マガラ神殿-地下二階】よし。無事転送出来た。「ドラウ。この子達に説明を頼む。僕は、転移門トランスポートを作る。」
「ミル。一緒に来てくれ。」転移門トランスポートをミルと潜って、エルフの里に向う。「リン様。結界の一部が破られました。」「ミル頼む。」「了解。【火柱】」目の前に、火柱が立ち上がる。「長。今のうちにゲートを使って地下二階に転移できます。」「リン様は、僕達は大丈夫。早く女と子供や魔物を誘導して下さい。ミルの魔法もそれほど持ちません。」
結界の外では、派手に魔法が炸裂している。よし、見える限りのエルフと魔物は全部転移したな。「ミル。もう少しだけ耐えてくれ。すまん」「大丈夫。後でご褒美頂戴」「あぁ解った」
【転移-マガラ神殿-地下二階】「長。全員居るか?」「はい。里に残っていた物は全員居ます。」「魔物もか?」「確認出来ませんが、覚えている限りは全部居ます。」「そうか。イリメリ。僕はもう一度、エルフの里に行く。そうしたら、転移門トランスポートを削除してくれ」「解った」【転移-エルフの里】「ミル。大丈夫か?」「うん。余裕!」ミルの顔には疲労の色が少し出ていた。「ミル。敵を牽制してくれ。ワク。綺麗な建物や物品をなるべく多く納めてくれ」「了解」「ミル。派手に行くよ。」「了解。」
壊れた結果に向けて魔法を集中する。何人も居るように見せかけるために、属性を変えながら魔法を打っていく。外の魔法で打たれていた魔法が少し落ち着いてきた『リン。聞こえる?』『タシアナ?』『うん。マヤが来てくれて、念話が通じるはずだっていってやってみた。こっちは何もなく無事だよ。全員、地下二階に送った所。』『リン。何楽しそうな事をしているの?私も混ぜてよ』『マヤ。ピクニックに行くんじゃないんだぞ』『だからこそ、おいていかれるのは嫌。』『解ったゴメン。』『マヤ。大丈夫。私がついている。』『ミル。ありがとう。それならいいかな。』『リン。トパーズが旧魔物の里に戻ってきた。残念だけど、生きているエルフは18名で死体を回収出来たエルフは6体だけだと言う事です。それから、サファイアが偉そうにしていた一人を捕まえてきた。どうしたら良いのかと聞いている。』『真命確認して....』『残念。違う。』『そうか、縛って旧魔物の里においておいて、後で尋問しにいく。』『了解。』『うん。皆ひとまず、地下二階の魔物の里に戻ってきて、こっちももう終わるから、そうしたら、里に火を付けて撤退する。』『解った。気をつけてね。』
「ミル。聞いていた通りだワクの作業がある程度終わったら、二人で最大級の赤魔法で火を放つぞ。」「了解。初めての共同作業だね。」「あぁそうだな。抱き合いながらやるか?」「それもいいけど、マヤに殺されそうだから、また今度にするよ。」「ご主人様。あら方取込ました。」「よし、ミルやるぞ。」「うん」【エクスプロージョン】【メテオフォール】「ハッハハハハ」「フッフフハハハハ」【転移-マガラ神殿-地下二階】
「ただいま。みんな無事か?」「眷属含めけが人も誰も居ないよ。」「そうか、良かった。」
「エルフは?」「長。すまない。救えなかった者も多かった。」「いえ。戦士には死がつき物です。その中でも、18名を救って頂きありがとうございます。それだけではなく6名の尊厳も守って頂き嬉しく思います。」「そうか、救えなかった者を弔う方法を教えてくれ。エルフ族の仕来りに従いたい。」「ありがとうございます。この里には、ドライアドが居るとお聞きしました。ドライアドに埋葬して頂ければと思います。」「ドラウ。出来るか?」「はい。問題ありません。」「そうか、ドラウと長に任せる。今日はつかれただろうし怖かっただろう。明日落ち着いたら今後どうしたいのか話をさせてくれ。」「解りました。ドラウ殿。よろしくお願いする。」
