【旧】チート能力を持った高校生の生き残りをかけた長く短い七日間

北きつね

マガラ神殿での再会

次にしなければならない事がある。まだ皆には残ってもらっている。ミルを連れて行った、マガラ神殿と魔物の里の話をした。
フェムが「ミルばっかりずるい。私もマガラ神殿や魔物の里に行きたい。」と言い出した。魔物の里の眷属にも合わせると約束しているので、両方に行く事になる。その時に、皆を連れていけばいい。いくら僕の眷属だって言っても、ニグラ街で連れて歩くわけにはいかない。これは彼らの問題ではなく人族や亜人族側に問題だからだ。
さて、一通り説明が終わったと.....思っていた。違っていた。
僕の生家から持ち出した物の話が残っていた。武器や魔道具は護衛に渡している。残った物は、サリーカが整理する事になった。そこで問題になるのが、売りに出して良いのか?と言う事になる。僕としては、使わない武器や防具は、持っていてもしょうがないし、使ってくれる人が居るのなら、売ってもよいと思っていた。しかし、カルーネとタシアナが反対した。特に、カルーネが大反対と言った感じだ。彼女が言うには、この武器はおそらくユニーク武器で遺跡や迷宮ダンジョンから出たもので二度と手に入らない物だと言う事だ。これは、サリーカも同意見の様だ。そして、もっと実用的な話として、いい武器や防具を手入れしながら、その武器を手本に作っていけば、良いものが作れそうな気がすると言う事だ。これは、タシアナも同意見の様だ。タシアナが言うには、武器や防具に魔法的な効果を付与する方法は確立指定内が、今の市場でも時々売られている。しかし、ニノサやサビニの武器や防具は、根本部分が違っていると言うことだ。それらを、再現できれば、技術的にも性能的にも他の追随を許さない物が出来るようになると言う。それらの理由から、武器・防具・魔道具に関しては、護衛と仲間達が使う物以外は、カルーネとタシアナが管理・保管する事になった。同時に、整備に必要な道具類も同様にする事が決定した。
次に書籍の管理をどうするかと言う事を話し合った。この世界の書籍は基本は羊皮紙に書かれた物を閉じてまとめている物が多い。そのために、一点ものになってしまっている。もちろん、高価な物になっていくので、全部売っぱらってしまって、ギルドの運営費にしてもよいと思っていた。これは、イリメリとフレットとサリーカとフェムに反対された。他のメンバーも基本反対の立ち位置だ。フェムが一番反対していたのは、”文化を売るような物”だと言う事で反対していた。そして、もっと現実的な事として、サリーカが言ったのは、”書籍は売れない”と言う事だ。法律云々ではなく、高すぎて買い手が少ないと言う事だ、王家や教会トップや豪商の好事家にしか売れないと言う事だ。フレットが決定的な事を言った。協会関係者に、贈り物として使いたいと言う事だった。精霊の話や神々の話の本は教会関係者が保持していたい本だと言う事で、もちろん自分たちも読んでおくほうが良いだろうが、それ以上に贈り物としての価値は実際に売るよりも大きい利益が考えられるとの話だ。書籍に関しては、フレットとルナに管理をお願いする事になった。そこで思い出したのが、マガラ神殿の書庫の存在だ。書庫には、ニノサの書庫とは比較にならない書籍が有った。それらの管理もお願いする事になった。
最後は、サリーカお待ちかねの、僕が持っている、時空の袋タイムシフトポーチの中身の相談だ。僕の生家から持ってきた物に関しては、使えそうな家具や思い出の品は、僕の部屋で使って、キッチン関係はギルド本部で使う事になった。思い出の品に関しては、このまま入れておけばいいと思っているが、魔核や素材に関しては、ギルド本部で使える物も多い。また、武器・防具や魔道具作成にも必要になるし、服飾関係の素材にもなり得る。それらの管理をお願いすることになるが、サリーカから拒否された。一言。”無理”とだけ言われた。そして、”説明の必要ないよね”とまで言われてしまった。今、ギルドの受付に手伝ってもらっているが、今後大きくなっていくとそれも難しくなってくる。早めに専属の人を作る必要が出てくると言う事だ。これに関しては、アッシュに言って奴隷を探してみるのがいいかもしれない。そう伝えたが、なるべく早くにお願いと催促に近い事を言われた。
