99回告白したけどダメでした
11話
*
誠実君に告白をした後の放課後。
私は屋上で、料理部の部員たちに迫られていた。
「み、みんな……なんで……」
私は顔を赤くしながら、みんなの方を見る。
みんなは、ニヤニヤしながら私に視線を集めており、口々になにがあったのかを聞いてくる。
「で、なんであんな面白い……じゃなくて、あんな展開になってるのよ?」
「今面白いって言ったよね? 絶対言ったよね!!」
「いいから教えなさいよ~、なんであんな告白みたいな事を言ったのか」
「……じ、実は……」
私は先ほどの出来事をみんなに話した。
勢いあまってあんな事を言ってしまい、私はまだ後悔していた。
絶対に変な子だと思われてしまった。
「へ~、弱弱しい伊敷君を見てたらつい言っちゃったんだ~、へぇ~」
「楽しそうね……志保……」
他の皆も同じような反応だった。
ついに部長が動き出した! やっと部長が行動に!!
なんて言いながらみんなは騒いでいるが、私からしたらむしろすべてが終わってしまったと思っていた。
「全く、いつまであんたはしょぼくれてるのよ。まだ告白の返事も聞いてないのに」
「だって……絶対変な子だと思われたよぉ~。急に怒ったと思ったら、あんな事言って……」
「でも、よかったんじゃない? どっちにしろ、言うつもりだったんでしょ?」
「そんなのもっと先だと思ってたよぉ~、今日は多分振られるから、その後でもっと伊敷君と仲良くなって、それから少しづつ距離を詰めて、一気に行こうかと……」
「料理部だけに、おいしくいただこうとしたって事?」
「な、なに言ってるのよ! そんなのは更に先の話でしょ!?」
志保の少々下品な発言に、私は声を上げる。
他の部員はその様子を見て笑いながら「志保、オッサンっぽいよ~」とか言っている。
みんな私の気持ちも知らないで、楽しんでいるのだ。
「いいもん、どうせ私の恋もここで……」
「何言ってんのよ、ようやく始まるんでしょうが?」
「でも……明日どんな顔で伊敷君と会えば良いか……」
「その為に私たちが来たんでしょ?」
「え?」
みんなニヤニヤするのを止め、私に微笑みかける。
「同じ部の仲間じゃない、困ったときは頼ってよ」
「そうよ、まぁ、まだ創部して三カ月も経ってないけど……」
「部長! 頑張って伊敷君を物にしよう!」
私はそこで気が付いた。
みんなは、もしかしたら、本当は私の事を心配してきてくれたのかもしれない。
どうしたら良いか分からなくて、困っていた私のために来てくれたのかもしれない。
そう思うと、やっぱり仲間って良いなぁ~と思う。
「ありがとう……みんな……」
「気にしないでよ、取り合えずは伊敷君にさっきの事をどう説明するかよね…」
「そのまま明日にでも呼び出して、再告白っていうのはどう?」
「う~ん、それだと多分まだ山瀬さんの事を引きづってるだろうから、ちょっと厳しいわね……」
「面倒だし、体育館倉庫にでも呼び出して押し倒せばいいんじゃない? 部長は大きなミサイルを二つ持ってますし」
「「「「確かに」」」」
みんなの視線が私の胸に集まるのを感じ、私はとっさに胸を隠した。
良く大きいといわれるが、正直大きくて良かった試しがない。
ブラのサイズは無いし、デザインも少ない。
肩も凝って大変だ。
「伊敷君はきっとそういうとこで女の子を見てないわよ! 山瀬さん、小さいし……」
「そういえばそうだね、じゃあダメか~」
「「「う~ん」」」
再び考え始める料理部一同。
今日の出来事をどう説明するのが、今後の彼との付き合って行くうえで良いのか、私にもさっぱりわからない。
