Who are you?

風吹雪華

第2幸 広峰柑奈

20XX年-

あの事件から、何年経ったのだろうか。

未だに未解決のまま、あの家族の無念を晴らされていない。

それにしても、殺害された動機も分からないというのは可笑しい。

犯人は捕まっていないらしいし…

誰か1人でも目撃者は居るだろう。

でも、母親 美子の友人、光里しか知らない。

現在の十七女村は、住人が激減したらしく、ほとんどの人が村を出て行ったらしい。

聞き込みすることすら難しい。

どうすればいいんだろう。

「…ねぇねぇ、環!
 聞いてる!?」

「え、何か言った?」

「もう、ちゃんと聞いてよね。」

「ごめんごめん。」

私は普通の高校2年生、双葉環ふたばたまき

今、友人の広峰柑奈ひろみねかんなと昼休みを過ごしている。

「ねぇ、何考えてたの?」

「んー、秘密。」

「何それ笑」

「…十七女村事件が起きてから、何年経ったっけ?」

「え、何急に。
  う〜ん、確か、13年かな?」

「そっか。
  早いね。」

「その事件がどうかしたの?」

「今日のニュースでやってたから、言ってみただけ。」

「そう言えばそうだったね。
  十七女村って、めっちゃド田舎なんでしょ?
  コンビニとかスーパーとかないくらいの。」

「まぁ、そうなんだけど。
  ド田舎って、失礼じゃない?
  この町も大概だと思うけど。」

「互角ってとこ?」

「そうかもね。」

放課後-

「環、一緒に帰ろ。」

「うん、トイレに行くから待ってて。」

トイレ-

トイレの入口に、たむろっている女子生徒3人組が居た。

何やら、陰口を言っているみたいだ。

(うるさいなぁ。)

「そこ、退いてくれる?」

「あれー、双葉さんじゃーん。」

「…トイレに行きたいから退いて。」

「違う階のトイレに行けばいいじゃーん。
  ここ、あたしらの溜まり場だからムリでーす。」

「…そう。」

「ちょっ、何してんの!」

「意地でもやらないと、退いてくれないじゃん。」

「あんたといい広峰といい、ホントウザイよね。」

「…っ!」

「ホントだよねー、特にー広峰がちょーウザイ。」

「そーそー、あいつ、ぶりっ子してるよねー。」

「可愛くもないのに、あんなことやって、惨めになるだけじゃん。」

「「「あっははははは!」」」

「…くっ!」

私は、胸ぐらを掴んだ。

「さっきから聞いていれば、お前ら好き勝手放題だな。
  柑奈の何知ってんだよ。
  次も柑奈のこと言ってたら、どうなるか分かるよな?」

「…っ!
 放せよ!
  …行こ!」

やれやれ、つい本性を出してしまった。



「環!」

「柑奈?
  そこで待ってたの?」

「うん!
  遅いから、心配で来ちゃった。」

「そう、じゃあ、帰ろっか。」

「うん。
  ねぇ環、今日さ、駅寄るよね?」

「えっ、何で?」

「こないだ、約束したじゃん!」

「…してたっけ?」

「したじゃん!
  環酷いよ〜!泣」

「ごめんごめん笑」

柑奈とは、長い付き合いだ。

どんな時でも、ずっと一緒に居た友人。

初対面の時、私に初めて笑顔を向けた人だ。

私がそっぽ向いても、必死に声をかけようとしてくれた。

私が1人でも、何時いつも隣に柑奈が居た。

昔から私は、無愛想だった。

1人で居る方が楽だった。

でも、柑奈の笑顔を見ると、自分も微笑ましくなった。

その時誓った。

柑奈を失いたくないって。

だから、どんな状況でも、柑奈だけは守り抜くと決意した。

例え、自分が犠牲になっても。

…なんて、本人に言えるわけないじゃん。

言ったら、一生話題ネタにされるかも。

「何笑ってるの?」

「思い出し笑い。」

「何思い出してたの?」

「ちょっと、聞かないでよ。
  一生言わないから。」

「むぅ〜、ケチ。
   …でもホント、笑うようになったよね。」

「そう?」

「うん!」

この笑顔を、誰にも壊させない。

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