【旧】魔法の世界でプログラム

北きつね

ライムバッハ侯爵

--- アルノルト Side ---ユリアンネ達が精霊界に旅立ってから、もう2週間が経過した。その間に、王国の新しい体制の発表が行われた。カールが当主を務める、ライムバッハ辺境伯は、領地の増減はなかった。他の二つの辺境伯は、依子を増やした関係で、領地が倍増した。
ノース・ライムバッハ領も増える事になりそうだったが、依子を全部断った。それにより、ノース街と周辺地域を含めた領地と、城塞砦を含めた領域が、ライムバッハ侯爵家の領となった。俺が要求した以上にはならなかった。その代わり、クリスから迷宮ダンジョンではないかと思われる場所の情報をもらった、王城を囲むように、9箇所、存在しているようだ。
ユリアンネ達のお陰で、どうやら不老になったらしいが、それとは関係なく、迷宮ダンジョンの攻略は行う事にする。周りに村や街ができれば、それだけ流通が産まれる。
迷宮の場所が、狙っているのではないかと思えるような配置になっている。王城を中心に、北門からノース街につながる街道を除いた、城塞と王都の城塞の中央辺りに、等間隔に存在している。
ノース街を12時の場所だと仮定して、2時-10時までの場所に、9箇所存在している。一つずつ攻略していく事になる。
それがアリーダとの約束でもある。
ユリアンネ達が旅立った後に、アリーダを問い詰めた事を少しだけ後悔した。
--- 神殿での会話 ---
『はぁわかりました。でも、本当に長くなりますし、楽しい話ではないですよ?』「構わない!」
そう言って、語りだした。アリーダは、精霊神である事は間違い無いようだ。
彼女が、”管理者の一人”である事も間違い無いようだ。そして、妖精の涙フェアリーティアに肩入れしている。精霊神も存在している。それが、イコールで”ブランカ・ゾル・バラーク”なのかは解らないと言っていた。
「それでは、アリーダ達は、精霊神はなんで地上に出てきているのだ?」『簡単にいうと、この世界は管理者が居ない状況なのです』
「それはおかしくないか?ユリアンネ達が管理者になるのだろう?」『それは・・・』「なんだよ。全部話せよ」『・・・しんいちさん。怒りませんか?』「話の内容による」『うぅぅ』
「アルノルト様。今、それを言ってしまうと、話が進みませんよ。全部聞いてから、やっぱり納得行かないと言い出せばいいのです」「そうだな。アリーダ。いいから、まずは聞かせろ!」
『駄目じゃないですか・・・まぁ聞かせないのも問題ですからね』「そうだな。全部教えろ」『全部は、無理です。禁則事項もありますから・・・』「きにするな」『私が気にするのです!』「わかった。話せる範囲でいいから、教えろよ」『本当ですよ?』「あぁ大丈夫だ」
『ふぅ・・・今、この世界は管理者が不在です。管理者が存在すれば、ユリアンネさん達がいたとしても、魔獣が増え続ける事はなかったと思います』「そうか・・・管理者の仕事は、この成果の調和を保つ事だと考えればいいのか?」『まずは、そう考えて下さい』「わかった。それで?なんで居なくなった?」
『それがわからないのです。先代の管理者が放棄してから、300年経ちますが・・・』「ちょっとまて、300年。フランケンシュタイン伯爵か?」『はい。彼が、先代の管理者です。彼も、しんいちさんと同じで不老になっていました。その為に、一箇所に留まって生活ができなくなってしまって・・・』「そういう事か・・・今は、フランケンシュタイン伯爵はどうしている?」『・・・え?』「なんだよ!」『だって・・・えぇぇ??』「だから、なんだよ!」『放棄した時に、権限も持つ部分を全て壊してしまって、意識だけを、ぬいぐるみの中のはずですよ?』
「・・・え?・・・テディか?」『・・・・』
アリーダが何かしまったという顔をしている。禁則事項とは言わないが、内緒にしておきたかった話なのだろう。それに、ナーテのご先祖様という事になる。考えてみると、やから魔道具アーティファクトにも詳しいし、ナーテにやたら優しい上に、関わろうとする姿勢を考えると、段々それで間違いないだろうと思えてくる。
あいつ・・・もっともらしい作り話をしやがったな・・・もしかしたら、作り話ではないのかもしれないが・・・。
「まぁいい。それで?」『しんいちさんにわかりやすく言えば、管理を放棄した、サーバはどうなりますか?』「あぁ・・・考えたくないな。ユーザが好き勝手に出来る部分が残っていたりしたら最悪だな」『はい。その状態になってしまっています。妖精の涙フェアリーティアが良い例です。神殿や教会から、精霊にアクセスして、精霊を従える事に成功して・・・』
大事な所だが、禁則事項なのだろう。アリーダは黙ってしまった。
「それはいい。直接乗り込んで本人たちに確認する!」『そうして下さい』「それで、アリーダは俺に何をしてほしいのだ?」
俺も、鈍いと言われるが、このくらいなら解る。
『それは・・・』「さしずめ・・・管理者になって欲しいという所か?」『・・・はい・・・このままでは、妖精の涙フェアリーティアが管理者の権限を握ってしまいます』「それはどうしたらいい?」『わかりません』「な!!」『ごめんなさい。刀を抜こうとしないで下さい。説明します。”解らない”事だけ解っています』「どういう事だ?」『だから、そんなに睨まないで下さい。優しそうな顔で、睨むから余計に怖いのですよ!!』「いいから、話せ!」『はい・・・”解らない”と、いう事だけ、確定しているのです』
アリーダがドヤ顔で言葉を区切る。これで、説明したつもりになっている
「・・・アリーダ。お前、説明下手だって言われるだろう?」『え?なんで・・・』
