【旧】チート能力を持った高校生の生き残りをかけた長く短い七日間

北きつね

協力者

「それでフェムの相談事って何だ?」「あぁそうだね。」
重久フェナサリムが語ったのは、ラノベでよくある設定だが、ギルドを作りたいと言う事だった。チート級の力を持った人が、今ここに7人集まっている事もあるし、自分の実家が食堂をやっているから、街の情報や相談事を集めるに丁度いい。それに、正面にある宿屋にも協力して貰えば、最初は困らない程度の事が出来るんじゃないかと思っている。最終的には、商隊や工房なんかを巻き込んで大掛かりな組織クラウンにしたい。今は、年齢的にもギルドみたいな事をやるのが精一杯だろうけど、ここなら、人材にも困らないだろうと思っているとの事だった。
中里サリーカは、実家の商隊の関係があるので、冒険者として出るよりも、商人として手伝う事なら問題ないとおもうと言う事だった。千葉アルマールは、一度里に戻る必要はあるが、多分帰ったら結婚させられるだろうから、逃げ出すためにも逃げる場所は欲しいから丁度いいと言う事で参加する。松田フレットは、面白そうだから参加するが、戦闘は出来るかわからないから、ニグラ街で依頼を探したり、冒険者の勧誘をする事で協力する。ひとみイリメリは、一度帰ってから考えてみるとの事だ。和葉ミトナルは、リン君が参加するのなら私も参加する。
そして、僕の答えは、一度里に戻って、今抱えている問題が解決してから参加すると答えた。なんにせよ。このままの状態で参加したら、辺境とはいえ貴族の一人と事を構えることになってしまう。
”トントントン”ドアがノックされた。マヤが身構えるが、重久フェナサリムが笑ってマヤを制してドアを開けた。そこには三人の女子が立っていた。
「なんだ、三人だけ?茂手木くんは見つからなかったの?」赤い髪の女子が代表して答えた「うん。ゴメン。なんか、数人の男子が第一壁ファーストウォールが片っ端から女子も男子も関係なく触って居たから、逃げてきたの」「それでバレなかったの?」「うん。それは大丈夫。フェムの指示通り、出口で具合悪そうにしている子に話しかけたらビンゴだった。」「うんうん」「それで、フレットに貰った札を使って、裏側からこっそり抜け出してきたから大丈夫だよ。でも、茂手木くんは見つけられなかった。男子に片っ端から声かけていたらやばい子になっちゃうからね。」「そうだね。でも、これで女子は全員揃ったのかな?」
ひとみイリメリが「そうだね。白い部屋に居たのは、和葉を除いて8人だったからね。」「やった。これで約半数が揃った事になるんだね。」「そうか、茂手木は立花達に捕まったと見るべきだろうな。」「そうだね。立花君達。今頃、リン君を必死に探しているのかもしれないよ。」「まぁそうだろうな。でも、真命を変えているしもう大丈夫だろう。」
赤い髪の女子が「あっ自己紹介がまだだったね。」「私は、カルーネ。オヤジは、カルって呼んだりしている。真命は、清水結衣、リン君よろしくね。マヤちゃん。フェムが言っていた通りすごく可愛い。妹にほしいくらいだよ。これからよろしくね。」清水カルーネだった。ひとみと一緒に居る事が多くて、重久フェナサリムとも仲が良かった印象がある。そして、一番は女の子が好きって噂があって、可愛い後輩を抱きしめて、ひとみや重久に怒られていた。
他の二人に視線を移す。和葉と同じような青い髪を短く切りそろえているお嬢様だと言われればそうだねっと言いそうな女子が「私は、ルアリーナ。家族からは、ルナと呼ぼれています。真命は、熱川千明です。リン君よろしく。マヤちゃんはじめまして。よろしくお願いします。」綺麗にお辞儀した。熱川千明と言う子にはあまり覚えがない。首をかしげていると重久フェナサリムがフォローしてくれた。「リン君が知らなくても当然だよ。ルナは隣のクラスの子で、私と同じ中学出身なんだよ。そうそう、私と同じ中学は茂手木君も同じ中学だよ。」「あぁ越境組だっけ?」「そ。」