人手と資金の話になった。正直な話。今資金は潤沢に用意出来ている。しかし、支出が多いのも事実でこのまま続けていけば干上がってしまうことも考えられる。まだ生産部門や商業部門やギルド部門が正式に稼働し始めていないからだ。どうするかと言う話になった時に、イリメリがそれでも今は人手を増やそうと言う事を言い出した。特に、生産部門の人手を増やす事を主張し、後で僕とサリーカで実質的に現在投入可能な資金をまとめたいと言い出した。そして、支出に関してもまとめて、この先の展望を考えると言ってくれた。あと、メンバーが必要になるお金に関しても管理すると言う事だ。基本お小遣い制にすると言う事だ。そして、実戦部隊の収入も全員で使うようにすると言うことだ。要するに、会社の様にすると言う事だ。全員の賛成でイリメリがギルドのお金面を管理する事になった。その上で、生産部門の人手を探す事にした。どうしても秘密が多い組織になるので、最初は奴隷で揃える事にして欲しいと言う事だ。でも、あまり奴隷だけで揃えると排他的な組織に見えてしまって、地球のイルミナティやフリーメイソンみたいな秘密結社に見られるのは良くないと言う事で、商業部門で出入り業者と作る事になった。後は、宿屋でギルド直営の店と系列店フランチャイズを作る事になった。
これで、大まかな相談事が終わった。次は、ギルド職員への説明になる。これは、僕とそれぞれの担当が面談するようにして説明する事になる。ここまで決めた後で、僕が引っかかっていた事を聞いた。「ねぇ遠方に里がある人は一旦帰らなくていいの?」皆顔を見合わせて「「「「「手紙で済ませた。」」」」」と言う事だ。イリメリが代表して教えてくれた。最初、順番に帰るつもりだったが、どうせ帰っても”婚約させられるか、その場で結婚させられる”事になるだったら、手紙でニグラに残ると伝えてしまう方がいいだろうと言う事になった。あとは、何度か手紙のやり取りをして終わりにすると言う事だ。そして、組織が大きくなって後戻りが難しくなってきてから、里に戻る事にすると言う事だ。
そこで一つ思い出した「フレットとルナにお願いが有るんだけど・・・。」「何?」「茂手木が立花達の元から逃げ出したみたいなんだよ。探して、仲間にできそうなら仲間にしたい。奴のオタク知識は役に立つと思うし、あいつの料理の腕も使いたい。」「ん?オタク知識は解るけど、料理って何?茂手木君の家って料理屋だっけ?たしか、お母さんが山崎の所で働いているらしいけど....」「あぁあいつが母子家庭だって事は知っていると思うけど、あいつの親父さんは昔日本料理の料理人だったんだよ。子供の時に、料理を叩き込まれたってぼやいていたからな。あと、料理人繋がりでいろんな料理を子供の頃に作らされたって言っていたからな。笑い話で、小学生の時に、女の子に”義理チョコ”を貰ったのが嬉しくて、お返しに本気でお菓子を作って女の子を泣かした事も有るみたいだからな。」「あぁダメなタイプの人間なんだね。」「そ。」「でも、使えそうだろ?」「うん。了解だよ。探してみるよ。意外と簡単に見つかるかもしれないけどね」
ギルド職員達も順番に呼んで説明した。護衛のときには、ミルが同席した。受付への今後の話のときにはフェムとサリーカが、食事係のときにはフェムとイリメリが、ナッセと孤児にはタシアナがそれぞれ同席して、簡単に説明した。ヒルダ家族には、フェムとイリメリが同席した。ギルド職員達もそれぞれの考えは有るにしても全面的に協力する事を約束してくれた。皆、マヤの事を気にしてくれていた。それが嬉しかった。
話が終わって、ヒルダに飲み物をお願いした。出された物を飲みながら、イリメリにマガラ神殿にはいつ行く?と聞いた所今すぐにでも行きましょうと言う事だ。書籍のこともあるし、マヤの最後の場所でしっかりお祈りをしたいと言う事だ。ギルド本部を閉めるわけにはいかないので、今回はギルド職員は連れて行かずに、僕達だけで行く事になった。ギルド職員も行きたがっていた。特に、孤児の子供たちは「マや姉にお祈りする」と行って聞かなかったが、ナッセにお願いして今回はお留守番するように諭してもらった。
それぞれ準備があると言う事だったので、準備が整い次第転移門トランスポートを設置してある屋根裏部屋に来てもらう事にした。僕は準備もないので、そのまま屋根裏部屋に移動した。転移門トランスポートを観察していると、定期的に魔法陣が光って居るようだ。光っていない時に入って、光出してから向こうに転移される。そんな仕組みの様だ。これなら、一々何かする必要がなくて便利だ。そんな事を考えていると横から「5分毎に光っているみたいね」イリメリだ「あぁそうだな。そのくらいの間隔だな」「ねぇ何人位一度に転移できるの?」「知らない。多分、魔法陣に乗れるだけじゃないかな?」「なにそれいい加減だな。」「イリメリは準備はいいの?」「うん。サリーカにお願いした。」「そうかぁ」そんな事を話していると、サリーカ以外のメンバーも上がってきた。光る魔法陣を珍しそうに見ている。”こんな便利な魔法が地球にあったら、朝ギリギリまで寝てから学校に転移するのにな”などと夢がない事を言っている。ミルが”灰魔法のウィスパーがあれば試験中に小声で相談できるよ”と言い出したら”本当”などと盛り上がっている。そもそも、魔法自体がチートな世界でそれを極めればなんでもできそうだけどなと思ったが、黙っておくことにした。
