草食系男子が肉食系女子に食べられるまで
第13章 文化祭と新たな火種 2
五人は、それぞれに割り当てられたお菓子を作り、みんなで味見をする。まず最初は雄介が作ったクッキーだった。
「お! 美味いな!」
「今村君って、料理上手ね……なんだか、女子として負けた気がする…」
堀内と江波は雄介の作ったクッキーを食べながら言う。色々あったが、まずはメニューを決める事が最優先だという結論に至り、さっき見たものは忘れようと、堀内と江波は先ほどの渡辺と優子の争いを忘れ、メニュー決めに集中していた。
「流石だな…これなら金を出しても良いぜ」
「家事も出来る雄介……カッコイイ……」
うっとりした様子で雄介を見つめる優子。雄介はそんな優子をいつものように片手であしらう。渡辺もそんな雄介を見て頬を赤らめる。
「………なぁ」
「何よ………」
「うちのクラスって……あんまりまともな奴居ないんじゃ……」
「言わないでよ……悲しくなるわ……」
雄介に思いを寄せる女子生徒と男子生徒を見ながら、堀内と江波は小声で悲し気に話す。文化祭というお祭りイベントで、カップルが出来る確率が高くなることを二人は知っていたが、ここまで特殊な状況は、想像できず。自分たちのクラス事態が特殊なのではないかと疑ってしまう。
「俺のも良いが、他はどうなったんだ?」
「あぁ、次は俺だな、正直順番に材料詰めて、それっぽくしただけだから、楽だった」
渡辺が用意したのは、パフェだった。見た目は悪くなく、イチゴを使った物とチョコを使った物の二種類が準備されていた。 各々が、スプーンを手に一口づつ味見をする。
「うん、これなら大丈夫だな」
「そうね、作り方も簡単っぽいし」
口にパフェを運びながら、雄介と堀内がそれぞれいう。渡辺は「べべつに、大した事じゃねーよ」と、照れながら言う。そんな様子を見た加山は、またしても頬を膨らませて、自分の作ったものを雄介の前に持ってくる。
「雄介! 私のも見てよ!」
「そう言われても、お前のは味見の必要皆無だと思うぞ」
「なんでよ!!」
「だって、お前がやった事って、プリンに生クリーム乗っけただけの、プリンアラモードじゃん……」
「フルーツも乗ってるわよ!!」
そういって、自分が作ったプリンアラモードを指さす優子。雄介は若干呆れながら、そのプリンにスプーンを入れ、口に運ぶ。
「いや、組み合わせが重要なパフェと違って、プリンアラモードは乗っけるものが大体決まってるし、何よりどうやって不味くするか見当がつかない……」
「じゃあ、雄介はプリンと塩辛のプリンアラモードも食べられるって言うの!」
「それはもうプリンアラモードじゃねぇ!! 別な何かだよ!」
言い争う優子と雄介をよそに、堀内と江波はパフェとプリンアラモードを「美味しい美味しい」と言いながら頬張り、渡辺は優子を見て笑みを浮かべて勝ち誇る。
「ていうか、なんで私はプリンに生クリーム載せるだけなのよ!! 私だって普通に料理出来るんだから!」
「いや、てっきり遊んでばっかりで、料理なんてしないのかと……」
「一人暮らしなんだからするわよ!」
すっかり機嫌を損ねてしまった優子。雄介は少し悪かったかと思い、ため息を一つついて優子に言う。
「じゃあ、今度なんか作ってくれよ。そん時はちゃんと感想言うから」
「え? 本当!」
先ほどまでの不機嫌さが嘘のように、満面の笑みを浮かべて雄介に急接近する優子。雄介は近づいてくる優子から距離を取りながら、苦笑いで答える。
「あ、あぁ……本当に出来るってんならな」
「うふふふ……雄介は私の家事スキルを舐めてるわね」
「お前の雰囲気と行動からは想像なんて出来ねーよ……」
すっかり機嫌を取り戻した優子は、雄介の後ろで悔しそうに見つめる渡辺に、やり返すかのように笑みを浮かべて勝ち誇る。
「で、次は堀内と江波だが……」
「あぁ、俺たちの自信作だ!」
「二人でやる必要なんてなかったわ、私一人でも大丈夫だったわよ!」
雄介を前に勝ち誇るかのように、腰に手を当てて笑みを浮かべる二人。雄介はそんな二人をジト目で見ながら言う。
「これでか?」
二人に雄介が頼んだのは、ホットケーキだった。多少の技量が必用だが、基本は生地を混ぜて焼くだけの簡単なお菓子なので、二人ならば大丈夫と踏んでいたのだが……