「皆。俺の我儘に突き合わせて悪かった。」「いえ、我らは、リン様の眷属。リン様の命令こそ絶対の祝詞です。」「うん。本当にありがとう。助かったよ」「は!」
「マヤ。ミル。フェム。イリメリ。サリーカ。タシアナ。ありがとう。助かったよ。悪かったな」「リン。良いんだよ。私達はリンのやりたい事をサポートすると決めたんだから、リンがやりたい事をやっていこう。」「うん。ありがとう。ミルに言ったけど、「ダメ。リン」ご褒美が欲しいのなら。僕に出来る事ならしてあげるからね」「ミル?どうしたの?」「ミル。これってどういう事なのかな?もしかして独り占めしようとした?」「そんな事ないないよ?勿論。皆で....ね。後で相談して決めよう。ね。」「どうなの?ミル。目が泳いでいるよ。」「ね。ね。そうだね。そうしよ。」
何か雲行きが怪しくなったから、逃げることにした。
「ドラウ。これで大丈夫だよな。後頼むな。」「かしこまりました」
こっそりでも確実に距離を取ってから、一気にダッシュしてその場を離れた。
地下二階から中央広場に移動した。ローザスが何人か連れてやってきた。「あぁリン君!!」「ローザスどうした?」「今から教会の上層階の宿屋で働くメンバーと作業の割当をしたいと思ってね」「そうなんだね。料金設定とか決まった?」「あぁ後でイリメリちゃんに言いに行くけど、一番安い所で金貨1枚、高い所で金貨3枚にするよ。」「ん。そのあたりは任せるよ。貴族や王族の感覚はつかめないからな」「一応、君も貴族で王族何だけどな」「あぁそうだった。そうだった。」「何か有ったのか?」「たいした事じゃないんだけどな」
先程のエルフの里の襲撃事件を伝えた。証拠はつかめていないが、アゾレム家とヴァズレ家が関係していると思われる。
「ふぅん。そんな事が有ったんだね。僕の方でも調べておくよ。」「あぁ頼むよ。そのうち、諜報機関とか作るつもりだからその時にも相談に乗ってくれよ」「君はそんな大事な事を気楽に....まぁいい。あっそういえば、ハーレイに認めさせたみたいじゃないか?おめでとう。これでほぼ問題はなくなったんだろう?」「あぁそうだな。あとは、まぁいろいろだな。」「君も大変だね。」「・・・。まぁなんとかするよ」「そうだな。そうしてくれ。そればっかりは僕でも力になれないよ。」「僕は、行くね。」「あぁ引き止めて悪かったな」「いいさ。2週間後位を目処にオープン出来るようにしておくよ。」「うん。別に焦っていないからしっかり準備してくれた方が嬉しいよ」
「リン様。ローザス様」「あぁナッセ。と、リンザー卿。教会の視察ですか?」「リン様。教会は先程見ていただいて、本当に、ここでアウラ神を祀って良いのかと質問を受けた所です。」「ん?確認したら問題ないって事だよ。ただ、教会中央の像だけは壊さないでね。怖いようなら結界で守るから言ってね」「マノーラ侯。教会関係者が像を壊す事は無いのですが、人が増えるとわからないので、是非結界を張っていただきたい。」「解りました。結界で守るようにしておきます」「ローザス様。マノーラ侯。再度確認なのですが、教会施設を使って良いのですか?普通に宗教都市ドムフライホーフよりも立派な施設なのですが....」「良いですよ。というよりも、司祭が居てもらった方が安心出来ますし、使わない施設は傷んでしまいますからね。是非使って下さい。」「あぁぁありがとうございます。それから、家の娘が言っていたのですが、書庫にも入れるようにしていただけると聞きましたが、大丈夫なのでしょうか?」「はい。書庫の書籍に関しては、全てフレットに任せていますので、一切彼女と決めて頂ければと思います。」「ありがとうございます。」「ナッセ。後は頼むな」「かしこまりました。」
その場を離れた。ローザスとナッセとリンザー卿がまだ話ているが、施設の使い方の取り決めをすると言っていた。
