草食系男子が肉食系女子に食べられるまで
第12章 後編16 草食系とお嬢様
学校が終わり、雄介と慎。そして沙月と優子は帰路についていた。
「マジでメイド喫茶になるとは……」
「まぁ、うちの学校ってそういうとこ厳しくないみたいだしな」
「にしても不思議だ……」
「何がだよ?」
「あの投票だよ。俺は確かに普通の喫茶店に投票したはずなのに……」
歩きながら顎に手を当てて考える雄介。雄介たちのクラスは、男子20名女子20名の合計40人。男子が雄介を覗いて全員投票したとして19票、確実に女子側には勝てない。にもかかわらず、票の結果は引き分けだった。
「誰だよ、メイド喫茶に入れた空気の読めない女子は……」
「空気が読めないって私の事~? ひどーい! 雄介の為に入れたのにぃ~」
「優子の事じゃねーけど、お前も同類だからあえて何もいわん」
ブツブツと文句を言う雄介の後ろから加山が、頬を膨らませて文句を言ってくる。結局のところ、メイド喫茶に表を入れた女子が加山以外にもう一人いたという事になる。
「雄介、過ぎたことをブツブツ言っても何も変わんねーよ。それよりもどっかでなんか食って行かねーか? 最近お前付き合い悪いから、俺は一人寂しかったぜ~」
「あ、それ良いね! 雄介行こうよ! たまには良いでしょ?」
「優子が行くなら、私も行くわ」
雄介以外の三人は行く気満々の様子だったのだが、本人である雄介はどうするか悩んでいた。本当なら、今日も織姫の元に向かおうと考えていたのだが、優子や沙月はともかく、慎とは最近遊んでいない。 友人関係も大事にしなければと思った雄介は、今日は織姫の家に行かない事にし、みんなで飯を食べに行くことを選んだ。
「そうだな、最近は行ってないし、行くか。あ、なら里奈さんも誘って良いか?」
「あぁ、良いぜ。じゃあ、俺も凛を呼んでもいいか?」
「随分な大人数になるけど、どこに食べに行くの?」
話は進み、結局6人でファミレスに行くことになった。雄介は倉前さんに今日は行けない事をメールで知らせ、みんなでファミレスに向かった。
「はぁ~、最近、ユウ君の周りに女の子増えてきたわね~」
「そうですねー」
ファミレスに到着し、凛と里奈と合流し、今は席につき商品が来るのを待っている状態だ。里奈は暗い声で雄介の友人たちを見ながらつぶやくと、雄介が適当に返事をした。
「最近、弟が姉に冷たい件について……」
「どこぞのスレじゃないんですから」
「まぁ、お姉さんはしょせんお姉さんってことですよ~、彼女には勝てません!」
「あっれ~? ユウ君? 幻聴かな~? 今、私の向かいの人が、ユウ君の彼女とか言ってるんだけど~?」
「いい加減弟離れしてくださいよ~。お・ね・い・さ・ん!」
里奈と優子が向かい合って言い争いを始める。雄介は、最近は忘れていたが、基本的に優子と里奈が仲が悪い事を知っていた。最初に会った時も険悪なムードだったなと雄介は思いながら、あれからまだ二か月経っていない事に驚いた。
「このメンツもなんだかんだで、最近よく一緒にいるな~」
「お前が引っかけてきたんだろ?」
「人聞きわりぃ事言うなよ慎。勝手についてきたんだ」
「私は優子についてきたのよ。貴方についてきたわけじゃないわ……」
「頼むから、そのゴミを見るような視線やめてくれない?!」
沙月の言葉と視線に、精神的なダメージを受ける雄介。
「わ……私は、ついてきちゃいました……」
沙月とは対照的に、素直に答える凛。雄介と対面で座る凛は、常に顔が少し赤かった。
「あぁ、慎にってこと? 大丈夫だよ凛ちゃんは気にしなくて、前も良く慎と俺と凛ちゃんで遊んだりしてたじゃん」
「……そういう意味じゃないんですけど……」
「雄介…お前少しは察しろよ。俺の妹が鈍感ラブコメ主人公に相手にされていない件について…」
「だからやめろそれ……。別に相手にしてない訳じゃないだろ?」
「そういう事じゃねーよ。はぁ……がんばれよ~凛」
雄介は慎の言葉の意味がいまいち理解出来ずにいた。そんな話をしていると、料理が運ばれてきた。雄介たちは食事を開始した。
*
私、星宮織姫は現在、なぜかソワソワしていた。理由は自分でもわかっていた。最近毎日のようにやってくる男性の客が今日は来ないのだ。いつもなら、とっくに来ている時間なのだが、今日はなぜか来ない。
「今日は……遅いですね……」
……って、私はなんでこんな事を考えているんだろう? 男なんて大嫌いで、声も聴きたくないのに、なぜこんな事を思ってしまうのだろう?
