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甘え上手な彼女

Joker0808

♯34

*


 私、宮岡紗弥は文化祭の準備で、今日も教室で作業をしていた。
 しかし、最近そのせいで、私は彼氏である高志と、全く話しが出来ずにいた。
 そのせいもあってか、私はここ最近不安な事があった。
 それは高志に愛想を尽かされていないかという不安だった。

「今日も高志と話してない……」

「あーはいはい……もうわかったから、紗弥も手伝って」

「いいねぇ~彼氏持ちは。私も素敵な彼氏ほしぃ~」

 そう言ってくるのは、同じクラスの中村香奈なかむらかな今井美羽いまいみうだ。
 二人ともクラスの女子の中では、中心的人物であり、人望も厚い。
 私も、この二人は気さくで良い人だと思っている。

「そうね……ぼやいてても高志と話せる訳じゃないものね…」

「紗弥って、ホントに八重君にはデレデレだよね?」

「そうそう、いつもはクールでなんだか大人っぽいのに」

「そうかしら?」

「そうよ、気がついてないの?」

「八重君の前だと顔つきが違うのよね~」

 私は二人にそう言われたが、あまり自覚は無かった。
 ただ、高志と一緒だと、自然に笑えるし、なんとなく甘えたくなってしまうのだ。

「でも、八重君って、いままで目立たなかったけど、結構格好いいよね?」

「そうそう! なんて言うか、優しいオーラが全体から出てるっていうか! 案外顔も良いし!」

 自分の彼氏がよく言われるのは、嬉しい。
 だが、あんまりモテられても困る。
 いつ、私は高志に捨てられてもおかしくないからだ。
 高志は、恐らく未だに私の事を恋愛対象的に好きでは無い。
 そりゃあ、もう二ヶ月以上も付き合っているのだが、彼は一向に私に何かしてくる気配も無い。
 正直、自分に魅力が無いのでは無いかと不安にもなる。
 
「あ、あの……紗弥……」

「ん? どうかした?」

「あのさ……彼氏は別に取らないから……その……恐い顔で私たちを睨むのやめて……」

「え? あたしそんな事してた?」

「「してたわよ!!」」

 そんな馬鹿な、私はただ高志から捨てられると思って、不安になり、その原因が何かを考えていただけだ。
 別に彼女たちを睨んだ覚えは無い。

「気のせいよ、私は今考え事をしてたし」

「そ、そう? それにしては殺気も感じたような?」

 そこまで言わなくても良いのでは無いだろうか?
 確かに私は一瞬だけ、彼の魅力をこの二人が気がつかなければ良いのに、と思ったが、別に殺気を放った覚えは無い。

「でも、本当に羨ましいわよ、毎日二人を見てると、私も彼氏欲しいなって思っちゃう」

「そう?」

「そうよ! 教室では毎日、ラブラブだし、登下校は手を繋いで楽しそうだし、何より二人とも本当に幸せそう」

「そう見えるんだ……」

 第三者からはそう見えているのかと思うと、私はなんだか照れくさくなった。
 私は確かに毎日幸せだ、高志は優しいし、一緒にいて楽しい、何より甘えた私をいつも優しく抱きしめてくれる。

「で……どこまでいったの?」

「どこまで?」

 香奈の質問に、私は首を傾げる。

「いや……だから、その……男女の関係的な?」

「あぁ……そう言う事…」

 意味を理解し、私は考えた。
 どこまで、そう言われてもキスもまだしていない。
 私は、本当は彼からしてくれるのをずっと待っていた。
 本当は何回も自分からしてしまおうと思ったが、それでは意味が無いと紗弥は毎回耐えていた。
 本当に私を好きになってくれた時、高志はきっと自分からキスを求めて来てくれると、私は信じているからだ。