「リン様。」「何?」「申し訳ありません。忘れていました。ギルド本部に男女18名がアッシュ奴隷商から来たと言っています。今、会議室で休んでもらっています」「あぁありがとう。行ってみるよ」「はい。お願いします。」
ギルド本部に向かった。あまり待たせるのも良くないだろうからな。
受付が大変な事になっていた。スラム街から来たと言う男女の登録者が増えている。陛下とローザスの話が公布されて、ラーロさんの銭湯の常連になっていた商人からの口コミで、個人でやっている商人が登録をはじめた。最初は、銭湯が少しだけ安く入れると言う事からの登録だったが、登録時の説明で、メルナやシャルムに簡単に移動できると言われて、半信半疑で使ってみたら、瞬時に移動できる事や、マガラ神殿のスパや地下三階の商店の事が重なって、商人の登録が殺到している。受付総出で対応にあたっている。それでも待たせてしまう場合には、隣で無料で軽食や飲み物を振る舞っている。イリメリの指示だと言う。施設の説明で、まだ開けられていないが、そのうち、マガラ神殿からマガラ渓谷に繋がる。迷宮ダンジョンが公開される事になると説明している。商人が懇意にしている。探索者もちらほら冒険者登録をしてくれている。やはり、まだ圧倒的に商人の登録が多いようだ。邪魔になりそうなので、会議室で待たせている人物達の所に移動した。
「リン=フリークス・テルメン・フォン・マノーラ様。是非。我らをよろしくお願いいたします。」会議室に入るなりそう宣言された。会議室には、イリメリが来てくれていた。さっき呼び出す時が、説明をしていた最中だったようだ。ナッセとは入れ違いになってしまったららしい。イリメリから一通りの説明が終わって、「リン。私はいいと思う。マヤにもさっき聞いたらOKだって言っていたよ」「うん。ギルドで働いてもらう?」「ううん。メルナのマノーラ家で働いてもらう事にする。」「イリメリがいいのなら僕はそれでいいよ。お前たちもそれでいいのか?」「はい。是非、お屋敷とマノーラ家の管理・運営をさせて頂ければと思います。」「うん。それでは、改めて、僕がマノーラ家当主のリン=フリークス・テルメン・フォン・マノーラです。至らない事もあろうかと思う。その時には、遠慮なく言って欲しい。テルメンの名前に恥じないようにしていきたいと思う。よろしくな」
一人の男性が一歩前に出て「私は、モルト=クラータ。前のお屋敷では、家令スチュワードを拝命しておりました。そして、妻のオージュでございます。」「私は、セルケル=モーデル。前のお屋敷では、執事バトラーを拝命しておりました。」「セルケルの妻ニメラです。前のお屋敷では、メイド長を拝命しておりました。」「私は、シャイド=カルズハイム。前のお屋敷では、料理長を拝命しておりました。一緒に料理を担当していました。妻のサビーネでございます」「私は、クレメンツ=ペクニッツ。前のお屋敷では、庭師及び守衛所詰を拝命しておりました。メイドをしておりました。妻のルーゲでございます」「私は、トーマ=バーゼン。前のお屋敷では、庭師及び守衛所詰を拝命しておりました。メイドをしておりました。妻のシュムーデでございます」「私は、ハンス=ハウプト。前のお屋敷では、庭師及び守衛所詰を拝命しておりました。メイドをしておりました。妻のノルデンでございます」「私は、アントン=シュテーガ。前のお屋敷では、庭師及び守衛所詰を拝命しておりました。メイドをしておりました。妻のレオノラでございます」「私は、ヘルマン=バーゼル。前のお屋敷では、庭師及び守衛所詰を拝命しておりました。メイドをしておりました。妻のラーナルトでございます」「私は、ゲルハルト=ビュルガ。前のお屋敷では、庭師及び守衛所詰を拝命しておりました。メイドをしておりました。妻のエメリッヒでございます」