「……すまん、なんか自棄になって……」
「勝ち誇ったら許されるかと思って……」
二人が作ったホットケーキは真っ黒に焦げた物ばかりで、とても食べられた物ではない。しかもなぜか赤や青といった、ホットケーキには似合わない奇抜な色が所かしこに見えていた。
「これは何を入れたんだ?」
「えっと……着色料を……」
「アホかよ……」
「私たちもそう思ったわ……」
最早食べる気さえも起こす事の出来ない、カラフルなホットケーキを雄介は容赦なく捨てる。
「はぁ~、俺のクラスって、ロクな奴が居ないんじゃ……」
「「今村にそれを言われたくない!!」」
雄介の一言に激しく反応する堀内と江波、雄介は何事かと驚き、思わず二人の方を見る。 そんなこんなで、メニューは決まっていき、ついにすべての商品が決まった。
「まぁ、色々あったが、これなら教室でも作れるし、誰でも簡単に用意できる」
「そうだな、じゃあ俺はこれを家に帰ってPCでメニュー表っぽく印刷してくるよ」
「悪いな渡辺。俺はあんまりパソコンでそういう事出来なくてな」
雄介は先ほど決まった、料理の一覧のメモを渡辺に渡す。それを渡辺は笑顔で受け取る。雄介に頼られたのがうれしかったのか、渡辺は笑みを浮かべながらメモを眺めていた。
「そういえば、今日は教室に居る奴らは何やってんだ?」
「あぁ、今日は当日に使うテーブルの置き方とか、シフトの調整をしてると思うわ。まだ皆帰ってないだろうし、あとで覗いて行かないと……」
江波が雄介の問いに答える。 雄介にとって、この当日のシフトはかなり重要だった。当日はとある理由で、休憩の時間にとある人物と学園祭を一緒に回ると約束していたからだ。
「シフトって、俺達のはどうなってるんだ?」
「一応、希望は言ってきたでしょ? でも、やっぱり交代で休まなくちゃいけないから、その通りに行くか分からないわ」
「そうか……早く知りたいんだがな……」
シフトがわかり次第、当日に学園祭を回る人物に連絡を取りたかった。その人物は、その日が実に10年ぶりとなる外出であり、色々と準備が必要だと思ったからだ。
「織姫……大丈夫かな……」
雄介は当日に一緒に回る人物の名前をつぶやきながら、文化祭当日の事を考えていた。
「お! 美味いな!」
「今村君って、料理上手ね……なんだか、女子として負けた気がする…」
堀内と江波は雄介の作ったクッキーを食べながら言う。色々あったが、まずはメニューを決める事が最優先だという結論に至り、さっき見たものは忘れようと、堀内と江波は先ほどの渡辺と優子の争いを忘れ、メニュー決めに集中していた。
「流石だな…これなら金を出しても良いぜ」
「家事も出来る雄介……カッコイイ……」
うっとりした様子で雄介を見つめる優子。雄介はそんな優子をいつものように片手であしらう。渡辺もそんな雄介を見て頬を赤らめる。
「………なぁ」
「何よ………」
「うちのクラスって……あんまりまともな奴居ないんじゃ……」
「言わないでよ……悲しくなるわ……」
雄介に思いを寄せる女子生徒と男子生徒を見ながら、堀内と江波は小声で悲し気に話す。文化祭というお祭りイベントで、カップルが出来る確率が高くなることを二人は知っていたが、ここまで特殊な状況は、想像できず。自分たちのクラス事態が特殊なのではないかと疑ってしまう。
「俺のも良いが、他はどうなったんだ?」
「あぁ、次は俺だな、正直順番に材料詰めて、それっぽくしただけだから、楽だった」
渡辺が用意したのは、パフェだった。見た目は悪くなく、イチゴを使った物とチョコを使った物の二種類が準備されていた。 各々が、スプーンを手に一口づつ味見をする。
「うん、これなら大丈夫だな」
「そうね、作り方も簡単っぽいし」
口にパフェを運びながら、雄介と堀内がそれぞれいう。渡辺は「べべつに、大した事じゃねーよ」と、照れながら言う。そんな様子を見た加山は、またしても頬を膨らませて、自分の作ったものを雄介の前に持ってくる。
「雄介! 私のも見てよ!」
「そう言われても、お前のは味見の必要皆無だと思うぞ」
「なんでよ!!」
「だって、お前がやった事って、プリンに生クリーム乗っけただけの、プリンアラモードじゃん……」
「フルーツも乗ってるわよ!!」