そんな中、一人の部員が何かを閃き、声を上げる。
「じゃあ、こういうのどう? とりあえず告白して、返事を待ってもらうのよ!」
「え? 待ってもらうの? なんで?」
「そこで返事を貰ったら、ほとんどの確率で振られちゃうでしょ? なら、あっちにも考える時間を十分に与えるのよ!」
「わかったわ! 返事を待ってもらっている間に、部長は伊敷君にアピールしまくって、伊敷君を自分に振り向かせるって事ね!」
「そう! 流石に告白された女子を気にしない男子は居ないわ! 嫌でも部長に目が行くだろうし、意識する。あとは部長が、積極的アピールすれば、彼はもうメロメロよ!」
「「「「おぉ!!」」」
確かに良い作戦だと思う。
しかし、そんなにうまく行くものだろうかとも思う。
でも今はその策が一番有効なのも確かなので、私はこの作戦に乗ってみることにした。
「志保、私……頑張ってみる!」
「お! 沙耶香がやる気だ!」
「みんなもありがとう。私、絶対……絶対……」
私は伊敷君とずっと一緒に居たい。
そのために何をするべきか、私は皆の意見を聞いて分かった。
部の皆も応援してくれている。
私は皆に宣言しなければいけない。
「伊敷君と既成事実を作るから!!」
「「「そっちぃーー!?」」」
なぜか知らないが部のみんなは驚きそう叫んだ。
みんななぜか驚いたような視線を私に向けてくる。
彼とずっと一緒に居るためには、既成事実を作るしかない。
そうすればずっと一緒にいられる。
その為なら、ずっとコンプレックスだったこの胸だって、活かして見せる。
「あ、あの……ぶ、部長……」
「どうかした?」
「ちなみに既成事実っていうのは……?」
「そ、そんな事……恥ずかしくて言えないよ…」
「「「じゃあ、なんで宣言した!」」」
みんなはなぜか、疲れたような表情でその場に崩れ、なぜか顔をひくひくさせている。
「ぶ、部長って……奥手なんだか…積極的なんだか……」
「なんか、心配しなくても伊敷君を落とせそうな勢いよね……」
「っていうか、私は部長の今後が心配になって来た……」
先ほどの協力的な感じとは打って変わってやる気のないみんな。
「な、なんでみんなそんな呆れたような視線を私に向けるのよぉー!!」
この日、私は決意した。
彼を絶対にものにしてみせると。
ライバルは強敵だが、一人だけ、しかも誠実君は振られている。
頑張れば、私の事を見てくれるかもしれない。
そう思うと、私は自分でも興奮して居ることが分かった。
伊敷君との明るい将来を妄想すると、顔がニヤけてしまう。
「エヘ……エヘへへ……ウフフ」
「志保、なんか部長が怖い!」
「私ら、焚き付けすぎちゃったかも!!」
「ま、まずいわね……主に、伊敷君の貞操が……」
誠実君に告白をした後の放課後。
私は屋上で、料理部の部員たちに迫られていた。
「み、みんな……なんで……」
私は顔を赤くしながら、みんなの方を見る。
みんなは、ニヤニヤしながら私に視線を集めており、口々になにがあったのかを聞いてくる。
「で、なんであんな面白い……じゃなくて、あんな展開になってるのよ?」
「今面白いって言ったよね? 絶対言ったよね!!」
「いいから教えなさいよ~、なんであんな告白みたいな事を言ったのか」
「……じ、実は……」
私は先ほどの出来事をみんなに話した。
勢いあまってあんな事を言ってしまい、私はまだ後悔していた。
絶対に変な子だと思われてしまった。
「へ~、弱弱しい伊敷君を見てたらつい言っちゃったんだ~、へぇ~」
「楽しそうね……志保……」
他の皆も同じような反応だった。
ついに部長が動き出した! やっと部長が行動に!!
