【旧】チート能力を持った高校生の生き残りをかけた長く短い七日間

北きつね

ギルド本部への帰還

「おはよう」すごく可愛い女の子に起こされた?マヤかと思ってしまったが、ミルだ。そうか、昨日ミルと一緒に寝たんだ。いつの間にか、僕とミルの間に、ロルフとワクが挟まっていたようだ。
「おはよう。」そうかえして寝床を出た。昨日は、魔物の里で寝たんだ。思い出してきた。ミルと昨日......何もなかった、疲れていたこともあったんだとおもうが、一緒に横になって寝ていただけだった。なぜか、マヤの怒った顔が脳裏をよぎった。苦笑しながら起き出す。
「リン。これからどうするの?」「そうだな。まずは朝ごはんを食べよう。眷属たちが用意してくれた物があるからね」「ん?」
部屋の中央のテーブルに、果実らしき物が置かれていた。パンなどの加工品は魔物の里にはないようだ。果物も栽培していないのなら、取りに行くしかないだろう。イスラ大森林が手付かずの自然だと言っても、これだけの物を整えるのは大変だったんだろうな。「誰か、居るか?」「おはようございます。主よ。御前に」ドアから入ってきたのは、カエサルだ。「おはよう。カエサル。皆を呼んで欲しい。来られるか?」「はい。勿論でございます。」
一旦さがった。カエサルが数分後に眷属を伴って戻ってきた。
「うん。朝ごはんにしよう。お前たちも一緒に食べよう。」「!?」眷属たちは互いの顔を見て、カエサルが「主よ。私達は...」「ダメだ。お前たちもここで食べろ。」「・・・・。主がそうお望みなら」「違う。お前たちの話を聞きながら食べたいんだ。望みじゃない。それが普通なんだ。お前たちは僕の仲間であり家族になれ。」頭を垂れて意を表す。「あぁそうだ、紹介する。ミトナル=セラミレラ。僕の大切な仲間だ。ミル。彼らは僕の大切な眷属。」
ミルと眷属が互いに名乗り合っている。りんごっぽい果実を取って一口かじる。ポルタになかった物だったが、甘くて美味しい。味は、りんごというよりもマンゴーに近い。イリメリとかに渡したらお菓子に加工してくれるかな?そんな事を考えながら、眷属とミルの挨拶を聞いていた。
「主よ。」「ん?何?」「ご命令受けていたご報告です。」食事を済ませて一息付いた時に、カエサルがそう言い出した。命令?あぁ時空の袋タイムシフトポーチに素材を集めてこいと命令していたんだった。
「集まったか?」「はい。素材は集まりました。ただ、時空の袋タイムシフトポーチ様の素材は、3つ分しか集まりませんした申し訳ありません。」「ん?3つもあれば十分だぞ。」「数個というご命令でした。3つ分しか集める事が出来ませんでした。」「いやいい。それよりも、集まらなかった素材は分かっているのか?」「はい。地竜の牙でございます。」「は?」慌てて、時空の袋タイムシフトポーチを確認して見ると、たしかに、地竜の牙が3本入っている。折れた地竜の牙が入っている。それに地竜の肉や鱗、皮なども収められている。「お前たち大丈夫だったのか?地竜なんてこのあたりに居ないだろう?」「はい。全員無事でございます。地竜は、長にお願いして、北の大地に送っていただいて、そこで狩ってきました。戦っている最中に、一本の牙を折ってしまって、素材になる大きさを確保出来ませんでした。」
言葉が出ない。
「ねぇリン。さっきから地竜とか聞こえているけど、ドラゴンの事じゃないよね?」「言いたい事は解る。僕も混乱しているんだ」「・・・・。」
「主よどうされましたか?まだ必要でしたら、申し訳ありませんが後数日時間を頂ければ、地竜を探して狩ってきます」
気楽に言っている。確かに素材を集めろとは言ったが....。集まらなくてもいいと思っていた。また資金ブーストして購入すればいいと思っていた。それに、素材にドラゴン系の素材が必要とは思っていなかった。見てはダメだと思いながら、時空の袋タイムシフトポーチを確認した。あぁありましたよ地竜魔核。見なかった事にしておこう。それも3つも。それ以外にもヤバそうな名前の魔核や素材が大量に存在している。
そうだ「ワク。」「はぁい。」「胃袋の物を時空の袋タイムシフトポーチに移せるか?」「う~ん。出来るよ。」「そうか、頼む。」「はぁい。」
一旦時空の袋タイムシフトポーチをワクに渡した。ワクが時空の袋タイムシフトポーチを飲み込んで、少ししてから吐出した。「ご主人様。全部入ったよ。」「おぉ早いなありがとう。」
ワクから時空の袋タイムシフトポーチを受け取った。中身を確認すると多分全部入っているのだろう。武器や防具だけではなく、工具一式も有るようだ。ニノサの書斎にあった本も全部ありそうだ。本を確認しようとしたら、万物鑑定見透す力にて統合中。暫くお待ち下さいとメッセージが出た。どういう理屈なのか、万物鑑定見透す力につながって、書籍を取り込んでいるようだ。電子書籍化されるような物だ。個人的には、本は紙に限るが、紙の値段が高いこの世界では本は貴重なのだろう。僕自信は電子書籍の方を読んで、書籍本体は曲がら神殿の書庫にでもしまっておけばいいか。
