エルフに転生したんだけどこんなはずじゃなかった〜エルフ集落から追い出されたのでロリババアと異世界でぶらり旅〜
第9話 テンプレートを予想し始める転生エルフ
「それにしても、概念複製なんてかなり稀有な能力ですね。マーガルさんもだいぶ珍しい能力の構成だとは思いましたが、ミナミさんはそれ以上でした!」
淡々と語る受付嬢の声を上手くききとることが出来ぬまま、僕は概念複製という意味のわからない能力について考える。
概念複製……複製……複製って言うと、コピー?
あ、この間呼び出したっていう魔方陣……もしかしてこれでコピーしたってこと?
「初めて拝見する能力ですので詳細はわかりませんが、何かを複製することは確かなようですね!」
初めて見る能力に興奮している受付嬢。それに対して、僕は佐藤さんに事前に聞いているものの中に入っていない能力にただただ困惑する。
ただでさえ頼んでない能力搭載してるのに、意味のわからない能力まで追加しないで欲しい……
「所長〜! 凄いですよ! さっき言ったエルフのお客様が新スキルを持っていました!」
「……はァ、リーナよ、あまり大声で叫ぶんじゃないぞ」
そんなことを受付嬢に言いながら受付から表に出てきたのは、見た目40代くらいの中肉中背の男性だった。
「どうも、リゲルのギルド所長を努めさせてもらっているフォーギス・ベルクラウンです。新スキルの発見ということなので少し奥の部屋に着ていただけますか?」
所長のその渋い声で形作られた言葉が食事をしたりコーヒーを飲んでいたりした冒険者たちにも聞こえたのか、ひそひそとこちらを見ながら話し出す。
「新スキルって、この街だと確か20年以上前に1人でてそれっきりだったよな」
「あぁ。てことはここのギルドはまた規模が拡大するだろうなぁ」
「まぁ、発見したってだけでギルドに入る謝礼が2億ポルカだからな。そりゃ規模拡大に使って冒険者事業以外も始めるだろう」
彼らの話から察するに、僕のスキルを恐らくギルドの上層部か何かに通告すると、このギルドに多くの謝礼が支払われるのだろう。
なぜ新しいスキルを見つけただけでそんなことになるのかは分からないが、実害があってもレーホンが居れば大概防ぐことが出来ると信じて所長について行くことにした。
⿴⿻⿸
軽く挨拶と自己紹介をすると、所長は静かに深呼吸をした後に僕に向かって話し始める。
「さて、いきなりですが本題から入りますね。先程のうちの利用者の噂話で大概は察したと思いますが、貴方のスキルはどこのギルドでも確認されていなかった新スキルでした。なので許可がいただけるのならその新スキルの存在を全世界のギルドに通告させて頂きたい」
間髪入れずにまるで定型文を読み上げるように所長はそう言いきり、僕の方をじっと見てくる。
「僕ですら中身は把握していないですし、いざ把握しても特に大きな害はないと思われるので公開はなんの問題もありません」
「ありがとうございます。公開するに当たりまして、どのような能力かを実際に判別したいので、貴方がたがこのまましばらくこの街にいるというのなら、ギルド職員を1人付けて能力の解析を進めたいのですが」
「構いません」
正直能力の把握に関するメリットで分かったのは、スキルについて知識のない新人冒険者に職員がスキルについての説明をするためという以外では何も思いつかなかった。
最悪僕が奴隷にされるなんてこともあるのかもしれないが、普通に生活をしていれば起こりえないことだろう。
「では、はいりなさい。リーナ、今日から彼女らが街を去るまでの間、彼女らについて新スキルの解明をする任務を与える。くれぐれも遊び過ごすことがないように」
「はっ、はいっ!」
はいりなさいの声で元気よく部屋に入ってきた受付嬢が、続く所長の声に驚き気味に返事をしつつも仕事を請け負うらしく、少しというか大分不安が拭えない。
あんなハイテンション丸出しの女の子で大丈夫だろうか……
「あ、あの、ミナミさん! よ、よろしくお願いします!」
屈託のない笑顔でそう言うと、彼女はその顔を紅潮させてこちらの返事を伺うように見つめてくるので
「はい、こちらこそよろしくお願いします」
と雑に返事をする。
「ではこちらの契約書にサインを書いて魔力を流し込んでいただけますか」
所長が出してきたB5ほどの大きさの分厚い紙にサインを書いて、カードの時のように魔力を通す。
ゴワゴワした厚さ4ミリほどの紙。製紙技術はそこまで発達していないんだろうか。となるとカードは何らかの鉱石を切り出して作った物質なのかもしれない。ラノベあるあるだしね、自然物質の効能が妙に機械的なの。
ただ何となく紙を触った感覚で言っているだけなんだけどね。
「えぇっとですね、これは魔力紙と言いまして、普通の紙に魔力を通す特殊な鉱石を織り込んで出来ているんです」
「へぇ、紙の素材に鉱石を織り込むなんて凄いことしますね」
実際はすごいのかなんてよく分からないけれど、受付嬢ことリーナが嬉しそうにしているので100点の解答ということでいいのではないだろうか。
「そうなんです! カードはその鉱石を切り出して、ギルド本部の技術者が2年かけて作った最新鋭の個人証明証です!」
「ほう」
嬉しそうにその後も語り続けるリーナのことを微笑ましく見つめながら、この談義はあとどれ位続くんだろうなぁなんてぼんやりと考えていた。
淡々と語る受付嬢の声を上手くききとることが出来ぬまま、僕は概念複製という意味のわからない能力について考える。
概念複製……複製……複製って言うと、コピー?
