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草食系男子が肉食系女子に食べられるまで

Joker0808

第19章 クラスメイトと雄介


 職員室を後にした雄介と慎は、無言で校内を歩いていた。 職員室での一件があり、慎は雄介に何と言っていいのか分からず、声を掛けられずにいた。 しかし、雄介は別にそこまで気にしては居なかった。 石崎が言ってくれた事もあり、あまり言われた事が気にならなかったのだ。
「慎、そろそろ何か話てくれないかな? この空気は重いよ」
「でもよ……お前は気になんないのか?」
 心配そうな視線を向けながら、雄介に話をする慎。 雄介はそんな慎を見ながら、笑顔で言う。
「なんか、別にどうでも良いかな? でも、きっと慎や石崎先生に同じ事を言われたら……きっと傷つくかもしれない……」
 雄介は他人に自分の事をどういわれても、不思議となんとも思わなかった。 ただ皆が何か言っているだけ、程度の考えしか浮かばないし、何も感じない。 しかし、お見舞いに来てくれた皆や石崎、紗子や玄に言われたらと思うと、雄介は考えたくも無かった。
「そうか……でもあれは言いすぎだ!」
「まぁ、確かに……でも、俺は気にして無いし……」
 慎は雄介の言葉に安心したのか、いつもの調子に戻り話を始める。
「でも、意外だった……先生があんな感情的になるなんてな……」
「良い人だよね。石崎先生…」
「あぁ、ただの眠そうな顔したおっさんかと思ってたが……」
 二人の石崎に対する好感度が急上昇してきたところで、二人は教室の前についた。 しかし、教室の前後のドアは閉められ、ドアの小窓にはなぜか目隠しで新聞紙が張り付けてあった。
「なんだ? 教室が変だな……」
 慎が首を傾げながら、不思議そうに言う。 雄介はそんなことよりも内心ではドキドキしていた。 自分が通っていた教室、しかし自分には記憶が無い、一体どうクラスメイトと接して行けばいいのか、雄介は考えていた。 そうして教室の前でボーっとする二人の耳に、中から声が聞こえてくる。
「お、おい! 来たぞ!!」
「え! まだ終わってねぇーよ! 誰か時間稼ぎに行け!」
「渡辺! お前言ってこい! 得意の腹踊りを見せてやれ!」
「いつから俺の特技が腹踊りになった! うわっ! バカ! 押すな……」
 その声の後に、雄介と慎が立っていた前側のドアが開き、中から渡辺が転がって出て来た。
「くそ! あいつらぁ……」
 ドアに向かって何かを言う渡辺を慎と雄介は不思議そうに眺める。 やがて、その様子に渡辺が気が付き、立ち上がって、咳ばらいをし、二人に爽やかに挨拶をする。
「やぁ、二人とも! いい朝だね」
「何やってんだ? 渡辺」
「何もしてないんていないよ。それより、僕と一緒に連連れションでもどうだい?」
「爽やかにトイレに誘うなよ……怪しいな」
「な、なななな! 何を言っているんだ山本!」
 渡辺の様子がおかしい事には雄介も直ぐに気が付いた。 お見舞いの時に会って以来だったが、わかりやすく挙動不審だった。
「中で、何をしてるんだ?」
「な、何もぉ? してない? よ?」
「いちいち疑問形で答えんな! いいや、入ればわかる」
「あぁ! 頼む! 俺を助けると思って、連れションに行こう!」
「なんでそんな必死に連れションに誘うんだよ……お前やっぱり……」
「やめろ! そんな視線を俺に向けるな!」
 ドアを開けようとする慎を渡辺は必死に止める。 そんな渡辺の姿に若干引きつつも、慎と雄介は言う通りにしトイレにむかう。
「まぁ、お前がそこまで言うのも珍しいし、俺もトイレ行きたかったから良いか……」
「久しぶりだね、渡辺君」
「おぉ! 今村久ぶり! 退院の時は行ってやれなくて悪かったな、用事があって……」
 雄介に声を掛けられ嬉しそうに答える渡辺、そんな様子に慎は複雑な表情を浮かべる。
「全然気にしてないよ。それより、なんで教室に入っちゃいけなかったの?」
「そ、それは……」
 言いにくそうに口を紡ぐ渡辺、そんな渡辺に慎はため息交じりに言葉を掛ける。
「はぁ……まぁ、うちのクラスの事だ。ただのバカ騒ぎの準備だろ?」
「バカ騒ぎ?」
「流石だ山本……よくわかってる……」
 慎は何となく状況が分かり始めたが、雄介はさっぱりわからず、一人で疑問を浮かべていた。
「まぁ、トイレから帰って教室に戻ればわかるさ」
 渡辺はそれだけ言って、話を強引に中断させる。 トイレを済ませ、三人は早々に教室に戻て行く。
「おい! 大丈夫か?」
 渡辺がドアを少し開け、中のクラスメイトに尋ねる。 雄介はその様子を見て、一体何をやっているのだろうかと、疑問を募らせる。
「あぁ、大丈夫だ!」
 ほどなくして教室内から返答があり、渡辺は手招きをして教室の中に雄介と慎を誘う。
「今村は後から来てくれ、先に山本が入ってくれ」
「まぁ、そうだろうな」
 そう言って慎は教室内に入って行った。 雄介はなぜ自分が後から入らなければいけないのか、更に疑問が増え、更に不安になる。 恐る恐る雄介は、教室内に入って行く雄介を待っていたのは……。
「「「今村退院おめでとぉぉ!!」」」
 歓迎の声と、クラッカーの音の嵐だった。 教室内には装飾が施され、黒板にはお帰りと書かれている。 雄介はそんな状況が理解できず、ただ立ちつくして固まっていた。
「いやぁ~久しぶりだな! 髪切った?」
「いっても答えらんねーだろ? まぁ……なんだ……記憶喪失、なんだから……」
「でもこうしてまた来たんだし、良かったわよ」
 クラスメイトは口々に雄介に声をかけ、自分の自己紹介をする。 皆「これからもよろしく」そう必ず、口にし雄介に言葉を掛ける。 雄介は理解が追い付かなかった。 そんな雄介の為に、堀内は説明をする。
「まぁ、こう言ったらあれだが、今村はきっとこう思ってるだろ? こいつらなんなんだって?」
「ま、まぁ……正直……」
 いきなりの出来事に、雄介はただボーっと立ち尽くすばかりだった。
「あれだ、一応お前の退院祝いなんだが……ただ俺達が騒ぎたいだけだ、気にすんな」
「あ、うん…ありがとう……」
 堀内の言葉に、ひとまず納得するが、雄介は学校全体の雰囲気と、このクラスの雰囲気の違いに違和感を感じていた。 そんな事を雄介が考えていると、石崎が教室にやってきた。
「ん? なんだ、またバカ騒ぎか……」
「お! 先生も来た! 俺も見たかったな~、先生の啖呵切ったとこ」
「おい堀内~、誰からきいたぁ~?」
 石崎は直ぐに堀内の話が引っ掛かり、いつもの眠そうな顔を少しムッとさせながら、堀内に尋ねる。



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