Who are you?

風吹雪華

第4幸 喧嘩するほど仲が良くない!

喫茶店 草原そうげん

「ここのお茶美味しいよね!」

「そうね、とても気持ちが落ち着く。」

「何飲んでるの?」

「ハーブ。」

「柑奈はね、アッサム!」

「ダージリンも良いなぁって思ってたんだけど、結構渋みがあるらしくってね。」

「よく知ってるね。」

「うん!
  よくお母さんが、色んなお茶を作るから、そこで豆知識を教えてもらってるんだ!」

「へぇ。
  …私もそういうことを知った方がいいかな。」

「じゃあ、興味があるなら、柑奈ん家に来ればいいよ!」

「柑奈ん家?」

「うん!
  遊びにおいでよ!」

「暇な時ね。」

「何時空いてるの?」

「さぁ。
  スケジュールを確認しないと分からない。」

「明日は、空いてないの?」

「丁度休みだしね。
  隣人が来ない限り、暇だけど…でも、課題と予習と復習があるし…」

「だったら、柑奈と一緒にやろうよ!」

「柑奈とやってたら、集中出来ない。」

「何で!?」

「だって、直ぐ喋るじゃん。」

「だって〜」

「言い訳は聞きたくない。」

「ねぇ、お願い…」

「ヴっ…汗
 (上目遣いで攻めてきた…)」

「ね?
  良いでしょ?」

「(圧が凄い…汗)
 …もう、分かった。
 暇だったら、柑奈ん家に行ってあげる。」

「ホント!?」

「うんうん。」

「じゃあ、都合がついたら連絡してきて!」

「はいはい。」

「…あっ、柑奈、もう帰らないと!」

「門限?」

「門限間近だよ!」

「送るよ。」

「えっ、悪いよ!」

「私が好きにやっちゃダメ?」

「カ、カッコいい…♡」

「答えになってないけどっ!?」

「…うん、送って。」

「ん。」



広峰家-

「反対方向なのに、ごめんね。」

「ううん、大丈夫。」

家から誰かが出て来た。

「…こんなところで何してるんだ?」

七福神みたいな腹をした大男、柑奈の父親だ。

「お父さん!
  友達の環に送ってもらったの。」

「そうか!
  何時も柑奈がお世話になって。」

「いえ、こちらも柑奈さんに良くしてもらってます。」

「そうか。
  これからも柑奈を宜しくお願いね。」

「こちらこそ宜しくお願いします。礼」

「気をつけて帰ってね。」

「はい。」

「さぁ、柑奈、入ろう。」

「うん、環、バイバイ!」

「バイバイ。」



家-

「ただいま。」

今日も疲れた。

お腹空いたな…

冷蔵庫を開けると、津雪さんから何時も貰っている作り置きがぎっしりある。

こんなに食べられないけど、折角せっかく作って貰ってるし…

あっ、柑奈に連絡しないと。



次の朝-

またチャイムだ。

「はい。」

「どうも!
  おはようございます!」

「何時も同じ台詞セリフですね…。」

「他のが良かったですか?」

「いや、そういう意味ではなくて…」

「じゃあ…」

「聞いてますか!?」

話にならない…

「あの、そろそろ客が来るんで、宜しいでしょうか。」

「そんな冷たくしないで下さいよ〜!」

「はぁ…?」

「ちょっとお兄!
  また迷惑かけてるでしょ!?」

「文香!
  そんなことないよ〜!
  ねっ、双葉さん?」

「…散々迷惑かけてるじゃないですか。」

「そうなんですか!?
  お兄、双葉さんに謝って!」

「えぇ〜!
  何もしてないのに!」

「双葉さん本人がそう言ってるんだからそうなんでしょ!?」

「ちょっと、ギャーギャー煩いよぉ!」

「お、大家さん!?
  すみませんでした!」

「そこのあんたも!」

「ぼ、僕ですか!?」

「文香ちゃんに謝らせてるんじゃないよ!
  何時も何時も、朝っぱらから煩いんだよ!
  近所から苦情が来てるんだよ!」

「いやいや、僕はただ、双葉さんを起こしに行ってるだけですよ!」

「それは本人がそうお願いしてるのかい?」

「そうです!」

「はぁ!?
  私、そんなこと一言も」

「双葉さんも注意してよね!
  じゃあ、あたしはこれで。」

「ちょっ、大家さん…!」

「…いやぁこれで解決解決〜!」

「何他人事みたいに言ってるんですか…圧」

「えっ、何の事だい?」

とぼけないで下さい…にら

もう…我慢の限界っ!