そうだ。マガラ神殿にも行かないとな。マヤの最後はあそこなんだから、花の一つでも備えて報告しに行こう。ギルドの仲間も連れていきたいな。大量移動出来る方法を考えないとな。
不思議そうに、僕の顔を覗き込んでいるミルが居た。ロルフを抱いて覗き込んでいる姿が無性に可愛かった。「ん?」「なんか難しそうな顔していたからね。」「あぁゴメン。少し考え事していた。領主達の事はひとまず置いておいて、一度ギルド本部に戻ろうと思ってね。もしかしたら、忘れられているかもしれないけど....」「そんな事ない!」少し怒った感じですぐに否定された。「・・・」「皆、リンとマヤが戻ってくるのを待っているんだよ。私が来たのは、私が望んだからと言う事も有るけど、自分達も探しに行きたいけど、今はリンが立ち上げたギルドをもり立てる事に集中するって言っていたからね。」「そうか....ゴメン。って、僕が立ち上げたわけじゃないとおもうけど....」「ううん。フェムもイリメリも、リンが立ち上げたと思っているよ。」「そうなんだ.....」「戻るにしても、ここから戻るのは大変そうだね。っあ」「転移魔法で戻れるよ。ミルとだけなら戻れるんだけどね。」
そう今考えているのは、眷属もギルド本部に連れて帰る事だ。できれば、その後に行くマガラ渓谷にも一緒に行きたい。ドラウに聞いたら何かいい方法を考えてくれないかな?
「カエサル。ドラウにちょっと相談が有るんだけど、何時ならいいか聞いてきてくれ」「解りました。」
すぐに戻ってきて「長がこちらに来るそうです。」「え?」「リン様何か御用なのですか?」「悪いな。来てもらって」「いえいえ」「この前、時空魔法を教えてもらったんだが、大量に人を運ぶ方法はないかと思ってね。」「大量にとは?」「そうだな。30人程度だな」「一緒にですか?」「いや間隔を開けてもいいが、一人づつ運ぶのは避けたいな」「場所は?」「あぁマガラ神殿とニグラ間で移動出来て、マガラ神殿とこの里がつながればいい。」「それでしたら、マガラ神殿の転移装置を使われたらどうですか?」「あの!?僕が大森林の真ん中に飛ばされたやつか?」「そうです。私も聞いている話なので実際に出来るか確認しては居ないのですが、マガラ神殿の転移装置は管理者が決められた場所にゲートを設置出来る様になっていると聞きました。転移魔法と同じように管理者がイメージを流せば出来ると聞いています。」「そうか、やってみるか、ありがとう。」「いえいえ。リン様。もしよろしければ、これからも里に来ていただけませんか?そして、料理を里の物に教えていただけませんか?」「料理を?」「はい。先日、肉を焼く事を覚えてから里の者達が肉を焼いて食べています。人族には他にも料理があると聞いています。」「あぁ良いけど、僕のは料理と言えないからな。僕の仲間でよければ聞いてみるよ。」「是非。お願いします。リン様の仲間様でしたら大丈夫だと思っております。」「あぁそうだな。そのためにも、転移門が設置出来るようにならないとな」「はい。よろしければ、この部屋を今後もお使い下さい。ゲートの設置には明確な場所が必要と聞いています。ここなら里からも少し離れていますし、大丈夫だと思います。」「あぁそうさせてもらうよ。いろいろとありがとう。」
「リン。あの....いろいろついていけてないけど、全部”リンだから”って思っていればいい?」「なんだそりゃ!?」簡単に説明した、今から一旦マガラ神殿に転移して、マガラ神殿の機能を使って、ニグラのギルド本部につなげる。同時に、マガラ神殿とこの里をつなげる。そうすれば、神殿にも里にも簡単に来られるようになるし、僕も疲れない。「解った。きっと、リンなら大丈夫って事ね。」「なんだよ。まぁいい。ミルはどうする?ここで待っている?それとも、僕と一緒に行く?」「・・・・」「僕と一緒に行くとなると、転移魔法での移動になるから、僕に触れてないとダメだから、それが嫌ならここで待っていてくれてもいいよ。」「一緒に行く!」「了解。」
「って事でお前たちはここで待っていてくれ。マガラ神殿と繋げたら一緒に行ってもらう。」「ドラウいいよな?」「はい。眷属となった者達も、リン様と一緒に行動したいと申すでしょう。リン様のお心のままに....」
マガラ神殿に行く前にやっておきたいことがある。丁度ドラウも居るから聞いておこう「ドラウ。時空の袋タイムシフトポーチを作りたいんだが方法は解るか?」「勿論です。素材があれば作れます」「そうか」