あ、この間呼び出したっていう魔方陣……もしかしてこれでコピーしたってこと?
「初めて拝見する能力ですので詳細はわかりませんが、何かを複製することは確かなようですね!」
初めて見る能力に興奮している受付嬢。それに対して、僕は佐藤さんに事前に聞いているものの中に入っていない能力にただただ困惑する。
ただでさえ頼んでない能力搭載してるのに、意味のわからない能力まで追加しないで欲しい……
「所長〜! 凄いですよ! さっき言ったエルフのお客様が新スキルを持っていました!」
「……はァ、リーナよ、あまり大声で叫ぶんじゃないぞ」
そんなことを受付嬢に言いながら受付から表に出てきたのは、見た目40代くらいの中肉中背の男性だった。
「どうも、リゲルのギルド所長を努めさせてもらっているフォーギス・ベルクラウンです。新スキルの発見ということなので少し奥の部屋に着ていただけますか?」
所長のその渋い声で形作られた言葉が食事をしたりコーヒーを飲んでいたりした冒険者たちにも聞こえたのか、ひそひそとこちらを見ながら話し出す。
「新スキルって、この街だと確か20年以上前に1人でてそれっきりだったよな」
「あぁ。てことはここのギルドはまた規模が拡大するだろうなぁ」
「まぁ、発見したってだけでギルドに入る謝礼が2億ポルカだからな。そりゃ規模拡大に使って冒険者事業以外も始めるだろう」
彼らの話から察するに、僕のスキルを恐らくギルドの上層部か何かに通告すると、このギルドに多くの謝礼が支払われるのだろう。
なぜ新しいスキルを見つけただけでそんなことになるのかは分からないが、実害があってもレーホンが居れば大概防ぐことが出来ると信じて所長について行くことにした。
⿴⿻⿸
軽く挨拶と自己紹介をすると、所長は静かに深呼吸をした後に僕に向かって話し始める。
「さて、いきなりですが本題から入りますね。先程のうちの利用者の噂話で大概は察したと思いますが、貴方のスキルはどこのギルドでも確認されていなかった新スキルでした。なので許可がいただけるのならその新スキルの存在を全世界のギルドに通告させて頂きたい」
間髪入れずにまるで定型文を読み上げるように所長はそう言いきり、僕の方をじっと見てくる。
「僕ですら中身は把握していないですし、いざ把握しても特に大きな害はないと思われるので公開はなんの問題もありません」
「ありがとうございます。公開するに当たりまして、どのような能力かを実際に判別したいので、貴方がたがこのまましばらくこの街にいるというのなら、ギルド職員を1人付けて能力の解析を進めたいのですが」
「構いません」
正直能力の把握に関するメリットで分かったのは、スキルについて知識のない新人冒険者に職員がスキルについての説明をするためという以外では何も思いつかなかった。
最悪僕が奴隷にされるなんてこともあるのかもしれないが、普通に生活をしていれば起こりえないことだろう。
「では、はいりなさい。リーナ、今日から彼女らが街を去るまでの間、彼女らについて新スキルの解明をする任務を与える。くれぐれも遊び過ごすことがないように」
「はっ、はいっ!」
はいりなさいの声で元気よく部屋に入ってきた受付嬢が、続く所長の声に驚き気味に返事をしつつも仕事を請け負うらしく、少しというか大分不安が拭えない。
あんなハイテンション丸出しの女の子で大丈夫だろうか……
「あ、あの、ミナミさん! よ、よろしくお願いします!」
屈託のない笑顔でそう言うと、彼女はその顔を紅潮させてこちらの返事を伺うように見つめてくるので
「はい、こちらこそよろしくお願いします」
と雑に返事をする。
「ではこちらの契約書にサインを書いて魔力を流し込んでいただけますか」
所長が出してきたB5ほどの大きさの分厚い紙にサインを書いて、カードの時のように魔力を通す。
ゴワゴワした厚さ4ミリほどの紙。製紙技術はそこまで発達していないんだろうか。となるとカードは何らかの鉱石を切り出して作った物質なのかもしれない。ラノベあるあるだしね、自然物質の効能が妙に機械的なの。
ただ何となく紙を触った感覚で言っているだけなんだけどね。
「えぇっとですね、これは魔力紙と言いまして、普通の紙に魔力を通す特殊な鉱石を織り込んで出来ているんです」
「へぇ、紙の素材に鉱石を織り込むなんて凄いことしますね」
実際はすごいのかなんてよく分からないけれど、受付嬢ことリーナが嬉しそうにしているので100点の解答ということでいいのではないだろうか。
「そうなんです! カードはその鉱石を切り出して、ギルド本部の技術者が2年かけて作った最新鋭の個人証明証です!」
「ほう」
嬉しそうにその後も語り続けるリーナのことを微笑ましく見つめながら、この談義はあとどれ位続くんだろうなぁなんてぼんやりと考えていた。
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