【旧】魔法の世界でプログラム

北きつね

フィーア迷宮.攻略01

--- アルノルト Side ---「ヒルダ。準備はいいか?」
待ち合わせ場所に行くと、すでにヒルダとナーテとフルールが待っていた。ノース街で最後の買い物をしてから、フィーア迷宮に行く予定だ。
「アルノルト様。準備は終わっています」
やはりな、そんな感じがしていた。
「にいちゃん。遅いよ!」「主様。早く行きましょう」
なぜか、皆がやる気になっている。
「どうしたの?やる気が出てきたの?」「アルノルト様・・・それは、内緒です」
何か、昨日話し合ったのだろう。皆がやる気になってくれているのは、嬉しい。今回は、ゴーレムが居るのが確定しているので、俺としても少し楽しみだ。下層部には、何か有るかもしれない。
「うん。まぁいいか・・・行くか!」「「「はい!」」」
買い物に行く予定だったので、屋敷の外で待ち合わせをしているけど、買い物に行かないのなら、執務室に移動してから、ゲートで昨日結界を張った場所に移動する事にした。
執務室には、コンラートが見送りに、来てくれている。「アルノルト様。行ってらっしゃいませ。集落の件決まりましたらご連絡下さい。私も一度、挨拶しておきたく思います」「わかった。攻略後に一度こっちに来る」「はい。承りました」
ゲートを発動して、フィーア迷宮に移動した。
「さて、攻略を行いますか!」
1階層は、何もいないようだ。確かに人の出入りが有ったのだろう。足跡が残されている。それほど古い物ではないが、出口・・に向かっている。逃げたのだろう。
追ってきている足跡は無い。逃げている人以外の足跡はないので、多分この階層には、いないのだろう。
「階段を探そう。次の階層あたり、ゴーレムがいるかも知れない」「はい!」「わかった」
フルールだけ何かを気にしている「どうした?」「主様。本当にゴーレムのなのかえ?」「さぁどうなのだろう?」「あぁ・・・そうだな。まずは、下層に行ってみないと解らぬな」「そうだな」
フルールが何かを気にしているようだが、まずは進まないと話しにならない。程なくして、階段が発見された。
二階層に降りる。音がしない空間が広がっている。お目当てのゴーレムはいないようだ。
今までの迷宮と同じで、一本道になっているようだ。両脇に部屋がある、道もあるが、すぐに行き止まりになっている。
2階層にも、ゴーレムがいない。
3階層、4階層とおリテイクが、ゴーレムの気配はない。
「なぁにいちゃん。ゴーレムいないよ?もう死んじゃった?」「アルノルト様。もしかしたら・・・」
そう、地上に出てしまった事を考えたが、足跡からはそう思えなかった。
5階層の階段を降りようとした時「ナーテ。下がれ!」
先に歩いていた、ナーテのいた所に、光線が走った。「!!」
「ナーテ。ボイドで防御。ヒルダとフルールを守れ。エステル。合体しておけ!」
全員が防御態勢を作る。俺も刀を構える。
「!!」
階段を上がってきたのは、確かにゴーレムには違いはないが、いや、ゴーレムなのかという疑問符が着く。身体のパーツはゴーレムで間違いない。頭の部分だけが違っている。
頭に”竜”埋め込まれている?ような感じなのだ。全体的には、強そうなのに、頭の部分で急に、ギャグになってしまっている。子竜の様で何かを訴えているようだが解らない。
「エステル!あのゴーレム竜が何を言っているのか解るか?」「ごめん。わからない。何かに邪魔されて、言葉になっていない」「そうか・・・よけろ!!」
ゴーレムが、腕をこちらに向けた。その瞬間、指から光線が発射された。
「あっぶねぇ!!」
光が走った部分が軽く焦げている。どれだけの熱量を持っているのか解らないが、少なくても、しっかり避けなければならないだろう。
「ヒルダ。腕を狙えるか?」「弓では無理です」「フルール!」「射線が取れない」
「わかった!」
攻撃が、指からの光線だけなら、指が向いていない方向には、攻撃できないだろう。あとは、物理的な攻撃だけだとしたら、避けるのはそれほど難しくはない。
「俺が引きつけるから、腕を攻撃して落としてくれ!頭には攻撃を当てるな!」「「はい!」」
