【旧】チート能力を持った高校生の生き残りをかけた長く短い七日間

北きつね

商隊に混じって帰郷

「マヤ。そろそろ一度里に戻ろうとおもうんだけどいい?」「うん。でも、戻ってくるんだよね?」「そのつもりだよ。ニグラに住むための手続きも終わったからね」奴隷に関しては、人頭税を払えば、トリーア王国の街なら預託金を払う必要があるがどこでも入れる。平民は、どこの街所属なのかを明確にできれば、大丈夫になる。ニグラ街に関しては、ニグラ街に住む場所があれば行政に申請すれば認証される。認証までに時間がかかってしまうが、それはハーコムレイシスコンの権力を使って短縮してもらった、彼にしても僕をなるべく早く愛しい妹から引き離したいと考えていたようで、里に帰るために、ニグラ街の認証が欲しいとお願いしたら即日にマヤの分を含めて発行してくれた。他の同級生たちも同様に発行して貰えた。
そして、僕達は明日、ギルド本部から出て里に向う事にした。マヤと二人旅だと思っていたが、昼過ぎに買物に出たマヤが戻ってきて「リン。ウーちゃんとサラナが一緒に里に帰ろうって声かけてきたんだけど....いいよね?」「あぁ彼女達なら問題ないだろう。マヤ。ギルドの事は話した?」「ううん。話してないよ。ただ、パパの知り合いの所にお世話になっているってだけ話している」
マヤにお願いして、ウーレンとサラナを『夜の蝶』に呼び出して貰った。夕方に、ウーレンとサラナに会った。二人は、僕達が行方不明になったと言われていた。魔物が出た事で、慌てた僕がマヤと一緒に谷底に落ちたと言われたようだ。僕達の探索の為に、メルナで数日待機したようだ。僕達が途中で追い越した隊列は別の街の隊列だったようだ。それで到着が遅れたようだが、ウォルシャタバカ息子や取巻きは、メルナの高級宿に止まって居たらしい。
ウーレンとサラナもパシリカを終わらせて、帰ろうと思っていたが、一緒に来た隊列は既に解散してしまっているらしい。なんでも、ウォルシャタ達はニグラでやる事ができて、人探しをしているらしくて、見つかるまでニグラに留まると言う事だった。(ん?もしかしたら、ウォルシャタは転生者の誰かだったのか?和葉ミトナル辺りに調べてもらうか?)街を散策していたら、マヤらしく姿を見つけて、後を追ったら『夜の蝶』に入っていったから、ここで店長に話をしてマヤに連絡をつけたらしい。それで、丁度アゾレムまで行ってから村々を回る商隊が見つかったから一緒に行く事になったから、どうかな?と言う事だ。
「商隊と一緒に行くのは問題無いけど、料金とかはどうなっている?」「料金は、一人銀貨1枚でいいと言う事だよ。」「そうか....僕達は払えるけど、ウーレンとサラナはどうした?」「里に着いてから払うって事にしたよ。」「そうか、結局何人位商隊についていくの?」「全部で10人位かな?」「そうか、商隊の人に会えるかな?」「ん?大丈夫だとおもうよ。今から?」「そうだね。なるべく早く逢いたいな」「解った、わからないけど、今から行ってみる?」「あぁお願いする」
ウーレンとサラナに案内されて商隊の隊長に会うことが出来た。隊長に、僕とマヤも一緒に連れて行って欲しいとお願いしたら、二つ返事で許可が降りた。そこで、料金の先払いとして”銀貨20枚”を渡した。「全員分を先払いしておきます」隊長は驚いていたが、銀貨を受け取った。「いいのか?俺が黙って他の奴らかも料金を取るかもしれないぞ」「別に良いですよ。僕は、自分の気持ちの問題として、ウーレンやサラナの分を紹介料として払いたかっただけですし、他の連中の分は二人にだけ払えば文句を言う奴が出てくるかもしれないからだけですからね。」「そうか、多く渡したのは?」「そうですね。多かったのなら、道中の料理の質を上げて頂ければ十分です」「グッハハ。面白いやつだな。解った。それで良いだろう。」肩を叩かれながらそう言われた。ウーレンとサラナが微妙な顔をしているのが気になったが....気のせいだろう。二人にも礼を言われて、里に帰ったら返すとまで言われた。知り合いに用立てして貰った物で気にしなくてよいとだけ伝えておいた。