「はぁ……私がなんでこんなに悩まなくてはいけないんですか!」
一人しか居ない部屋で、大きな一人事をつぶやく私。最近この時間はいつもあの男性とゲームの話をしていた。最近はその時間が正直楽しいとも思えるようになってきていた。強がって、早く帰れとは言うものの、正直もっと話をしていたいと思う事が、最近はしょっちゅうだ。
「あ~なんでこんな気持ちにぃ~」
ゴロゴロとベットの上を転げまわる私。すると、ドアを叩く音が聞こえる。おそらく倉前さんだろう。
「どうかしましたか?」
「お嬢様、本日なのですが…」
倉前さんは部屋には入らず、ドアの向こうで要件だけを伝えてくる。
「雄介様は用事があるそうで、いらっしゃらないとのことです」
「え……」
正直ショックだった。でも、私は、なぜショックなのか分からなかった。男性は嫌いだし、話をするのも嫌だったはずなのに、なぜ私は雄介と話が出来ないだけでこんなにショックなのだろう。 わからない……でも、何か心にぽっかり穴が開いたような気分になった。
「お嬢様?」
「……あ、すいません。わかりました。ありがとうございます」
「はい、それでは失礼します」
倉前さんの気配がドアの向こう側から消えたののを感じ、私はまたベットに戻る。
「……明日は来ると良いな……」
思わずそんな事をつぶやき、私はそのまま眠ってしまった。
「マジでメイド喫茶になるとは……」
「まぁ、うちの学校ってそういうとこ厳しくないみたいだしな」
「にしても不思議だ……」
「何がだよ?」
「あの投票だよ。俺は確かに普通の喫茶店に投票したはずなのに……」
歩きながら顎に手を当てて考える雄介。雄介たちのクラスは、男子20名女子20名の合計40人。男子が雄介を覗いて全員投票したとして19票、確実に女子側には勝てない。にもかかわらず、票の結果は引き分けだった。
「誰だよ、メイド喫茶に入れた空気の読めない女子は……」
「空気が読めないって私の事~? ひどーい! 雄介の為に入れたのにぃ~」
「優子の事じゃねーけど、お前も同類だからあえて何もいわん」
ブツブツと文句を言う雄介の後ろから加山が、頬を膨らませて文句を言ってくる。結局のところ、メイド喫茶に表を入れた女子が加山以外にもう一人いたという事になる。
「雄介、過ぎたことをブツブツ言っても何も変わんねーよ。それよりもどっかでなんか食って行かねーか? 最近お前付き合い悪いから、俺は一人寂しかったぜ~」
「あ、それ良いね! 雄介行こうよ! たまには良いでしょ?」
「優子が行くなら、私も行くわ」
雄介以外の三人は行く気満々の様子だったのだが、本人である雄介はどうするか悩んでいた。本当なら、今日も織姫の元に向かおうと考えていたのだが、優子や沙月はともかく、慎とは最近遊んでいない。 友人関係も大事にしなければと思った雄介は、今日は織姫の家に行かない事にし、みんなで飯を食べに行くことを選んだ。
「そうだな、最近は行ってないし、行くか。あ、なら里奈さんも誘って良いか?」
「あぁ、良いぜ。じゃあ、俺も凛を呼んでもいいか?」
「随分な大人数になるけど、どこに食べに行くの?」
話は進み、結局6人でファミレスに行くことになった。雄介は倉前さんに今日は行けない事をメールで知らせ、みんなでファミレスに向かった。
「はぁ~、最近、ユウ君の周りに女の子増えてきたわね~」
「そうですねー」
ファミレスに到着し、凛と里奈と合流し、今は席につき商品が来るのを待っている状態だ。里奈は暗い声で雄介の友人たちを見ながらつぶやくと、雄介が適当に返事をした。
