【旧】魔法の世界でプログラム

北きつね

ゲート

--- ルト Side ---「なぁルト?兄ちゃん大丈夫かな?」「ナーテ。またですか?今日・・・もう4回目ですよ。大丈夫ですよ。何か合ったら、私達が感じ取れます」「でも、心配だよ。おいら達も王宮に居たほうがいいよな?」「駄目です。この場所ライムバッハ屋敷を守るのも立派な役目です。ナーテも気になるようなら、ゴーレムを使った演習でもしてきますか?」「え?いいの?」「いいですよ。でも、無茶はしないようにしなさいね。ナーテは、他の子と違って、ご主人様の恩恵を受けているのか、魔法制御が飛び抜けていますからね」「うん。大丈夫!ルト。それじゃ行ってくる!」
屋敷から飛び出していく、ナーテを見送った。実際の所、私もすぐにご主人様の所に飛んでいきたい。ナーテにも、付いていてあげたい。でも、それは”やらない”とユリアンネ様達と決めたのだ。ラウラは、”アルノルト様にご報告する”と、言っていたが、アンとユリアンネ様が止めた。私も、アンとユリアンネ様と同じ意見だ。自分たちの気持ちの整理も付けなければならない。私などはまだいい。ご主人様との繋がりもそれほど深くない。ユリアンネ様や、ラウラやカウラの気持ちを考えると・・・。ナーテやヒルデガルド様は、怒るだろう。アルノルト様も・・・”なぜ言わなかった”と、責められるかもしれない。もしかしたら、私達は間違った選択をしているのかもしれない。でも、皆で決めた事だ、私は、これでいいと思っている。
--- ナーテ Side ---やはり、ルトの様子がおかしい。なんとなくだけど、わかる。おいら達と、兄ちゃんと関わらないように、しているようにしか思えない。ゴーレム部隊として連れてきた子供たちの中には、ルト匿ったの子供が多い。移動の時にも、こうして、屋敷に居る時でも、なるべく、おいらと話さないようにしているとしか思えない。
「ナーテ」「なに?」「今日どうする?」「屋敷から出ると目立つからな。屋敷で、シュトライトさん達と模擬戦かな?」「了解。シュトライトさん達にお願いしてくる」「うん。お願い」「ナーテ。いい加減になれなよ。ナーテがゴーレム隊の隊長なのだからさ」「あぁ~。うん。そうだね」
そうだな。おいらが住んでいた、ブラント村はなくなってしまったけど、兄ちゃんのおかげで、ブラント村は復活した。今更村長になろうとは、思わないけど、あの頃から一緒に居る奴らとは、これからも一緒に居る。それに、兄ちゃんは、そんな”おいら達”に、一緒に居て欲しいと頭を下げてくれた。そして、役割と力をくれた。それが、このゴーレムが。おいらだけ特別なゴーレムで、ゴーレム全体に命令が出せる個体だと言っていた。何ができるのか聞いたけど、覚えられなかった。でも、一つ解っている事がある。ゴーレムを使えば、子供のおいら達でも、兄ちゃんの役に立てるという事だ。道を作ったり、城壁を作ったり、家の土台を作ったり、一般的な大人の、数倍の速度で作る事ができる。
シュトライトさんと護衛で来ている人たちとの模擬戦は、おいら達には、すごく勉強になる。力だけなら、負けないはずのゴーレム部隊が負け続けている。兄ちゃんに相談したら、戦闘は訓練しかないと言われた。それで、おいら達も考えるようにした、部隊を半分にして、半分は見学しているように、している。シュトライトさん達は、笑って許してくれた。戦力が半分になったから、勝てないのは当然だけど、見学していた奴らから、悪かった所や良かった所を、模擬戦が終わってから必ず話すようにしている。おいら達は、兄ちゃんの為に強くなる。もっともっと強くなって、兄ちゃんの役に立ちたい!