その後、明日の待ち合わせを決めてから、二人と別れた。ギルド本部に戻ったら、『居住区』はドアを閉めて居た。『ギルド区』はまだ開けていたが作業しているようには見えなかった。食堂に移動したら、イザークとレマが食事をしていた。「リン様。おかえりなさい。」「あぁ気にしないで食事続けていていいよ。」辺りを見回したが、近くには居ないようだ。「他の連中は?」「ミトナル様は先程まで裏庭で鍛錬をしていまして、今はお風呂に入っていると思います。他の方々はお部屋に居ると思います。お呼びしましょうか?」「いや、いい。僕も部屋に向うから、誰かが僕を探していたらそう言って」「はい。解りました」
部屋に戻ると、マヤがベッドでくつろいでいた。いや違った。爆睡していた。まぁそのままでも良いかと思い。お風呂に向かった。今日は、『居住区』が男子風呂になっているようだ。風呂に入って、さっぱりした所で、ギルドマスタの部屋で球体の確認をした。魔素の消費量が大体解るだろう。約一日で、1~2%程度使っている計算になる。これだと、二ヶ月位で魔素がなくなってしまう可能性がある。少し、多めに魔核をおいていくことにした。何度も取り出すのも面倒だし、昨日、大事な書類や物品をしまうように、金庫の様な物も運び入れてもらった。ギルドマスタの部屋に10個ほどストックして、地下の大きい金庫に30個ほどストックしておけばいいだろう。後、何に使うか解らない素材とか鉱石や使わない武器や防具も、地下に放出しておいた。後片付けは、中里サリーカがやってくれるだろう。そうだ、隣の空き地に、腐った素材と捨てておこう。いつまでも入れておいても邪魔だからな。自分たちのものになった空き地に、近くに居たマリノとアシュールに手伝って貰って、大きめの穴を掘ってもらって、そこに腐った素材を捨てた。「そうだ、マリノ。急ぎじゃないけど、ギルドの両脇の空き地を柵で囲っておいて欲しい。今も柵は作られているけど、かなり雑に作られているからね直しておいてくれると嬉しい。アシュールも協力して手が空いている人で直しておいて。」「はい。解りました。」
これで、魔法の袋マジックポーチの中身も大分少なく出来た。スッキリした気持ちで部屋に戻ったら、中里サリーカが部屋の前で立っていた。「リン君。」何かご立腹のようだ「ん?何?僕何かした?」「何かしたじゃないわよ。何、あの鉱物や素材や武器は?」「あぁ魔法の袋マジックポーチに入っていた物だよ。ギルドで使って。」「はぁ....」盛大にため息を疲れてしまった。「??」「まぁいいか、まずは整理から始めるけど、正直に言えば、かなりの財産になるよ。」「へぇそうなんだ」「そうなんだってわかっているの?」「うん。でも、地下は防御結界に守られているし、あの扉も決められた人にしか開けられないようになっているから大丈夫でしょ」「まぁそうだけど、本当に使っていいのね。」「うん。サリーカやフェムで必要な物は使って」「解った。」「あぁ護衛の武器や装備品が作れるのなら作ってあげて...ね。」「はいはい。あんたはどこかの国と戦争でもしたいのかと思ったよ。」「??」「あぁいい。知らなかっただけなんだろうね。」「まぁいいや。任せるよ。」中里サリーカは、ため息を盛大に吐出しながら、自分の部屋に戻っていった。
部屋に入ったら、マヤがまだ幸せそうに眠っていた。もう一度出し忘れがないか魔法の袋マジックポーチを確認してから、僕もマヤの隣で横になって眠る事にした。
◆◇◆◇◆◇◆◇
マヤに起こされた。今日は、里に戻る為に、商隊に合流する。昼前には出発すると言う事だったので、朝目を覚ますために、お風呂に向かった。まだ昨日のままだったので、『居住区』のお風呂でシャワーだけ浴びて、食堂で食事を取って、旅の準備を初めた。ラオが食堂に入ってきて「リン様。今日お立ちになるのですよね?」「あぁマヤと二人で出て、多分1ヶ月位で戻ってくるとおもうよ。」「・・・・」「何?何か困っているの?」「あの、私だけでも護衛として一緒に行かせていただけませんか?」「ん?」「マヤ様が魔法特性があるのは知っていますが、それでも心配なのです。正直に言いますと、今後ここ以上の環境での奴隷生活は出来ないと思っています。リン様に今何かあればそれを失ってしまいます。私はそうなりたくないのです」「・・・。」「あっラオに先言われた。リン様。索敵には私のほうが役に立ちます。私をお供にして下さい。」アシュールが横から入ってきた。「大丈夫だよ。商隊と一緒に行動するし、何か有っても逃げるし.....ここの維持は、ルナやフェムがいれば大丈夫だよ。」「でも・・・・。」「リン様が困っておられるだろ、私も付いていきたいのは同じだが、今回は我慢しろ。」マリノがそう諭してくれている。「僕。そんなに信頼無いかな?」「「いえ。そんな事はありません。」」「うん。君達の気持ちは嬉しいけど、今はギルド本部を盛り立ててくれる方が嬉しいな。ここがうまく行ったら、君達ももっともっと活躍できる場所を作るからね。」「・・・はい。」なんとなく強引にまとめた形になったが、これでいいと思っている。そういえば、ヘルダー夫妻も休まずに食事の支度をしてくれるんだよな。食事の世話が出来る人を増やす必要がアルかもしれないな。まだ、集合まで時間があるし、ベックと少し話しておくか....。
