エルフに転生したんだけどこんなはずじゃなかった〜エルフ集落から追い出されたのでロリババアと異世界でぶらり旅〜
第3話 テンプレ通りのクズ神ルートは封印で
「さて、ここが今日からおぬしの宿じゃ。グランドなんじゃからそれなりに各方面で腕が立つじゃろう? わしはポーション職人ひとつでグランドまで成り上がった異端児じゃからの!」
はははと大声で笑いながら、少し離れたところに村が見える小高い丘の上に立つ、馬鹿みたいにでかい豪邸を指さす彼女。
「おっと、自己紹介がまだだった。わしはリッツァ。リッツァ・マーガルじゃ。おぬしはなんという?」
「あ、え、えと、僕はカノン。カノン・ミナミです」
本来の名前は水波香音なのだが、こちらの世界だと姓名が反転するようなのでこう名乗っておく事にする。
「どっちも名前みたいじゃの、まぁ、興味ないが」
「興味ないなら突っ込まないでくださいよ……」
そんな会話をしている間にも彼女はガツガツと建物の中へと入っていく。
「あ、家は帝国式じゃからな、靴は玄関で脱げよ?」
「あ、はい」
リッツァさんの言葉に従って、この体が最初から履いていたショートブーツを脱ぎ、玄関の恥へと綺麗に並べる。
佐藤さんやぁ、転生時の服装すらまともにならんのかい。白いワンピースにショートブーツって、センスなさすぎない?
幸い、今の僕は家事関連のスキルがマックスなので裁縫スキルも高い(はず!)。適当に布をどこかで手に入れて、靴に会う新しい服でも作るとしよう。
この体は僕の着せ替え人形。断じてマイボディではない。分かったな? 水波香音。
軽く自己暗示を済ませたところで、そのまま客間に通される。
「さぁ、長らく使っておらず古びておるやもしれぬが、ここにしばらく住むと良いぞ!」
「あ、ありがとうございます、リッツァさん」
「おぬし、いちいち挙動不審じゃのう……あとそんな堅苦しくなくて良いわ、わしのことはリッツァと普通に呼ぶが良い。許可する」
「は、はい」
年上を呼び捨てにするのはどうかと思うのだが、昔読んだ年の離れた友人とかそんな類で考えておけば良いのだろうか。
……え、それハードル高くない? 僕今までお友達いなかった系の人なんですけど、かなり無茶言ってません?
「客人なのだから態度は大きくな! 招かれたものは招かれたものたる態度をとってもらわねばな!」
「と、言いますと?」
「変にかしこまるでない! んー、あー、あいつはタメ口、とか言っとったかのう、そんな感じで話すと良いぞ!」
「はぁ」
以前ほかにも誰かが来たことがあったのだろうか。地球のましてや日本というさらに狭い範囲で使われるような単語を彼女はいくつか知っていた。
日常会話程度なら恐らくもとより僕が覚えさせられているのか、そのような能力なのか言語を理解できる。その中に時々紛れている特異な単語に変な違和感を感じる。
『主よ、PSYphoneがなっているぞ、恐らくあいつだ、出てやってくれ』
一回りサイズがちっちゃくなったサイが、机の上に置いてあったPSYphoneの方向を向いてそう呟いた。
「あのクソ野郎、文句はいくらでも言えるからな!」
とりあえず通話ボタンを押して応答する。
『いやぁ、誠に申し訳ありません、香音さん! いやぁ、あまりにお美しかったもので、私としたことが見間違えてしまいましてですね、えと、あのですね、私に関するレビューをまだされていないようでしたらこれからさらにサポートさせて頂きますのでどうかお許しをと……』
「なんじゃ、おぬし音信不通になったわけじゃないのではないか」
『んなっ!? その声はマルガリータ!?』
「なんじゃ、その食い物みたいな名前は。おぬしは自分が世話になった相手の名前すら覚えられんのか」
『かか、香音さん!? こここここれはどういう事で!?』
相当焦っている佐藤。なんだこいつ、気持ち悪いな。あ、ごめん、辛辣だったわ。
「なんでそんなに慌ててるんです? リッツァさんと知り合いなんですか?」
「カノン、さんはいらんぞ」
「あ、はい」
『いや、知り合いも何も、私が生きていた頃にお世話になっていたと言いますか、サンドバックにされて尻に敷かれていたと言いますか……』
「あやつは良い財布だったぞ! 何もしなくても色々なものが手に入ったからな。唯一外のものを手に入れられなかったのは痛いが」
『ま、まぁ、このことは置いておいてカノンさん、話をしましょう。今の会話のあいだにまだあなたは私に対する評価をつけていないことが確認できました。なので、失敗をした身でなんですが、先程お電話を切らせていただいた間に、上司とこれからカノンさんの専属サポーターになる旨の内容で許可が取れましたので、挽回のため、私にもう一度チャンスをいただきたい!』
意外だ。もっと適当なやつだと思っていた。仕事とは言えどもこんな特異な状況、投げ出して終わりだと思っていたのだが、自ら進んでアフターフォローを申し出たあたりが、不本意ながらもユーザーとなってしまった僕からしたら好感を持てるところだ。
「あー、なんだ、そこまで誠意を持った対応される方だと思ってなかったので意外でした。では次がラストチャンスです。僕の今生を前世より素晴らしいものにする手伝いをしてくれませんか?」
『ええ! 私はその為にあなたの専属につきましたから!』
謎の好青年と化した佐藤の言葉をとりあえず信じておくことにして、僕達は現状を詳しくリッツァさんに話し始めた。
はははと大声で笑いながら、少し離れたところに村が見える小高い丘の上に立つ、馬鹿みたいにでかい豪邸を指さす彼女。
「おっと、自己紹介がまだだった。わしはリッツァ。リッツァ・マーガルじゃ。おぬしはなんという?」
「あ、え、えと、僕はカノン。カノン・ミナミです」
本来の名前は水波香音なのだが、こちらの世界だと姓名が反転するようなのでこう名乗っておく事にする。
「どっちも名前みたいじゃの、まぁ、興味ないが」
「興味ないなら突っ込まないでくださいよ……」
そんな会話をしている間にも彼女はガツガツと建物の中へと入っていく。
「あ、家は帝国式じゃからな、靴は玄関で脱げよ?」
「あ、はい」
リッツァさんの言葉に従って、この体が最初から履いていたショートブーツを脱ぎ、玄関の恥へと綺麗に並べる。
佐藤さんやぁ、転生時の服装すらまともにならんのかい。白いワンピースにショートブーツって、センスなさすぎない?