これで解った、あまり印象がないのは、隣のクラスだし、越境組なら知らなくても当然なんだろうな。なにか接点でもなければ知らなくても当然だろうな。そして最後に残った白髪というよりも銀髪に近い長い髪の毛の子が「私は、タシアナ。真命は、韮山里穂。よろしく。」韮山タシアナと名乗った子も記憶にない。でも、ひとみイリメリは顔見知りのようだ。また、重久フェナサリムがフォローしてくれた。「タシアナは、イリメリの友達って言うか、部活仲間って言うか”強敵とも”かな。」「あぁ中学の時に言っていた、すごく強い人って、タシアナの事だったんだな」「え”リン君覚えているの?」「あぁなんで忘れると思われているのか不思議だけど.....。」「・・・・。」
「まぁいいよ。3人とも真命とスキルを改竄した方がいいだろう?」「そうだね。三人共。リン君のチートスキルで真命とスキルを改竄して貰って、私達も既に改竄して、漢字が出ないようにしたからね。隠蔽も表現を変えてもらったから、もうバレる心配はないよ。」「「「え”!!!」」」「そんな事出来るの?」清水カルーネが不思議がっている。重久フェナサリムが手を触らせて、ステータスシートを確認させた。「本当だ!すごいね。リン君。私からお願い。」一人一人話を聞きながら真命とスキルを改竄した。三人も、重久フェナサリムの提案には乗り気だ。清水カルーネは、武器職人の子供で、武器を作ったりしているらしい。そして、スキルが、生成と言うユニークスキルで、素材を揃えると武器や防具に作り変える事が出来ると言う。ただし、作れるだけでその後は鍛えたりする行程が残っているので、しっかりした武器や防具を作るまでは出来ないらしい。でも、素材から適した武器や防具になるのはありがたいスキルで、ギルドでも武器や防具を作る事を専門に活躍出来るだろう。
熱川ルアリーナは、お嬢様風だったが実際にお嬢様だった地方だが領地を持つ貴族の3女として産まれていた。家は、既に上のお兄さんが後継者指名されていて、上のお姉さんは皇族に嫁いでいる。すぐ上のお姉さんは領内の豪商と結婚しているし、次男は領内の警護隊の隊長をしているらしい。熱川ルアリーナは、予備の予備になっているので、帰ったら婚約させられる事が決定しているから、出来ることなら逃げ出したいとの事だった。
韮山タシアナは、孤児院で育った。小さい頃に、両親を盗賊に殺されて、逃げた所でアウラ・パラティアの僧兵隊マルクトに救われて、孤児院で育った。最初は、宗教国家ドムフライホーフの中の孤児院で育ったらしいが、孤児院の院長が死んでしまった事で、孤児院が取り壊されて、スラム街に追い出されて、スラムの孤児院で過ごしていた。だから、問題なく参加するし、スラム街の顔役も知っているからある程度なら話が通せるかもしれないとの事だった。そして、韮山タシアナのスキルが”魔道具作成”だ。鑑定して説明を読むと、清水カルーネの生成と似たような感じだが、生成との違いは作る時に、道具に魔法属性を付与する事が出来る事と武器や防具に魔法特性を付与できるという事だった。二人で武器や防具を作るとチート級の武器が出来る事になりそうだ。
一通り、話を終えた「僕は一度、マヤと里に戻ってから、帰ってくるよ。それでいい?」「そうだね。それまで組織づくりや情報集めをしておくよ。」「うん。お願いするよ。マヤ。」
「ん?何?」「お前は何しているんだ?」「何って、イリメリやサリーカからリンの昔の事や前世って言うの?前の事を聞いているんだよ。」「あのなぁ....」「リンってかっこよかったんだね。」「へぇ・・・・・・僕も、それは初耳だよ。今度じっくり教えてもらわないとならないな。」中里サリーカが、舌出して”まずっ”て顔をしている所から、中里サリーカが適当な事を吹き込んだに違いない。