そういって、自分が作ったプリンアラモードを指さす優子。雄介は若干呆れながら、そのプリンにスプーンを入れ、口に運ぶ。
「いや、組み合わせが重要なパフェと違って、プリンアラモードは乗っけるものが大体決まってるし、何よりどうやって不味くするか見当がつかない……」
「じゃあ、雄介はプリンと塩辛のプリンアラモードも食べられるって言うの!」
「それはもうプリンアラモードじゃねぇ!! 別な何かだよ!」
言い争う優子と雄介をよそに、堀内と江波はパフェとプリンアラモードを「美味しい美味しい」と言いながら頬張り、渡辺は優子を見て笑みを浮かべて勝ち誇る。
「ていうか、なんで私はプリンに生クリーム載せるだけなのよ!! 私だって普通に料理出来るんだから!」
「いや、てっきり遊んでばっかりで、料理なんてしないのかと……」
「一人暮らしなんだからするわよ!」
すっかり機嫌を損ねてしまった優子。雄介は少し悪かったかと思い、ため息を一つついて優子に言う。
「じゃあ、今度なんか作ってくれよ。そん時はちゃんと感想言うから」
「え? 本当!」
先ほどまでの不機嫌さが嘘のように、満面の笑みを浮かべて雄介に急接近する優子。雄介は近づいてくる優子から距離を取りながら、苦笑いで答える。
「あ、あぁ……本当に出来るってんならな」
「うふふふ……雄介は私の家事スキルを舐めてるわね」
「お前の雰囲気と行動からは想像なんて出来ねーよ……」
すっかり機嫌を取り戻した優子は、雄介の後ろで悔しそうに見つめる渡辺に、やり返すかのように笑みを浮かべて勝ち誇る。
「で、次は堀内と江波だが……」
「あぁ、俺たちの自信作だ!」
「二人でやる必要なんてなかったわ、私一人でも大丈夫だったわよ!」
雄介を前に勝ち誇るかのように、腰に手を当てて笑みを浮かべる二人。雄介はそんな二人をジト目で見ながら言う。
「これでか?」
二人に雄介が頼んだのは、ホットケーキだった。多少の技量が必用だが、基本は生地を混ぜて焼くだけの簡単なお菓子なので、二人ならば大丈夫と踏んでいたのだが……
「……すまん、なんか自棄になって……」
「勝ち誇ったら許されるかと思って……」
二人が作ったホットケーキは真っ黒に焦げた物ばかりで、とても食べられた物ではない。しかもなぜか赤や青といった、ホットケーキには似合わない奇抜な色が所かしこに見えていた。
「これは何を入れたんだ?」
「えっと……着色料を……」
「アホかよ……」
「私たちもそう思ったわ……」
最早食べる気さえも起こす事の出来ない、カラフルなホットケーキを雄介は容赦なく捨てる。
「はぁ~、俺のクラスって、ロクな奴が居ないんじゃ……」
「「今村にそれを言われたくない!!」」
雄介の一言に激しく反応する堀内と江波、雄介は何事かと驚き、思わず二人の方を見る。 そんなこんなで、メニューは決まっていき、ついにすべての商品が決まった。
「まぁ、色々あったが、これなら教室でも作れるし、誰でも簡単に用意できる」
「そうだな、じゃあ俺はこれを家に帰ってPCでメニュー表っぽく印刷してくるよ」
「悪いな渡辺。俺はあんまりパソコンでそういう事出来なくてな」
雄介は先ほど決まった、料理の一覧のメモを渡辺に渡す。それを渡辺は笑顔で受け取る。雄介に頼られたのがうれしかったのか、渡辺は笑みを浮かべながらメモを眺めていた。
「そういえば、今日は教室に居る奴らは何やってんだ?」
「あぁ、今日は当日に使うテーブルの置き方とか、シフトの調整をしてると思うわ。まだ皆帰ってないだろうし、あとで覗いて行かないと……」
江波が雄介の問いに答える。 雄介にとって、この当日のシフトはかなり重要だった。当日はとある理由で、休憩の時間にとある人物と学園祭を一緒に回ると約束していたからだ。
「シフトって、俺達のはどうなってるんだ?」
「一応、希望は言ってきたでしょ? でも、やっぱり交代で休まなくちゃいけないから、その通りに行くか分からないわ」
「そうか……早く知りたいんだがな……」
シフトがわかり次第、当日に学園祭を回る人物に連絡を取りたかった。その人物は、その日が実に10年ぶりとなる外出であり、色々と準備が必要だと思ったからだ。
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