エルフに転生したんだけどこんなはずじゃなかった〜エルフ集落から追い出されたのでロリババアと異世界でぶらり旅〜

ニムル

第6話 テンプレートの斜め上をいく出来事で

「この槍……」

 明らかにあのレーホンという人物の持っていた槍だ。

「なんでここにこんなものが?」

 恐る恐る槍を抜いてみると、槍の持ち手の部分を砂から生えた腕が掴んでいる。

「えっ、えっ!?」

 驚いて急いでやりの周りを掘り返すと、腕は自分で地面を掴み、両腕の力で地上へと乗り上げた。

「おう、助かったぞ。えーと、お前の名前はなんて言うんだっけか」

「……え?」

「名前だよ、名前。まさかないなんてこたァねぇだろ?」

 なぜこの人がこんなところにいるのだ。この人はあちら側の魔方陣に入っていたはずじゃ……

「お? なんじゃレーホン。お主も来ておったのか」

「おう、マーガル。どうせどっちもどっかに飛ばされるんだったらこっちの方が面白そうだったんでな。適当に付いてきた」

「まあ魔法陣が構築される前にお主が後ろに飛び退いていた時点でお主だけは助かったことは分かっておったわ」

「でもこっちに来るたァ思ってなかっただろ?」

「まあの」

 イタズラな笑みで私たちを見つめるレーホンの姿に少し唖然とする。

「カノン、心配するでない。こやつとで任務があったからお主の事を狙っておっただけじゃ。その司令が行方不明となったとあってはもはやお主のことを襲うことはなかろうよ」

「おう、人殺しなんて面倒くさいことは仕事じゃなきゃごめんだからな。まぁ、大陸用の路銀はいくらかフード共からスって来たからよ、ほら、ひとり100ポルカ? ってやつ位はあるぞ」

『あ、カノンさん、ポルカというのはこの王国が所属しているヴラキオ大陸の貨幣の単位のことでして、1ポルカ1円くらいだと思っていてください』

「あ、うん」

 あまりにも急すぎるこの展開に少し驚きつつも、先程までの殺気が抜けた今の彼女を見ると、整った顔立ちに綺麗な髪、痩せているが筋肉質なその体は現代日本では美ボディだのなんのとはやし立てられるものだろう。

 せっかく色々と説明してくれている佐藤さんの言葉も、頭の中にはほぼほぼ入ってくることは無かった。




□■□■□




「ま、というわけだから路銀くれてやった恩でしばらくお前らと一緒にいさせてもらいたいんだがいいか?」

「わしは構わんぞ? 旅は道連れ世は情けじゃ。レーホン、お主のことも拾ってやろうではないか」

「えと、そうだ、カノン、お前は?」

「……ぼ、僕も……いい、です」

「おう、じゃあそうさせてもらうわ」

 思わずいいと答えてしまったが本当によかったのだろうか……万が一のことはリッツァが責任を取ってくれるという話にはなったけれど、その万が一があるかもしれないって言う状況が1番怖いということにたった今気づいた……

「心配すんな、仲間に危害は加えねぇよ」

 ……。

 ただのイケメソだよぉぉぉぉっ!

 やばい、惚れる。かっこいいわ、僕こんな男になりたい。いや、レーホンは女なんだけど、女なんだけど、こんな男になりたいっ!

「……うぅ、僕ってこんなにちょろかったかな……」

「どうした? 腹でも痛いのか? ほら、腹ん中整える霊薬だ、飲んどけ」

「あ、いや、そうじゃないから大丈夫……」

「うん? そうか。とにかく何かあったらすぐいえよ?」

「……うん」

 レーホンの僕に対する態度の変わりように驚きすぎて言葉が出ない。

「あのさ、リッツァ、レーホンっていつもこんな感じなの?」

 と、ぼそっとリッツァに聞いてみると

「うーん? ああ、そうじゃの。大概こんな感じじゃ。普段が普段で関心があまりないから完全にあれかと言われればわしには判別つかんところじゃがの」

 という返答が帰ってきた。

 あって初っ端殺意を向けられている身としては、なんとも言い難い気分だ……




□■□■□




「よし、フード共から大陸の地図はかっさらってきたからよ、リッツァとカノンでどこ行くか決めてくれや」

「レーホンは行きたいところはないの?」

「めんどくさいからいいわ」

「そう」

 ライノに跨って砂浜を駆け回るのに忙しいレーホンはそれどころではないらしく、地図だけをこちらに渡してまたロデオしに行ってしまった。

「うーあはははははははははっ! そら、サイ公! もっと速くもっと速く!」

「よかろう、我が最高速度、その身で体感してみるがよい!」

 何故か仲良くなっているライノとレーホンはもう置いておいて、言われた通りに僕達2人で今後の方針を決めることにした。

 ちなみに佐藤さんは上司と一緒にプレゼンに言っているとかで4日ほど姿を見せることが出来ないらしい。

「うーん、どうしよ……リッツァ、どこか行きたいところってある?」

「強いて言うなら旅がしたいんじゃがのう、そのための旅道具がない。近くの街で宿をとり、ポーションを売ってしばらく稼ぎ、道具を揃えたら旅商人でもしながら世界でも回るか」

 リッツァが島の外に出たことがなく、外の世界を旅したいというのは聞いたことがあった。

 旅は楽しそうだし、商人ってのはかっこいい。そしてリッツァには恩があるので僕は一も二もなくリッツァのその意見に賛同した。

 そして僕たちは、1つ目の街リゲルに向かって歩を進めるのだった。

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