エルフに転生したんだけどこんなはずじゃなかった〜エルフ集落から追い出されたのでロリババアと異世界でぶらり旅〜

ニムル

第7話 テンプレ通りに最初はギルドへ向かうエルフ

 水上都市リゲル。

 昔から流れる美しい水とその風景で多くの観光客で握わう、キルオア王国の観光都市の1つだそう。

 名物は海鮮料理と水路のクルージングで、夜には全ての水路がライトアップによって飾られるという。

 ちなみにこの説明みたいなのは、全部レーホンがスってきた地図に付箋でメモを取ってあったところに書いてあった文章を僕が説明するように変えたもの。

「それにしても、ライノとレーホン速いなぁ……」

 この水上都市までは、海岸から馬の足でおよそ4日ほどかかると言うふうに地図に書いてあったのだけれど、僕がライノに、リッツァがレーホンの肩に乗ってライノとレーホンに全力疾走をしてもらったらおおよそ半日でついてしまった。

 ちなみに僕とリッツァはもちろん酔いに酔いまくったので今日はライトアップとか見ることなくとにかく宿を取って眠りたい……

「あはは、済まない、悪かった! いやぁ、サイ公との勝負が楽しくなっちゃってな!」

『フフ、ついつい熱くなってしまった』

「「お前ら1回黙ってろ……」」

 綺麗な水路に汚物を垂れ流すわけにも行かないので、とりあえず街の門をくぐる前に胃の中を空にしてからリゲルの中に入ることにした。

「うっぷ……ぅ、ウォェェェ……」

 汚物はきちんと佐藤さんに教えて貰った初級魔法のフレイムで加熱消毒してウォッシュで綺麗に水に溶かして消しました。結局その作業も一苦労を要したわけだけど……




□■□■□




「はい、3名様と1匹ですね。おや、エルフ様方とは珍しい! どのようなご要件でこのリゲルへと?」

 門兵にそう聞かれたので、笑顔で

「さいとしーいんぐ」

 と答えてみた。

 もちろん通じるはず無かった……

 白けた顔でこちらを見るリッツァと、よく分からないとこちらをのぞき込むレーホンに囲まれて「あ、観光です」と答える。

 かなり気まずい入門となってしまった。

「さて、まずは宿を取らんといかんの」

「かなり人がいてこんでるみたいだから、これは宿を取るのは大変かもしれないね」

「まずはギルドとか言うところに行くんだろ?」

「うん」

 門兵の話によると、宿の紹介の時にギルドを介すと宿泊料金が大概5割引ほどになるらしく、これを聞いたあとではそれを使わない手などない。まぁギルドの一員の特典なので登録が必要らしいが。

「オットー、おじょーちゃんたち、俺らと遊んでいかn……」

「残念だが今からギルドというところに用がある。邪魔だ手するなら今度は確実に下顎を砕くがどうする?」

 絡んできた数人の男達は、レーホンの手によってことごとく追い払われていく。

 ……うん、まぁ、近づきたくなる彼らの気持ちもわからないではないけども、シンプルに気持ち悪かった。

「ふむ、それにしても人族のは街は面白いのぉ。こんなに建物と建物が固まってたっておるなぞ、エルフの島にいた時は考えもしなかったわい」

 物珍しそうに周りをキョロキョロ見回しながら小走りをして露天をみまわるリッツァ。

「おお嬢ちゃん、お姉ちゃんたちとお出かけかい?」

「うん!」

「おうそうか! じゃあお姉ちゃんたちとこいつを食べな! この街の名物、スイカだ」

「わー、おじちゃんありがとぉ!」

 ……あれは誰ですか?

 戻ってきたリッツァに小さな声で話をかける。

「あれ何?」

「おう、お主もあれが気になるのか。あれはな、サトーから事前に聞いていたショセージュツと言うやつじゃよ」

「ん、あぁ、処世術ね、うん」

 佐藤さん、なんてこと教えてるんだ。しばらくこの人の生活に金は必要なくなるぞ、施しだけで暮らせてける。

「それにしても本当に上手くいくとは思ってなかったわい。サトーの言うこともたまには真面目に聞いてみるものじゃの」

「……」

 まぁ、僕も性別を間違えて転生させられている分あの人の話は割と話半分なところがあるかもしれないから、一概にリッツァの言っていることを批判することは出来なかった。僕もたまにしか真面目に聞いてないかも。

「おいカノン、私が思うにここがギルドとやらだと思うのだが」

 そうレーホンが言ったのでリッツァに向けていた顔を正面に向けると、およそ五階建てほどのレンガ造りの建物が目の前にそびえ立っている。

 入口と思わしきドアには、大きく日本語で「ぎるど」と書かれており、この世界の文字はやはり日本語と同じ仮名文字なのだと把握し直す。

 エルフの島では文字を見る機会なんて一切なかったけれど、この街に来てからやたらと平仮名を目にするのだ。

 店の看板は大概平仮名で、時々見覚えのない記号のようなものも混じっているが、「ゐ」や「ゑ」を発見したことから、あれも恐らく五十音統合前の平仮名なのではないかという予想を立てることが出来た。

「うぉぉ、なんじゃこの無駄に大きい建物は……」

 呆気にとられているリッツァの肩を押してそのままギルドの中へと入る。

「はい、こちら世界組織ギルド、リゲル支部です! ってエルフっ!?」

 この世界ではエルフは珍しいのだろうか、受付嬢にものすごく驚かれる。

 そういえばここに来るまでも妙に視線を感じたような気もする。

 ギルドの中はちょっとしたバーのようになっており、想像していたうるさい酒場の様な雰囲気とはまた少し違っていて少し拍子抜けしてしまった。

「あ、あはは、エルフ族のお客様なんて来たことがなくてですね、ご無礼をお許しください」

 受付嬢がそう言って頭を下げるので、関心がなさそうなリッツァとバーの方に興味津々なレーホン、私の肩に乗って眠っているサイズダウンしたライノの代わりに

「いえいえ、なんの問題もありません」

 と受付嬢に返事をする。

「そう言っていただけると幸いです! で、では今日はどんなご要件で?」

 少し慌て気味な受付嬢に対して、僕はここに来た目的を話す。

「ギルドの身分証の発行と、安い宿を紹介してもらえないかと思いまして」

「はい、分かりました! では少々お待ちください」

 そう言って受付嬢は「やばいやばい、なんかすごいお客が来てるよォ! うーふーっ!」カウンターの奥へとすっこんでいった。

 ……エルフってこの世界だとどんな扱いなのさ、ちょっと気になってきたんだけど。

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