ベックを呼び出して話を聞いた。今のままでも問題はないが、これから『居住区』の下や空き地で、軽食を出すとしたら人手が足りなくなると言う事だった。丁度、韮山タシアナとナッセが来たので、話に加わってもらった。途中、中里サリーカ清水カルーネも話に入ってもらった結果。予算的に余裕があれば、人を増やしたほうが良いだろうと言う事だった。ヘルダー家族には、屋敷の内部の事を見てもらって、新しく雇う人間に食事と軽食を担当してもらう事になった。ヘルダー夫妻は、これで洗濯も出来ます。と何故か喜んでいた。二人としては、任されている状態で洗濯を個々にさせるのが心苦しかったらしい。手が負えないのも確かでどうしようか話していたらしい。洗濯に中庭を使わせて欲しいと言われたので、OKと伝えた。これからは、毎朝お風呂場に洗濯物をおいておけば洗っておいてくれると言う事になった。何気に、中里サリーカ清水カルーネが喜んでいたのが気になるが、きにしないでおこう。
早速と言う事で、アッシュの所に向かった。朝早くにもかかわらず、アッシュの奴隷商は営業していた。受付で名前を告げると、すぐにアッシュが出てきた。「リン様。本日はどういった御用で!」満面の笑みだが少し怖い。「あぁまた少し奴隷が必要になってな。お前の所を頼りに来た」「それはそれはありがとうございます。それでどういった奴隷をお探しですか?」「あぁ料理が出来る奴隷を数名見繕って欲しい。できれば、この前のような家族が良いんだがな。」「解りました」少し考える。「リン様。申し訳ありません。今、家族奴隷が在庫を切らしていまして....なかなか家族での奴隷は少ないものでして....」「そうか、料理が出来る奴隷も居ないのか?」「いえ、そちらはすぐにご用意致します。何か特殊なスキルなどは必要ですか?」「必要ない。そうだな。若い方がいい。スキルも何も必要ない。最低限の事が出来れば十分だ。パシリカを終わらせている奴だけにしてくれ」「はい。解りました。暫くお待ち下さい。」一旦奥に引っ込んだアッシュが再び出てきた。奴隷を6人連れてきた。皆若そうだ。「リン様。皆、農家の次女や三女でして、子供の頃から料理を作らされています。基礎はしっかりしています。」「年齢は?」「皆。今年で15歳になります。一昨年。南部で大規模な飢饉が発生しまして、その時に食べられなくなった農家が子供を奴隷に落とした事がありまして、皆同じ村の出身です。」「ん?獣人が混じっているが、全員同じ村なのか?」「はい」「そうか....」少し考える。6人位なら予算的には問題無いだろうが、問題は住む場所だよな。大部屋が3箇所と屋根裏部屋が沢山空いているが、不公平感が出てしまうのはよくないからな。それに、3人は獣人のようだな。種族は少しわからないな。「皆に話を聞きたいがいいか?」「勿論でございます。」
全員に聞こえるように質問をした。自分たちの館では、奴隷にも個室が与えられているが、お前たちを全員雇うと部屋が無くて、お前たちだけ相部屋になってしまうけどそれでもいいか?そして、作業として食事の支度がメインになる事。後は、館の先輩奴隷のヘルダー夫妻に従う事が出来るか?全員問題ないと答える。長いしてもしょうがないので、即決した。「アッシュ。全員の費用はいくら位になる?この前のように人頭税を10年分払うといくらになるか計算してくれ。」「ありがとうございます。6人全員とこの前のように服をつけさせていただいて、70枚になります。」「おまえ。計算しておいたな。」「細かい部分はサービスとさせていただきました。」「そうか解った全員雇おう。」「ありがとうございます」
金貨を従業員に渡した。奴隷紋は、この前使った物がまだ使えるとの事で、全員に奴隷紋を刻んだ。そして、これも同じように自分の魔力を流し込んで契約を終わらせた。