「さて、僕達は一足お先に引き上げさせてもらうよ。少しうちの領主様の事で動かなければならないようだからね。」「領主?」「そ。領主が不正をしているみたいなんだけど....どうしたらいいのかわからなくてね。」「たしか、リン君のところの領主ってアゾレムだよね?」熱川ルアリーナが話に割り込んできた。「そうだよ。バカ息子が一緒にパシリカに来たけど、僕とマヤをマガラ渓谷に落とそうとしたんだけどね。多分原因がこれだとおもう」魔法の袋マジックポーチが、不正の証拠になりそうな書類を取り出して、熱川ルアリーナに渡した。パラパラページをめくるように見て、
「確かに、これだけの証拠があるのなら領主を交代させる事は難しくても、失脚させる位のダメージは与えられるし、第二皇子派の牽制には使えるよ」「ふぅ~そうなんだね。それで、必死になっているんだな。」「うん。リン君。この書類。私に預けてくれない?」「別に良いけどなんで?」「ちょっと長くなるけど説明するとね。」
トリーア王国は、現国王の下で一つにまとまっているが、次期国王を巡って複数の派閥に別れて貴族が醜い争いをしてる。一番大きな派閥は、第二皇子を旗頭にしている。宰相派だが、第二皇子は宰相の娘の子供で血筋を重視する貴族が集まって形成されている。第一王子は、人格的にも能力的にも問題はないが、国王が戴冠する前に街で見初めて后にした人物の子供である。熱川ルアリーナの実家は第一王子を押している。国王も第一王子が長男継承からもよいと言っているが、宰相派が実力行使も辞さない態度を取っているために未だに決められていない。権威主義の塊である宰相が、国王に自分の娘をあてがって、国王が自分で探してきた娘を押しのけて第一婦人にさせて、姻戚として権威を奮っている。
「僕は、そんな権力争いに加担するつもりはないよ」「わかっているけど、それは権力争いをしている人たちにとっては殺してでも欲しい物なんだよ。」「そうか....それじゃどうしたらいいとおもう。」「リン君のお父さんやお母さんの考えがわからないけど、その書類を持っていると思われている限り命を狙われるのなら、公表してしまうしか無いとおもう。」「そうだね。公然の情報になれば僕達を殺しても意味がないからね」「うん。だから、さっさと公表してしまうのがいいとおもうよ。その手段として、私の実家を使うのも一つの手だとおもう。丁度、兄さんもニグラに来ているし、兄さんが入手して公表すると形にすれば、いきなりリン君の所に手が廻ってくる事はないと思うからね。どうかな?」「そうだね。僕としては、マヤと僕の安全が第一で、権力闘争なんて好きな奴らが出来るだけ遠くでやってくれればいいって思っているんだよね」「「・・・。」」なぜか苦笑をする赤い髪の女の子と青い髪の女の子が目に入った。「リン君。後何日ニグラに居る予定なの?」「ん?今日にでも里に戻ろうって思っていたよ。」「明日にしない?」「なんで?明日なら、兄さんに合わせる事が出来るから、それでリン君が信頼出来ると思ったら書類を託してくれたら嬉しい。」「領主のバカ息子達も今日は到着していないみたいだから、後一日位なら伸ばしても大丈夫だろうけど、そっちは大丈夫なの?」「ん!聞いてみないとわからないけど、兄さんは甘いから大丈夫だと思う。」「そうか、フェム。悪いけど、明日もここ貸してもらえるかな?」「ん?いいよ。明日もこの面子で集まって今後の事を話そうと思っていたからね。後は、リン君の噂話とかを共有しておかないと不公平でしょ!?」「言っている意味が解らないが、ルナ。明日同じ時間位で大丈夫か?」
明日の予定を決めて。今日は、このままスキルの確認をする事になった。鑑定持ちがスキルを見ると、スキルの使い方や説明が出る事がわかって、手探りでやるよりは効率がいい。最終的には、何度か実験する必要はあるが、それでも闇雲にするよりは良いだろう。
各々スキルを確認しながら今までの事を話している。僕は、それを聞きながら、マヤが馴染んでいる事に喜びを感じていた。

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