「にいちゃん!」「ナーテは、ヒルダとフルールを防御。射線を確保する為に、動け。指からの光線に注意しろ。ボイドでも防げないかも知れない!」「わかった!」
「エステル!後ろに回れるか?子竜を分離出来るか試してくれ!」「了解!」
それから、俺はゴーレムの攻撃を凌ぐ事に集中する。ヘイトがボイド達に向かないように、関節への攻撃が入るが、攻撃が効いている様子はない。
どのくらい、攻撃をしていたのだろう。刀は不思議と刃こぼれがおきていない。
「エステル!どうだ!」「やっと、話せた!やっぱり、取り憑かれただけみたい!」「わかった、どこを攻撃したらいいか聞いてくれ!」
関節に刀がヒットした。右腕の肘から先が取れた。ヒルダの弓に、フルールが強化魔法を付与して、狙いを定めている。子竜に当てないという無茶な注文だから、予定に慎重になっているのだろう。
「主様!魔力が・・・」「フルール。最後の魔法で、足止め出来るか?」「妾じゃ無理。ヒルダ!」
「了解!アルノルト様。フルール時間を稼いで!!」
フルールが、ヒルダから弓を受け取る。そのまま、ヒルダは、詠唱に入る。配置していない魔法を使うようだ。俺は、そのまま、膝を攻撃する。少しでも、ヘイトを稼いで、俺に集中させる。
「わかった!」「エステル!」「首を切ればいい!」
そんな・・・初めからわかっている。ゴーレムの対処としては、核を潰すしかない。
「このゴーレムは、核が無いって言っている。自分が核だから、首を切り落せばOKだって!」「わかった!」
「アルノルト様!」
床が、砂地に変換される。ゴーレムが対応出来ない状態で、膝をつく。俺は、刀を高速に振動させるバイブレーションの魔法を発動して、首を狙う。
一撃では、切れなかった。すぐに刀を引いて、反対方向に回り込んで、同じように首を狙う。
砂地にもたついていた、ゴーレムが立ち上がろうとした時に、刀が首を切り落とした。
今までの戦った事があるゴーレムとは違って、首を切り落とした=核の破壊 なのだろう、崩れるように壊れていった。
エステルが、子竜を確保したのを確認して、その場に座り込んでしまった。時間を確認すると、すでに夕方というくらいの時間になっている。5~6時間戦っていた事になる。
「疲れた・・・!ヒルダ。ナーテ。フルール。エステル。大丈夫か?」「アルノルト様。私は、大丈夫です。ボイドが守ってくれていました」
よく見ると、ボイドの手足に焦げ跡が出来ている。光線を受けたのだろう。
「にいちゃん。にいちゃん大丈夫?」「ナーテ。ありがとうな。ヒルダとフルールを守ってくれたようだな」「うん!」「俺は大丈夫だ。少し疲れただけだ」
足に力は入る、精神的な疲れの方が大きかった。立ち上がって、周りを見回す。
壁に焦げ跡や、何かで殴った跡や、弓矢の跡が残されている。かなりの激闘だったのだろう。
「主殿。少し休ませてくれると・・・」「そうだな。少し戻った所で、結界を張ってやすもう。子竜の話も聞きたいからな。エステル」
「うん。大丈夫!話は出来るよ!」
良かった無事な様だ。そして、どうしてそんな事になったのかを聞きたい。友好的だといいのだけどな・・・。
少しだけ戻って、手頃な部屋に入った。皆が入った事を確認して、結界を発動した。扉にもロックを施した。
これで少しは落ち着けるだろう。フルールは、魔力がほぼなくなってしまっているのだろう、ぐったりとしている。
子竜の話も大事だが、まずは、休憩できる野営地にする。「エステル!子竜は、何か食べられるのか?」「う~ん。なんでも大丈夫みたい。あっそれから、主なら普通に話せるよ。言葉が解るって言っている」
そう言えば、いつから、エステルは、俺の事を・・まぁいいか・・。
「そうか、ありがとう」
「えぇーと。はじめまして、俺は、アルノルト・フォン・ノース=ライムバッハという。気楽に、アルと呼んでくれたら嬉しい」「・・・アル?」「そう、それで、君の名前は?竜族で間違いないのだよね?」「僕?竜?僕は・・・マルティナって呼ばれていた」