「…あんたっ、私に罪を擦り付けんなよ!」

「ふ、双葉さん…?」

「毎日毎日私のとこに来て、何がしたいんだよ!?
  朝からイライラするし、こっちだって学校とかあるから行かないとなのに、あんたが絡んで来るからウザイんだよ!」

「ふ、双葉さん…流石に言い過ぎなんじゃ」

「部外者は黙って。」

「はい…
 (…怖い。)」

「僕は、双葉さんに元気をあげようと思って、こうして来てるんだ。」

「そんな元気は要らないから。
   …本当に迷惑なんで、二度と来ないで下さい。」

「(そんなこと言われたら、来ちゃうなぁ。
    …なんて、こんな状況で言えないし…!)
  はい、気を付けます…。」

「あと、妹さんだっけ?」

「は、はい!」

「お兄さんに一応口酸っぱく言ったけど、あんたの方からも言ってて。」

「えっ?」

「何かとお兄さんに甘やかしてるでしょ。
  これからは甘やかさないで。
  これは命令だから。」

「わ、分かりました…。」

「はぁ…酷いことを言ってごめんなさい。
  でも、これくらい言わなきゃ聞かないでしょ?
  では、私はこれで失礼します。」

「双葉さんが怒ったの、初めて…」

「…怒った顔も綺麗だったね!」

「お兄…やっぱりMなのね。」



ヤバッ、怒りをぶつけてしまった…。

でも、完全に相手の方が悪いし、私は悪くない、よね…?



(環ん家に遊びに来るの、何時振りだろ?
 でも、何で環ん家なんだろ…?)

「あれ、もしかして、双葉さんに用事?」

「あっ、はい。
  そうですけど…
 (近所の人かな?)」

「今は静かにした方がいいと思いますよ。」

「え、何でですか?」

「お兄が怒らせちゃったんです。」

「お兄?
 (この2人、兄妹…?
  にしては、似てないなぁ。)」

「何があったんですか?」

「それが…」

「あ…成程。察」

「っていうことがあったんだけど、怒らせちゃったから、お詫びをしたいなぁと思って!」

「はぁ…
 (この人、Mを超えてドMだ。)」

「何がいいと思う!?」

「お詫び、ですか…あげない方がいいと思いますけど…」

「何で!?」

「また環が怒るので…」

「えっ、もしかしてお友達?」

「えっ、あ、はい…」

「だったら説得してよ!」

「えっ!?」



「ちょっと津雪さん、さっきから煩いんですけどっ…って、柑奈!?」

「環!」

「何時からここに…?」

「う〜ん、かれこれ1時間くらいかな?」

「ご、ごめん…柑奈。」

「別に柑奈は気にしてないから大丈夫!」

「で、津雪さん、これは?」

「怒らせちゃったお詫びだよ!」

「…もう1回言わないと分からないですか?圧」

「ち、違うよ!
  本当に反省してるよ…。」

「…これ、何ですか?」

「いいから開けてみて!」

「…わぁ!!!」

「あはははははっ!
  双葉さん引っかかった!爆笑」

「…つ・ゆ・き・さん!!!!!激怒」

「逃げろ〜文香!!!」

「お兄!
  早く謝って!!!」

「待ちやがれっっっ!!!!!」

「環!
  落ち着いて〜!!!
 (びっくり箱を作るなんて、子供みたいな人だなぁ汗)」

結局、柑奈との勉強会は昼過ぎになったけど、何故か、津雪さんも一緒にやることに…

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