全員で屋敷がそのまま運営出来る形だな。「条件や今後の家の事を、イリメリと話をして欲しい。」「イリメリ。任せて大丈夫だよね?」「うん。解った。メルナお屋敷の事は、今後、モルトに頼むのでいいんだよね?」「うん。家令スチュワードにそのままなってもらえたら僕達も楽だろうからね。いいよねモルト?」「はい。謹んで拝命いたします。詳細な事は、奥方様にお尋ねすれば良いのでしょうか?」「うん。お願い。」「リン。奥方様って....」「嫌なの?」「嫌なわけ無いでしょ。でも、まだ早いよ」「そうだな。」「モルト。奥方ではなく、イリメリと呼ぶように、後で、屋敷に住む人間を紹介するからな。」「我らでよろしいのでしょうか?」「あぁそのつもりだよ。職制を活かして、マノーラ家を頼むな。」「我ら、18名。謹んでお受けいたします。今後よろしく願い致します」
「うん。ギルドカードも発効しておいた方がいいだろう?僕は、先に、メルナの屋敷に行っているから、イリメリ。彼らを案内して、今回は時間がかかっても、地下からじゃなくて、メルナ経由でお願いするね。」「了解。少し時間が掛かると思うけど、屋敷で待っていてね。」
三階の僕達の部屋に移動してから、メルナの屋敷に転移した。メルナの屋敷で気になった部分が有ったので、イリメリ達が来るまでの暇つぶしに直しておく。
まずは、お風呂の施設で気になった部分を直しておく寝湯をもう少し深くして、足を少し高く出来るようにした。再度にお湯が流れるようにした。お湯の出口にも加工して、入浴剤の物を入れられるようにした、暫くはポプラの様な草木を加工した物を入れて薬効とかを確かめたいと思う。湯船だけど、9人で入るには少し狭かった。そこでもう限界まで広くした。湯船に段差を付けて、座れるようにもした。おっぱいが出てしまうが、それは許してもらおう。けして綺麗なおっぱいが見たいからではなく、半身浴の様な使い方も出来るだろうなと言う事だ。重ねていうが、おっぱいが見たいからではない。次に打たせ湯を作ろう。お湯を大量に使えるのだから、打たせ湯位有ってもいいだろうと言う事で、量が違う打たせ湯を3箇所作った。洗い場は、人数分あるからそのままにした。シャワーがなかったので、シャワーを作った。鏡を置くと怒られそうだから、石を磨いた石鏡を作って、それぞれの洗い場に設置した二つのサウナだったのを一つにまとめて、上段と下段にした。これで少し狭いが全員座れるようになる。温度調整は、石を使うタイプにした。岩を砕いた物を敷き詰めて、一定の温度になるような窓具を設置した。上部には風が流れるようにして温度を一定になるようにした。微調整は必要だろうけど、なかなか良さそうだ。水風呂とクールサウナはそのままにした。打たせ湯の下に蛸壺を作った。蛸壺は、灰魔法の応用で蛸壺の様な形状の湯船の四方+足下から水流で身体をマッサージ出来るようにした。蛸壺で溜まったお湯はそのまま寝湯の方に流れていき。最終的には、もうひとつの湯船に貯まるようになっている。この湯船は新しく作った物で、寝室に向う階段の真下に作った。
お風呂はこんな感じかな。次に階段の改造を行う。まず。脱衣所から階段に抜ける部分を塞いだ。そして、階段から直接お風呂に入れるようにした。階段を、螺旋式滑り台に形を変更した。そう、寝室で全裸になって、そのまま滑り台で湯船に直行出来るようにした。最上部ではお湯を滑り台に流すようにできるので、滑りも良くなるだろう。これが作りたかった。男の浪漫を感じるだろう。別に、寝室で全裸にさせたいから作ったわけじゃない。階段の昇り降りが面倒だったからだ。脱衣所も変更しよう。脱衣所の床は今までは単純な板張りだったが、学校に植えた竹を思い出して、支那竹くらいの太さだったので、床材として使ってみる事にした。脱衣所で濡れた足で歩くから、全部が設置するよう板間よりは快適になりそうだ。脱衣所全体で床を優しい風が吹き続けるようにした。大事な事だと思うが、洗濯物を貯める場所も作った。寝室から直接放り込む事が出来るようもしてある。