「ハグ止まりね……」

「「えぇぇぇぇ!!」」

「いきなりどうしたのよ? 大きな声を出して」

「だって、あんなにラブラブなのに?! 本当にハグ止まり!? 信じられないわよ!」

「私はてっきり、毎晩……」

「ちょっと! やめなさいよ、女の子がそんな……」

「でも、信じられる?! あの紗弥と八重君よ?」

 どうやら、私の言葉をこの二人は信じていない様子だった。

「本当はどうなの?」

「キスねぇ……私はしたいんだけどねぇ……」

「え?! もしかして、八重君からしてくれるの待ってるの?」

「そうよ、だからハグ止まりなの」

「まぁ、確かに八重君はあんまりガツガツ行きそうな感じじゃ無いしね…」

 確かに、高志はあまりそういう事を積極的にはしてこない。
 それどころか、ボディータッチもどこか気を使っている感じがする。
 本当は高志に色々して欲しい……なんて言うと痴女のようだが、私は高志になら何をされても構わないと思っていた。
 それは彼の人柄や性格を見てきた私が、高志をどんどん好きになってきているから言える事だった。
 しかし、最近はそのせいか、少々高志に対して独占欲が出てきてしまった。
 だから、高志がモテるのは、私としては少し嫌だった。
 もちろん、彼氏が女子に人気があるなんて、彼女からしたら嬉しいし、それだけ魅力があると証明されているようなものだ。
 それでも、私は彼が自分だけを見てくれるのを望んでしまっていた。

「はぁ……どうしたら……」

 二人から解放され、私は溜息を吐きながら作業をしていた。
 すると、そこに一人の男子生徒がやってきた。

「えっと……宮岡、ちょっといい?」

「私に何か用?」

 確か、去年一緒のクラスだった男の子だ。
 女子からはイケメンだなんだと評判が良かった気がする。
 二年になって、クラスが変わってからは全く接点が無かったが、急にどうしたのだろう?

「いや……ここじゃ言いにくい事なんだ…」

「あぁ……良いよ、行こっか」

 私は彼の態度と、その言葉で彼がやってきた理由がわかってしまった。
 私は彼と共に、人気の無い屋上に向かった。
 
「えっと、突然ごめん……でも、言っておきたい事があって…」

 屋上で彼は、私に向き合い顔を赤く染めながら、そう言ってくる。
 高志と付き合い始めてから、こういうことは無くなったと思ったが、まさかまたこんな事を言われる日がくるとは、私は思ってもみなかった。

「お、俺! 宮岡の事が好きなんだ!!」

 彼は、私の肩を掴み私の目を見てそう言ってくる。
 正直予想通りの言葉に、雑誌で見たような告白方法で、私は溜息がこぼれそうだった。
 正直、なんで肩を掴む必要があったのだろう?
 なんでこんな至近距離で告白したのだろう?
 疑問は多いが、その理由もなんとなく察しはついた。
 確か、異性に告白する際は、なるべく近い距離で、相手の体に触れながら告白すると、相手もドキドキして、そのドキドキを恋愛感情と勘違いしてしまうらしい。
 その効果を使って、告白を成功させる方法なのだ。
 私も実際に高志にこの方法で告白したので、知っていた。
 しかし、これは正直、今他の誰かに見られたらまずい気がする。
 顔も近いし、屋上の扉の方からみたら、キスしているのと勘違いされそうだった。

「ごめんなさい……知ってると思うけど、付き合ってる人がいるの……」

「知ってるよ……でも、俺! 諦められなくて! だから、今度の文化祭で、君をどれだけ好きか証明するから! だから、答えはその後にしてくれないか?」

 彼の言葉の途中、ドアの開いたような音が聞こえたが、気のせいだろうか?
 目の前の彼が、気がついていないのだから気のせいなのだろう。
 しかし、この人は何を言っているのだろう?
 私は確かに付き合ってる人が居ると言ったはずなのに、答えを聞くのを引き延ばそうとしている。
 文化祭で何をされようと、私の高志に対する思いは変わらない。

「それは勝手にすれば良いけど、私の彼に対する気持ちは変わらないわよ?」

「俺は……俺は……あんな奴には負けない!」

 正直、人の好きな人をあんな奴呼ばわりする人を私は好きになれない。
 この時点で、彼に対する私の評価はだだ下がりだ。
 彼は、そう言うとすぐに屋上を後にしてしまった。
 私はそんな彼の背中を見ながら、高志に事を考える。

「………会いたいなぁ」

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