6人を連れて、ギルド本部に戻ってきた。ベックを呼び出して、6人に説明をさせた。その後、部屋を割り当てて、早速必要な物を買いに行かせた。部屋は、3人づつで同じ部屋にさせた。獣人だと思っていた三人はホビット族だと言う。亜人種に分類されるらしい。コボルトやゴブリンと違って、体内に魔核を持たない上に、人族との共存を望んだことで村や街に溶け込んだのがホビット族だと言われている。姿形は人と獣人の間の様な感じで少し毛深い人族と言う感じに見える。大人になっても身長は150cmに届かない程度だと言う事なので、少し大きめの子供サイズだと思えばいい。その為か、狭い所を好む傾向があるらしい。事実、三人に話を聞いたら、屋根裏部屋の狭い部屋の方が落ち着くとの事だったので、ナッセに断りを入れて、屋根裏部屋にそれぞれ住まわせる事にした。人族はそのまま大部屋で共同生活をする事にしたらしい。部屋は好きに弄って構わないと伝えた。韮山タシアナの隣の大部屋を孤児達の食事部屋にした。孤児たちはできるだけ自分たちで食事を作るようにさせたいと言われていたので、丁度空いている事からキッチンセットやテーブルを用意させた。
決め事や説明をしていたら結構な時間になってきたので、マヤを探して、里に帰る事にした。商隊は、門の所で待っているとの事だったので、ベックに後の事を任せてギルド本部を後にした。護衛達が付いて行くと言っていたが、ニグラ街で危険があるわけでは無いので、断って、マヤと二人で目的の場所に向かった
既に、ウーレンとサラナが居て、たしか領主の街に居た男と何か話している。何かを渡されていた。話していた男が僕とマヤに気がついて、近づいてきたので、鑑定をしてみた。
名前:エスタール=ティロン真命:山崎徹(1)ジョブ:長剣使い体力:210魔力:20腕力:420敏捷性:310魅力:30スキル:隠蔽,鑑定,長剣武技(1)
山崎?此奴、あの山崎なのか?近づいてきて、「たしか、リンだったよな?お前たちのせいで隊列が遅れたんだからな」「それは申し訳なかった。不慮の事故だったんだからしょうがないだろう?」「まぁそれはいい。商隊への料金を払ったらしいが、あんまり調子にのるなよ?」「あ”・・・はい。はい。そうですね。御用はそれだけでしょうか?」「わかってるのか?お前達のせいで俺たちにも迷惑がかかるんだからな。今度はおとなしくしていろよ。」「解りました。それだけなら、僕達は邪魔にならないように端っこに寄っていますよ。商隊の隊長には挨拶しておきますね。それでは」山崎の前から立ち去ろうとした時に、山崎が僕の身体に触れてきた。スキルを確認するつもりなんだろう。偽装した事も隠蔽している事も通常スキルの鑑定では見破れない事はもう確認している。確認して探している人物たちで無いことがわかったのか「あぁいっていいぞ」その後、マヤにも触ろうとしていたが、マヤは華麗にスルーして見せた。
山崎が居ると言う事は立花達もある程度は集まって居るんだろう。ギルド本部の連中も全員真命もジョブも改竄してあるし、僕の隠蔽で隠してあるから大丈夫だろう。どうにか、山崎が居た事だけでもギルド本部に伝えたい。
そう思っていたら、ライカとランカが近くを通りかかった。スラム街にお使いに行っていたようだ。その帰りみたいだ。マヤに言って、ライカとランカを呼びに行ってもらった。「何?リン兄。僕達、お使いの最中だよ。」「うん。ライカとランカを見込んで一つ頼みがある。」「うん。任せて。リン兄とマヤ姉の頼みなら俺たち頑張るよ。」「いい子だ。家に帰ったら、フェムかサリーカかルナに、”ヤマザキが居た”と僕が言っていたと伝えて欲しい。あと、ミルかタシアナに”領主の息子の事を解る限り調べて欲しい”と僕が頼んでいたと伝えて欲しい。覚えられたか?」「うん。大丈夫。ランカと一つづつ覚えるから問題ないよ。」「頼んだぞ。」「うん。リン兄もマヤ姉も早く帰ってきてね。お土産買ってきてね。」「あぁなるべく早く戻ってくるからな」
ライカとランカの双子に伝言を頼んだ。マヤと二人で、商隊の隊長の所に挨拶をしてきた。僕達が最後だった見たいで、僕達が来た事で、商隊は出発するようだった。
点呼を取った後に、商隊はマガラ渓谷に向けて出発した。

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