家出したら異世界で御厄介になる事になりました
元の世界でのその後
私、渡世未来は今、現実を受け止めきれないでいた。私の兄、渡世勇徒が行方不明になってしまったからだ。 原因はわかっていた、あの日お父さんはお兄ちゃんに事実を打ち明けたのだ。お兄ちゃんが家族の中で、唯一の他人だという事実を...
「いたか?!」
「どこにもいないわよ!友達の家にも学校にも!探せる所は全部!」
お母さんがリビングで泣きながらお父さんにいう。お兄ちゃんが出て行った日からもう三日。警察に捜索願を出したが見つからず、お母さんは毎日泣いていた。お父さんも「話すべきじゃなかった」と自分のことを毎日攻めていた。
「勇徒...勇徒...。いったいどこに行っちゃったのよぉー!!!」
泣き叫ぶ母、最近は毎日こうだ。私は 不思議と涙が出なかった。もしかしたら、ケロッとした顔で今にも玄関から顔を出して来るのではないか、ただ友達の家にかくまって貰っているだけなのではないか、そんな気がしていたからだ。
「今度は隣町を見てこよう!」
お父さんはそう言い残して、また兄を探しに外に駆けていった。
「未来はもう寝なさい...明日は学校に行くのよ...」
少し落ち着いた母が私にそういう。事が事だけに、わたしは学校を休んで兄を探していた。私は母に言われるがまま、自分の部屋に戻っていった。いつも隣の兄の部屋から聞こえてくるラジオの音を私はもう三日も聞いていない。
「どこに行ったのよ...」
帰ってきたら、言いたいことはいっぱいある。まずはすごく怒って、その後は迷惑をかけた人に謝らせて、そして仲直りがしたい。 私はクローゼットにしまってあったアルバムを引っ張りだして、久しぶりに兄の顔を見た。別に特別顔が良いわけでも頭が良いわけでもない、兄のバカな顔を――。
昔は兄と私は仲の良い兄弟だった。兄は優しくて、よく一緒に遊んでいたのを覚えている。私が泣いているときはいつでも傍にいて、慰めてくれた。でも、最近はあまり仲が良くない。それも私が悪いのだ...
私が中学に上がったくらいだった。私は兄を家族としてではなく、一人の男性として意識し始めてしまった。自分がおかしいのはわかっていた、だから私が諦めてお兄ちゃんとは家族でいる事を選んだ。しかし、とある日。私はお母さんとお父さんの話を聞いてしまった。
「いつあの子に打ち明けるの?あの子ももうすぐで高校生よ」
「分かってるよ。だから慎重になって時をうかがっているんだ」
なんの話なのだろう?私は悪いと思ったが、立ち聞きをしてしまった。そして、次の瞬間。父の口から出た言葉を聞いて、私の中ですべてが変わってしまった。
「勇徒にはもう少し大きくなってから言おうと思っている。私たちが本当の親ではないことを...」
私は驚いた。しかし、同時にうれしくもあった。血のつながった兄弟は確かに結婚は出来ない、それは法律で決まっている事だ。でも、兄と私に血縁関係が無いのならば、話は別だ。私は正直うれしかった。もしかしたら兄とは恋人になれるのではないか、もしかしたらその先の関係にもなれるかもしれない。 そんな事を考えていると、私は思わずガッツポーズを取ってしまい。あろうことか、勢い余って、物音を立ててしまった。
「誰だ!」
戸を開けた父に見つかり、私は中一の夏にすべてを知った。兄が他人だという事に...
「いいかい、この事は勇徒が高校を卒業するまでは内緒で頼むよ」
父からそういわれ、私はその約束を守り、兄には事実を隠していた。それから、私は気が付くと兄の事が気になり始めていた。女の友達はいるのか、告白された事があるのか、恋人はいないのか... 自分でも異常だと思った。でもなぜか、兄が他の女の人と歩いていたり、話をしたりするのを見ると、邪魔をしたくなった。兄と話すのが何よりも好きになっていた。私はまたしても兄を異性として意識していた。 このままではいけない。私はそう思って、極力兄と話すのを控え、嫌われるようなことをし続けた。兄を忘れるために、この頃から読者モデルも始めた。家族でいるために...
「お兄ちゃん...」
ずっと好きだった。兄に本気で惚れていた。本当は楽しくお話したかった、本当は一緒に買い物なんかにも行きたかった、でも私はすべてを諦めた。普通の家族でいるために...
あの日、私は兄に渡したいものがあった。兄はきっと忘れてしまっているだろうが、来週は兄の誕生日だった。私は少し早いプレゼントを兄に渡したかった。それをきっかけに私の中での恋を終わらせてようと考えていた。
「渡すものあるから!あとで来なさいよ!」
あの日、帰って来た兄に冷たい言葉を掛けた後、私はそういった。返事は返ってこなかった。もう冷たい態度をとるのにも、普通の家族でいるのにも疲れてしまった。 私の恋を終わらせる。それは諦める事じゃない。私のこの気持ちを兄に伝えようと思っていた。
兄ならきっと断るだろう。でも、傍にはいられる。それだけでよかった。彼女じゃなくても妹として家族として、兄と一緒に居たかった。
なのに....