「最近、弟が姉に冷たい件について……」
「どこぞのスレじゃないんですから」
「まぁ、お姉さんはしょせんお姉さんってことですよ~、彼女には勝てません!」
「あっれ~? ユウ君? 幻聴かな~? 今、私の向かいの人が、ユウ君の彼女とか言ってるんだけど~?」
「いい加減弟離れしてくださいよ~。お・ね・い・さ・ん!」
里奈と優子が向かい合って言い争いを始める。雄介は、最近は忘れていたが、基本的に優子と里奈が仲が悪い事を知っていた。最初に会った時も険悪なムードだったなと雄介は思いながら、あれからまだ二か月経っていない事に驚いた。
「このメンツもなんだかんだで、最近よく一緒にいるな~」
「お前が引っかけてきたんだろ?」
「人聞きわりぃ事言うなよ慎。勝手についてきたんだ」
「私は優子についてきたのよ。貴方についてきたわけじゃないわ……」
「頼むから、そのゴミを見るような視線やめてくれない?!」
沙月の言葉と視線に、精神的なダメージを受ける雄介。
「わ……私は、ついてきちゃいました……」
沙月とは対照的に、素直に答える凛。雄介と対面で座る凛は、常に顔が少し赤かった。
「あぁ、慎にってこと? 大丈夫だよ凛ちゃんは気にしなくて、前も良く慎と俺と凛ちゃんで遊んだりしてたじゃん」
「……そういう意味じゃないんですけど……」
「雄介…お前少しは察しろよ。俺の妹が鈍感ラブコメ主人公に相手にされていない件について…」
「だからやめろそれ……。別に相手にしてない訳じゃないだろ?」
「そういう事じゃねーよ。はぁ……がんばれよ~凛」
雄介は慎の言葉の意味がいまいち理解出来ずにいた。そんな話をしていると、料理が運ばれてきた。雄介たちは食事を開始した。
*
私、星宮織姫は現在、なぜかソワソワしていた。理由は自分でもわかっていた。最近毎日のようにやってくる男性の客が今日は来ないのだ。いつもなら、とっくに来ている時間なのだが、今日はなぜか来ない。
「今日は……遅いですね……」
……って、私はなんでこんな事を考えているんだろう? 男なんて大嫌いで、声も聴きたくないのに、なぜこんな事を思ってしまうのだろう?
「はぁ……私がなんでこんなに悩まなくてはいけないんですか!」
一人しか居ない部屋で、大きな一人事をつぶやく私。最近この時間はいつもあの男性とゲームの話をしていた。最近はその時間が正直楽しいとも思えるようになってきていた。強がって、早く帰れとは言うものの、正直もっと話をしていたいと思う事が、最近はしょっちゅうだ。
「あ~なんでこんな気持ちにぃ~」
ゴロゴロとベットの上を転げまわる私。すると、ドアを叩く音が聞こえる。おそらく倉前さんだろう。
「どうかしましたか?」
「お嬢様、本日なのですが…」
倉前さんは部屋には入らず、ドアの向こうで要件だけを伝えてくる。
「雄介様は用事があるそうで、いらっしゃらないとのことです」
「え……」
正直ショックだった。でも、私は、なぜショックなのか分からなかった。男性は嫌いだし、話をするのも嫌だったはずなのに、なぜ私は雄介と話が出来ないだけでこんなにショックなのだろう。 わからない……でも、何か心にぽっかり穴が開いたような気分になった。
「お嬢様?」
「……あ、すいません。わかりました。ありがとうございます」
「はい、それでは失礼します」
倉前さんの気配がドアの向こう側から消えたののを感じ、私はまたベットに戻る。
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