時空の袋タイムシフトポーチから素材を取り出した。「これで大丈夫か?」「はい。少々お待ち下さい」
そう言うと素材を確認してから、一箇所にまとめた。魔力を手にまとったと思ったら、素材を置いた場所に魔法陣が出現した。魔法陣の光が収まって消えた場所に、時空の袋タイムシフトポーチが出来上がっていた。なるほど、解った。古代魔法は、呪文や演唱よりも魔法陣を保持する事が重要なようだな。なんとか出来そうな感じがする。もう一組の素材を出して、ドラウがやったようにやってみる。魔法陣は今見て万物鑑定見透す力が覚えたから、そのまま再現する。大量に魔力が持って行かれる。力を緩めないでいたら、魔法陣が書かれ、光り始めた。暫く魔力を保持していたら、光が収まって時空の袋タイムシフトポーチが出来上がった。出来た。が、疲れる。素材はもう一個分あるが、後で作ろう。今はこれ以上作ると転移ができなくなってしまう。
「・・・・。」「ん?どうした?」「いや、なんでもないよ。リンのやることに驚かないことにするよ」「・・・。」「フェム辺りに何か言われても助けられないからね。」
まぁいい。「それじゃ行ってくる。ミル。僕の身体に触れて、」「はい。」
また、しがみつくようにしていた。大きくないおっぱいが腕に触れて少しうれしかったのは内緒にしておこう。【転移-マガラ神殿】
うん。うまく出来た。もう転移は問題ないだろうな。ミルも一緒に居る。転移してから、ミルは辺りを物珍しそうに見ている。
「りん。ここってどうなっているの?」「ん?ロルフ。居るんだろう?」「はい。ご樹人様」「うん。少し、ミルの相手していて、僕はゲートを作ってみる」「解りました。」「ミル。ロルフから聞いて。ロルフの方がこの施設は詳しいと思うからね」「へぇすごいんだね。」
またミルはロルフを抱えながらそう言っていて、頭を撫でたりしている。完全に猫を愛でているような感じになっている。ロルフもまんざらではない感じでそれを受けている。コンソールがある部屋に移動して、コンソールを起動して、【転移門トランスポート設置・起動】を選択した。前回は選べなかった設置が今回は選べるようになっている。もしかしたら、起動している状態でないと選べないのか?検証は今度の課題にしておこう。まずは設定を行おう。
【設置】を選択した。大きな地図になった。選択可能になっているのが転移門トランスポートが設置出来る場所だろう。なんとなく理屈はわかる。ただ、地図が古いのか地形が今と違っているように感じる。地図の適当な地点を選択してみると見覚えがある風景が表示された。そうか、こっから目的の場所を探す必要があるんだな。選択出来ないのは、僕が行った事のない所なんだろう。小さな集落になっている部分を見つける。その部分を選択すると、ニグラ街の風景が表示される。流石にこの中から選択するのはむずかしいので、拡大を探す。スマホみたいに出来るのかな?パーンをしたが大きくならない。拡大と念じると、地図が拡大した。便利なのか不便なのか解らない機能だな。適当に地図を選択していると、商人街が見えた。そこからは簡単だった。記憶を頼りに、ギルド本部を探して、建物が見つかった。建物を指定すると、部屋の中が表示された。これは僕の記憶からなんだろう。最初、僕とマヤの部屋に配置しようと思ったが、これから往来が発生する事を考えて、『居住区』の屋根裏部屋に配置する事にした。うまく端の方が選択できた。ここに設置を選ぶと、再度確認を行われて、どちらの門に設置しますかとでているので、右側の赤い扉の方を指定する。名前をつけて下さいと出るので、『ギルド本部-居住区』と書いて、設置を実行した。設置シークエンスを実行しますと出てきて【神殿→ギルド本部-居住区】【ギルド本部-居住区→神殿】【神殿←→ギルド本部-居住区】双方向を選択した。設置完了と出た。
「ミル。ロルフ。終わったよ。」魔物の里への設置は後でやろう。まずは、ギルド本部に戻ろう。
まだ、ミルはロルフを質問攻めにしていた。「ロルフ。一緒に行くんだろ?」「勿論。」「リン。私も一緒に行く。」「当然だろ。」赤い扉の部屋に入ったら、転移門トランスポートが起動しているのが解る。今回もカウントダウンが始まっていた。まだ60秒ほど有るようだったが、魔法陣の中に入って待っていた。
魔法陣が光出して、カウントが”0”になって、転移した。
そこは、見覚えのある場所だった。『居住区』に帰ってきた、目の前にびっくりした顔が並んでいる。二週間位前に、ここをマヤと旅立ったのがすごく昔のような気がする。でも帰ってきたんだ。
「みんな、ただいま。」

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