--- シュトライト Side ---ナーテ嬢達の、ゴーレム部隊との戦いは、少々気を抜くと一気に持って行かれてしまう、そうなると体制を取り戻すのに時間がかかってしまう。差があるように見えているが、経験という差でしかない。俺達も、アルノルト様の所に来てから、怠惰な日常を捨てて、迷宮ダンジョンに潜って、力を付けるようにしていた。それでも、ゴーレム部隊に、なんとか勝てる程度の差にしかならなかった。そして、最近では、弱点だった連携の部分を訓練し始めている。負けるのも時間の問題かと思っている。しかし、戦力を落としてでも、連携の訓練の為に、半分での戦闘を行うとは・・・。正直、全員でかかって来てくれたほうが、連携のほころびが見えるのでやりやすい。人数が半分になって、動きがしっかり連動されている、そうなると地力の差が出てしまう。
「シュトライトさん」「なんだ?」「さっき、おいら達の右側から、急襲したけど、何か悪い所があったの?」「ぉ。そうだな。悪い所じゃなくてな、一瞬だけど、右側のほら、獣型のゴーレムが遅いだろう?だから、全体的に、右側の部隊がそれに合わせて居たからな。右側を突けば、左側がフォローに、入るだろう?それは、悪くないけど、陣形が崩れちゃって、左側が崩れだしただろう?」「うん。やっぱり、あれって、左側から責める為の、布石だったのだね」「あぁそうだ。解っても止められないだろう?」「うん。やっぱり、まだまだだな」
「なぁナーテ嬢よ。お前たちは、どうして、強くなりたいのだ?」「え?だって、強くならないと、兄ちゃんの役に立てないだろ?」「そういう事か・・・。なぁ俺が思うに、お前たちは、十分、ボスの役に立っているし、ボスは、お前たちの事を、必要としていると思うぞ」「そんなこと・・・」「まぁそうだろうな。でも、俺は、ボスじゃないからわからないけど・・・な。そうだ!ナーテ嬢よ。ボスが売っている”将棋”を、皆でやってみたらどうだ?」「え?あのゲームの?」「そうだ。最初、俺達もただの遊びだろうと、思っていたけどな。やってみると、違うのが解る。戦術を考えるのに、丁度よくなっている。」「へぇそうなの?」「あぁそうだ。ボスにお願いすれば、すぐにくれると思うぞ」「う~ん。兄ちゃんに内緒にしたいな」「それなら、丁度王都に居るから、シュロート商会に買いに行くか?」「うん。そうする!」「そうだ、今日の残念賞って事で、俺が3個ほど買ってやるよ」「え?いいの?」「あぁその代わり、今度ゴーレムの使い方を教えてくれよ」「うん。いいよ」
それから、ルト嬢に一言断りを入れて、ナーテ嬢や子供数名を連れて、シュロート商会に向かった。本店だけあって大きかった。店の中に入ると、ノース街で何度か見かけた店員が声をかけてきた。俺がボスの関係者である事や、ナーテ嬢が、ボスの保護している子供で、ゴーレム部隊の隊長なのがすぐに解って、奥に通された。
他にも客が居たが、シュロート商会としては、ボスの関係者は特別な客だという事だ。特に、俺では無く、ナーテ嬢達、ゴーレム使いは、商人の中では、今一番欲しい人材だと言っていた。そりゃぁそうだよな。ゴーレムが牽く馬車なら、休むこと無く移動できる上に、ゴーレム使いが居れば、獣程度なら恐れる事はない。将棋だけのつもりだったが、リバーシやチェスまで買ってしまった。それも、将棋を3つ買うよりも安い値段で・・・だ。
この日から、ナーテ嬢達との模擬戦の後は、将棋やチェスやリバーシでの対戦を行う事になってしまった。こちらも負けたくはないが、子供は本当に覚えるのが早い。多分、負ける日もすぐにやってくるのだろう。そうなる前に、ボスから勝てる方法を聞き出さなくては、大人としての威厳が保たれなくなってしまう。
本当に、ボスの所に来てから、忙しいけど、楽しい日々が続いている。要求のレベルが高いのだけは、少し面倒だなと思うけど、それでも貰っている給金から考えれば、十分許容範囲だろう。実際、付いてきた者達の中には、ノース街でいい人を見つけて世帯を持った者も多い。給金が安定した上に、ノース街は安心できる街だ。できたばかりとは思えないほど充実している。ボスの采配なのか、それとも・・・。
俺達がやる事は決まっている。ボスの盾になること。ボスが戦うべき時に、躊躇なく力を使える場を作る事だ。その為に、俺達は居る。その場は、ナーテ嬢やユリアンネ様達にも譲る気はない。戦って、死ぬのは俺達だけでいい。
--- ギルベルト Side ---アルが、ノース街から旅立って、2週間近くになる。こんなに長くなるとは思っていなかった。行政に関しては、コンラートが戻ってきているので、問題にはなっていない。商店街や冒険街にも、問題は発生していない。
クリスには電話で伝えたが、クリスの実家近くできな臭い匂いがしている。食料の買い占めや、兵の増員が行われている。帝国側には、そんな気配がないという事は、その振り上げた拳をどこに振り下ろすつもりなのだろうか?