なんて言いながらみんなは騒いでいるが、私からしたらむしろすべてが終わってしまったと思っていた。
「全く、いつまであんたはしょぼくれてるのよ。まだ告白の返事も聞いてないのに」
「だって……絶対変な子だと思われたよぉ~。急に怒ったと思ったら、あんな事言って……」
「でも、よかったんじゃない? どっちにしろ、言うつもりだったんでしょ?」
「そんなのもっと先だと思ってたよぉ~、今日は多分振られるから、その後でもっと伊敷君と仲良くなって、それから少しづつ距離を詰めて、一気に行こうかと……」
「料理部だけに、おいしくいただこうとしたって事?」
「な、なに言ってるのよ! そんなのは更に先の話でしょ!?」
志保の少々下品な発言に、私は声を上げる。
他の部員はその様子を見て笑いながら「志保、オッサンっぽいよ~」とか言っている。
みんな私の気持ちも知らないで、楽しんでいるのだ。
「いいもん、どうせ私の恋もここで……」
「何言ってんのよ、ようやく始まるんでしょうが?」
「でも……明日どんな顔で伊敷君と会えば良いか……」
「その為に私たちが来たんでしょ?」
「え?」
みんなニヤニヤするのを止め、私に微笑みかける。
「同じ部の仲間じゃない、困ったときは頼ってよ」
「そうよ、まぁ、まだ創部して三カ月も経ってないけど……」
「部長! 頑張って伊敷君を物にしよう!」
私はそこで気が付いた。
みんなは、もしかしたら、本当は私の事を心配してきてくれたのかもしれない。
どうしたら良いか分からなくて、困っていた私のために来てくれたのかもしれない。
そう思うと、やっぱり仲間って良いなぁ~と思う。
「ありがとう……みんな……」
「気にしないでよ、取り合えずは伊敷君にさっきの事をどう説明するかよね…」
「そのまま明日にでも呼び出して、再告白っていうのはどう?」
「う~ん、それだと多分まだ山瀬さんの事を引きづってるだろうから、ちょっと厳しいわね……」
「面倒だし、体育館倉庫にでも呼び出して押し倒せばいいんじゃない? 部長は大きなミサイルを二つ持ってますし」
「「「「確かに」」」」
みんなの視線が私の胸に集まるのを感じ、私はとっさに胸を隠した。
良く大きいといわれるが、正直大きくて良かった試しがない。
ブラのサイズは無いし、デザインも少ない。
肩も凝って大変だ。
「伊敷君はきっとそういうとこで女の子を見てないわよ! 山瀬さん、小さいし……」
「そういえばそうだね、じゃあダメか~」
「「「う~ん」」」
再び考え始める料理部一同。
今日の出来事をどう説明するのが、今後の彼との付き合って行くうえで良いのか、私にもさっぱりわからない。
そんな中、一人の部員が何かを閃き、声を上げる。
「じゃあ、こういうのどう? とりあえず告白して、返事を待ってもらうのよ!」
「え? 待ってもらうの? なんで?」
「そこで返事を貰ったら、ほとんどの確率で振られちゃうでしょ? なら、あっちにも考える時間を十分に与えるのよ!」
「わかったわ! 返事を待ってもらっている間に、部長は伊敷君にアピールしまくって、伊敷君を自分に振り向かせるって事ね!」
「そう! 流石に告白された女子を気にしない男子は居ないわ! 嫌でも部長に目が行くだろうし、意識する。あとは部長が、積極的アピールすれば、彼はもうメロメロよ!」
「「「「おぉ!!」」」
確かに良い作戦だと思う。
しかし、そんなにうまく行くものだろうかとも思う。
でも今はその策が一番有効なのも確かなので、私はこの作戦に乗ってみることにした。
「志保、私……頑張ってみる!」
「お! 沙耶香がやる気だ!」
「みんなもありがとう。私、絶対……絶対……」
私は伊敷君とずっと一緒に居たい。
そのために何をするべきか、私は皆の意見を聞いて分かった。
部の皆も応援してくれている。
私は皆に宣言しなければいけない。
「伊敷君と既成事実を作るから!!」
「「「そっちぃーー!?」」」
なぜか知らないが部のみんなは驚きそう叫んだ。
みんななぜか驚いたような視線を私に向けてくる。
彼とずっと一緒に居るためには、既成事実を作るしかない。
そうすればずっと一緒にいられる。
その為なら、ずっとコンプレックスだったこの胸だって、活かして見せる。
「あ、あの……ぶ、部長……」
「どうかした?」
「ちなみに既成事実っていうのは……?」
「そ、そんな事……恥ずかしくて言えないよ…」
「「「じゃあ、なんで宣言した!」」」
みんなはなぜか、疲れたような表情でその場に崩れ、なぜか顔をひくひくさせている。
「ぶ、部長って……奥手なんだか…積極的なんだか……」
「なんか、心配しなくても伊敷君を落とせそうな勢いよね……」
「っていうか、私は部長の今後が心配になって来た……」
先ほどの協力的な感じとは打って変わってやる気のないみんな。
「な、なんでみんなそんな呆れたような視線を私に向けるのよぉー!!」
この日、私は決意した。
彼を絶対にものにしてみせると。
ライバルは強敵だが、一人だけ、しかも誠実君は振られている。
頑張れば、私の事を見てくれるかもしれない。
そう思うと、私は自分でも興奮して居ることが分かった。
伊敷君との明るい将来を妄想すると、顔がニヤけてしまう。
「エヘ……エヘへへ……ウフフ」
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