兄は居なくなってしまった。まだ何も言ってないのに、なだ仲直りもしていないのに。
「なんでよ...バカ...」
私の目からは大粒の涙が出ていた。あの日から泣いたことなどなかったのに... 大粒の涙が、アルバムの兄の顔に落ちていく。会いたい、もう会えないなんて絶対に嫌だった。
「どこにいんのよ...」
アルバムの兄の顔を撫でる。
「いたか?!」
「どこにもいないわよ!友達の家にも学校にも!探せる所は全部!」
お母さんがリビングで泣きながらお父さんにいう。お兄ちゃんが出て行った日からもう三日。警察に捜索願を出したが見つからず、お母さんは毎日泣いていた。お父さんも「話すべきじゃなかった」と自分のことを毎日攻めていた。
「勇徒...勇徒...。いったいどこに行っちゃったのよぉー!!!」
泣き叫ぶ母、最近は毎日こうだ。私は 不思議と涙が出なかった。もしかしたら、ケロッとした顔で今にも玄関から顔を出して来るのではないか、ただ友達の家にかくまって貰っているだけなのではないか、そんな気がしていたからだ。
「今度は隣町を見てこよう!」
お父さんはそう言い残して、また兄を探しに外に駆けていった。
「未来はもう寝なさい...明日は学校に行くのよ...」
少し落ち着いた母が私にそういう。事が事だけに、わたしは学校を休んで兄を探していた。私は母に言われるがまま、自分の部屋に戻っていった。いつも隣の兄の部屋から聞こえてくるラジオの音を私はもう三日も聞いていない。
「どこに行ったのよ...」
帰ってきたら、言いたいことはいっぱいある。まずはすごく怒って、その後は迷惑をかけた人に謝らせて、そして仲直りがしたい。 私はクローゼットにしまってあったアルバムを引っ張りだして、久しぶりに兄の顔を見た。別に特別顔が良いわけでも頭が良いわけでもない、兄のバカな顔を――。
昔は兄と私は仲の良い兄弟だった。兄は優しくて、よく一緒に遊んでいたのを覚えている。私が泣いているときはいつでも傍にいて、慰めてくれた。でも、最近はあまり仲が良くない。それも私が悪いのだ...
私が中学に上がったくらいだった。私は兄を家族としてではなく、一人の男性として意識し始めてしまった。自分がおかしいのはわかっていた、だから私が諦めてお兄ちゃんとは家族でいる事を選んだ。しかし、とある日。私はお母さんとお父さんの話を聞いてしまった。
「いつあの子に打ち明けるの?あの子ももうすぐで高校生よ」
「分かってるよ。だから慎重になって時をうかがっているんだ」
なんの話なのだろう?私は悪いと思ったが、立ち聞きをしてしまった。そして、次の瞬間。父の口から出た言葉を聞いて、私の中ですべてが変わってしまった。
「勇徒にはもう少し大きくなってから言おうと思っている。私たちが本当の親ではないことを...」
私は驚いた。しかし、同時にうれしくもあった。血のつながった兄弟は確かに結婚は出来ない、それは法律で決まっている事だ。でも、兄と私に血縁関係が無いのならば、話は別だ。私は正直うれしかった。もしかしたら兄とは恋人になれるのではないか、もしかしたらその先の関係にもなれるかもしれない。 そんな事を考えていると、私は思わずガッツポーズを取ってしまい。あろうことか、勢い余って、物音を立ててしまった。
「誰だ!」
戸を開けた父に見つかり、私は中一の夏にすべてを知った。兄が他人だという事に...
「いいかい、この事は勇徒が高校を卒業するまでは内緒で頼むよ」
父からそういわれ、私はその約束を守り、兄には事実を隠していた。それから、私は気が付くと兄の事が気になり始めていた。女の友達はいるのか、告白された事があるのか、恋人はいないのか... 自分でも異常だと思った。でもなぜか、兄が他の女の人と歩いていたり、話をしたりするのを見ると、邪魔をしたくなった。兄と話すのが何よりも好きになっていた。私はまたしても兄を異性として意識していた。 このままではいけない。私はそう思って、極力兄と話すのを控え、嫌われるようなことをし続けた。兄を忘れるために、この頃から読者モデルも始めた。家族でいるために...
「お兄ちゃん...」
ずっと好きだった。兄に本気で惚れていた。本当は楽しくお話したかった、本当は一緒に買い物なんかにも行きたかった、でも私はすべてを諦めた。普通の家族でいるために...
あの日、私は兄に渡したいものがあった。兄はきっと忘れてしまっているだろうが、来週は兄の誕生日だった。私は少し早いプレゼントを兄に渡したかった。それをきっかけに私の中での恋を終わらせてようと考えていた。
「渡すものあるから!あとで来なさいよ!」
あの日、帰って来た兄に冷たい言葉を掛けた後、私はそういった。返事は返ってこなかった。もう冷たい態度をとるのにも、普通の家族でいるのにも疲れてしまった。 私の恋を終わらせる。それは諦める事じゃない。私のこの気持ちを兄に伝えようと思っていた。
兄ならきっと断るだろう。でも、傍にはいられる。それだけでよかった。彼女じゃなくても妹として家族として、兄と一緒に居たかった。
なのに....
兄は居なくなってしまった。まだ何も言ってないのに、なだ仲直りもしていないのに。
「なんでよ...バカ...」
私の目からは大粒の涙が出ていた。あの日から泣いたことなどなかったのに... 大粒の涙が、アルバムの兄の顔に落ちていく。会いたい、もう会えないなんて絶対に嫌だった。
「どこにいんのよ...」
アルバムの兄の顔を撫でる。
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