脱衣場には、メイドが入ってこれるので、そのまま洗濯をしてもらえるようにして、脱衣場には転送装置を備え付けたロッカーを人数分用意した。洗濯が終わった物をここにおいて魔法陣に魔力を流すとそれぞれの小部屋に転送されるようにした。最後の大改造を行う。脱衣所とすべり台の間に、大きめの箱が上下できるような物を作成した。そう、エレベータだ。行きは、滑り台で一気に降りたとして、帰りに階段では身体が冷えてしまう。帰りも楽をしたいと思って思いついたのが、エレベータ施設だ詰めれば全員乗れるくらいの大きさにしかできなかったが、上下する事が出来る。箱の安全の為に、筒状の吹き抜けを作成して、その中に箱を入れた。箱の周りは魔物素材で強粘液と言う物がある。魔力を流すと形を変えるが魔力を止めると、形が固定される不思議素材だ。これで吹き抜けを満たした。そして、上下する時に、魔力を感知して粘液が上下する事で、箱が移動すると言う仕組みが。試してみたが、油圧式のエレベータに似ている。制御も上下だけならそれほど難しくない途中で止めたりは面倒だから、この当りはタシアナに作ってもらおう。なんか、いい感じのエレベータが出来たから、玄関ホールの吹き抜けの螺旋階段にもセットした。二階に行くやつと三階に行くやつを別々に作成した。両方共二人位が乗る感じで作った。
満足出来る形になった。まだ細部の調整は必要だろうが、この屋敷も気に入ってきた。
外が何か騒がしい。出てみると、イリメリがモルト達を連れて来ていた。まずは外観の説明をするらしい。「リン。ちょっと来て」「ん?」「門に紋章を付けたのはリン?」「そうだよ。」「あのね。モルト説明してあげて、今日から貴方が家令スチュワードなんだから」「はい。リン様。旦那様。門に紋章をつけるのは良いのですが、この様に別れるようにするのはよろしくありません。家を割ると言う風に考えられてしまいます。修理させますがよろしいでしょうか?」「あぁそうなんだ。両方に作るのならいいの?」「勿論です。」「違う二つの紋章でもいいの?」「はい。問題ありません。そのように手配しますか?」「うん。そうだね。いいや。みんな少し離れて、【分解】【構築】【造形】。こんなもんかな。これでいい?モルト。」「!!!え。今何を・・・。」「ん?修正したんだけど、まだダメ?」「いえ、そうでなくて....イリメリ様。これがリン様なんですね。」「そう。解ってもらえた?」「はい。理解できました」
「モルト。これ見て....」「ん。セルケル。お前らしくない慌てて、」「いいから、紋章を確認してみろよ」「!!これは....」「リン。何を作ったの?」「あぁせっかくだったから、マノーラ家の紋章と、サビニから受け継いだ、テルメン家の紋章を刻んだんだよ。ほら、僕の腕にサビに家の紋章があるからイメージしやすかったからね。」「(天然って怖いな。これで確実に、モルト達の心を掴んだな。あぁニメラは涙まで流しているよ)ほら、みんな他にもおかしな所があったら報告して!」
「アントンなに?」「はい。ここが守衛所だと思うのですが...」「あぁゴメン。眷属用に作った所だから、ヒト族用に反対側に作るね。どんな感じがいいの?」アントンに形や機能を聞いて守衛所を作った。その隣に、小屋を作って、使者に休んでもらう場所と、馬房も作った。使者を待たせる場合や馬車で来た時に繋いでおく場所だと言う。庭園を見てもらった。これは問題は無いようだ。庭師の仕事の時に、好きに変更してもらうようにした。ついでに、庭を守護するエントを紹介した「エントのファンゴルンとファンプレシルだ。二名には常に屋敷周辺を守護してもらっている。あと、屋敷の庭や周りの草木も影響範囲にあるんだよな?」「はい。主様。我ら二名でこの辺り一体の草木は自由に出来ます。」「と言う事だ、アントン達で二人に言って、好きに調整してくれ。多少なら地形もいじれるんだよな?」「はい。問題ありません。」「はっはい。ファンゴルン様。ファンプレシル様。我ら6名がこれよりリン様のマノーラ家屋敷の庭番になります。よろしくお願いいたします。」「我らの事に、様などいらない。同じ主を仰ぐ同僚としてよろしくお願いする。」「解った、ファンゴルン。ファンプレシル。よろしく。」「あぁよろしく。」