”解らない”事だけわかっている。それでも、俺に管理者になって欲しい。と、考えられる。精霊界という場所がある。妖精の涙フェアリーティアが精霊を従えている。
この事から考えられるのは・・・
「アリーダ。禁則事項に触れる事でも、俺が話すのは問題ないのだろう?会っていたら、首を縦に動かせ。いいな!」『うん』
「アリーダ。何年かに一度なのか、それとも、精霊神の”誰か”なのか、それは解らないが、”管理者”を決める会議や大会が有って、そのルールや方法が決まっていない。と、いう事なのだろう?」
アリーダが頷く。
『しんいちさん。開催は、精霊神の2/3が了承した時に行われます』「そんなに居るのか?」『はい・・・私を入れて9名です』
なんとなく読めてきた。
「アリーダ。ユリアンネ達を俺の手駒にしようと考えているな?」
アリーダが頷く。ルールが解らない以上、俺に与える戦力は多いほうがいい。特に、相手の一つは妖精の涙フェアリーティアになりそうだ。
「なぁアリーダ。その”大会”は、国ごとになるのか?」『それは違います。あくまで、精霊神自身が争うか、代理を立てて争うのかになります』「ちなみに、前回はどうやって決めた?」『・・・・キーボードの早押し』「なんだそりゃぁまた平和的な決め方だな」『はい。そこで、ディートフリートさんが圧勝したのです』
傾向と対策がたてられないという意味では、意表を付いていたのかも知れないが、誰かが入れ知恵しないと、そんな事を思いもつかないのだろう。
「そうか・・・・俺は、来たるべき”大会”までに力を獲得しておけばいいのだな」『はい。それに、ディートフリートさんが残した物を、集めて・・・いや、なんでもないです』「アリーダ!」
迷宮ダンジョンは力にもあります。是非、確保をお願いしたい』「場所の把握は出来ているのか?」『いえ・・・』「アリーダ。最後に一つだけ教えてくれ」『なんでしょうか?』「お前が出来る事はなんだ?」『出来る事・・・』「あぁそうだ。俺は、お前を戦力おとして考えていいのか?それとも、使えない上司だと思って、かかわらないようにしながら、誘導したら良いのか?」『使えない上司・・・・上司だとは認めてくれるのですね』「いいから、早く教えろ!」『加護を与える事と、因果がある心が迷っていたら、呼び込む程度です。後は、覗き見でしょうかね』「わかった・・・使えないって事だな。そうか、”たかこ”や”ちあき”は、俺の因果でこっちの世界に来たのだったな」『そうです』「本当に、他には居ないのだな!」『・・・・はい』「本当だな?」『はい。絶対に大丈夫です。2,000%ありません』「知っているか?2,000%は、数字としては最悪だぞ」『大丈夫です。この世界は、それほどリソースが・・・』
今、リソースって言ったな?
「なぁアリーダ。違うとは思うけど、一応聞いておくぞ」『え?なんでしょう?さっきの質問で・・・』「アリーダ!リソースは一定量なのだろう?それを、奪い合っている状態じゃないのか?例えば、生き物になるリソースの上限が決まっていて、ある一定数から増えないようになっているとかじゃないよな?それを、精霊神同士で奪い合っている・・・なんて事は、絶対にないよな?」『・・・』「人界の管理者決めが、精霊界の代理戦争になっているなんて事は、絶対にないよな?」『・・・』
「管理人を選出した、精霊神がより多くのリソースを使えるようになったりはしないのだよな?」『・・・』
やっぱりそうなのか?神々の闘いに、人界が影響する。どこにでもある話なのだろう。
そうか・・・。「アリーダ。俺のメリットは?」『管理者になれます』「それは、デメリットだ。自分が作ったシステムでもない物を管理したくない」『巨万の富を得られます』「そんなものは必要ない。俺と後数名が生活できるだけ稼げればいい」『・・・・・それ以外には、ありません』
「それで、お前が得るメリットは?」『リソースの割当が増えます』「そうなるとどうなる?」『私が守護している、加護を与えた場所にリソースを割り当てる事が出来ます』「そうか・・・わかった。アリーダ。お前が加護しているのは、王国だと思って良いのだな?」『はい。概ねそれで大丈夫です』「それは、俺のメリットでもあるな。解った、協力してやる」『え?本当ですか?本当ですよね。もう今さら駄目とか聞きませんよ』「わかった。その代わり、ユリアンネ達を、他の陣営に取られないようにしろよ。アリーダ。どうせ、今お前の陣容は、エトとエリ、だけなのだろう?」『・・・え・・・あ・・・はい』「そうだよな」

それから、アリーダが過去からの話をしだすが、さほど重要な事はなかった。後で、歴史書にまとめると言っていたので、それを読むことにした。
まずは、目先の事を考えよう。
ノース街をもっと反映させる。前世の・・・地球の知識を遠慮なくつぎ込む事にする。それと同時に、迷宮ダンジョンを攻略する。フランケンシュタイン伯爵が残した資料を全部読み込まなくてはならない。その前に、テディを締め上げないとならないな。そこで、全部喋らせる。それから、今後どうするのかを効く事にする。
迷宮ダンジョンの攻略は、俺とヒルダとナーテとゴーレムでやるしかないだろうな。ラウラとカウラが居れば、もう少し陣容を厚く保てるのだろうけどな。こればっかりはしょうがない。
後方支援として、フルールとエステルを連れて行く事にしよう。外との連絡は必要になってくるだろうし、置いていくほうが、デメリットになってしまう。
ノース街は、コンラートに一任で大丈夫だろう。

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