99回告白したけどダメでした

Joker0808

219話





「あ、そう言えば」

「どうしたの?」

「いや、一人連絡しないといけない人が……」

 誠実は直ぐにスマホを操作し、ある人に電話を掛け始める。
 
「あ、もしもし」

『誠実君? 妹さんは見つかりました?』

「はい、おかげさまで……ありがとうございました」

『それは良かったです』

「今度何かお礼をさせて下さい、色々心配もお掛けしましたし……」

『それでは、今度私とデートして貰えますか?』

「は? で、デートですか?」

『はい、それでは』

「あ、ちょっと先輩!? 切れた……」

 誠実は栞の申し出に戸惑っていた。
 デート、普通なら栞のような綺麗な先輩とのデートは嬉しいのだが、花火大会での一件もあるので、誠実はあまり乗り気にはなれなかった。

「誰と電話してたの?」

「え? あぁ、蓬清先輩だよ、お前を探すのを手伝って貰ってたんだ……」

「ふーん……デートって言うのは?」

「あぁ、いやそれは先輩がからかって言ったんだよ……多分ただ買いものに付き合えって意味だと思う」

「ふーん……」

「なんだよ」

 ジト目でジーッと誠実を見つめる美奈穂。 そんな美奈穂に誠実は疑問を浮かべる。

「ねぇ、今度また買いものに付き合ってよ」

「え? あぁ、別に良いぞ」

「良いんだ……意外」

「なんだよそれ……今日くらいは……お前に優しくするっての……」

「へ~じゃあいつもは優しくしてくれないんだ~」

「それは、お前の態度にもよる」

「なによ、お兄ちゃん大好き~とか言ってれば優しくしてくれんの?」

「それは一週回ってキモイが……まぁ、優しくはなるかもな」

「キモイって何よ、キモイって」

「イデデデ!! 頬を引っ張るな!! それより……親父とお袋にも……謝るんだぞ」

 そう言うと、美奈穂の誠実の手を握る力が強くなった。
 
「そうだね………でも、怖いな……なんか話し聞くの……」

「美奈穂……」

 美奈穂の不安そうな顔を見て、誠実は美奈穂に声を掛ける。

「心配するな、辛いかもしれねーけど、俺がいる……」

 誠実はそう言うと美奈穂の頭をポンポンと手で優しく叩いた。
 美奈穂は頬を薄ら赤く染め、誠実の方を見る。
 
「ねぇ……」

「ん? どうした?」

「おにぃは……私の事を……どんな目で見てた?」

「え? それはどう言う意味だ?」

「そのまんま……妹として? それとも……一人の女として見てた?」

「お前……そんなの妹としか……」

「ちゃんと答えて」

 誠実が笑いながら答えた瞬間、美奈穂は真剣な眼差しで誠実に尋ねる。
 誠実はそんな美奈穂の目を見て、これは正直に答えた方が良いと悟った。
 なぜこんな事を聞くのか、誠実には良くわからなかった。
 しかし、今日だけは美奈穂に嘘をついてはいけないと誠実はそう思った。

「……基本的は妹としか見てねーよ」

「……そっか………」

「まぁでも……海の撮影の時は……妹としては見てなかったかもしれない……すまん」

「え? ……そ、そう……」

「引くなよ……仕方ないだろ……お前はモデルだし、顔立ちだって俺と違って整ってんだ……たまに女として見ちまうよ」

 そう言われた美奈穂の頬はどんどん赤くなっていった。
 そんな自分に気がついた美奈穂は、頬を抑えながら、誠実に背を向ける。

「変態……」

「な! お、お前が正直に言えって言ったんだろ!!」

「……良かったわね、私みたいな可愛い子が妹で~、毎日目の保養になるでしょ?」

「うっ……否定出来ない……」

「妹をエロい目で見る兄貴なんて、普通はサイテーだよねぇ~」

「う、うるせーよ」

 そんな話しをしながら誠実達は家に帰って行く。
 夕日が沈み、もう間もなく日が落ちる。
 本番はこれからだと誠実は考えながら、美奈穂を連れて自宅に戻った。
 
「ただいまぁー、ほら美奈穂」

「うん……」

 家に着いた誠実と美奈穂。
 先に誠実が家に入り、美奈穂は後から入った。

「……ただいま」

「おかえり、美奈穂」

 誠実は美奈穂に笑顔でそう言った。
 少しして、忠志と叶も帰ってきた。
 二人ともまずは娘が見つかった事に安堵したが、直ぐに申し訳なさそうな顔で美奈穂を見る。

「……いままで隠していてすまない」

「ごめんなさい……」

 忠志と叶はリビングのダイニングテーブルに座り、向かいに座る美奈穂に対して謝罪する。

「………教えてよ……私の本当の両親の事について……」

「………そうだな」

 忠志は少し悩んだ後、美奈穂の本当の両親について話し始めた。
 この話しは誠実もあまり詳しくは聞いた事が無い。

「父さんと母さんの高校時代からの友達だった……」

 忠志が話し始めると、叶は写真を出して美奈穂に見せる。
 そこにはムスッとした表情の若かりし頃の誠実達の両親と、笑顔で笑っている二人の男女が写っていた。

「これ……もしかして親父とお袋?」

「そうだ、大学の夏休みの時の写真だ……美奈穂、この二人がお前の両親だ」

「この人たちが……」

 そこに写っているのは、顔立ちが整っている、爽やかな雰囲気のイケメンと、麦わら帽子を被った、おっとりした雰囲気の美少女だった。
 美奈穂はそんな二人をじーっと見ていた。

「目はお父さん、スタイルの良さはお母さんに似たのね……」

「これは結婚式の写真だ……身内だけでやったんだ」

 ウエディングドレスを着た美奈穂の本当の母親。
 綺麗な人だった、そして同時に誠実はこうも思った。

「なんか……美奈穂に似てるな……やっぱり」

「だろう? しかし、母さんも昔は綺麗だったんだぞ?」

「え!? これ? 別人だろ……」

「うむ、俺も結婚して騙された」

 叶の写真を見て盛り上がる誠実と忠志。
 そんな二人を叶は無言で殴る。

「今はそんな事を言ってる場合じゃないでしょ!!」

「「はい……すんません」」

 誠実と忠志は頭に大きなたんこぶを作り、テーブルに突っ伏して叶に謝罪する。
 その間も美奈穂はずっと写真を見ていた。
 
「これが……本当のお父さんとお母さん……」

 そんな美奈穂を見て、忠志は真剣な表情で美奈穂に話し始める。

「今から14年前の事だ……」

「……うん」

 美奈穂も忠志の話しを真剣に聞き始める。

コメント

  • ハムゴリ

    続き期待してます。!

    0
  • ノベルバユーザー416226

    一気読みするくらい面白かったです。
    更新期待してます

    0
  • AJEH

    面白くてすぐに見終わりました。
    早く続き見たいのでお願いします。
    後ハーレム系なので転校生が幼馴染とかあったりしたら面白いと思います後許嫁も

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  • シャーク

    222話全部を1日で読み切りました!面白すぎ!あ、けど、お母さんに怒られました(中学生です)続きが気になって仕方が無いです!書いてください!!よろしくお願いします!待ってます!頑張って下さいp(^-^)q

    2
  • ノベルバユーザー369713

    続き早く見たいです
    面白いので!

    4
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