【旧】チート能力を持った高校生の生き残りをかけた長く短い七日間

北きつね

幕間 重久真由

『異世界キタァァァァァァァァァァァ』目覚めたら白い部屋だった。死後の世界?とも思ったが、これは間違いなく異世界転生の定番スタイルだ。
ワクワクした気持ちで、神様の出現を待っていたら、その通り”アドラ”と名乗った子供の様な神が現れて、状況を説明してくれた。クラス全員ではなくて、一部の人間だけの転生になるようだった。死ぬのは怖いし嫌だが、異世界転生なら話が違ってくる。幸いな事に、私は地球に戻されないで、異世界に行くことが出来るようだ。正直うれしい。これで退屈な世界からワクワクした世界に行けるのだ。
ひとみが凛君に対する気持ちを爆発させている。そんな事言わなくてもいいのに....。それに、多分ひとみが言った事はひとみが自分で言い訳にしている気持ちなんだろうな。それが解る私も同じなんだろうけどな。
力かぁ困ったな。どうしたら良いんだろう?こういう時ってチートでたいてい異世界を変革できたりするんだけど、21人も居たらそれぞれでいろんな事が出来るだろうから、数を集めるか、違った事をやらないとダメなんだろうな。まずは、ラノベの定番では、王族や豪商を助けてのし上がっていくか、冒険者になって有名になって国や領主になるかだろうな。偏見があるかもしれない世界で女で身を立てるのは難しいだろうな。
それに時間的な制約もありそうだし、有望な人とチームを組めればいいだろうな。多分、立花と取巻きは順次まとまっていくだろうし、ひとみもなんだかんだ言ってもまとめ役にはなるだろうな。立花とひとみだと、間違いなく立花の方が暴力的で野蛮で下衆い事をしていくだろうけど、ひとみには勝ち目はないだろうな。優しい子だからな。私がサポートしても、難しいだろうな。そうなると、凛君を味方に引き込む事だけど、ひとみがやらかした事で関係が難しくなりそうだな。多分、立花達に対抗出来るのは、凛君だけだろうと思うんだよね。それに、茂手木君も多分私と同類かそれ以上に異世界転生を喜んでいるだろう。
まずは、ひとみと行動を共にして、仲間を集める感じがいいかな。異世界での生活や柵が出来るとひとみは動かないから少し強引にでも進める必要があるかもしれないな。ひとみには、私が凛君の事が好きだって事は言っていないけど、大丈夫だよね。ひとみもまだ自覚していないみたいだし、私みたいに助けられたわけじゃないだろうからね。凛君と異世界で過ごすのも悪くないな。
そんな事を考えていたら、アドラが一通りの説明を終えたみたいだ。スキルや魔法が自分の好きな物がつけられないかだけは聞いておこう。
ダメらしい。でも、初級の魔法は使えるらしいから、魔法少女デビューは出来るようだ。それだけでも異世界に行く意味がある。後は、死なないための手段を考えていけばいいし、できれば、凛君と仲良くなれたらもっと嬉しい。どうせ、凛君は私の事はひとみの友達の一人程度にしか思っていないだろうから....。
なんか、球体に触れば力がもらえる?目覚める?らしい。さっさと鵜木さんが触りに行った。すごく綺麗に身体が発光して、収束した。あれがスキルや魔法の力なんだろうか?呆然としているひとみに少しだけアドバイスをしておこう。それでダメならまた考えればいい。
あぁやっぱりダメだったか。とりあえずは、ひとみを励ましてスキルをもらうことにしよう。ひとみが触ったら、炎の様な赤さを持った光に包まれていた。次に私が触ったら、海の底の様な黒い光に包まれた、ダークエンジェルみたいで格好いいなんて思っていたら、光が収束した。アドラが手を離していいよと言うので、手を話して教わった通りに、ステータスを見た。ジョブ:氷術師体力:180魔力:320腕力:90敏捷性:120魅力:60魔法:黒魔法(1)スキル:隠蔽、詠唱破棄ユニークスキル:属性無視強いのか弱いのかわからないけど、わざわざ書いてある事から、魔法を使うには”詠唱”しなければならない事が解る。それを破棄出来るって事は無詠唱で魔法が使えると言う事だろう。一般的にも持っている人が居るスキルなんだろう。ユニークスキルがチート能力なんだろう、属性無視?何に対して属性無視なのか解らないが、ラノベ的に考えれば、使える魔法が属性に関係なく使えると言う事なんだろう。でも、使える魔法には”黒魔法”となっていて、ジョブが氷術師になっている事から、黒魔法は水や氷に関する魔法なんだろうと思う。魔法が使える!!これで目的の半分以上は達成できた。
おっと、ひとみのフォロをしておかないと....。あの子の事だから、何もしないで居たら、チートスキルを見せたまま異世界を歩いていそうだからな。ひとみに声をかけて、私のステータスを見せた。同時に、ひとみのステータスも確認した。驚いた事に、表裏一体の様に使える魔法が違うだけで、数値もスキルも同じになっていた。神様手を抜いたのかな?検証は後回しにして、スキルとユニークスキルを隠蔽する様に話をして、自分も隠蔽した。その状態でもう一度、ひとみを確認したらジョブ:炎術師体力:180魔力:320腕力:90敏捷性:120魅力:60魔法:赤魔法(1)と隠蔽した物が隠されていた。これで一安心。次は、異世界での待ち合わせを決めないとならない。携帯電話はもちろんメールもないだろうから、待ち合わせは考える必要があるし、姿形も変わっているらしいから、目印を決めて置くしかない。それであえればいいが会えなかった時には探すしかない。異世界の文字がどういった物になるか解らないが、日本語は少なくても、ここの21人しか判断出来ない可能性が高い。危険性はあるが、日本語の印を残して待ち合わせる事にした。うまくいくかは解らないが....。
ひとみの異世界での事を話していたら、アドレがゲートを繋げた時に、鵜木さんが凛君の手を引っ張って異世界に行ってしまった。まだ凛君のステータスを確認していないし、凛君とも話をしたかった。ひとみに、追うよと声をかけて、ひとみと一緒に異世界に向かった

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