子竜と話をしながら、野営地を作っていく。フルールがしんどそうだったので、先に寝床を作る事にした。俺の魔力はまだ十分あるが、ステータス袋から、パーツ分けされた寝具を取り出して、ナーテに組み立ててもらう。出来た途端に、フルールは倒れ込むように、眠ってしまった。よほど疲れているのだろう。まぁフルールだけ”聖獣の加護”がないのだから当然だろう。底上げがされていないのだからな。
「それで、マルティナは、どうしてゴーレムと合体していたの?」「知らない。いつの間にか・・・・」「そうか、最後に覚えているのは?」「う~ん。あ!誰かに掴まった!実験をするとか言っていた!」「実験?」「うん。僕・・・どうしよう・・・」「ん?どうした?」「仲間、殺された。みんな死んで、僕だけ捕まった・・・。」「仲間?」「うん・・・」
要領があまり掴めないが、実験・・がひどく気になる。
「マルティナは、これからどうする?元の生活していた場所に戻るか?」「・・・解らない。ねぇアル。一緒にいちゃ駄目?」「駄目じゃないけど・・・エステルどう思う?」
エステルの方を見てみるが、フルールの横ですでに寝ている「ヒルダ・・・は、話がわからないか?」「いえ、なんとなく、その子竜がマルティナという名前で、アルノルト様と話が出来る事はわかります。それで、一緒に居たいとでも言ったのでしょ?私は、かまわないですよ」「そういう事なら、おいらも!竜と一緒なんてかっこいいよな!」
いろんな感覚が麻痺しているのかもしれない。
「マルティナ。一緒に行くか?」「うん!」
いろんな問題を棚上げして、とりあえず、ヒルダが作った物を食べてから、休む事にした。食事をしながら、マルティナといろいろ話したが、いまいち解らない事が多い。どのくらい前から、この神殿にいたのかさえも解らない。ゴーレムと合体させられた時も、解らなくて、いつの間にか、ここにいたと話している。何かしらの実験体になってしまって、それが終わったから放置されたと見るか、この下の階層で、その実験が行われたのかだろう。
少なくても、上に神殿があった時に、実験をしているとは思えないが、神殿で隠していたのかもしれない。神殿の来歴でも判明すれば違うかも知れないが、そんな物は残っていないだろう。
一応、クリスに聞いてみる事にしよう。今日は、疲れたし、このまま休む事にする。
ベッドをもう一組作成した。俺の両脇で、ヒルダとナーテが寝ると言い出した。もう一つベッドを出すといったが、部屋が狭いし、面倒だと言い出した。確かに、部屋の広さからはもう一つギリギリで置けるかも知れないが、出してしまったら、シャワー室を潰さなければならない。それは、それで、明日フルールが起きた時に、また作らなければならない。こんな事なら、結界を配置した魔道具をもう1個作っておけばよかった。もう一部屋作ってしまえばよかったのだが・・・精神的な疲れもあるので、このまま眠る事になった
---マルティナ Side ---僕は、マルティナ。そう、マルティナ。竜族!
そんな事も忘れていた。助け出されたらしい。自分がどんな状態だったのかなんて知らない。なんか、わけが解らない。エステルとかいう”精霊族”の子に話を聞いたが、あの雄の人族が僕を助けてくれたらしい。
アルとか言っていた。人族は皆同じに見えると思っていたが、アルの周りは気持ちがいい。なんか、”ほわほわ”する。エステルが内緒で教えてくれた。アルは、精霊神様の加護を持っていて、人族とは思えない魔力を持っているから、沢山の魔力を常に放出している。だから、周りに居るだけで、僕は成長できるらしい。僕は、早く大きく強くなって、あの人族を倒さないとならない。僕を閉じ込めて、皆を殺した人族を倒す。
今は、すごく眠い。アルの上に居ると、ほわほわして眠くなってくる。
アルもエステルも他の人族も寝ちゃったから・・・僕も寝ていいよね。
なんか、寝るなんてすごくすごくすごく久しぶりの気がする。前に寝たのは・・・いつ・・・だったのだろう・・・。たしか、みんな・・・いたよね・・・おやすみ・・・って・・・。

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