サリーカも上がってきた。皆からのお願いは、大きな花を用意する事だったらしい。マヤに花を手向けたいと言う事だ。魔法陣が光り始めた事を確認して、皆で魔法陣の上に移動した。緊張した面々を見ていたら、最終のタウンとダウンが始まった。魔法陣の光が強くなった。一瞬目をつぶって開けたときには、転移が終わっている。何回味わっても不思議な感覚だ。
そうだ「ロルフ。」「はい。」そう言って、陰から出てきた。「ロルフ。皆をマヤが居た部屋に案内して欲しい。僕は、眷属を連れに魔物の里に行ってくる。」「了解しました。」「ねぇリン。マヤちゃんの所に行くこともだけど、先に神殿の中を案内してもらってもいい?」「あぁいいよ。ロルフ。頼むな。」「了解しました。ご主人様。」皆はロルフについていった。ミルだけが残っていた。「ミルは見学しなくていいのか?」「私は、リンに付いて行く。」「そうか....それじゃちょっと待ってて」そう言って、管理室のロックを外して、中に入った。反対側の青い扉の部屋の転移装置を魔物の里の借りている部屋に繋げた。そして、魔物の里に転移した。「ワク。皆に迎えに着たことを伝えてきてくれ」「はぁい」暫く待っていると、カエサルを先頭に眷属が部屋に入ってきた。「おかえりなさいませ。リン様」「うん。約束通り、今からマガラ神殿に行こうとおもうが問題あるか?」「ありません。」すでに、里の長や部族の長には言ってあるとの事だ。「それじゃ行くか。」「はい。」こちらも同じように、魔法陣の乗って転移した。そのまま、教会に向かった。書庫から声が聞こえてきたので、今は書庫に居るのだろう。「ワク。帰ってきた事を知らせに行ってくてくれ、教会に居るから来るように伝えてくれ」「わかりました」
教会の広間で待っていると、皆が入ってきた。眷属に気がつくとそれぞれの表情で見ている。眷属側も同じような感じだ。正面に向き合う形になっている。僕は、眷属に向かって、”僕の仲間だ”と紹介して、仲間には”僕の眷属だ”と紹介した。後は、それぞれに自己紹介している。そして、眷属に向かった。僕の仲間だから、僕が居ない時にはしっかり話をして意見交換するようにとそしてお願い事をされたときには、僕の言葉だと思って応るようにと言葉を続けた。カエサルが代表して、承知した旨を口にした。その後、カエサルに”時空の袋タイムシフトポーチ"を持たせて、これから素材集めをお願いしたりすることもあるだろうから使わせる事にした。あと、生産部門にもお願いして眷属の武器や防具の制作をお願いした。それぞれ意見交換しながら作ってもらう事になる。作られた武器や防具は、物々交換で魔物の里に流していく事になる。魔物の里からは、魔核や素材を仕入れて、こちらからは武器・防具から料理のレシピなどを出していく事になる。このあたりの取り決めは、後でサリーカとフェムとイリメリを連れて里に行って長と話すこととなった。
挨拶で時間を取られたが、マヤの最後の部屋に皆で入った。あの時と変わらない情景が目に入ってくる。僕の目には、まだマヤが寝ているように見える。何も誰もいない空間だが、そこには確かにマヤが存在していた。イリメリが代表して花を床に置いて、黙祷を捧げる。
”マヤ。僕は前を見て進むよ。君の事は忘れない。大好きだよ。マヤ。””私も大好きだよ。リン"確かに聞こえた。それが幻聴だろうが、僕にはマヤが存在する感じがした。異変に最初に気がついたのは、アグラオだ。
「リン様。」部屋にアグラオが飛び込んできた。皆の視線がアグラオに集中する。
「リン様。教会の銅像にすごい力が集まっています。」「!!」僕は、走り出していた。部屋から出て、眷属たちが一つの銅像を見つめている。六芒星ダビデの星からエネルギーを受けているかのように、一つ一つの銅像から伸びる線が光を強くしている。そして、光の中心にある銅像に向かって僕は手を伸ばす。
銅像に光が集まっていく。僕は、銅像を抱きしめた。暖かさが伝わるようだ。
”我の名を呼べ”頭の中に響く、心臓が壊れるかと思うくらいに鼓動していく”神崎凛が命名する。汝の名は、マヤ=フリークス・アルセイド。汝は我、神崎凛の妹であり、大切な存在である”目の前が赤く染まっていく。血液が逆流しているのかと思うくらい苦しい。”私は、マヤ=フリークス・アルセイド。リン=フリークス。神崎凛の妹であり。大好きな兄。そして一番大切な存在である"声が頭の中を駆け巡る。そして、何かが弾けるような音が鳴り響いた。耳を塞ぎたい気持ちがある。でも、抱きしめる力を緩める事は出来ない。音が落ち着いて、それと同時に光も落ち着いてきた。
「リン。苦しいよ。」そこには、見慣れた可愛い笑顔でこちらを見ている少女の顔があった。
「マヤァァァァァァ!!!!!!!」

コメント

  • ねこむすび

    マヤちゃんが生き返ってくれた!!

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  • ねこむすび

    ありがとうございます!!!

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