「あと、ドライアドとワーウルフも庭を徘徊しているけど、今は別の任務にあたっている。戻ってきたら紹介するよ。」「イリメリ様。マノーラ家はどこぞの軍隊と戦争するのですか?エントだけでも過剰防衛なのに、その上でドライアドとワーウルフって....」「ごめんね。まだ居るんだ。後で紹介するよ」「!!!!」
「庭はこんなもんかな?」「・・・・」「あっ忘れていた。イリメリ達には言ったと思っているけど....この屋敷に来る時に、屋敷の周りにお堀が有ったと思うけど・・・。」「えぇかなり深い。大きいお堀だったわよ。」「うんうん。あのお堀には、クラーケンとレイクサーペントが番で居るからよろしくね。4匹ともヒト型になっても半分だけだから基本的には、水中に居る事にしているよ。魚貝が必要になったら、彼らに頼めば用意してくれるよ。」「「!!!!!!」」「リン。聞いてないわよ。」「そうだった?ごめん。いろいろバタバタしていて忘れちゃったよ。でも、ほら侵入者とか怖いからね。丁度良いでしょ。」「何言ってんの。完全な過剰防衛だよ。」「いいんじゃない。防衛出来ないわけじゃないんだからね。ほら、屋敷の中に行こうよ。」
なんか皆すごく疲れて見えるけど、今日沢山歩いただろうから疲れているんだろうな。早めに案内を終えて、休ませよう。屋敷のドアにも印章が有ったほうが良いとの事だったので、マノーラ家の紋章を作った。テルメン家の紋章は作らないほうが良いだろうと言う事だ。吹き抜けの玄関ホールはいいが、再度に待機部屋を作った方が良いとの事だ。貴族が来る時に、大抵護衛や付き人が居る。それらの人たちが居る場所が無いとダメだと言う。ちょっと狭くなるんだよなっといっていたら、玄関ホールから奥ではなく横に抜けた所に離れを作っても良いと言う事だ。そっちにはまだ空きスペースがあったので、2階建ての離れを作った。4部屋位でいいと言う事だったので、そのようにした。イリメリからお風呂は絶対に作らないように言われた。何故バレたんだろう。二階。三階と見てもらった。細かい指摘箇所を随時直していった。やはり、素人考えではダメだね。経験者が居てくれて助かった。執務室の一つをモルトの部屋としてもう一つをセルケルの部屋とした。一番奥を僕が使って、手前を女性陣が使う事になった。客室は問題無いと言うが、何か言いたそうだったので聞いたら、メイドを待機させる部屋が有ったほうが良いと言う事だった。客間を使う時に、連れてきたメイドを待機させる部屋になるので、客間に繋がるように作るのがいいと言う。多くても3名ほどだと言う事なので、そのくらいの広さにした。四階部分の僕達の寝室を見てもらった。メイド達としては、メイドの待機場所が欲しいと言ったが、イリメリが却下した。そこでさっき作ったエレベータの事を思い出した。用事がある時には、呼び出しをするから、その時に、エレベータを使って来てよ。と言ったが、イリメリ以外はわからない様子だった。イリメリの顔が呆れ顔になっていた。エレベータの説明の為まずはメイドを乗せ。下に降りた。おりた先が脱衣所でお風呂だと説明した。残りの面子も下におろした。脱衣所とお風呂を説明して、基本的には掃除も必要ない。必要になったら声をかけるとだけ伝えた。実は、掃除、ワクがいればすぐに終わってしまう。ワクが分体で分かれて、スライムとしての特徴である吸収をするとゴミや汚れを食べてくれる。食べられない物は後でまとめて捨てる事が出来ると言う。だから、脱衣所やお風呂の掃除は基本いらない事になる。
