甘え上手な彼女

Joker0808

♯10

「母さん、このお菓子って誰に貰ったって行ったっけ?」

「裏手に越してきた宮岡さんよ? にしてもなんでうちに挨拶に来たのかしらねぇ? 普通引っ越しの挨拶ってお隣さんよね?」

「あぁ、多分俺のせいだわ……」

「なんでアンタが出てくるのよ?」

「なんでも無い……母さん、もしも俺に彼女が出来たらどうする?」

「いきなりどうしたのよ? 好きな子でも出来た?」

「いや、なんとなく」

 なんとなく、彼女が出来た事を隠している高志だったが、両親は自分に彼女が居ると知ったら、一体どんな反応をするか気になった。
 高志の母親は少し考えて冷めた表情で言う。

「とりあえず、二次元とかじゃ無ければ良いわ」

「母さん、俺をどんな息子だと思ってるんだよ……」

 とりあえず二次元では無いので、何も言われる事もないだろう。
 そんな事を考えながら、高志はすっかり放置していた、紗弥へメッセージを送る。
 とりあえず「予定が無いので大丈夫です。どこに行きますか?」とメッセージを送る。
 デートでどこに行ったら良いかなんてわからないし、こうして行きたいところを聞いた方が確実だろうと、高志は考えた。
 マカロンを食べながら、返信を待っていると、すぐに返信が返ってきた、
 相変わらず返信が早いなと、感心しながらメッセージを見る。

『八重に任せる、楽しみにしてるね』

「マジか……」

 まさかの返信に、高志は食べていたマカロンを落としてしまた。
 どこに連れて行けば、紗弥が喜ぶかなんて、高志には全くわからない。
 しかも時間も無い、高志は呑気にマカロンなど食べている場合で無いと気がつき、とりあえず軍資金を確かめる為に部屋に戻る。

「まぁ……金は大丈夫だろ……だが問題は…」

 着ていく服、デートコース。
 悩みの種はその二つだった。
 高志はとりあえず、スマホでネットを開き、おすすめのデートコースをチェックする。

「遊園地は……天候に左右されるし……買い物は……あっちが買いたい物あるかわからんし……う~ん……」

 インターネットのサイトを見ながら、高志が悩んでいると、映画館と言うワードが出てきた。
 サイトには、「映画館なら無理に会話をする必要も無いうえに、上映後はカフェに入って映画の話しで盛り上がることも出来るので、初デートにはおすすめ。その後の話題も映画つながりで見つけやすいので、初デートは映画館がおすすめ。」と書かれており、高志は思わずなるほどと、納得してしまった。

「今は何をやってるんだ……」

 早速、高志は上映中の映画をチェックする。
 紗弥はどんな映画が好きなのだろうか?
 そんな事を考えながら、映画情報を見ていると、高志は紗弥とのとある会話を思い出した。

「そう言えば、最近上映が始まった、恋愛映画
が見たいとか言ってたな……」

 登下校、休み時間、お昼休みと高志と紗弥は一緒にいる事が多く、色々な話しをする。
 その会話の中で、紗弥が最近みたい映画があると言っていた事を思い出した高志は、これしか無いと思い、すぐさま紗弥に連絡する。

『明日、映画でも見る?』

 高志はとりあえず、紗弥に連絡し返信を待つ。
 何時の上映を見に行くかなど、色々話し合わなければ行けない事もあるので、とりあえず映画で良いかを尋ねる。
 そして、一分もしないうちに返信が返ってくる。

『いいよ、何見るの?』

 この返信に、高志はホット胸をなで下ろす。
 これで一つ目の目的は解決した。
 高志はとりあえず、連絡を保留し、今度は着ていく服を選ぼうと考えたが、サイトに書いてあった言葉を思い出し、手を止めた。

『過度に気合いを入れると、引かれちゃうかも、いつも通りの服装が無難で安全』

 その文章を思い出し、高志は少し考える。
 確かに、今更ドタバタしたって仕方ないし、別にセンスが特別悪い訳ではないから、普段通りで大丈夫だろう。
 逆に、キメッキメで行ったら、そっちの方が不自然かもしれない。

「いつも通りでいっか」

 高志は服装の件での問題も解決し、とりあえず一安心する。
 そういえば、連絡を保留にしたままだった事に気がつき、高志はスマホを見る。
 すると、紗弥からメッセージが来ていた。
 開いて見て、高志は一瞬固まった。

『メッセージ送るのも面倒だから、今からそっち行くね』

 メッセージが来ていたのは、今から数分前。
 もう向かっているかもしれないと焦る高志。
 なぜ焦るのかは、聞くまでも無かった。
 親にバレるし、部屋にあげるとすれば、部屋にある、とある本を隠したい。
 迎える方にも準備というものがあるわけで、急に来られても色々と困ってしまう。
 とりあえず、高志は家には来ないように連絡を入れようと、メッセージを打ち始める。
 しかし、丁度そのとき、玄関のチャイムが鳴った。

「は~い」

 下の階から、高志の母親の声が聞こえる。
 そこで高志は、色々と終わったと思い、スマホを置いた。
 その数秒後、慌てたような感じで、高志の母親が部屋にやってきた。

「た、高志! あ、あんたにお客さんよ!」

「知ってる……」

 部屋のドアを開け、ため息交じりで高志は部屋を出る。
 高志の母親は、見るからに驚いた表情をしており、高志に慌てて尋ねる。

「あ、あんた! あの子と一体どういう!?」

「あぁ、後で説明するから、とりあえずリビングに居て」

 高志は母親にそう告げると、高志は一階の玄関に向かう。
 そこには私服姿の紗弥が笑顔で待っていた。

「来ちゃった」

「来ちゃった、じゃないよ……急にデートしようとか、家に来たりとか……」

「良いじゃ無い? 彼女なんだし」

「その一言でなんでも片付けないでよ……」

 肩を落とす高志は、とりあえず紗弥に上がるように言い、部屋に案内する。

「お邪魔します」

「あ、い…いらっしゃい……」

 途中すれ違った高志の母親に、紗弥は笑顔で挨拶する。
 高志の母親は、そんな紗弥の後ろ姿を見ながら、ぽかんとしていた。

「ちょっとここで待っててくれ、少し片付けるから」

「散らかってるの? それともエッチな本でも隠すの?」

「散らかってるから少し片付けるだけ! そんな物は持ってない!」

 高志はそう言って、部屋の前に紗弥を残し、部屋の中に入る。
 もちろん、少しばかり散らかっているからと言う理由もあったが、正直に言うと、そう言う本も持っているので、それを隠すのがメインだった。
 

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