クリスから、王都での話を聞いた、予想通りだけど、予想以上に、アルが絡んでしまったのが問題だ。それでなくても、アルは王国内に味方が少ない。俺ら位しか居ないのではないかと思える位だ。子爵になってしまった事もだが、このノース街の発展が問題だ。なぜ、ここまで短期間で発展したのか・・・内容を聞けば納得できるが、それが解らない連中から見たら、王家が”贔屓”しているように見えてしまうのだろう。商人の流入も激しい。シュロート商会もだが、地方に本店を構えていた、商会の幾つかが、ノース街に支店を出す事になっている。話を聞いていると、本店機能の移転に近い。オヤジも言っていたが、それだけ魅力的なのだと話している。
王都に近い。これだけでも大きいのに、出店に税金がかからない。そして、大きいのが、安全だと言うことだ。アルの政策なのか解らないが、王都まで街道は、石畳で整備されている。それだけでも、すごいのに、街道を結界で覆ってしまっている。その為に、通行証がない者は、街道に入る事ができない。街の中にも適用されている。その為に、街道を行き来する時に、護衛が(ほぼ)必要ないのだ。地方に本店機能を持っていた商会が、王都に本店機能を持つのは、場所の問題があるので、難しい。それが、王都まで急げば3日程度の場所にある、安全な街に本店を移せれば、商機の面から考えても、大きなメリットだ。その上、この街には、迷宮ダンジョンがあり、迷宮ダンジョン産の素材が安く手に入る。
これは、公表されていない事だが、アルは迷宮ダンジョンの機能を使って、必要になる素材を作り出せる。だから、月に二度程度、主だった商会の者を集めて会議をしている。その会議で出た素材の入手率が大きくなる。皆、それを薄々感づいていても、暗黙の了解という事で、口に出さない。素材の量も微妙にコントロールされていて、大きく値段が崩れる事はない。そして、アルが考えた事だが、この会議に連続して出られるのは、俺だけだ。しかし、俺は、欲しい素材を口にすることを、アルから禁止されている。ようするに、商人ギルドに属している人間なら大小に関係なく、この会議には参加できるが、一度参加してしまうと、次の参加まで間が開いてしまうという事だ。商人側でも、この決定を覆そうと、アルに直談判に言ったようだが、あるは一言”ダメ”だけだったらしい。それが嫌なら、街から出ていってくれて構わないとまで言ったようだ。普通の街で、そんなことをやったら傲慢だと言われるが、ノース街だけは違っている。アルは税金を取っていない。その上で、アルの資金で、街道の整備や街の整備を行い。結界まで張っている。それらを賄おうと思ったら、どれだけの資金が必要になるかは、商人ならすぐに計算ができる。
「ギルベルト様」「あぁコンラート殿」「殿は、止めて下さい。呼び捨てでいいと何度も言っていますよね」「そうですが、コンラート殿は、アルの代理の肩書がありますからね。それに、俺の事も”様”付ですよね?」「・・・それおかしいですよね?アルノルト様の事は、愛称で呼んで、私には殿を付けるって・・・まぁいいですけど、それよりも、エルブンガルドからの連絡が入りましたか?」「・・・あぁクリスには、さっき伝えた。アルには、まだ繋がらない」「そうですか・・・エルフの商会や、マナベ商会の面々や、ドワーフの方々の無事は確認したのですが・・・ザシャ様とディアナ様が丁度、エルブンガルドに、行っていたようで・・・連絡が付いていません」「私も、情報収集と、アルノルト様への連絡を続けますが、ギルベルト様も、アルノルト様への連絡をお願いします」「わかった。何か解ったら教えてくれ」「はい」
