99回告白したけどダメでした

Joker0808

168話

 翌日、誠実は激しい寝不足だった。
 結局三時間ほどしか眠れず、目の下にはクマが出来ていた。
 一方の武司と健は、誠実以上に起きていたはずなのに、翌日も朝から元気に朝風呂に向かっていた。

「まったく……あいつら元気だな……」

 誠実はそんな事を思いながら、いまだに布団の中にいた。
 時刻は朝の8時、誠実は朝食までの間、少しでも睡眠を取ろうと、布団の中に丸まっていた。

「あぁ……ねっむ……」

 日が出ている事もあり、誠実は中々眠れなかった。
 仕方が無いので、誠実は眠くなると噂の音楽を聞きながら眠る事にした。
 耳にイヤホンを付け、再び布団に潜る。
 しかし、丁度その時だった。

「誠実! いつまで寝てやがる! さっさと起きやがれ!」

「朝風呂も中々良かったぞ?」

 なんともタイミングの悪いことに、武司と健が朝風呂から帰って来てしまった。
 武司は誠実の布団をひっくり返し、無理矢理布団から誠実を出す。

「勘弁してくれよ~お前らの馬鹿話しに付き合って、寝てないんだからよ~」

「風呂に入れば目も冴えるだろ? さっさと行ってこい!」

「寝れば冴えるから……」

「風呂に入った方が冴えるって、良いから行ってこいって、ここで寝たら起きれなくなるぞ!」

「うぅ……」

 その後も誠実は粘ったが、武司と健に負け、風呂に向かい朝風呂に入る。
 確かに目は覚めた、しかし体がだるいのは変わらなかった。
 湯に浸かっている間も体の節々がなんだかだるく、今日一日この調子かと思うとテンションが下がる。

「あぁ……なんか気分悪い……」

「全く、夜更かしするからだ」

「健には言われたくない」

 風呂から上がり、誠実は武司達と合流し朝食を食べに女子の部屋に向かった。
 昨日の事もあったが、一晩寝たからか、そこまで気まずい雰囲気は無かった。
 
「今日はどうするの?」

「また海って言うのもな~」

「折角、いつもは来ないところに来たんだし、観光したいよね」

 本日の予定を朝食を取りながら相談する一同。
 誠実はそんな武司達を他所に、別の事を考えていた。

「おい、誠実聞いてるか?」

「え? あぁ、すまん聞いてなかった」

「たく……まだ眠気が残ってるのか?」

「まぁ、そんなところだ……」

 誠実は武司にそう言うと、ご飯を口に放り込む。
 本当は、今日の事を考えていた。
 どのタイミングで二人に言うべきか、誠実は朝食の焼き魚を食べながら考える。
 なるべく、皆が帰る頃を狙って話しをしようと考えていても、中々タイミングが難しい。

「……弱ったなぁ……」

「何が弱ったの?」

「ん? あ、沙耶香……」

「うん、どうかしたの? なんだか困ったような表情で…」

 正面で食事を取る沙耶香に声を掛けられ、誠実は沙耶香の顔を見つめる。
 これからの事を考えると、沙耶香に対して申し訳ない気持ちが出てきてしまう。

「あ。いや……大丈夫だ、それよりこれ上手いな!」

「え、あ……そうだね」

 誠実の言葉に、沙耶香は笑顔で答える。
 そして同時に沙耶香は違和感を感じた。
 食事を終えた誠実達は、荷物を旅館に預け、近くの観光地に向かう。
 旅館の近くには、有名なパワースポットがあり、その他にも有名な観光施設が多く、観光にはもってこいだった。

「パワースポットね~、んなもん効果あるのか?」

「さぁな、だが有名な観光スポットだ、行って損は無い」

 武司と健はガイドブックを見ながら話しをする。

「そもそもパワースポットってなんなの? 私良く知らないんだけど?」

「えっと、なになに? ここのパワースポットは、人の悪意や邪念を取り除き、清らかな心の人間にすると言う、大きな大木があるらしいぞ」

 志保の疑問に、武司がガイドブックを見ながら答える。
 
「要するに変態なアンタにぴったりの場所って訳ね」

「あぁ~はいはい、わかったわかった。全くお前は何もかわらねーな」

「うっさいわよ、この変態」

 旅館から少し歩いたところのお茶屋で、和菓子を食べながら誠実達は何処に行くかの相談をする。
 
「私はこの水族館にも行きたいかも」

「あ、そこには私も行きたいなぁ」

 ガイドブックを見ながら、美沙は水族館のページを指さす。
 そんな美沙に便乗して、沙耶香も言う。

「それなら私は、ここに行きたいな」

「あ、私もいきたい! もちろん健君と!」

「俺は行きたくない」

 綺凜と鈴は指を指したのは、海の岬の灯台だった。
 なんでも灯台に上ることが出来たり、灯台近くに露店なども出ているらしい。

「じゃあ、皆それぞれ行きたいとこに行くか? そうすれば、全員行きたいとこに行けるし、スマホで連絡取って、旅館に集合して帰れば問題ないだろ?」

「それもそうね、じゃあ私はパワースポットに行くわ」

「俺もそうすっかな、行きたいところ無いし」

「だ、だからって、な、なんで私について来るのよ!」

「別に良いだろ?」

「い、良いけど……もう……」

 武司と志保はパワースポットに向かう事になった。

「じゃあ、私と鈴ちゃんは灯台に行く?」

「うん! 綺凜ちゃんも行こ! あと健君も!」

「断る、俺は……」

「じゃあ決定!」

「話しを聞け」

 鈴と綺凜、そして健は灯台に向かう事になった。
 そして残った、沙耶香と美沙、そして誠実は水族館に行くことになった。

「じゃあ、そう言うことで、解散! 何かあったら、スマホで連絡するってことで!」

 武司のかけ声で、皆はお茶屋を後にし、それぞれの行きたい場所に向かった。
 誠実は沙耶香と美沙と共に、水族館に向かう。
 正直誠実は、チャンスだと思った。
 これで二人と話しが出来る。
 誠実はそんな事を考えながら、水族館に向かって歩いて行く。

「それにしても、今日も暑いわね~」

「そうだね、汗かいちゃうよ」

 誠実は沙耶香と美沙の前を歩き、二人の話を聞いていた。

「沙耶香の場合は、胸の谷間とかに汗かきそうだよね~」

「あ、あんまりそう言うこと言わないでよ! この時期は胸の汗疹とか大変なんだから!」

「あぁ、下乳に出来るって言う?」

「だから、詳しく言わないで!!」

 二人に話しを前で聞いていた誠実は、いろいろと想像してしまい、顔を赤く染める。
 男の前であまりそんな話しをしないで欲しいと、思いながら、誠実は水族館までの道を確認する。

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