幸い、今の僕は家事関連のスキルがマックスなので裁縫スキルも高い(はず!)。適当に布をどこかで手に入れて、靴に会う新しい服でも作るとしよう。
この体は僕の着せ替え人形。断じてマイボディではない。分かったな? 水波香音。
軽く自己暗示を済ませたところで、そのまま客間に通される。
「さぁ、長らく使っておらず古びておるやもしれぬが、ここにしばらく住むと良いぞ!」
「あ、ありがとうございます、リッツァさん」
「おぬし、いちいち挙動不審じゃのう……あとそんな堅苦しくなくて良いわ、わしのことはリッツァと普通に呼ぶが良い。許可する」
「は、はい」
年上を呼び捨てにするのはどうかと思うのだが、昔読んだ年の離れた友人とかそんな類で考えておけば良いのだろうか。
……え、それハードル高くない? 僕今までお友達いなかった系の人なんですけど、かなり無茶言ってません?
「客人なのだから態度は大きくな! 招かれたものは招かれたものたる態度をとってもらわねばな!」
「と、言いますと?」
「変にかしこまるでない! んー、あー、あいつはタメ口、とか言っとったかのう、そんな感じで話すと良いぞ!」
「はぁ」
以前ほかにも誰かが来たことがあったのだろうか。地球のましてや日本というさらに狭い範囲で使われるような単語を彼女はいくつか知っていた。
日常会話程度なら恐らくもとより僕が覚えさせられているのか、そのような能力なのか言語を理解できる。その中に時々紛れている特異な単語に変な違和感を感じる。
『主よ、PSYphoneがなっているぞ、恐らくあいつだ、出てやってくれ』
一回りサイズがちっちゃくなったサイが、机の上に置いてあったPSYphoneの方向を向いてそう呟いた。
「あのクソ野郎、文句はいくらでも言えるからな!」
とりあえず通話ボタンを押して応答する。
『いやぁ、誠に申し訳ありません、香音さん! いやぁ、あまりにお美しかったもので、私としたことが見間違えてしまいましてですね、えと、あのですね、私に関するレビューをまだされていないようでしたらこれからさらにサポートさせて頂きますのでどうかお許しをと……』
「なんじゃ、おぬし音信不通になったわけじゃないのではないか」
『んなっ!? その声はマルガリータ!?』
「なんじゃ、その食い物みたいな名前は。おぬしは自分が世話になった相手の名前すら覚えられんのか」
『かか、香音さん!? こここここれはどういう事で!?』
相当焦っている佐藤。なんだこいつ、気持ち悪いな。あ、ごめん、辛辣だったわ。
「なんでそんなに慌ててるんです? リッツァさんと知り合いなんですか?」
「カノン、さんはいらんぞ」
「あ、はい」
『いや、知り合いも何も、私が生きていた頃にお世話になっていたと言いますか、サンドバックにされて尻に敷かれていたと言いますか……』
「あやつは良い財布だったぞ! 何もしなくても色々なものが手に入ったからな。唯一外のものを手に入れられなかったのは痛いが」
『ま、まぁ、このことは置いておいてカノンさん、話をしましょう。今の会話のあいだにまだあなたは私に対する評価をつけていないことが確認できました。なので、失敗をした身でなんですが、先程お電話を切らせていただいた間に、上司とこれからカノンさんの専属サポーターになる旨の内容で許可が取れましたので、挽回のため、私にもう一度チャンスをいただきたい!』
意外だ。もっと適当なやつだと思っていた。仕事とは言えどもこんな特異な状況、投げ出して終わりだと思っていたのだが、自ら進んでアフターフォローを申し出たあたりが、不本意ながらもユーザーとなってしまった僕からしたら好感を持てるところだ。
「あー、なんだ、そこまで誠意を持った対応される方だと思ってなかったので意外でした。では次がラストチャンスです。僕の今生を前世より素晴らしいものにする手伝いをしてくれませんか?」
『ええ! 私はその為にあなたの専属につきましたから!』
謎の好青年と化した佐藤の言葉をとりあえず信じておくことにして、僕達は現状を詳しくリッツァさんに話し始めた。
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