行政区に来て、連絡が付けられるようにはしているが、芳しくない。“情報が錯綜している”と、ほどではなく、今まででは考えられないほどの情報が入ってくるが、どれも緊迫している事しか解らない。
ザシャもディアナも、携帯を持っているはずなのに、連絡をしてこない。クリスの考えは、エルブンガルドの結界の中に居るからだろうとは言っているが、ノース街では、結界が張ってあっても、携帯は繋がる。アルに以前聞いたが、エルブンガルドの結界と”ほぼ”同じものだと言っていた。
コンラートには、引き続き情報の収拾と集まった情報の整理をお願いした。
コンラートが部屋から出ていくと、入れ替わりにフルールが訪ねてきた。ユリアンネ。ラウラ。カウラ。アンネリーゼ。の、様子がおかしいのを、フルールにたずねていた。
「ギルベルト様。彼女たちが抱えている事情は解りましたが、私達が口を出していい問題ではないです。アルノルト様と彼女たちの問題です」「そうか・・・俺は、何もできないのか?」「・・・どうでしょう。何かできるかもしれませんが、”何もしないで欲しい”と、言うのが彼女たちの望みです」「わかった。でも、俺ができる事があったらなんでも言って欲しい。もう、あのときの様な事はまっぴらだ!」「・・・解りましたわ。少し、嫉妬してしまいますわ」「ん?何に?」「内緒ですわ。アルノルト様を取り巻く環境は、幸福と言うには程遠い状況なのでしょう。でも、それでも、やはり羨ましく思ってしまいますわ」「ん?だから、何に?」「そういう所ですわ。ギルベルト様も、クリティーネ様も、ユリウス様も、それこそエルフの娘も、ドワーフの娘も、聖女も貴族の娘も・・・」「・・・そうだな。俺達は、アルに大きな大きな借りがある。違うな。自分が、もうあんな無力な思いを味わいたくないのだろうな」「・・・いいですわ。私も何かできる事を考えます。その時には、お力を貸してください」「あぁ任せろ!」
あぁそうだな。俺達は、もう子供の時と違う。世界が広がった、自分でできる事も増えた。
--- アルノルト Side ---「アルノルト様!」「どうした、血相変えて・・・綺麗な顔が台無しだぞ」「私の事なんてどうでもいいです。それよりも、どこで何を・・・は、今はいいです。それよりも・・・そうだ!」「クリス。落ち着け。ヒルダ・・・は、居ないか・・・カルラ。クリスに、水を持ってきてくれ」
クリスは、カルラが持ってきた水を、乱暴に引っ手繰って、一気に飲み干した
慌てていたのが自分でもわかったのだろう。少し深めの深呼吸をしてから「エルブンガルドが・・・ヘーゲルヒ街が、魔物の集団と所属不明の武装勢力に寄って、襲われています。」「え?」「ヘーゲルヒ街は、自警団を組織して対応していますが、劣勢です。マナベ商会とエルフ商会とドワーフ商会の面々は無事です。結界を発動して、対応している用です。食料も、2ヶ月近く備蓄があるので、大丈夫という知らせが、ギルベルト様とコンラート様の所に入っています」「そうか・・・よかった。それで、エルブンガルドは?」「音信不通です。連絡が付きません。そして、ザシャとディアナが、エルブンガルドに行っているという話です」「なに?無事なのか?」「わかりません」「その情報は?いつの情報なのだ?」「時間的には、30分ほど前です」
携帯電話を取り出す。俺が、強化結界のテストをし始めてから3時間位が立っている。この結界の中では、携帯がつながらないのだろうか?クリスの様子から、そう考えるのが妥当だろう。結界を解除した瞬間に電話がなった