そして、最後に使用人の館に向かった。行く方法は二つで脱衣所から行く方法と、キッチン横から抜ける方法だ。中を一通り見て貰って問題ないとの事だった。使用人の館にも何か紋章を付けたほうがいいのか?と聞いたら、大抵の貴族は付けないが、つける人も居ると言う事だ。それじゃつけておいたほうが目ずるしにもなるしいいと思っった。表の屋敷の扉にマノーラの紋章を付けたから、使用人の館には、テルメン家の紋章でいいか?と聞いたら問題ないと言う返事だった。家が続いていると言う証拠にもなるから好ましいという返事だった。
そして、後回しになってしまったが、屋上に案内した。屋上の小屋では、ドラコニアンに進化したリザードマンが待機していた。やはりというか、モルトからは微妙な表情をされてしまった。
それからと、全員分は用意できなかったが、時空の袋タイムシフトポーチを二つと魔法の袋マジックポーチを八個用意した。眷属がトパーズ達を探しに行った時に狩った魔物の素材で作る事が出来るようになっていたので作っておいた。女性陣全員に時空の袋タイムシフトポーチが行き渡っている。マノーラ家を守るためには必要な物だろうと言う事で、料理長とメイド長に時空の袋タイムシフトポーチを渡して家令スチュワード執事バトラーとメイドにそれぞれ持たせた。今回作ったのは、劣化版で入れられる数がそんなに多くないが食材の買物や日用品の買物の時に使えるだろう。登録者はそれぞれ夫婦に設定した。それから、モルトに、マノーラ家の維持管理費や暫くの生活費や家具は調度品を買い揃えるようにお願いして、その資金としてイリメリが大金貨5枚渡していた。明日にでも、買いに行くと行っていた。大事な事として、明日モルトとセルケルとナッセとナナとイリメリとサリーカとタシアナとフェムとアデレードとおまけで僕でマノーラ家とギルドの関係に関しての調整を行うと言う。簡単に言えば、ギルドからの上納金をどうするのかと言う事だ。お金の話は解らないと逃げようとしたら、モルトが居てもらわないと困ります。と言われてしまって強制参加になった。
いろいろあったが、夕方にもなってきた。地下二階に皆で移動して、ギルドの食事係と協力して、パーティの準備をしてもらう事になった。モルトの指示で、僕は着替える事になってしまった。
そして、大食堂に関係者が集まってきた。なぜか、ローザスやハーレイの姿も見えるし、変装しているが間違いなく陛下やミヤナック卿やリンザー卿も居る。ウーレンやサラナもガルドバもラーロもウノテさんも来てくれているようだ。子供たちも元気に走ってタシアナに怒られている。まだまだ始まったばかりだが、やっと目的に向けてスタート出来る環境が整いつつある。
そんな思いを受けるには十分な状態である。モルトから開会の挨拶をして下さいと言われた。それがないと料理に手が出せないということだ。何も考えてないと言うと、モルトが一枚の紙を渡してくれた。
そこに書かれている文章を読み上げる、『この度は、私の為にありがとうございます・・・・・・・・ここに、マノーラ家の設立を宣言する。リン=フリークス・テルメン・フォン・マノーラ』『乾杯プロージット』カップの物を飲み干して、床に叩きつけて割る。その後、参加者も飲み干して床に落として割る。
その後は、立食パーティになる。身内だけのパーティですので、挨拶まわりは無く、気楽に食事を楽しんだ。
モルトが近づいて来て、「旦那様。歩き回らないで一箇所に居るようにして下さい。今日はお身内だけだから良いのですが、今後マノーラ屋敷で行われるパーティでは困ります。明日からその辺りをみっちりセルケルに教育させます。よろしいですね。」「はい。」と答えるしかなかった。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品