99回告白したけどダメでした

Joker0808

31話




 誠実が席を立つ数十分前、誠実たちを探して学校を出た綺凛たちは、商店街で誠実たちを探していた。
 乗り気な三人に比べて、綺凛はいまいち乗り気になれず、一人だけテンションが違う。

「居た?!」

「いや、どこにも、どこ行きやがったんだ?」

「後は古沢君だけね……」

 ノリノリで4人を探す美沙と武司、今は手分けして誠実たちを探している途中で、戻ってきていないのは、健だけだった。

「あいつは意外にこういう時にやる奴だからな……もしかしたら、もう発見してるかもしれん」

「いやいや、いくら何でもそれは……」

「そうだよな、イケメンでそこまで勘が良かったら、どんだけハイスペックなんだか」

 そう言って笑う美沙と武司、そんな事をしている間も健は姿を現さない、代わりに武司のスマホが音を出して震え始める。

「お、電話だ……もしもし? お! 健か! どうした? ………おい、お前マジか……わかった、今行く」

 なぜか急にテンションが下がってしまった武司。
 気になった綺凛は、武司に尋ねる。

「どうかしたの? もしかして何かトラブルに……」

「いや、喉が渇いて、自販機で飲み物買ってたら、偶然ファミレスに入って行くところを発見したって……」

「……ハイスペックだったわね」

「クッソ! イケメンな上に勘が良いってなんだよ! 死ね!!」

 泣きながらわめく、哀れな武司を見ながら、美沙と綺凛は「男子も大変だ……」などと思う。

「…で、結局どこのファミレス?」

「あぁ、この商店街を抜けてすぐのとこだって、今は健が飲み物飲みながら監視
中だってよ」

「よし! 行きましょう!」

 意気揚々と足を進めようとする美沙と武司だったが、そんな二人を綺凛が止める。

「ねぇ、やっぱりやめない? こんな尾行みたいな事……」

 綺凛も確かに気にはなるが、誠実に悪いと思っていた。
 尾行なんて行為があまり良い事とも思えなかったという事もあるが、それ以上に、誠実が困っている状況を横で笑いながら見ているのもなんだか嫌だった。

「山瀬さん、これは尾行みたいな事じゃないよ」

「そうよ綺凛、これはね……」

 何やら真剣な表情で話を始める二人。
 もしかしたら、二人なりに誠実を心配して、何かあった時の為にこんな事をしているのではないかと、思い始める。
 しかし、当の本人たちは……。

「「尾行そのものだよ!」」

「……」

 この一言で、この二人は完全にこの状況を楽しんでいるんだと、綺凛は確信した。

「遅いぞ」

「悪い悪い、であいつらは?」

「あそこ」

 ファミレスにつくと、その近くの自動販売機で、健はペットボトルの飲み物を飲みながら、待っていた。
 健が指さす方には、ファミレスの窓際の席で何やら話をしている誠実達の姿があった。

「う~ん、どう見ても楽しい雰囲気って感じではないよな……」

「そうね……伊敷君と妹ちゃんだっけ? その二人はなんだか難しそうな顔だし、逆に向かい側の蓬清先輩とえっと、前橋さんだっけ? 彼女たちはなんだか不自然に笑顔ね……」

 状況を簡単に説明する美沙の言う通り、現在の4人の様子はそんな感じだった。
 なんだか3股が彼女にバレて、責められているプレイボーイのような光景に、武司と健は目を輝かせながら、楽しそうに話す。

「健! 誰が勝つと思う? 俺は美奈穂ちゃんに購買の焼きそばパン3個!」

「先輩が突然参戦したからな……もしかしたらがあるかもしれん……先輩に購買の苺牛乳5個で行こう」

「なんか知らないけど、賭け始めたわよ……」

「じゃあ、私は前橋ちゃんに購買のシュークリームパン4個だぁ!」

「……美沙も参加するんだ」

 ノリノリな3人とは対照的に、乗り気ではない綺凛。
 しかし、悪いと思っていても興味が先に来てしまうのが人間というものらしく、綺凛も様子をうかがう。

「う~む、なんだか美奈穂ちゃんが怒っている様子だな……」

「仕方無いだろ、あの子は昔からブラコンなんだから、兄貴に女の影が会ったら、あぁもなるだろ?」

「へ~、伊敷君の妹さんってブラコンなんだ……しかも今サイトで見たけど、結構有名な学生モデルなのね……本当に兄妹?」

 スマホのファッションサイトに写る、美奈穂の姿を皆に見せながら、美沙は尋ねる。

「兄弟だぜ、美奈穂ちゃんのブラコンに気が付いてないのは、誠実くらいのもんだ……」

「俺達ですら気が付くものだが……」

 綺凛も美沙がスマホに表示させている、ファッションサイトの美奈穂を見る。
 確かに写真も可愛い、そう思った綺凛だったが、それよりも実物の方が更に可愛いと、綺凛は思った。

「んで、なに話してるの? あれ」

「「知らん」」

 声をそろえて答える健と武司に、ガクッと肩を落とす綺凛と美沙。
 それもそうなのだが、これでは賭けも成立しないし、何より内容がわからない。
 これでは意味が無い、そう感じた健は急にスマホで誰かに電話をし始めた。

「健、誰に電話してんだ?」

「誠実」

「あぁ、誠実か……ってお前何やってんだ! そんな事したら尾行バレんだろ!」

「悪い、もう……」

 健が言いかけたところで、ファミレスから誠実が席を立ち、外に出て来た。

「呼んじまった」

「よぉ……何してんだよ、お・ま・え・ら!」

 誠実は尾行されていた事を知り、怒りをあらわにして二人に問いただす。
 怒りの為か、美沙と綺凛には全く気が付いていない。

「よ、よぉ…マイブラザー、偶然だな!」

「あぁ、偶然だ」

「さっき電話で呼び出した奴が、偶然とかいうなよ、健!」

 フランクな対応の二人に対し、誠実は怒りをあらわにしながら、二人の肩に手を置き、力一杯に肩を握る。

「待て待て、俺達はお前を心配して……」

「心配してる奴は尾行なんてしないよな?」

「それよりも、良いのか? 彼女たちを放っておいて」

「あん! なんだ、他にも誰……か」

 健に言われ、誠実は初めて綺凛達の存在に気が付く。
 気まずそうに誠実を見る綺凛と、手を振りながら「どうも~」とのんきに言う美沙を見て、誠実は急に冷や汗をかく。

「な! なな…なんで山瀬さんが!! もしかして俺、とうとう幻覚を!」

「お、落ち着いて! 幻覚じゃないわよ!」

 自分の頭がおかしくなったと勘違いし、電信柱に頭を打ち付けようとする誠実。
 綺凛はそんな誠実を止めに入り。
 他の三人は店内に動きがあった様子で、そちらに視線を移していた。

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