ギルからだ。今、クリスから事情を聞いている旨を伝えた。新しい情報が入ったら連絡をくれる事になった。コンラートにも電話した。クリスから聞いた以上の情報は無いようだ。
ザシャとディアナにも、電話したが繋がらない。呼び出し音がなるから、携帯電話は行きているのだろう。出られない状況になっているか、そもそも、携帯電話が手元にないか、だろう。
エルブンガルドに居るであろう。ザシャの兄に電話をしてみたが、繋がらない。同じ状況になってしまう。
クリスが心配そうに、こっちを見ている。大丈夫だ。俺は、まだ冷静でいられる。
「クリス」「なに?」「ユリウスは?」「今、情報収集をしている」「そうか、王都のライムバッハ屋敷に、シュトライト達とナーテとルトが居る。ユリウスとクリスに頼んで悪いが、彼らを、ノース街まで連れて行って欲しい。それと、ヒルダも一緒に頼む」「え?アルノルト様は?」「俺は、エルブンガルドに行く!」「どうやって・・・」「説明は、省くが、ゲート魔法を作っている。未完成だが、エルブンガルドなら行くことができる!」「それなら、私!」「クリス。クリスには、ヒルダやナーテ達を、頼みたい。ユリウスとクリスを、安全なノース街につれていくという、大義名分がなければ、俺に付いてこようとするだろう。状況が解らない以上。俺だけで行きたい。解ってくれ。何かあればすぐに連絡する。それは約束する。そして、危なくなったら、ザシャとディアナを連れて逃げる」「・・・約束ですよ」「あぁ」
クリスはすぐに行動に移った。俺が言った事が解ってくれたのだろう。すぐに、ユリウスを探し出して、ライムバッハの屋敷に行ってくれた。ルトから念話が来て、確認できた。ルトも、俺の意見に従ってくれた。ナーテ達を連れて、ノース街に戻ってくれるようだ。ゴーレム部隊の能力を最大限引っ張り出して、なるべく行程を短縮する事を頼んだ。
「アルノルト様」「カルラ・・・。カルラも、クリス隊と一緒に」「駄目です。それでは、私がアルノルト様の為に、死ねません。もし、私を連れていけないと言うのなら、私を殺してからにして下さい」「ふぅ・・・本当に死ぬことになるかも知れないぞ」「それこそ、本望です」「魔法も未完成だから、何が発生するかわからないぞ」「構いません」「・・・解った。最低限、戦える格好にはなってくれ」「わかりました」
いきなり、カルラは、俺の目の前で全裸になって、着替え始めた。隠すこともなく、メイド服から戦闘服に着替えた。
「これでどうでしょう?」「あっうん。そうだな。カルラは、武器は何を持つ?」「短剣を好んで使います。二本あれば双剣として使います」「わかった、それじゃこれを渡すから、使ってくれ。後、防御用の魔法を仕込んだ、魔道具を幾つか渡しておく、遠慮なく使ってくれ」
カルラに、ミスリルで作った短剣を2本と幾つか魔道具を渡した。魔道具は、魔力を注げば、魔法が発動する簡単な物になっている。魔石に少しだけ外装を付けた簡易的な物だ。
ゲートを展開する。初めての事ではないが、自分以外が使うのは、初めてだ。それも、もしかしたら、戦場のど真ん中に出るかも知れない。
魔法陣が編みあがって、座標を設定する。座標は、エルブンガルドの街の中ではなく、結界の外側だ。そう、結界から弾かれる所に出る場所にゲートを開くように設定した。
魔法陣が編みあがって、ゲートの魔法が発動する。人が余裕で5~6人は並んで通れる位の扉が現れて、扉が開く。一歩踏み込むと、もう一歩踏み込む。身体が扉の中に入ると、そこは・・・。

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